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以前にも紹介したが、TAC AIRはAvalon Hill社が1980年代後半に発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1990年代を想定した欧州正面での地上戦及び航空戦である。1Hex=1海里、1Turn=3時間。1ユニットは1個大隊相当の地上部隊、1個小隊(フライト)の航空機を表している。
今回、TAC AIRの中級シナリオの1本であるシナリオ7「Counter Attack」をVASSALでソロプレイしてみた。これはタイトル通りNATO軍による反撃を扱ったシナリオである。NATO軍には米第1機甲師団がほぼ全戦力で登場。対するWP軍は、戦車連隊1個、自動車化歩兵連隊2個で、総兵力はほぼ1個師団に相当する。航空兵力は、NATO軍が22ユニット(約80機)、WP軍は16ユニット(約60機)。

ゲームの長さは16Turnで、実時間では2日間に相当する。結構長い。
勝利条件は敵ユニットの撃破の他、道路沿いに盤外へ突破した米軍ユニットが得点源となる。1ユニット1点で+4点以上獲得するとNATO軍が勝利する。NATO軍としては突破の素振りを見せつつ、踏みとどまって戦うWP軍地上部隊を包囲殲滅する。勝利条件を見るだけならカンネーの戦いのような見事な包囲戦してくれよう、とか、思えてくるのだが、果たしてどうだろうか。

今回ルールは上級ルール全採用。選択ルールは13.0 Replacement Unitsと14.0 Time and Weatherを採用した。

ゲーム準備

今回は選択ルール14.0を採用しているので、ゲーム開始前に「月」を決定する。ダイスを振り合ってWPがデカい目を出すか、NATO側がデカい目を出すか、によって変わってくる。出目は4,3(WP,NATO)でWPが勝った。この戦争はWP側から仕掛けたことになっているので、本来であれば晴天の方が有利である(それだけ素早く進撃できる)。ただし、このシナリオに限って言えば、WP側が防御側なので悪天候の方が有利だ。ズルいような気もするが、ここは一番天気の悪い「2月」にした。

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第1Turn

天候決定のダイスは"45"で晴天となった。しかし両軍ともまだ十分近接していないので航空攻撃は控える。NATO側は敵機の攻撃を警戒して制空戦闘用のF-15,F-16A各2ユニットを準備した。しかしWP側は攻撃隊を出さなかったので、NATO側の制空戦闘は空振りに終わった。

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第2Turn

イメージ 10天候チェックは今回も"45"で晴天。NATO軍は大規模なアルファストライクを編制する。このTurnは敵防空組織破壊に専念し、SEAD任務にF-4Gx4、F-111Dx2、A-10x6を投入する。空中援護はF-15x2、F-16Ax4だ。対するWP軍はこのTurnも様子見だ。

米第1機甲師団第3旅団の先鋒がソ連軍第53親衛機械化歩兵連隊の1個大隊と接敵する。勇躍攻撃を仕掛ける米軍部隊であったが、ソ連軍の防御支援射撃によって攻撃は脆くも頓挫してしまう。
一方、第1旅団は敵砲兵射撃を躱して攻撃を結構。ソ連軍第51親衛機械化歩兵連隊の歩兵大隊に損害を与えた。

イメージ 11NATOの大編隊がマップ端から登場してくる。戦爆連合計72機の大編隊だ。WW2中ならいざ知らず、現在戦で100機近い編隊は間違いなく大規模編隊だ。
ソ連軍右翼を援護しているSA-11が反撃の火ぶたを切ったが、直ちにワイルドウィーゼル機の反応する所となり、複数の対レーダーミサイルを食らって機能不全になる。他に2個大隊のSA-11がARMの射程距離外からWW機に対して射撃を実施したが、いずれも命中弾なし。逆にWW機の反撃を食らって制圧される始末。WW機によって中長射程SAMを制圧した所へ、F-111DアードバークやA-10Aサンダーボルトの編隊がクラスター爆弾を抱えて突っ込んでくる。次々と撃破される対空火器。
一連の攻撃で広域防空を担うSA-11大隊は全滅。他にZSU-23、SA-13各1個大隊も壊滅し、残るのはSA-13とZSU-23が1個大隊ずつだけとなった。
WP軍地上部隊はNATO軍の航空攻撃に対して裸になった。

