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久しぶりに新版Ukraine'43をプレイした。今回は枢軸軍を担当する。ルールはGMT社のLiving Rule 7-4-15版に従い、SS装甲師団2個を投入すればティーガーシフトが得られる選択ルールを採用した。

これまでの展開
第1~3Turn
第4~7Turn
第8~12Turn

13Turn(43/10/01)

イメージ 510月になった。10月に入ると天候チェックにより1/3の確率で雨天になる。雨天になると航空支援が得られないだけではなく、全ての攻撃に左へ1シフトがつく他、補給線で2級道路の移動コストが1/2から1に変更になり、さらに2級河川を渡河する際に+1の移動コストがかかってくる。特に2級道路の移動コストが重要で、これによりソ連軍の補給範囲は一気に小さくなる。まさに雨はソ連軍にとって「泣き面に蜂」、ドイツ軍にとっては「干天の慈雨」というべき存在なのだ。

そして期待の天候チェック。結果はドイツ軍の期待通り「雨」であった。落胆するソ連軍プレイヤー。それでもソ連軍は雨の中、ハリコフ南方からレゾバヤ(Lezovaya 4321)付近にかけてガッチリと構築されたドイツ軍防衛線に対し、1-2~2-1の低中比率攻撃を5箇所で実施した。一連の攻撃でソ連軍は装甲1ステップを含む計5ステップを失ったが(ドイツ軍の損害は1ステップのみ)、それでも3箇所でドイツ軍を撃破し、後退させていた。そしてポルタワ(Poltava 3316)も包囲した。

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ドイツ軍はポルタワ西方で反撃を実施。包囲輪を形成していた歩兵2個軍団を撃破し、ポルタワで包囲されていた第13装甲師団(6-5-7)を救出した。

獲得VP=17(18)

14Turn(43/10/06)

イメージ 6またもや雨が降った。2Turn連続の雨でさすがのソ連軍プレイヤーも落胆を隠せない。ソ連軍はポルタワに対して4-1攻撃を行い、これを陥落させた。またノガリステップで1-1~5-1の中高比率戦闘を3個所で実施。いずれもドイツ軍を後退させていたが、ドイツ軍も素直に後退していく。

その間、戦線後方のドニエプル川方面ではドイツ軍による要塞線構築が着々と進み、既に河岸の主要都市はいずれも陣地化されていた他、ザポロジェ(Zaporozh'ye 3928)からマリウポリ(Mariupol 5133)に至る所謂ヴォーランラインもほぼ完成している。

ポルタワを失ったドイツ軍はドニエプル川以東を守る必要性がほぼなくなったので、続々とドニエプル対岸に逃れていった。ザポロジェ、ドニエプルペトロフスク(Dnepropetrovsk 3724)、チェルカッシー(Cherkassy 2118)の鉄道橋や道路橋はドイツ軍の車両と将兵で溢れた。さらにドニプロゼルジーンシク(Dneprodzerzhinsk 3524)西方には臨時の舟橋が設置され、そこからはGD師団を含む複数のドイツ軍がドニエプル川対岸へと逃れていった。ザポロジェの南側はドニエプル川が湾曲しているので、先の述べたヴォータンラインがドイツ軍にとっての主要防衛線になる。

こうしてドイツ軍がドニエプル川からアゾフ海にかけて鉄壁の防衛線を築いた。

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この段階でほぼ勝負あったと判断した両プレイヤーの合意でゲーム終了となり、ドイツ軍の勝利が確定した。

獲得VP=19(20)

感想

イメージ 7まず長考について。
今回はかなり長考させてもらった。後で記録を調べてみたら、ドイツ軍の方が1.5~2倍ぐらい時間を使わせてもらっている。申し訳ないとは思うが、ドイツ軍はワンミスで致命傷となりかねないので許してほしい。

前回のキャンペーン時と比べると、気分的には苦しかった。特に序盤大きく西に抜けられた時にはかなりプレッシャーを感じた。序盤に相手の出目が走って何個所も突破口を空けられた時には本当に苦しかった。

イメージ 8意外な事に損害比で見ると、前回のキャンペーン時の時に比べると今回の方がドイツ軍にとって成績が良かった。前回のプレイで独ソのステップ損失数は1:1.54、ゲーム終了時の残存ステップ数は1:1.68であった。それが今回はそれぞれ1:1.93、1:1.40で、比率的には良くなっている。唯一ドイツ軍の残存ステップ数だけは、前回99ステップに対して今回は96ステップ。それだけ両軍共激しい戦いを演じたということであろう。

上記の原因として考えられるのは、ソ連軍プレイヤーの戦意が前回の対戦相手氏よりも苛烈であったこと。そのためにドイツ側としても手抜きが出来ず、勢い苛烈な反撃を仕掛けることになったこと。その一例がドイツ側の長考と中盤から終盤にかけてドイツ軍が多用した「落穂拾い」攻撃であった。

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イメージ 9プレイ途中に気づいたことだが、ドイツ軍をプレイしている際には、ソ連軍の攻撃パターンを把握しておくことが重要である。よくあるプレイスタイルにソ連軍がユニットを動かしている時には席を立って他の対戦を見物し、ソ連軍プレイヤーが移動を終えた時に席に戻る、というのがあるが、これは余りお奨めできない。無論、ソ連側の動きを逐次監視しておけ、とまでは言わない(そんなことをされればソ連軍プレイヤーが嫌がるだろうし、ドイツ側の集中力も持続できない)が、ソ連軍がその移動の半分ぐらい終わった時点で一旦席に戻り、ソ連軍がどういう攻撃を意図しているのかを把握するのが重要である。できれば戦闘比の概略も把握しておくことが望ましい。そうすればソ連軍が何を意図しているのか、どの攻撃が致命傷となり得るのかが把握でき、それに対してマンシュタイン効果や断固たる防御、航空支援などを使うべきポイントが見えてくる。また予め戦闘比を把握しておけば、戦闘時に改めて戦闘比を数え直す必要がある程度抑制されるので、プレイ時間の短縮も期待できる。
私自身、ゲーム前半は「席をはずして攻撃直前に戻って来る」プレイスタイルだったので、細かい失敗が多かった。後半は上記を意識してプレイスタイルを変更したので、マンシュタイン効果等をある程度上手く使えるようになったと思っている。

いずれにしてもUkraine'43(第2版)は本当に面白い。適切なゲーム性と高い歴史再現性。独ソ両軍とも苦しみと楽しみを味わえる稀有な傑作ゲームだと思える。旧版に見られたようなややゲーム的な包囲攻撃も本作では通用し難く、むしろ真の意味で戦略眼を問われる作品に仕上がっていると思っている。

最後に今回2日間に渡ってお相手頂いた対戦相手氏には、心からお礼を申し上げたい。


Game Journal 93-パンツァーカイル
パンツァー・オペラツィオーネン――第三装甲集団司令官「バルバロッサ」作戦回顧録 独ソ戦大全 失われた勝利(上) 失われた勝利(下)