Wing Leader(GMT)は、垂直スクロール方式の空戦ゲームだ。1ユニットが小隊(1~6機)又は中隊(7~12機)を表し、数十機が入り乱れる大空中戦も比較的容易にプレイできるようになっている。例えば真珠湾攻撃の全場面を再現する、といったことも可能だ。
今回、そのWing Leaderのシナリオをまとめてプレイしてみた。
今回、そのWing Leaderのシナリオをまとめてプレイしてみた。
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シナリオ08:Jagdgeschwader Molders




IL-2隊は無傷のまま緩降下攻撃を敢行。砲兵部隊に中損害、歩兵部隊に重損害を与えた。しかしVP的にはソ連軍7VP、独軍4VPで差し引き3VP。シナリオの規定によりドイツ軍の勝利となった。地上部隊に十分な損害を与えられなかったことと護衛戦闘機の損害が大きかったことがソ連側の敗因と思われる。

シナリオ09:Like Arrows Against Gladiators

対するイタリア軍は、フィアットG.50単発戦闘機が2個中隊(18機)。技量は並以下である。下名は英軍を担当した。



得意の格闘戦に持ち込み、瞬く間にG.50 2機を撃墜した。これで撃墜合計は4機で、グラディエーター側にはまたしても損害なしであった。
こうして迎撃戦闘機を一掃した英ブレニム双発爆撃機隊はイタリア補給廠に対して必殺の水平爆撃を敢行。これに大損害を与えて10VPを獲得した。最終的な英軍の獲得VPは14VPで、イタリア軍の獲得VPは文字通りゼロ。このシナリオは英軍の圧勝に終わった。

撃墜
1式戦闘機「隼」 4機スピットファイアMk.1A 2機
ハリケーンMk.1 4機
Bf109F-2 3機
Bf110C-4 4機
G.50 4機
97式重爆 2機
He111H-1 9機
計32機(戦闘機21、爆撃機11)
損失
Bf109E-4 6機LaGG-3 4機
Ju87B-1 1機
He111H-1 1機
計12機(戦闘機10、爆撃機2)
感想
プレイ時間は約10時間。途中の休憩時間を除いて約9時間とすると、1シナリオの平均所要時間は約1時間である。空戦ゲームとしては異例の短時間プレイである。1つのシナリオの登場兵力も双方数十機、大きいものでは一方だけで100機以上が登場する大規模なシナリオもある。細かいルールは意外と多いが、基本システムはシンプルなので、一般的な空戦ゲームをプレイするような「重さ」は感じない。また、空戦ゲームで有り勝ちな「何をして良いかわからない」ということもなく、今まで空戦ゲームをプレイしたことがない人にもお奨めできる作品だ。本作は、今までの空戦ゲームで重視されてきた機体別の細かい性能差や単機レベルでの機動戦術をバッサリと切捨てて、その代わりに索敵、無線、地上からの誘導、作戦レベルでの上昇性能、部隊レベルでの運用といった要素が重視されている。そのためルールはシンプルにもかかわらず、納得感が得られるという稀有な作品となっている。プレイアビリティの高い空戦ゲームとしては、GMT社の"Zero!"に代表されるカード空戦ゲームがあるが、本作と比べた場合にリアリティの乏しさ(たった数機の空戦で空母決戦の勝敗が決まってしまう)は否めない。その点で本作はプレイアビリティの高さを維持しながらも、今までの空戦ゲームで描き切れなかった空戦の側面を描きだすことに成功している。
無論褒める点ばかりではない。いくつか気になる点がある。
一番大きな問題は、シナリオのリ・プレイアビリティが低いことにある。これは例えば「アンブッシュ」のように「一度プレイしたシナリオは二度とプレイできない」という意味ではない。そうではなくて「一度プレイしたシナリオをもう一度プレイしたいと思わせる魅力に乏しい」ということだ。このゲーム、どのシナリオも流れが比較的シンプル(攻めて守って引き上げるだけ)なので、最善手を見つけやすい。従ってお互いに最善手を見つけてしまえば、あとはダイス勝負である。また陸戦ゲームとは違って地形障害の少ない海空戦ゲームでは、戦術が比較的シンプルなものとなってしまい、展開のバリエーションに乏しくなる。勢いシナリオの魅力は登場する機体やシチュエーションの魅力に依存する部分が多くなってしまう。従って一度それらの魅力を味わってしまったら、再度味わってみたいとはあまり思えなくなる。
システム的な点から言えば、爆撃機の移動速度が全く無視されている点も気になる。速度の速い爆撃機なら迎撃側が十分な高度を確保する前に攻撃地点に到達し易くなるし、その逆もまた真なりだ。このシステムで爆撃機の速度差を表現するのは難しいことかもしれないが、何とか取り入れてほしかった所だ。折角上昇力の違いを上手くシミュレートしているだけに残念な部分である。
小隊、中隊の編制機数がユニットの能力に全く影響を与えない点も気になる。例えば2機編隊の小隊も4機編隊の小隊も基本的な能力は同じ。8機の中隊と12機の中隊も同様である。従って本ゲームで有利に戦いうためには、小隊は中隊はできるだけ小さい編制の方が良い(シナリオで決まっているのでプレイヤーが調整するのは不可能なのだが・・・・)。本件については当該航空部隊の練度差を示したものともいえるが、はてさてどうしたものか・・・・。
一番大きな問題は、シナリオのリ・プレイアビリティが低いことにある。これは例えば「アンブッシュ」のように「一度プレイしたシナリオは二度とプレイできない」という意味ではない。そうではなくて「一度プレイしたシナリオをもう一度プレイしたいと思わせる魅力に乏しい」ということだ。このゲーム、どのシナリオも流れが比較的シンプル(攻めて守って引き上げるだけ)なので、最善手を見つけやすい。従ってお互いに最善手を見つけてしまえば、あとはダイス勝負である。また陸戦ゲームとは違って地形障害の少ない海空戦ゲームでは、戦術が比較的シンプルなものとなってしまい、展開のバリエーションに乏しくなる。勢いシナリオの魅力は登場する機体やシチュエーションの魅力に依存する部分が多くなってしまう。従って一度それらの魅力を味わってしまったら、再度味わってみたいとはあまり思えなくなる。
システム的な点から言えば、爆撃機の移動速度が全く無視されている点も気になる。速度の速い爆撃機なら迎撃側が十分な高度を確保する前に攻撃地点に到達し易くなるし、その逆もまた真なりだ。このシステムで爆撃機の速度差を表現するのは難しいことかもしれないが、何とか取り入れてほしかった所だ。折角上昇力の違いを上手くシミュレートしているだけに残念な部分である。
小隊、中隊の編制機数がユニットの能力に全く影響を与えない点も気になる。例えば2機編隊の小隊も4機編隊の小隊も基本的な能力は同じ。8機の中隊と12機の中隊も同様である。従って本ゲームで有利に戦いうためには、小隊は中隊はできるだけ小さい編制の方が良い(シナリオで決まっているのでプレイヤーが調整するのは不可能なのだが・・・・)。本件については当該航空部隊の練度差を示したものともいえるが、はてさてどうしたものか・・・・。
とまあ色々書いてきたが、このWing Leaderが簡単でかつ面白いゲームであることには間違いない。まだプレイしていないシナリオが10本以上残っている上、後半のシナリオは日本海軍が主役のシナリオが多いので、是非プレイしてみたい所だ。またGMTのP500ページには、本作の続編で1943-45年の戦いを描いたWing Leader: Supremacy 1943-1945も用意されているという。今後の進展が楽しみなシリーズになりそうだ。


