
ユニットについていえば、1ユニットは指揮官1人あるいは数百~数千名の兵員を表している。指揮官の能力には軍事的能力と政治的能力があり、0(=ほぼ無能力)~3(最優秀)の数値でレーティングされている。政治的能力が優秀なのは、幕府側が勝海舟や徳川慶喜、新政府側が西郷吉之助、大久保一蔵、木戸順一郎らである。また軍事的能力が優秀なのは、幕府側が河合継之助、新政府側が大村益次郎らである。
本作は比較的小さなゲームであるが、1年=8Turnで3年間の戦いを再現するので、全24Turnと結構長丁場である。しかし1Turnで移動できるのは両陣営とも1エリアだけなので、各Turnは意外とサクサク進む。ただしさすがに24Turnをフルでプレイする場合は相応に時間が必要になるだろう(1Turn=10~15分で想定して4~6時間)。
今回、YSGA富士山例会でプレイの感触が掴めたので、ソロプレイでプレイしてみた。

慶応3年 冬2

移動フェイズ。薩長は木戸準一郎が長州兵4戦力を率いて京へ状況する。徳川は、京都にいた松平容保が会津藩へ帰還した。
京都で主導権を握った薩長軍は京都での政争に勝利した。これで薩長軍はいつでも戦争を開始できる。
地方では薩長軍が土佐の支配を確立し、徳川は会津を支配した。
慶応3年 春1

一方、京の支配を失った幕府軍は東海道を東上して駿遠に後退。それを西郷吉之助率いる長州兵が追う。浜松付近での両軍の激突が戊辰戦争最初の交戦となった。板倉勝静率いる幕府歩兵は新鋭装備を持つ長州兵に敵う筈もなく壊滅。板倉勝静も戦死してしまう。

慶応3年 春2~夏2
京を追われた幕府軍は江戸に兵力を集中して守りを固める。また北越、会津、そして東北に地歩を固めていく。対する薩長は京での宮廷工作に手こずり、朝廷を掌握できない。西郷率いる薩長主力は駿遠から甲州に前進し、その地歩を固めて行った。
慶応3年 夏2


慶応3年 秋1
王政復古の大号令。朝廷を掌握した薩長はここに新政府を樹立した。明治時代の始まりである。かくして正統な政権と認められた新政府軍であったが、すぐには動かず、主力は京師に留まって様子見。一方山形狂介率いる薩摩兵は薩摩から肥後に進み、肥後を支配下に置いた。
慶応3年 秋2


慶応3年 冬1

北畿での戦いは旧幕府軍の勝利に終わり、西郷吉之助は摂津に向けて後退していった。そして幸い支配チェックをクリアした旧幕府軍は北畿に新しい拠点を築いた。他に駿遠を旧幕府軍が奪回。一方新政府は再び京を支配した。

慶応4年 冬2
年が変わって慶応4年。幕府の大軍が京に進攻した。兵力で劣る新政府軍は、朝廷を動かして休戦状態にした。京に進入した幕府軍はそのまま駐留。幕府軍の入京によって朝廷は新政府を見限り、旧幕府についた。
慶応4年 春2

同じ頃、大坂城周辺でも山形狂助率いる新政府軍と榎本釜次郎率いる旧幕府軍が激突する。装備に劣る幕府軍であったが、ここでは善戦。山形率いる長州奇兵隊を撃破した。しかしその直後の支配判定に幕府軍は失敗。退路を失った幕府軍は壊滅し、榎本釜次郎も行方不明になってしまう。

慶応4年 夏1

西郷吉之助、乾退助率いる新政府軍は北畿に進出。守備兵は難なく撃破したものの、地域の支配に失敗して摂津に後退した。また単独芸備に向かった木戸準一郎は同地を支配した。
旧幕府軍は江戸に集結して兵力の整備を進めている。

慶応4年 夏2
再び新政府軍は北畿に進出。今度は新政府軍が順当に支配に成功した。旧幕府軍は甲信に進出し同地の支配を固める。このTurnの支配フェイズに幕府陣営は宮廷工作で朝廷の支配を目論むが、出目が悪くて失敗に終わった。慶応4年 秋1
政治工作で加越を支配した新政府軍は、北陸を抜けて一気に北越に進攻した。同地を守る大鳥圭介麾下の旧幕府軍は衆寡敵せず瞬時に壊滅。大鳥圭介も戦死する。ただし北越の支配チェックには失敗し、北越は無支配状態となった。敵主力不在を狙って旧幕府軍主力が再び北畿に進出。同地を再び支配下に置いた。

慶応4年 秋2
幕府軍は京に攻め込んだ。主力が遠く北陸の地にいる新政府軍が軍事力で対抗できない。木戸準一郎が芸備より兵を率いて京に戻ったが、もとより対抗できるような兵力ではない。新政府は朝廷に働きかけて休戦に持ち込み、京の町を二分して新政府軍と旧幕府軍が対峙する。
感想
ある程度状況が固まってしまうと、状況を逆転するのが結構難しいように感じた。また海越えの進攻はリスクが大きいので(状況に関わらず1/6以上の確率で部隊が壊滅する)、ここ一番、という所で海越え進攻を仕掛けた方が良い。あと京都の支配が極めて重要なので、一旦京都を支配したら、開戦と休戦を上手に使い分けて京都の支配を維持すべきである。戊辰戦争を扱ったゲームは数多くあるが、架空戦や4人戦といった変化球が多く、2人用のヒストリカルゲームは少ない。そういった意味で本作は貴重であり、プレイ機会がもっと増えても良い作品である。