7th FleetはVictory Gamesが1980年代後半に発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1990年前後を想定した東西両陣営の海上戦闘で、フリートシリーズと呼ばれるシリーズの第3作目である。テーマは西太平洋地域で、当然の事ながら日本の自衛隊も登場する。というよりも、米国製ゲームの中で自衛隊が「真面目に」描かれた作品は、この7th Fleetが唯一の例かもしれない。
今回、7th Fleetを5人でプレイすることになった。西側3名、東側2名である。シナリオはNo.12「日本侵攻」。ソ連軍が北海道に侵攻するシナリオだ。東側はソ連、北朝鮮、ベトナムの3ヵ国、西側は米国、日本、韓国、台湾、フィリピン、オーストラリア等である。準備レベルは3段階の真ん中である「中」とした。
私は東側を担当した。
1Turn(1日目AM)
先手を取ったのは西側。潜水艦から巡航ミサイルを発射し、ベトナムにあるソ連軍の航空基地が被弾した。一方の東側はナホトカに配備されているSS-22準弾道ミサイルを日本本土に向けて発射する。これは化学兵器を搭載したミサイルで、強力な対基地制圧能力を有している。しかしこの時はダイス目が振るわずに効果なし。後のTurnも含めて今回のゲームを通じて計4回のSS-22攻撃を実施したが、いずれも外れに終わった。
気を取り直して巡航ミサイルを搭載した原潜4隻から巡航ミサイル攻撃を実施した。目標は千歳、三沢の西側航空基地である。攻撃は何とか目的を達成し、両基地は使用不能になった。
洋上を行動中の西側艦隊に対してソ連軍長距離爆撃機がミサイル攻撃を実施した。Tu-26バックファイアの攻撃によって米軍用輸送船(SC)1ユニットが沈没して米フリゲート艦1隻が大破。Tu-16Gバジャーの攻撃で護衛艦「さわゆき」が沈没した。さらに旧式のフォクストロット型潜水艦「ユピテル」が、ヘリ搭載護衛艦「はるな」を撃沈するという殊勲を挙げた。
2Turn(1日目PM)
打撃を受けた三沢基地を壊滅させるべく沿海州のソ連軍基地航空部隊が激しい攻撃を実施する。しかし三沢基地の対空砲火は強力であり、ソ連軍の爆撃はなかなか目標を破壊できない。業を煮やしたソ連軍は、ついに虎の子長距離爆撃機を対地攻撃に投入した。それによってようやく目標を達成し三沢基地を完全に破壊。配備されていた米空軍のF-16飛行隊も運命を共にした。しかしこの攻撃で貴重なTu-26バックファイア2ユニットとTu-16Gバジャー1ユニットがステップロスしてしまう。海ではソ連潜水艦の活躍が続いている。巡航ミサイルを撃ち尽くしたチャーリー型ミサイル原潜「スラ」が対艦ミサイルで自衛艦隊を攻撃する。護衛艦「しらゆき」が対艦ミサイルの命中によって沈没する。
北西太平洋では最新鋭のソ連最強のマイク型原潜「アドミラル・シドロフ」が米空母部隊を捉えた。ウェーキホーミング方式の65式長距離魚雷が米空母「ミッドウェー」に命中した。「ミッドウェー」は沈没こそ免れたが、中破して戦闘力が大きく削がれてしまう。
北西太平洋では最新鋭のソ連最強のマイク型原潜「アドミラル・シドロフ」が米空母部隊を捉えた。ウェーキホーミング方式の65式長距離魚雷が米空母「ミッドウェー」に命中した。「ミッドウェー」は沈没こそ免れたが、中破して戦闘力が大きく削がれてしまう。
3Turn(1日目夜)
北海道では損傷した千歳基地を壊滅させるべく航空爆撃を実施した。夜間Turnはソ連軍爆撃の対地攻撃能力が半減してしまうという不利があったが、今回はソ連軍基地航空部隊が奮戦し、千歳基地を壊滅させることに成功した。千歳基地の航空自衛隊F-15部隊は基地と運命を共にする。洋上ではソ連ヴィクター1型原潜「アドミラル・クデルキン」の着弾観測によって洋上の日本護衛艦隊を攻撃し、バックファイアー、バジャーの対艦ミサイルによってヘリ搭載護衛艦「しらね」と護衛艦2隻が撃沈された。
この段階で日本護衛艦隊の累積損害は、ヘリ搭載護衛艦2隻、ミサイル護衛艦1隻、汎用護衛艦3隻の計6隻に及び、特に「しらね」を旗艦とする第1護衛隊群は壊滅状態に陥っている。
西側は樺太近海のソ連輸送船団に対してB-52爆撃機による対艦ミサイル攻撃を実施した。輸送船1ユニットが沈没する。
4Turn(2日目AM)
