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イメージ 11昭和時代のゲーマーなら恐らく存在は知っているであろう有名なゲームです。Hobby Japanから和訳版も出版されていたので、保有率もかなり高いと思われるゲームです。その割に「プレイした」という報告は意外な程少なく、保有率の割にプレイ機会の少ないゲームだと言えるのではないでしょうか。

かくいう私は学生時代にフルキャンペーンをプレイし、中国奥地に攻め込んで重慶政府を陥落せしめましたが、多分ルールを間違っていました。まともにプレイすればそんな展開にはならないと思います。

あれから約30年。今、再びこの有名ゲームを対戦する機会を得ました。

珊瑚海海戦

イメージ 9最初にプレイしたのは作戦シナリオ2「珊瑚海海戦」。所謂MO作戦を扱ったシナリオです。下名は日本軍を担当しました。
米空母が出てくる前にモレスピーを急襲しようと輸送船団が一気に珊瑚海を西進。モレスピーを急襲しました。本来なら砲爆撃で守備隊を制圧してから上陸するのが常道ですが、米空母がモレスピー向けて急接近してくるので、そんな暇はなさそう。強引に強襲上陸を敢行します。確率的にはかなりヤバイ戦いでしたが、海軍陸戦隊(7-0-1)と南海支隊(6-0-3)は奮戦して、オーストラリア第30旅団(5-1-4)を撃破。ポートモレスピーを占領しました。
イメージ 10その後、撤退中の我が揚陸部隊を米豪水上部隊が襲い掛かり、「古鷹」大破、「祥鳳」小破等の損害をだすとか。あるいは首尾よく米空母を発見したMO機動部隊が航空攻撃を仕掛けるも、出目がスカスカで「ヨークタウン」に軽微な損害を与えただけだったとか。そんなこんなで楽しいプレイでした。

勝利条件的には、ガダルカナルを取らなければらないという条件を失念していた日本軍プレイヤーの敗北。プレイ時間は実質1.5hぐらいでした(公称2h)。

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フィリピン進攻1941

イメージ 12次に長期戦シナリオのルールをマスターすべく、戦役シナリオ2「フィリピン進攻1941」をプレイしました。これはタイトル通り1941年における日本軍のフィリピン進攻を扱ったシナリオです。下名は日本軍を担当します。
日本軍は史実通り航空攻撃でマニラ一帯の米比空軍を撃破した後、ルソン島北部アパリ付近に第48師団(7-1-11)その他が上陸。さらにルソン島東部ラモン湾付近に第16師団(5-1-12)が上陸しました。日本軍はそのままマニラを目がけて進撃。第48師団がクラークフィールド付近で北部ルソン軍団を撃破した後、2個師団を主力とする日本軍はマニラ市街戦に雪崩れ込みです。
イメージ 13マニラ市街を巡る戦いは激烈を極め、第16師団は残り1ステップとなって事実上戦闘不能。最強の第48師団も兵力の半数以上を失いましたが、最後は練度と兵力差がものをいってマニラは12月中に日本軍が占領しました。
マニラの陥落によって連合軍南西太平洋方面司令部(SW Pac HQ)は強制解散となり、米比軍の組織的抵抗が不可能になったので、この時点でゲーム終了としました。ここまでのプレイ時間は約0.5hです。

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後に述べるように、今回のプレイではかなりルールミスがあり、特に上陸戦に関するルールミスが重大でした。これを正しく適用していれば、少なくともマニラがかくも簡単に1941年12月中に陥落するようなことはなく、仮に日本軍がマニラの早期陥落を望めば、相応のリスクをとる必要があります。そういった意味では、正しいルールで再戦してみたいシナリオです。

ガダルカナル

当初の予定では、上記2シナリオだけを当日の予定としていたのですが、あまりに呆気なくシナリオが終了したので、折角なのでもう1戦ということで、本命ともいうべきガダルカナルシナリオにチャレンジしてみました。今回、下名は連合軍を担当します。

イメージ 14序盤、日本軍はガダルカナルへ守備隊を増強。海軍陸戦隊1個をガダルカナルに上陸させました。これによりガダルカナルの守備兵力は計4ステップとなり、上陸作戦リスクがやや高まりました。
ガダルカナルへ向かう米第1遠征艦隊は、空母3隻を基幹とするフレッチャー中将の機動部隊が航空援護を担当。上陸部隊はヴァンデグリフト少将率いる精鋭第1海兵師団(8-1-14,3StepLoss)と第1特殊戦連隊(8-0-2,1StepLoss)が担当します。

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ヴァンデグリフト部隊は、精鋭の日本海軍陸戦隊の激しい抵抗に苦戦を強いられながらもなんとか橋頭保を確保。その後の戦闘で日本軍を壊滅せしめ、ガダルカナルを占領しました。

