前回、The U.S. Civil Warのシナリオ1の対人戦を紹介したが、近日中に予定されているキャンペーンシナリオに備えて序盤の動きを把握しておきたいと思い、シナリオ1のソロプレイをVASSALでプレイしてみた。

1Turn(1861年夏1)

イメージ 8戦いは川から始まった。カイロ(Cairo 2316)を出撃した北軍河川艦隊はミシシッピー川を南下し、メンフィス(Memphis 3013)付近で南軍河川小艦隊と交戦した。戦いは互角で両軍とも損傷し、北軍艦隊は出港地であるカイロに引揚げた。

イメージ 9トランス・ミシシッピ地区では、ミズーリ州制圧を図る北軍リヨン(Lyon 2-1-5★)将軍麾下の3戦力がスプリングフィールド(Springfield 2305)で塹壕を掘って待ち構える南軍プライス(Price 1-1-4★)将軍麾下の2戦力と交戦した。戦闘カードの支援も得た北軍が南軍を撃破。スプリングフィールドは北軍の支配する所となり、北軍はミズーリ州の完全平定が完了した。
その後も北軍は南のアーカンサス州にまで攻め入り、フェイエットビル(Fayetteville 2703)を占領した。南軍プライス将軍はリトルロック(Little Rock 3108)まで後退する。

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イメージ 10東部戦線では、南北両軍がポトマック河を挟んで睨み合いを続けているが、その間、北軍マクレラン(MaClellan 1-1-4★★)将軍麾下の部隊がウェストバージニア州に侵攻を行い、Turn終了時点までにウェストバージニア州全域支配が完了していた。

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2Turn(1861年夏2)

イメージ 11南軍はトランス・ミシシッピへ反攻を仕掛けた。先に敗北を喫してミズーリ州から叩きだされたプライス将軍はリトルロックを出撃。州境を超えてミズーリ州に進入する。リヨン将軍に代わってトランス・ミシシッピ地区に就任してきたカーティス(Curtis 1-1-4★)将軍は、フェイエットビルを後にミズーリ州内に出撃。プライスを追う。しかしプライス軍の方が一足早く、ミズーリ州内のアイアントン(Ironton 2112)を占領した。北軍のカーティスはアイアントン奪回作戦を実施したが、南軍守備隊の抵抗が激しく、アイアントンを奪回するには至っていない。

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イメージ 12東部戦線では南北両軍のにらみ合いが続いているが、大西洋の制海権を握る北軍は、東海岸に対する上陸作戦を実施した。サウスカロライナ州南東部、サバンナ川の河口からやや北にある港湾、ポートロイヤル(Port Royal 4038)に上陸した。慌てた南軍はボーリガード(Beauregard 1-1-4★★)将軍に1戦力を預けて急遽鉄道移動で南下させる。しかし後手に回った南軍。ボーリガードがチャールストン(Charleston 3839)に到着した頃には、北軍の一体がサバンナ川を渡ってジョージア州に侵攻し、サバンナ(Savannah 4137)を占領した。

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3Turn(1861年秋)

サバンナの北軍指揮官にマクドゥウェル(McDoWell 0-1-4★★)将軍が着任してきた。開戦時、北軍の最高司令官だった人物だ。しかしサバンナの北軍はプラスキ要塞(Ft.Pilaski)によって海からの補給を断たれて孤立。そのプラスキ要塞が降伏してようやく海からの補給路を確保した矢先に南軍ボーリガード将軍による猛攻を受けた。戦力比は3:1。塹壕に籠って抵抗する北軍であったが、兵力差は如何ともし難く、北軍は壊滅。マクドゥウェル将軍も負傷して一時的に戦列を去る。

イメージ 13北軍は制海権の優勢を生かして海からの進攻を継続する。 パターソン(Patterson 0-0-4★★)将軍率いる師団規模の兵力が、フロリダ半島を迂回してメキシコ湾に進入。セント・マークス港(St.Marks 4829)に上陸した。セント・マークス港はフロリダ半島付け根に位置する戦略的な要域であり、その目の前にはフロリダの要地タラハシー(Tallahassee 4730)があった。
フロリダ半島の反対側、ジャクソンビル(Jacksonville 4837)に待機していた南軍K.スミス(Kerby Smith 1-1-4★★)将軍は直ちに師団規模の兵を率いてタラハシーへ向かったが、北軍の方が一瞬早かった。タラハシーを守る南軍民兵を撃破したパターソン将軍は、そこにがっちりと塹壕を築いて守備態勢を固めている。