おまけ
第2版
デザイナー氏自身が第2版ルールを公開している。最大の変更点は、タリー成功のダイス目が、「目標までの距離以上」ではなく「目標までの距離よりも大きな値」に変更されたことだ。これによって目視索敵はより困難になり、迎撃側は苦しくなる。7.2.2(6)
スクエア外のユニットをタリーしている戦闘機が攻撃されると、攻撃してきたユニットにタリーが移る。
スクエア外のユニットをタリーしている戦闘機が攻撃されると、攻撃してきたユニットにタリーが移る。
10.2.2
ヒットはすべて攻守ともに先導ユニットだけでなく、損害を与えたプレイが参加した相手ユニットに配分できる(ただし、2ヒット以上与える場合は全てに先ず1ヒット)。
ヒットはすべて攻守ともに先導ユニットだけでなく、損害を与えたプレイが参加した相手ユニットに配分できる(ただし、2ヒット以上与える場合は全てに先ず1ヒット)。
10.4.2
エスコートのリアクションが成功すると戦闘機が爆撃のスクエアに入る直前のスクエアでの戦闘となり、エスコートが攻撃側になる。
エスコートのリアクションが成功すると戦闘機が爆撃のスクエアに入る直前のスクエアでの戦闘となり、エスコートが攻撃側になる。
10.6
防御力にかかわらず、1の目は必ず外れ、6の目は1機撃墜。
防御力にかかわらず、1の目は必ず外れ、6の目は1機撃墜。
13.4.1(2)
太陽を背にしていなくても他のスクエアのユニットをタリーしている戦闘機に攻撃をかけるとバウンスとなる。
次回は間違えないよう注意したい。
太陽を背にしていなくても他のスクエアのユニットをタリーしている戦闘機に攻撃をかけるとバウンスとなる。
次回は間違えないよう注意したい。
