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ソ連地上軍-兵器と戦術のすべて

デービット・C・イズビー 林憲三訳 原書房

原書房といえば、1980年代前後に戦記物や軍事関係書籍を数多く出版していた出版社として有名である。本書はその原書房が1986年に出版した現在戦に関する翻訳書である。原著はWeapon and Tactics of Soviet Armyで、直訳すれば「ソ連軍の兵器と戦術」とでもしておこうか。
著者のイズビー氏は、SPIの空戦ゲーム「Air War」(邦題、「空戦マッハの戦い」)のデザイナーとして有名である。また謝辞にはジョセフ・バルコスキーやマーク・ハーマンといった我々ゲーマーにとって馴染みの深い名前を見える。
本書はタイトル通り1980年代前半におけるソ連地上軍の戦術と兵器について述べた著作である。本書の特徴は兵器をそのカタログスペックのみから捉えるのではなく、戦術やドクトリンの中で兵器のスペックを捉えている点にある。従って戦車や歩兵戦闘車等の各種装備が何故そのようなスペックなのかをドクトリンを背景として理解できるようになっている。また我々ゲーマーとして興味深いのは、火砲の性能や戦車の抗たん性を数値面で評価している点である。例えばT-62戦車が行進間射撃を実施する場合、距離xxでの命中率はxx%であるとか、T-62の主砲弾を受けたM60A1戦車の撃破確率はxx%といった数値が表形式で多数掲載されている点である。そう言った意味で本書は資料性も高い。
対象年代が1980年代前半なので現時点での価値は低いが、その点を除外すれば1級の情報であろう。現時点で入手するのは困難だろうが、図書館等に行けば比較的容易に入手できると思われる。

お奨め度★★(そのような資料を必要とする人以外には無価値)