対する日本軍。ガダルカナルから2ヘクスのニュージョージア島に飛行場建設を進める一方、9月には川口旅団による逆上陸作戦を敢行するも失敗。その間、米軍はガダルカナルの守備兵力を着々と強化します。

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イメージ 1510月に日本軍は大量の補給ポイントを得て大攻勢を発動。金剛型戦艦4隻からなる打撃部隊をガダルカナル水域へ突入。猛烈な艦砲射撃で飛行場を焼き払います。対する米軍も空母3隻からなる空母機動部隊をガ島水域へ出撃させ、完全戦力3ユニットの艦載機が日本高速戦艦部隊を襲います。珊瑚海で大スカをぶっこいた米空母部隊ですが、こここでは本来の威力を発揮。「榛名」が大破して沈没寸前の大損害を被り、「比叡」も中破しました。
一方日本軍の上陸部隊は丸山中将麾下の第2師団(6-1-14)。辻政信の著作ではボロクソに書かれている師団ですが、本作では練度6と日本軍の中ではトップクラス。ちなみに練度7の部隊は、日本軍の中では海軍陸戦隊と第5、第48、近衛の3個師団だけです。さらにいえば、米軍には練度7を超える練度8の部隊があり(第1~3海兵師団と一部特殊部隊)、我が戦友Sinボー氏曰く「身贔屓だぁ」とのことでした。

イメージ 16閑話休題。勇兵団(第2師団)は不利な条件にも関わらずガダルカナルへの上陸に成功。しかしその際、かなりの兵員を失ったのは遺憾でした(計5ステップロス)。しかし勇兵団がガダルカナルに橋頭保を築いたことで後続部隊の揚陸が容易になったことは見逃せません(練度を半分にしなくても良い)。また米軍としても日本軍を撃破するためには地形的に不利な戦闘を強いられる(攻撃側には地形的に不利なシフトが適用される)ことになり、これの追い落としが困難になりました。米軍としては辛卯強く砲爆撃を繰り返して勇兵団を混乱状態とし、弱体化した所で追い落としを図ることになりそうです。対する日本軍は「東京急行」でガダルカナルへの補給線を保持しつつ、海空戦の勝利でガ島水域での制海権・制空権を確立すれば、逆にガ島の米軍を孤立化させて降伏に追い込むことも不可能ではありません・・・かな?

とまあこんな感じで時間切れのお開きとしました。

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感想

まずは重大なルールミスが2点ありました。
いずれも上陸作戦についてです。(英文p22 L6)
1.上陸時に攻撃側が強制後退の結果を受けた場合、モラルチェックに成功すれば、通常通りステップロスを食らうだけで上陸できる。
2.上陸した部隊は、たとえそこに敵がいなくても、それ以上移動できない。
3.追加作戦期間では、作戦実施プレイヤーは潜水艦以外の戦闘ができない。

1については、士気チェックで余程酷い目を出さない限り上陸そのものは成功することになります。ガ島戦の項にも書きましたが、一旦上陸に成功すれば島嶼内の敵を排除するのは相応のリスクが生じるので、なかなか決着がつかなくなり、史実に近い展開が期待できます。

2.については、「いつまで」という説明がないので、適用範囲が不明です。常識的に考えると、次に再度活性化するまでは移動禁止と考えるのが自然かなと思います。
逆にそうしないと珊瑚海シナリオでわざわざモレスピーに上陸する必要はなくなります(ブナに上陸して陸路を歩いた方が余程安全)
このルールを適用すると、フィリピンシナリオで12月中にマニラ陥落ということもなくなります。

3.は無限に作戦期間を延長させることへのアンチテーゼになりそうです。

プレイして思ったのは、意外とサクサク進むかな、という感じでした。最初にプレイしたシナリオはいずれも予想よりも遥かに短時間で終了し、最後のガダルカナルシナリオでもセットアップ込みで4~5時間です。今回は最終Turnまでプレイしなかったことを加味しても、1日あればガ島戦シナリオは十分完遂できそうです。

イメージ 17ルールを読む分には「果たしてシステムが上手く機能するのか?」疑問に思えたシステムですが、プレイしてみると意外とまともにプレイできました。特に警戒態勢が「奇襲」になる場合、防御側は何もできないことが多いので、その分悩まなくて済みます。無論、潜水艦が強すぎるとか、活性化ポイントが少なすぎるととか、細かい所を見れば気になる点も残っていますが、全体をプレイしてみて破綻しない範囲であれば、問題なしとすべきでしょう。

そういった意味では大型のキャンペーン乃至はフルキャンペーンに挑戦してみたいと感じるゲームでした。
「太平洋艦隊」「Empire of the Sun」、いずれも傑作ゲームですが、本作はこれらの作品に比肩し得る「太平洋戦争キャンペーンゲームの中で最高のものの1つ」と言えるように思います。

誰か、一緒にフルキャンペーンに挑戦しませんか・・・?。


Pacific War Carrier Battle - Philippine Sea  77-ガダルカナル  69-南方作戦1941
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