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The U.S. Civil War(以下、TUCW)は、2015年に米GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは南北戦争。1Hex=24マイル、1Turn=2~3月、1戦力=約5000人の規模で描く。

今回、その中から1861年シナリオをプレイしてみた。下名は北軍を担当する。

第1Turn

イメージ 1首都ワシントンDC(Washington 1642)を含む東部戦線では、昇進前で元気の良いマクレラン将軍(MaClellan 1-1-4★★)がウェストバージニア州進攻作戦を行う。マクレランは初動に遅れがあってウェストバージニア全域を制圧するには至らなかったが、次回以降の良い教訓となった。

西部戦線ではカイロ(Cairo 2316)に兵力を集中するも、動きなし。

イメージ 2トランス・ミシシッピー戦域では、旅団長クラスながらも北軍の中では優秀な部類に入るリヨン将軍(Lyon 2-1-5★)がスプリングフィールド(Springfield 2305)を強襲してこれを占領。ミズーリ州の完全制覇を達成した。

第2Turn

イメージ 3東部戦線では南軍が大兵力を集中して首都ワシントンDCに対して猛烈な攻撃を仕掛けてきた。ポトマック川を渡って背後に回り込んできたジョセフ E.ジョンストン将軍(J.Jontston 1-2-4★★★)率いる南軍約5万がワシントンDCに対して強襲攻撃を仕掛けてきたのである。降格されてやる気なしのマクドゥウェル将軍(McDoWell 0-1-4★★)はそれでも果敢な迎撃戦を展開したが、衆寡敵せず敗北。マクドゥウェル軍は壊滅的打撃を受けて後退し、ワシントンDCは南軍の手に落ちた。

イメージ 4怒り心頭の北軍は、ジョンストン軍の背後を遮断すべく逆侵攻を仕掛ける。北軍の中では優秀なバーンサイド将軍(Burnside 1-1-4★)が約3万の兵を率いてハーパーズフェリー(Harper's Ferry 1545)を出撃。僅か1戦力が守備するだけの南部連合首都リッチモンド(Richmond 2246)に対して強襲攻撃を仕掛けるが、出目が振るわず、これを撃破するには至らなかった。

ワシントンDCが取られた時には「もう駄目だ」と思ったが、TUCWの場合、ワシントンDCの陥落は決定的な要因ではない。南軍はワシントンDC占領によってボーナス3VPを得るが、結局はそれだけ。サドンデス狙いなら別だが、そうでないのならワシントンDC陥落=即北軍敗北、ではないので要注意。

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西部戦線では南軍が中立州であるケンタッキー州に進攻。オハイオ川河岸のルイヴィル(Louisville 1925)、フランクフォート(Frankfort 1927)を目指すが、素早く立ち直った北軍が、ケンタッキー州を逆侵攻。地元民の協力を得た北軍はケンタッキー州を南下し、テネシー州に進入。テネシー州の州都ナッシュビル(Nashville 2622))を占領した。

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海上からはパターソン将軍(Patterson 0-0-4★★)率いる5000名がフロリダ州北部に上陸し、同州の州都ジャクソンビル(Jacksonville 4837)を占領した。

言い忘れたが、今回のプレイでは、海上輸送について2016年3月に公表されたシナリオ特別ルールを採用している。それによれば、第1Turnは両軍とも海上輸送や海上/河川戦略輸送は禁止。第2Turnは両軍共それぞれ1SPが上限(南軍は元々1SPが上限なので変化なし)、第3Turnの北軍は上限が2SP、第4Turn以降はルール通り3SPを輸送できる

第3Turn

イメージ 4東部戦線では、ワシントンDCに籠る南軍の後方を遮断して兵糧攻めする。またバーンサイド率いる1個軍団はワシントンDCとリッチモンドの中間に位置するフレデリックスバーグ(Fredericksburg 1946)を占領。南軍に圧力を加える。たまりかねた南軍はワシントンDCを放棄して後退。反撃によってフレデリックスバーグを奪回した。
北軍はブルーリッジ山脈西方のシェナンドー渓谷に攻撃を指向し、ストラスバーグ(Strasburg 1643)からスタントン(Staunton 1942)を占領した。