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教訓:対空火器は防御力を犠牲にしても視界の効く場所に配置すべし。
教訓:長距離対空火器は盤端から12ヘクス以上の距離を確保し、視界を利かし、ARMをアウトレンジすべし。

このTurn、NATO軍に増援が登場する。米第1機甲師団の第2旅団だ。これで完全戦力となった米第1機甲師団は、激しくソ連軍を攻める。

第3Turn

イメージ 12天候は曇り。全天候機のみが行動可能になる。両軍とも航空攻撃を控えて地上戦に徹する。
NATO軍は第3旅団(緑三角)と第1旅団(青三角)が左右から攻撃を実施した。今回、ソ連軍の防御支援射撃が外しまくり、圧倒的な兵力で攻撃する米戦車部隊の攻撃で米軍右翼でソ連軍の1個自動車化歩兵大隊が壊滅した。

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第4Turn

天候は晴れ。次のTurnは夜になる。従ってこのTurn、両軍とも航空兵力を全力発進させた。
まずは地上戦。米軍戦線左翼で米第1旅団がまたもやソ連軍戦車大隊1個を撃破。壊滅させた。しかし右翼ではソ連軍砲兵の防御支援射撃に阻まれて、米第3旅団が突破口を開けずにいる。

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イメージ 13ソ連軍は総予備の重戦車大隊(8-6)を投入して反撃を実施した。流石に新鋭戦車の威力は凄まじく、またダイス目にも恵まれたため、M1エイブラムスを装備した米戦車1個大隊が反撃を受けて壊滅した。

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イメージ 13両軍の攻撃機が戦場を乱舞する。ソ連のMiG-27がM1戦車大隊に対して打撃を与えるが、その後方から近付いてきたSu-25の編隊は、ホークSAMの迎撃を受けて強制機関を余儀なくされる。Su-24の攻撃隊もホークの攻撃によって1個編隊を失う。さらにF-16Aの42個編隊が投弾後のMiG-27を後方から襲い、サイドワインダーによって2個編隊を叩き落とした。SAMによって損害を受けていたSu-24は、F-15の攻撃によって壊滅する。
F-111Dは先にM1戦車大隊を壊滅させたソ連重戦車大隊を攻撃し、これに2打撃を与えた。そこへ近接航空支援のA-10 4個編隊が連続攻撃を実施し、漸くその重戦車大隊を壊滅させた。

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一連の攻撃で、ソ連軍は重戦車大隊の他、ZSU-23とSA-13の両対空部隊が壊滅。さらにMiG-27、Su-24等計3個編隊が壊滅した。米軍の損害は、戦車大隊が1打撃を受けた他、3個編隊が半数を失った。

第5Turn

このTurnから夜になる。移動力が半減する。さらに天候が曇りになったが、これは余り関係なさそうだ。
攻撃の主力は左翼から展開する第1旅団だ。3個大隊による集中攻撃でソ連軍戦車1個大隊が大損害を被った(D3)が、なんとか壊滅だけは免れた。

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第6Turn

イメージ 14左翼の米第1機甲旅団は遂に戦線左翼に突破口を啓開した。ソ連軍機械化歩兵大隊1個(2-5)を撃破。その後方に雪崩れ込んだのである。戦線中央でも米第3機甲旅団がソ連軍機械化歩兵大隊を撃破。後方地区に雪崩れ込む。
ソ連軍は残存兵力を再配備して突破阻止を図るが、絶望的に兵力が足りない。
米軍の夜間爆撃隊が戦場に飛来した。F-111Dx2個、F-4Gx3個編隊からなる攻撃隊は、第51自動車化歩兵連隊所属のソ連軍機械化歩兵大隊を攻撃し、これに壊滅的な打撃を与えていた。しかし攻撃からの帰路、背後から迫ったMiG-23及びMiG-29による共同攻撃を受け、F-4Gx2個編隊が撃墜されるという大損害を被った。

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NATO Designer Signature Edition The Fulda Gap MBT: The Game of tank-to-tank combat in 1987 Germany コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』
戦闘の科学-軍事ORの理論 ソ連・ロシア軍 装甲戦闘車両クロニクル 幻の東部戦線 現代砲兵-装備と戦術