自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)。今回は、7本目の作戦シナリオである第3次ソロモン海戦に挑戦する。前回までは「ブレスト的バグ検出法」に従って机上でバグを探してみた。それによっていくつかのバグを摘出し、机上デバッグで洗える部分は概ね洗えたと思うので、今回からは実際にシナリオをプレイしてみてバグを見つけていきたい。
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「海空戦!南太平洋1942」は自作の空母戦ゲームです。
作品についての詳しくは-->こちらを参照して下さい。
入手方法は-->こちらを参照して下さい。
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なお、第3次ソロモン海戦シナリオの概要は-->こちらを参照されたい。ちなみに上記のページは「デバッグ済み」である。
日本軍の作戦方針
前回までの検証でも明らかな通り、日米両軍にとってヘンダーソン基地の制圧がシナリオの焦点となる。日本軍としてはヘンダーソン基地を少しでも長く制圧しておきたい。とはいっても全兵力をヘンダーソン基地攻撃に投入してしまうと、米水上部隊によって容易に阻止されてしまう。従って日本軍としては実際に砲撃を担当する「砲撃部隊」の他に、砲撃部隊を援護するカバーリングフォースとしての「支援部隊」、さらには輸送船団とその直接護衛からなる「上陸部隊」、そして空母中心の「機動部隊」が必要である。日本軍にとっては厄介な事に、日本側の指揮系統が3分割されているので、なかなか思い通りに艦隊編成できないという悩みもある。色々悩んだ結果、日本軍としては麾下兵力を以下の通り区分した。
この編成の弱点は、砲撃部隊の火力がやや不足気味であり、ダイスが悪いとヘンダーソン基地に対する制圧効果が乏しいことである。平均すると4~5打撃程度期待でき、ヘンダーソン基地を半日程度は半身不随にできるものの、出目が悪いと最悪1打撃で、翌朝には完全復旧してしまう。リスクを軽減するためには、砲撃を2回に分けて実施する方法があるが(これは敵側による修理を妨害するという意味もある)、完全なリスク回避はできない(2回のダイスが両方スカの可能性もある)。他には砲撃部隊が対地砲撃を実施した後、支援部隊の一部を分離して対地艦砲射撃を実施する等の方法がある(そのためには予め支援部隊にも砲撃任務を付与しておく必要がある)。なおここで注意したいのは、水上部隊の全部を砲撃に投入するのは禁物ということだ。というのも、砲撃部隊が一度でも対地艦砲射撃を実施してしまうと、もう哨戒部隊には戻れないからである。そして対地砲撃部隊が目標ヘクスを離れることができるのは、撤退部隊になるしかない。
このあたりのルールはやや制約が厳し過ぎる感がある。当時の日本海軍の硬直した指揮系統を再現するためのルールだが、もし別の戦場をテーマにする場合は制約条件を少し緩くしても良いかもしれない。
ここでバグ発見、砲撃任務のTFは原則として一度でも砲撃を実施したら、砲撃を継続するか、撤退任務になって撤退するしか選択肢がない、が本来の「仕様」であった。しかし「発見マーカ―が10ヘクス以内に位置していると、目標から離れる移動も可」という例外規定があるので、敵艦隊を10ヘクス以内に発見した砲撃任務TFは堂々と自由に移動し、カバーリングフォースとして振る舞えることになる。これは拙いのでルールを以下の通り変更する。 「一度でも砲撃を実施したTFが目標ヘクスから離れると、自動的に撤退任務となる」
他にも米艦隊が思いの外善戦して支援部隊と互角の戦いを演じてしまい、夜の間ルンガ沖で頑張り続けてしまって対地砲撃の機会を逸する可能性もある。いずれにしてもヘンダーソン基地への砲撃は失敗のリスクがあるので、失敗した場合の代替案を検討しておく必要がある(代替案については前々回及び前回に触れたので参考にされたい)。
米軍の作戦方針
ヘンダーソン基地を守るのが主目的となるが、日本軍の方が水上兵力で優越しているため、損害過多にならないように注意が必要である。例えば日本側の砲撃部隊がルンガ沖に姿を現した時、あえてそれと交戦せずにやり過ごす手もある。当然ヘンダーソン基地は火の海になるが、日本軍は水上部隊を使いきってしまっている可能性があるので、残存する水上兵力では米側は優位に立てる可能性がある。その水上兵力で日本軍の輸送船団を叩くのだ。ただ、この方法だとヘンダーソン基地への損害により米側に大量失点が発生している可能性があり、それだけでVP的に負けてしまう恐れがある。従って基本的には日本側のヘンダーソン砲撃阻止を念頭に置いて行動すべきだろう。米側としてはヘンダーソン基地にどの程度の航空兵力を集中すべきかが悩ましい。