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イメージ 14東部戦線主戦線たるワシントンDC正面では、なおも両軍のにらみ合いが続いていたが、北軍は側面から攻勢を仕掛けてきた。ハーパーズフェリー(Harper's Ferry 1545)に陣取るバーンサイド(Burnside 1-1-4★)将軍麾下の軍団規模の部隊がハーパーズフェリーを出撃し、シェナンドー渓谷入口にあたるストラスバーグ(Strasburg 1643)に塹壕を掘る南軍ロングストリート(Long Street 1-1-4★)将軍麾下の旅団規模の部隊を攻撃した。兵力に勝るバーンサイド軍が南軍を撃破。ストラスバーグは北軍の支配する所となる。
しかし南軍の反応は早かった。ポトマック川を挟んで北軍を対峙していた南軍J.ジョンストン(J.Johnston 1-2-4★★★)将軍麾下の軍団規模の部隊が西へ向けて出撃。バーンサイド軍の側面から襲いかかってきたのだ。兵力はほぼ互角だったが、戦闘カードを駆使して襲いかかる南軍の猛攻を前にバーンサイド軍はストラスバーグを放棄。ハーパーズフェリーへ向けて引き返してしまう。

イメージ 15ところでこの時、ポトマック川対岸には北軍主将のマクレラン(MaClellan 0-2-3★★★)将軍率いる約6万の大軍が出撃の機会を伺っていた。対する南軍は首都リッチモンド(Richmond 2246)に大規模な要塞構築を進めていたが、J.ジョンストン将軍麾下の3万がシェナンドー渓谷に入ったため、マクレラン軍を迎え撃つべく兵力は精々1万人まで減少していた。この機を逃さずマクレランが出撃。一気にリッチモンドを奪取していれば、あるいは戦争の流れは変わっていたかもしれない。しかし現実には戦意の乏しいマクレランは出撃することなく首都ワシントンDC(Washington 1642)でひたすら築城に励む有様であった。

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イメージ 16戦線最西端のトランス・ミシシッピ地区では、北軍カーティス将軍が再びアイアントンを攻撃し、ようやくこれを奪い返した。また勢いに乗るカーティス軍は南軍プライス将軍麾下の部隊を追撃し、これに無視できない損害を与えていた。一方の南軍は、猛将ヴァン・ドーン(Von Dorn 1-0-5★★)将軍をトランス・ミシシッピ戦区に派遣。リトルロックを出撃してボストン山脈南斜面からフェイエットビルを伺う。

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シナリオの規定によってこのTurnで終了となる。この段階で北軍の確保したVPは6点。勝利条件では北軍が7点以上確保する必要があるとなっている。しかし仮にキャンペーンシナリオに当てはめれば、6点は丁度ベースとなるVPなので、実質的には引き分けと言って良いだろう。

感想

イメージ 17北軍はマクドゥウェルをサヴァンナに派遣したのが失敗であった。サヴァンナは兵力差から考えて守りきるのが困難なので、兵隊だけで時間稼ぎをしても良かった。マクレランは守りにでは無類の強さを発揮するものの、攻撃に回ると鈍足かつ慎重将軍なので使い勝手が悪い。だから比較的自由に使えるマクドゥウェルを手元に残しておき、ポトマック川対岸の兵力が減少した時点で正面攻撃をかけられるようにしておくべきであった。

序盤の動きについてだが、陸戦関係については概ね掴めたと思う。問題は海戦だが、序盤に南軍の軍艦が単独でいる場合、北軍は積極的に攻勢を仕掛けても良いと思う。特に"Naval"カードを使ってDRM+2をつけるのが効果的だ。
海軍については北軍は、南軍の弱点部を狙って積極的に逆侵攻を仕掛けていきたい。下名はルールを誤解していて「強襲上陸を実施する場合はNavalカードが必要」と思っていたが、上級ルールではその点が変更になり、カードが不要になった。従って序盤、要塞地帯以外を攻撃する場合は、初級ルールよりも海上進攻がやりやすくなった。さらに本作の場合、仮に将軍が退路を断たれて海に追い落とされても、次Turnには自動復活してくれる。だから比較的渡海進攻がやりやすい。逆に南軍の立場から言えば、北軍の渡海進攻を阻むため全ての港湾や海岸線に守備隊を置きたい所だが、やりすぎると今度は正面兵力が足らなくなる。そのあたりのバランス感覚が南軍にとっては難しいと思った。