MBTは1987年に発生した可能性のあった欧州正面におけるNATO軍とワルシャワ条約機構軍(WPact)の通常戦争を扱ったシミュレーションゲームである。欧州正面におけるNATO/WPactの激突を扱ったゲームは数多いが、本作の特徴はそのスケールである。戦車1両、航空機1機、歩兵1分隊といった単位でユニット化されている点だ。人によっては「戦闘級」とも呼ぶスケールである(ちなみに筆者は戦闘級という呼び方が嫌いなので、戦術級と呼ぶ)。1Hexは100m、1Turnは15秒~15分という幅広い時間を扱っている。
MBTに登場するのは米ソ両軍であり、その他のNATO/WPact諸国は登場しない。MBTの続編にBAORやFRGといった作品が既に準備されているので、これらの作品で英軍や西ドイツ軍が登場するのだろう。
今回プレイするシナリオ3「The Gap:GDR Western Border,27 September 1987」は、タイトル通り1987年9月27日を想定したシナリオ。ちなみにこの日、自分は何をしていただろう?。
"The Gap"とは、WW3モノでは定番のフルダギャップ。ソ連軍第8親衛軍に所属する第79親衛戦車師団(当然カテゴリーA級の最強部隊)に対し、米第11機甲騎兵連隊(ACR)が遅退戦術を展開するというもの。ちなみにGDWのThe Third World Warで両者のユニットを見比べると、こんな感じ
"The Gap"とは、WW3モノでは定番のフルダギャップ。ソ連軍第8親衛軍に所属する第79親衛戦車師団(当然カテゴリーA級の最強部隊)に対し、米第11機甲騎兵連隊(ACR)が遅退戦術を展開するというもの。ちなみにGDWのThe Third World Warで両者のユニットを見比べると、こんな感じ


登場兵力は米軍が機甲騎兵中隊1個で、改良型M1戦車(M1IP「エイブラムス」)が5両とM3A1「ブラッドレー」が5両の計10両。他に歩兵や自走迫撃砲が登場する。
対するソ連軍は、増強戦車中隊1個で、T-80BV戦車が13両とBMP-2歩兵戦闘車が8両。他に支援砲兵、偵察車両、乗車歩兵等も登場する。単純計算で米軍の約2倍といった所か。
対するソ連軍は、増強戦車中隊1個で、T-80BV戦車が13両とBMP-2歩兵戦闘車が8両。他に支援砲兵、偵察車両、乗車歩兵等も登場する。単純計算で米軍の約2倍といった所か。
勝利条件を見ると、両軍の撃破得点以外にソ連軍の盤外突破に失敗したユニット1個につき、その価値ポイントに相当するVPが米軍側に入ってくる。対して盤外突破したソ連軍ユニットについては、最初の16ユニット限定だが、価値ポイント相当のVPがソ連軍に転がり込む。この事から、米軍としては可能な限りソ連軍の盤外突破を妨害するように戦うのが得策だ。
今回はVASSALを使ったソロプレイでプレイしてみた。また上級ルールは全採用とし、また選択ルールは以下の除いて全採用した。
<< 不採用とした選択ルール >>
7.2 Hidden Units
7.3 Platoon & Section Command Control
7.4 Removing Spot Counters
7.5 Staggered Initiative
7.7 Limited Spotting
7.12 Variable AP Penetration
7.14 Fire Priority
7.17 Attached Weapon Loss
7.39 Dismounted FOs
7.2 Hidden Units
7.3 Platoon & Section Command Control
7.4 Removing Spot Counters
7.5 Staggered Initiative
7.7 Limited Spotting
7.12 Variable AP Penetration
7.14 Fire Priority
7.17 Attached Weapon Loss
7.39 Dismounted FOs

セットアップ
まず勝利条件を考えよう。通常の撃破ポイントに加えて、ゲーム終了時にマップに残っているソ連軍ユニットについては、撃破した場合と同等のVPが米軍プレイヤーに与えられる。逆に盤端から突破した場合は、その分のVPがソ連軍プレイヤーに入ってくる。つまり勝利得点は以下の数式で与えられる。 ソ連側:突破したソ連軍ユニット+撃破した米軍ユニット
米軍側:突破できなかったソ連軍ユニット
米軍側:突破できなかったソ連軍ユニット
つまり米軍としては、少なくとも半数以上のソ連軍ユニットについての突破を阻止し、さらに加えて自軍の損害を可能な限り軽減しなければならない。
次にソ連軍の編成を見ると、T-80戦車が13両で2767点、その他の車両が1163点、歩兵が607点である。従って戦車以外を全部ストップしても、戦車13両が突破すれば、米軍の負けは確定する。米軍が勝つための条件を模索すれば、仮に米軍の損害がゼロだとしても、マージンも加味すれば、少なくとも4両のソ連軍戦車を足止めし、さらに戦車以外の敵を全部阻止しなければならない。うーん。