しかしこの答えは結構単純である。基本的には「運用能力の許す限り短距離用軍用機はヘンダーソン基地に集中すべき」が答えだ。何故なら足の短い短距離機は、ヘンダーソン基地以外に配置しても「役立たず」だからである。F4Fが4~6個中隊、SBD/TBFが計6個中隊。合わせて10~12個中隊ぐらいが適当だろう。全部で6個あるF4Fのうち2個中隊を後方に残す意味は、撤退中の友軍艦隊にCAPの傘を提供するためだが(P39は空戦力が低いのであまり役に立たない)、P38で代替可能なのでF4F全部をヘンダーソンに送るのが正解かも知れない。エスピリッツサントからガダルカナルまでの距離は20ヘクスなので、足の短いF4FやP39はフェリーできないのだ(SBD、TBF、P38はフェリー可能)。
初日の夜にヘンダーソン基地を守りきれば、連合軍としてはかなり勝機が見えてくる。傷ついたキャラハン部隊を撤収させ、健在な艦はリー少将の新鋭戦艦部隊と組ませる。これで新鮮になった水上部隊で以てヘンダーソン基地を守らせる。日本軍としては優勢な敵艦隊との水上戦闘を避けるか、あるいは逆転狙いで水上戦闘を仕掛けるかになってくるだろう。
空母部隊は日本側基地航空兵力の威力圏外を行動させる。キャラハン部隊のうち防空軽巡はできる限り空母部隊のために逃がし、空母を守る防空軽巡を3隻体制とする。「エンプラ」が損傷しているので対空火力は50には達しないが(新鋭戦艦が随伴していれば60火力に達する)、それでも40火力はキープできるので、このシナリオで予想されるような中小規模の攻撃であれば撃退は十分可能だ。場合によっては対空火力とCAPに艦隊防空を託して、強引に日本側基地航空隊の威力圏に踏み込んでいくような戦術もありだろう。
10月12日06:00
日本軍によるガダルカナルへの増援輸送作戦が今まさに開始されようとしていた。ブーゲンビル島南端部に隣接するショートランド島の泊地からは輸送船11隻からなる大船団が次々と出港していく。一方米軍の上陸船団は輸送船7隻を伴ってルンガ沖に到着。増援部隊の揚陸を開始していた。午前8時前後から日本機がガダルカナル上空に飛来しはじめた。最初にガダルカナル近海に到着したのは、ブイン基地から発進する基地航空部隊である。彼らは眼下に見える巨大船団(重巡3、軽巡3、駆逐艦14、輸送船7)を発見。攻撃を開始する。しかし攻撃隊の半数(1個中隊9機)は、敵戦闘機の迎撃に阻まれ、残り半数が重巡「ペンサコラ」に対して急降下を敢行したものの、対空砲火によって1機残らず撃墜されてしまう。
続いて飛来した「隼鷹」の攻撃隊は、零戦9機、艦爆18機の計27機であった。この攻撃隊はF4Fの迎撃を首尾良く突破し、「ペンサコラ」を狙って急降下する。攻撃隊の約半数が対空砲火の犠牲となったが、それでも直撃弾1を「ペンサコラ」に与えた。「ペンサコラ」小破。
続いて飛来した「隼鷹」の攻撃隊は、零戦9機、艦爆18機の計27機であった。この攻撃隊はF4Fの迎撃を首尾良く突破し、「ペンサコラ」を狙って急降下する。攻撃隊の約半数が対空砲火の犠牲となったが、それでも直撃弾1を「ペンサコラ」に与えた。「ペンサコラ」小破。
ラバウルから発進した零戦27機、陸攻27機も遅ればせながらガダルカナル上空に到達した。彼らはワイルドキャット24機による迎撃を排除し、防空軽巡「アトランタ」を狙って中高度水平爆撃を敢行した。雷撃ではなく水平爆撃を選択した理由は、雷撃を行った場合、対空砲火による犠牲が無視できないレベルに達する恐れがあったからである。対空砲火で失われた陸攻隊は計9機。残った機体は「アトランタ」目がけて水平爆撃を敢行したが、この時投下した爆弾は、いずれも「アトランタ」の周辺海域に水柱の花を咲かせただけであった。
陸攻隊が雷撃をせず水平爆撃を実施した理由は対空砲火による損害を回避するためである。航空雷撃は確かに効果が大きいが、対空砲火に対して脆弱であり、特に双発機による航空雷撃は多大な損害を被る危険性が高い。一例を挙げてれば、対空火力40火力の場合に3ユニットの陸攻が水平爆撃を実施した場合、損害率は平均35%。それに対して雷撃の場合は70%になり、実に10機出撃して7機が帰らない計算になる(他に迎撃機による損害が加わる)。下手をすると1回の攻撃で陸攻隊をすり潰す結果になりかねない。史実でもガダルカナル戦初期に2個中隊18機で雷撃を敢行した三沢空陸攻隊は、対空砲火その他で実に80%近い損失を被っている。 この海戦以降、日本海軍は陸攻隊による昼間攻撃に見切りをつけ、陸攻隊の役割は夜間攻撃に移っていく。そしてレンネル島沖海戦で重巡「シカゴ」の撃沈に成功するのであった。
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