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イメージ 5西部戦線ではナッシュビルに対して南軍が反攻作戦に転じる。新たに赴任した北軍ポープ将軍(Pope 1-0-4★★)は善戦したものの兵力に勝る南軍の攻撃を支えきれずにナッシュビルを放棄。後退する。
その間北軍ハレック将軍(Halleck 1-1-3★★★)が3万の兵を率いてミシシッピ川下流方向へ南下。コロンバス(Columbus 2516)付近の南軍塹壕陣地を撃破した後、さたに南下してメンフィス(Memphis 3013)要塞に襲いかかった。メンフィス要塞守備隊は僅かに1戦力(5千名)に過ぎず、北軍の猛攻を支えきれない。結局メンフィス要塞は1ラウンドで陥落。北軍は貴重な4VPをゲットした。

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この段階でゲーム終了。北軍はメンフィス、ミズーリ、ケンタッキー、シェナンドー等で計11VPを獲得。ワシントンDCの一時落城で3VPを失ったが、差し引き8VPでシナリオの勝利条件(7P)をクリアした。

感想

細かい失敗が多かった。反省点として、まず第1Turnにウェストバージニア制圧を完了できなかったこと。これは1APを使い続けることで自動的に達成できるので、ちゃんとやるべきであった。ウェストバージニアを制圧すれば、面倒な民兵も出て来なくなる。完全制覇できないので後顧に憂いを残す結果となってしまった。

イメージ 6第2Turnにマクレラン将軍が昇進するが、その時にフリーで転送できるので、それを使ってワシントンDCに送るべきであった。マクレランは消極将軍なので攻勢には使えないが、守りではかなり使える。マクレランと先に降格するマクドゥエルをワシントンDCに籠らせ、12戦力程度で守らせれば、ワシントンDCは簡単には落ちない。その間、フリーの要塞築城ポイントでワシントンを難攻不落の要塞にしてしまえば、兵力に余裕が生まれ、海上や西部戦線からの進攻も可能になってくる。

西部戦線はちょっと上手く行きすぎ。ただしトランス・ミシシッピー戦域はもっと積極的に動くべきであった。第1Turnミズーリ州支配は当然として、アーカンアス州への進攻も当然考慮すべきだろう。この方面で使える北軍将軍は小回りが効くタイプのが多いので、南軍の出方を伺いつつ、臨機応変に対応したい。

西部戦線本命のミシシッピ川流域では、カイロから先が問題になる。今回のように南軍がケンタッキー州へ侵攻した場合は、同州を経由してテキサスへの進攻が可能になる。ただ、同方面の北軍指揮官は鈍重なタイプが多いので、臨機応変に対応できないのが辛い所だ。逆に南軍がケンタッキー州の中立を尊重してくれば、こちらも下手に動かずに様子見が良いと思う。いずれにしても第4Turnにはケンタッキー州は自動的に北部に味方するので、それを待つのが一番だ。

イメージ 7戦術的には、騎兵の使い方をもう少し研究したい。騎兵は足が速いが土地を支配する能力がないために一見すると使い辛い。ここは支配ルール(6.0項)とも関連してくるが、騎兵は敵支配マーカーを取り除くことができる。この能力は敵支配州では無意味だが(何故なら敵支配州にはそもそも敵支配マーカーを置くことはない)、友軍支配州では多大な威力を発揮する。つまり敵がせっせと置いていった支配マーカーを根こそぎ取り去ることができるからだ。北軍としては南軍騎兵隊の後方襲撃に頭を痛めそうである。

いずれにしてもTUCWは面白い。面白すぎて本場で次々とエラッタや新ルールが出されている始末。追いかけるのが大変である。かくいう下名も十分にキャッチアップできていないのだが、なんとか追いつきたいと思っている今日この頃なのであった。

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