最後に歩兵である。米軍の歩兵が装備している対戦車火器は、LAWと呼ばれる軽対戦車兵器だ。最大射程距離が3ヘクス。貫通力61である。この威力ならT-80相手なら後面からなら撃破可能。側面だとやや苦しいと言った所。BMP-2クラスならどの方向からでも撃破可能だ。
上記のことから、米軍の作戦が見えてくる。
(1)M1IPエイブラムスは、敵戦車阻止の主戦力になる。特にハルダウンしている場合、側面に回らなければ撃破される危険は皆無なので、その点を留意して配置する。
(2)M3A2ブラッドレーは、射程距離の優位を生かして主にBMP-2を狙う。ただしチャンスがあれば敵戦車を狙うこともためらわない。
(3)歩兵は射程が短いので、敵が通るべきポイントを押さえるように配置する。特に道路が重要で、敵に道路を自由に使わせないように配置する。
(2)M3A2ブラッドレーは、射程距離の優位を生かして主にBMP-2を狙う。ただしチャンスがあれば敵戦車を狙うこともためらわない。
(3)歩兵は射程が短いので、敵が通るべきポイントを押さえるように配置する。特に道路が重要で、敵に道路を自由に使わせないように配置する。
あとは今回指揮範囲ルールを採用するので、偵察車両を除いて全てが指揮範囲に収まるように米軍の中隊指揮車と各車両を配置する。主力のM1IP戦車は制高点に配置し、臨機射撃を狙う。前衛はM1IPエイブラムス。その重装甲を生かして可能な限り相手の有効射程距離の外側でソ連戦車を阻止する。その後方はM3A2ブラッドレーが阻止線を形成する。エイブラムスがソ連戦車5両を足止めすれば、米軍にとって勝機が見えてくる。
1Turn

距離約2000mから発射されたM3A1ブラッドレーのTow-2対戦車ミサイルは、別のT-80BVの車体側面を貫いたものの、これを撃破するには至らなかった。

2Turn

また3両のBMP-2から3発の対戦車ミサイルが丘の上に布陣するM3A1ブラッドレー目がけて発射されたが、ブラッドレーは急速発進で難を逃れた。そのBMP-2にM1IPエイブラムスの105mmHEAT弾が命中。こちらも炎上した。

3Turn
先行を取ったのはソ連軍だった。100mの至近距離から3両のT-80BVが主砲を放ったものの、損傷や混乱状態の為に命中弾は得られなかった。対する米軍は2両のエイブラムスが射撃を実施。100mの距離から砲塔正面を撃ち抜かれたT-80BVが爆発炎上する。別のBDMは500mの距離から放たれた105mmHEAT弾を食らって爆発炎上する。それでもソ連軍は制高点に進出し、高地から撃ち下ろす態勢となる。さらに別の戦車3両、歩兵戦闘車3両も前線を突破し、米軍の第2防衛ラインに近づきつつあった。第2防衛ラインのM3A1ブラッドレーが2発のTow-2ミサイルを発射したが、両方とも目標を逸れた。

4Turn

しかし漸くソ連軍も一矢を報いた。BMP-2から発射されたAT-5スパンドレル対戦車ミサイル2発が、1300m離れたM3A1ブラッドレーに命中した。ブラッドレーは爆発炎上。さらにM125自走迫撃砲が300mの距離からT-80BVの放った125mmHEAT弾を食らって大破する。さらに別のT-80BVが漸く宿敵を撃破した。距離100mの超至近距離から放った125mmAPFSDS弾がM1IPエイブラムスの側面装甲を貫通。これを撃破した。

このTurn終了時点でソ連軍は戦車3両、その他3両を失い、他に戦車3両が何らかの損傷を被っていた。対する米軍は戦車1両とその他2両を失っている。




