Zone of Control - Perspectives on Wargaming
Henry Lowood and Raiford Gunis
ウォーゲームに関する書籍で約60件のウォーゲームに関する記事が掲載されている。執筆者の多くは現役のゲームデザイナーで、Mark Herman、Jack Green、Ted S.Raicer等は我が国でも良く知られたデザイナーだ。執筆者の中には、Game Journal編集長のふーらー氏も名を連ねており、実世界を実世界通りにモデリングする限界や抽象化したシミュレーションの優位性を説いている(個人的にはあまり合意できない内容であった)。個人的に面白いと思ったのは、まずJack Green氏の論文。ジュトランド海戦をテーマとした精密ゲームのDNで、詳細化された砲戦システムと審判を導入したマルチプレイヤー用のビックゲームのようであった。またDown Townシリーズのデザイナーとして知られているLee Brimmicombe-Woodは、ゲームにおける航空戦力の扱いと空戦ゲームの歴史について語っている。Mark HermanはEmpire of the Sun(GMT)を題材としてCard Driven System(CDS)について、Ted RaicerはPaths of Glory(GMT)を題材としてWW1テーマゲームとCDSの可能性についてそれぞれ興味深い論文を投稿している。
また本書は単なるウォーゲーム紹介ではなく、軍や学術界におけるウォーゲームの利用、あるいはコンピュータ利用の一人用シューティングゲーム(FPG)等についてもページを割いている。尤も、FPGに関する記述は殆ど理解できなかったというのが本音だが・・・。
英文約800ページととにかくボリュームが多く、読み通すのは大変だが(私は2ヶ月以上かかった)、それほど高価でもなくウォーゲーマーなら一読して損のない内容だと思う。
お奨め度★★★★
Historical Simulation and Wargames
Simulation War
Peter Perla's the Art of Wargaming
Zones of Control - Perspectives on Wargaming
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