AMのTurnにはイベントチェック、天候チェック及び増援チェックを実施する。イベントチェックでは東側にとって最良のイベントが出た。「韓国陥落」である。韓国北部にある4ヶ所の航空基地が北朝鮮地上部隊の進撃によって撃破された。これにより韓国空軍は壊滅状態となり、僅かに群山(Kunsan)基地の米F-16部隊のみが生き残って抵抗を続けている。千歳基地から辛くも逃れた航空自衛隊のF-15部隊の一部が八戸基地に再展開する。それを見逃さないソ連軍基地航空部隊。八戸基地に対して集中爆撃を行い、これを壊滅させた。
大穴が開いた朝鮮半島では、生き残った群山基地を壊滅させるべく巡航ミサイル攻撃を実施した。しかし攻撃は失敗に終わり、群山基地は機能を保持している。
焦った西側は嘉手納基地のF-111アードバーグ長距離攻撃機を使ってソ連軍輸送船団を攻撃する。しかしソ連軽空母「ミンスク」「ノボロシスク」を発進したYak38フォージャーの迎撃を受けて虎の子F-111部隊は壊滅してしまう。
6Turn(2日目夜)
洋上では両軍の激しい戦いが続いている。佐世保を母港とする第2護衛隊群がソ連軍長距離爆撃機の対艦ミサイル攻撃を受ける。旗艦「くらま」他2隻が沈没、さらにミサイル護衛艦「さわかぜ」、汎用護衛艦「みねゆき」が大破する。しかし日米対潜部隊もようやく戦果を挙げはじめた。チャーリー型ミサイル原潜「スラ」、ヴィクター型原潜「アドミラル・クデルキン」、「ミルネンコ大佐」が沈没した。7Turn(3日目AM)
3日目に入った。北海道及び北日本の日米航空基地をせん滅したソ連軍は、残った準弾道ミサイルと巡航ミサイルによる複合攻撃によって小松、百里の両基地を同時制圧する作戦に出た。しかしSS-22による攻撃は例によって外れ(成功率60%なのに・・・)。小松、百里両基地の同時制圧作戦は失敗に終わった。ウラジオストク周辺のソ連軍航空基地からは韓国へ向けて攻撃隊が発進していく。目標は群山基地だ。昨日の攻撃では米空軍F-16の反撃によって撃退されたソ連軍であったが、今度はF-16の妨害を排除して攻撃に成功した。群山基地のCAP網に穴が開いたので、これまで出番のなかった北朝鮮爆撃隊(Il-28ビークル等)が群山基地に殺到する。集中攻撃を受けた群山基地は瞬く間に壊滅した。
紋別近海のオホーツク海では、ソ連側対潜部隊による対潜掃討戦が始まっていた。クレスタ2型ミサイル巡洋艦「マーシャル・ヴォロシーロフ」(ソ連風にいうと大型対潜艦)を旗艦とする水上対潜部隊が海上自衛隊の潜水艦「なだしお」を撃沈し、「たかしお」を撃破した。
東京湾口ではヴィクター3型原潜「アドミラル・カピタネント」が日本の護衛艦隊を攻撃し、護衛艦「せとゆき」「さわかぜ」を撃沈した。さらに東シナ海や南シナ海を航行中の日本タンカーがバジャー、バックファイアからのミサイル攻撃を受け、タンカー2隻が撃沈された。
東京湾口ではヴィクター3型原潜「アドミラル・カピタネント」が日本の護衛艦隊を攻撃し、護衛艦「せとゆき」「さわかぜ」を撃沈した。さらに東シナ海や南シナ海を航行中の日本タンカーがバジャー、バックファイアからのミサイル攻撃を受け、タンカー2隻が撃沈された。
8Turn(3日目PM)
小笠原諸島近海で空母「ミッドウェー」を護衛中の米フリゲート艦が空母のCAP網から外れてしまった。その隙をついてソ連軍長距離爆撃機がそのフリゲート艦に殺到する。最初の攻撃で米フリゲート艦「ロックウッド」等計3隻のノックス級フリゲート艦が撃沈された。さらに続く攻撃でペリー級フリゲート艦3隻(「ハリバートン」「テイラー」「サミュエル・B・ロバーツ」)が撃沈されてします。この攻撃を傍目で見ていたソ連軍潜水部隊指揮官がポツリと言ったセリフ。「ボクの獲物も残しておいて下さいよぉ・・・」
これを聞いて怒りを表明する西側連合軍に対して
「いやぁ・・・、正直な気持ちを表明しただけなんですけど・・・」
とまあ、言い訳になっていない言い訳をしてさらにその場の空気を凍り付かせるのであった。(私じゃないですよ、上のセリフ)
言われたい放題の西側プレイヤーは、一矢を報いるべくオホーツク海を遊弋しているソ連軍コルベット艦をB-52でミサイル攻撃を実施する。グリシャ型やペチャ型といった対潜コルベット艦からなる小艦隊2個が壊滅した。
東側
水上戦闘艦:20隻(56VP)、通常潜水艦:2隻(7VP)
戦闘用航空機:14ユニット(42VP)
制海妨害:14VP
北海道上空の制空:15VP
ハンディキャップ:25VP
合計:145VP
東側の勝利。ただし西側は輸送船が生き残っていることを元に自陣営の勝利を主張している。