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「尖閣ショウダウン」は2013年に国際通信社から発売されたシミュレーションゲームで、テーマは尖閣諸島及び南西諸島を巡って予想される日中の軍事衝突です。正に「今そこにある危機」です。
システムは有名な「レッドドラゴンライジング」(CMJ#92)をベースとしたもの。一見するとルールは多いので、ルールブックを読み通すと結構辛いですが、プレイしてみるとサクサクプレイできます。

今回、本作をプレイしてみました。下名は自衛隊を担当します。

1Turn

イメージ 10南西諸島沖に集結した中国艦隊。そのまま与那国島に接近し、師団規模の部隊を上陸させた。すわ、中国軍による侵攻か。自衛隊は沖縄近海に出動していた第1護衛隊群に加えて佐世保の第2護衛隊群、呉の第4護衛隊群にも沖縄近海への出撃を命じた。

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2Turn

イメージ 11中国軍は与那国島に続いて尖閣諸島にも上陸。魚釣島に特殊部隊を上陸させて同地を支配する。自衛隊は3個護衛隊群を集結させた大艦隊を宮古諸島沖に集結させて中国側を牽制する。今の所、中国軍による日本領土への進攻はあったものの、いずれの側からも実弾射撃はない。東シナ海の海は緊張した空気に張りつめる中、日本政府は非軍事的な解決方法を探るべく必死の外交努力を行う(ということにしておこう)。

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3Turn

イメージ 12八重山諸島を守備する自衛隊を爆撃するべく数十機の中国軍機が日本領空内に飛来してきた。那覇を発進した航空自衛隊のF-15戦闘機がそれを迎撃する。この時点で未だ中国側からの「攻撃行為」はなかったので、攻撃を躊躇う自衛隊機。それでも現場からは射撃許可を求める矢の催促。
そして・・・、
遂に中国戦闘機がF-15に向けてミサイルを発射した。数発のPL-12アクティブ誘導ミサイルがF-15に迫る。チャフと急激な回避運動によって辛くもミサイルを回避したF-15は直ちに自衛のための戦闘を開始した。前方に迫るJ-11戦闘機をレーダーロックオン。直ちに99式空対空誘導弾(AAM-4)、さらには04式空対空誘導弾(AAM-5)を発射する。狙い違わずミサイルは命中。瞬く間に数機の中国機が四散する。日中最初の空中対決は日本側の完勝に終わった。

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(Photo by Wikipedia)

4Turn

イメージ 13イベントで「陸自部隊の事前配備」が発生。中央即応連隊を与那国島の比川山中に配置する。
中国側は本土に待機していた空母機動部隊に出撃を命じた。戦火の拡大に頓着しない中国側。彼らの狙いは何なのか?。

5Turn

イメージ 14尖閣諸島を奪回すべく特殊部隊を搭載した海上自衛隊が誇る潜水艦9隻が尖閣諸島に進攻した。尖閣諸島近海で中国海軍の潜水艦3隻と交戦した海自潜水艦部隊はその全てを撃沈。こちらの損害はゼロで海上自衛隊初の海中戦闘(WW2以降で初の潜水艦対潜水艦の水中戦闘)は海上自衛隊の完勝に終わった。

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6Turn

イメージ 15中国側空母機動部隊が尖閣諸島沖で集結した。圧倒的な火力となった中国艦隊に対し、海上自衛隊も全艦集結。八重山諸島近海に待機して決戦の機を伺う。尖閣諸島には海自潜水艦から出撃した陸自の特殊部隊が上陸。同地の奪回を目指す。

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7Turn

イメージ 16海上自衛隊が動いた。八重山諸島沖の艦隊が与那国島沖まで移動する。与那国島を占拠する中国軍に対して猛烈な艦砲射撃を浴びせてこれを撃破した後、地上部隊を上陸して同地を奪回した。これで与那国島を取り返した・・・、筈だったが、尖閣諸島を包囲していた中国艦隊が突如八重山諸島に移動してきた。こちらも艦砲射撃で八重山諸島を守る陸自部隊を撃破。その後八重山諸島を占領した。

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結果

大量の増援を投入した自衛隊側がVP差で敗北した。

感想

プレイ時間は2~3時間です。

まずは細かい反省から。序盤に尖閣諸島に護衛艦を配置しなかったのは失敗でした。先制攻撃を食らえば沈むことは避けられませんが、中国側が先に撃ってくれたら、こちらも大手を振って反撃できるようになる。自国領土が進攻されても武装反撃できない我が自衛隊の悲しい所ですが、現実がそうだから仕方がない。かつて海上自衛隊員のとある方が「我々の仕事は相手の最初の1発目に撃たれることだ」というお話を伺ったことがあります。「戦争放棄」の理想と現実のギャップを感じさせる部分です。

ゲーム展開での反省点としては、自衛隊としては乾坤一擲の決戦を挑むべきではなかったか、と言う点です。自衛艦隊の運用がやや退嬰的だったかなというのが反省点です。とはいえ、現実の世界をオーバーラップさせて考えた場合、果たして自衛艦隊全滅を賭してまで東シナ海の小島に固執するのを是とするか否とするのか。
実は「フォークランド・ショウダウン」をプレイしていた時に感じた違和感も全く同じで、ゲームとしては英。アルゼンチン双方とも全滅を賭して戦うのが常道なのでしょうが、プレイしていて「南大西洋の小さな島を巡って艦隊全滅を賭して戦う」のは馬鹿げています。そして史実もまさにその通り。英ア双方とも限定戦争の枠組みの中で出先の結果だけで勝敗を決したのが史実。ところがゲームでは何故か大艦隊決戦になってしまう・・・。

無論、上記は負けた側の良い訳でして、積極的に「リスクを取る」という観点から言えば私の指揮は退嬰的過ぎました。今回の私の対戦相手氏なら恐らく何の躊躇いもなく「見敵必戦」で果敢に決戦を挑んできたでしょう。その点が私のゲームの弱さだと反省しております。ゲームとしての勝ちを目指すのであれば、もっと積極的に行くべきだったかもしれません。

何だかゲーム自体は個人的に不完全燃焼な結果に終わりましたが、「尖閣ショウダウン」自体はシンプルで面白いゲームです。機会を見つけて再戦してみたいです。そして今度こそは自衛隊に勝利の栄冠を掴ませたい・・・。

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(Photo by JMSDF HP 写真ギャラリー)

おまけ

今回プレイした会場のすぐ近くに海上自衛隊の停泊地がありました。写真を撮ったので以下に紹介します。平和を守るために黙々と任務を遂行する彼らに敬意を感じると共に、今回のプレイ内容が現実にはならないことを祈るのみです。

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