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シナリオ10.3rd Fleet Offensive in the North Pacific

199x年、我々の知る史実とは異なり、ソヴィエト連邦は未だに命脈を保っていた。彼らは、滅びつつある彼らの帝国を再興するため、軍事的な賭けに出た。イランに対する軍事進攻を開始したのである。米国の緊急展開軍は南部イランに展開、南下するソ連軍地上部隊と交戦状態に入った。
米国大統領は、大西洋・太平洋両洋におけるソ連海軍と商船隊に対して懲罰的な攻撃を命じた。それを受けてベーリング海に展開する米第3艦隊は、2個空母機動部隊、1個戦艦水上打撃部隊、2個海兵遠征ユニットを以てカムチャッカ半島に対する限定的な攻勢を仕掛けた。その主目的は、コマンドルスキー諸島の占領、カムチャッカ半島への補給線の妨害、そしてカムチャッカ半島周辺のソ連軍基地の破壊である。

とまあこんな感じのシナリオです。米軍の主兵力は空母2、戦艦1、原潜3隻。他にイージス艦、揚陸艦、基地航空隊等です。ソ連側は空母2隻(アドミラル・クズネツォフ級とキエフ級)、原潜6隻、キーロフ級ミサイル巡洋艦などの艦隊を持っています。私は防御側であるソ連軍を担当しました。

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一般状況

シナリオのタイトル通り攻撃側は米軍である。空母打撃部隊2個、水上打撃部隊1個に護衛された上陸部隊がカムチャッカ半島東方に浮かぶコマンドルスキー諸を目指す。また空母部隊がカムチャッカ半島に散在するソ連軍基地及びカムチャッカ半島沖を航行するソ連船団を叩く。
兵力では米側が優勢だが、序盤は空母機動部隊1個群(「ジョージ・ワシントン」機動部隊)と僅かな基地航空兵力のみ。対するソ連軍はカムチャッカ半島沖に空母「スベルドロフスク」、軽空母「キエフ」、打撃巡洋艦「キーロフ」を主力とする強力な水上部隊と潜水艦部隊が存在している。従って序盤はソ連側にも十分勝機がある。
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1~3Turn(第1日目)

天候チェックでいきなり強烈なイベントが発生した。Williwaw。突風とか強風とか訳されるが、そんな生やさしいものではないらしい。猛烈な突風とでも訳しておいた方が良いかもしれない。兎に角狙われたゾーン内の基地はいずれも大なり小なり打撃を受けるという代物だ。今回、Williwawの直撃を受けたのはベーリング海ゾーンで、ダッチハーバー(Dutch Harbor 2704)に入泊していた米補給艦隊が突風の直撃を受けた。フリゲート艦2隻が損傷状態となる。

戦闘開始である。

アラスカに展開する米空軍部隊がカムチャッカ半島北部のソ連軍航空基地アナディリ(Anadvr 0502)に対して攻撃を仕掛ける。F-15EとB-52の編隊が相次いで飛来したが、いずれも対空砲火を浴びて1ステップを失い、戦果はなし。米軍の第1撃は失敗に終わった。

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一方のソ連軍は潜水艦搭載の巡航ミサイルを使ってアッツ島東方のシェミア島(Shemya 1517)に対して攻撃を仕掛ける。余談だが、シェミア島は冷戦時代にはソ連から発射される弾道ミサイルを早期警戒する大型レーダーと電子偵察機RC-135が配備されていた。余談の余談だが、1983年に大韓航空機がソ連防空軍の戦闘機によって撃墜されたとき、シェミア島から発進したRC-135を誤認したとの話があった。
辛くも1発がシェミア島に命中。CAP機を制圧する。引き続いてカムチャッカ半島を発進するソ連爆撃機が、空母「スベルドロフスク」の戦闘機の護衛を受けてシェミア島に向かう。米空母「ジョージ・ワシントン」(USS George Washington, CVN-73)の艦載機がCAPの傘をシェミア島に広げるが、空母艦載機のCAPの傘は遠距離では効果半減、いや1/4減してしまう。ソ連攻撃隊は易々とCAPの傘を突破し、シェミア島を猛爆した。

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結局第3Turnにシェミア島の米軍基地は壊滅してしまう。

「ジョージ・ワシントン」はソ連水上部隊と潜水部隊の圧力を受けて後退を余儀なくされる。

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4~6Turn(第2日目)

2日目に入る。米側が反撃に転じた。巡洋艦や駆逐艦、原子力潜水艦から発射された巡航ミサイルをカムチャッカ半島南部のソ連軍航空基地エリゾヴォ(Yelizov 0123)に叩き込む。この攻撃では米側のダイスが冴えまくり、数発の巡航ミサイルがエリゾヴォ基地に命中した。さらに前日活躍のなかったB-52爆撃隊が、ALCM(空中発射型巡航ミサイル)を抱えて攻撃に加わる。カムチャッカ半島最大のソ連軍航空機エリゾヴォは、第5Turnに壊滅してしまう。

その間、アリューシャン近海で行動する「ジョージ・ワシントン」機動部隊に対して、ソ連軍長距離爆撃機が攻撃を加えた。エリゾヴォ基地のTu26バックファイアは米軍の攻撃により壊滅してしまったが、沿海州の各基地に残ったTu16バジャーの編隊が長距離飛行によって目標に迫る。それを守るのは例によって「スベルドロフスク」を発進するSu-27フランカーだ。

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「スベルドロフスク」のSu-27と「ジョージ・ワシントン」のF-14Dとの対決は前者の勝利に終わった。CAPの傘を破って次々と対艦ミサイルを発射するTu16バジャーの編隊。多連装ミサイルランチャーを持ち対空・対艦・対地ミサイルを山ほど搭載したスプルーアンス級駆逐艦「ポール・F・フォスター」(USS Paul F.Foster, DD-964)が対艦ミサイルの直撃を受けて沈没する。新鋭のアーレイ・バーグ級ミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」(USS Curtis Wilbur, DDG-54)や駆逐艦「コノリー」 (USS Conolly, DD-979)がミサイルを食らって大破。またベテランのミサイル巡洋艦「ウィリアム・H・スタンドレイ」(USS William H. Standley, CG-32)は、キロ級潜水艦「ヴォロン」の雷撃を受けて損傷する。

7~9Turn

再びWilliwawが北太平洋を襲った。東アリューシャンゾーンがその標的となり、アダック基地(Adak 2312)及びアトカ基地(Atka 2410)に展開していたP-3C哨戒機とF-15C戦闘機の中隊が瞬時に壊滅してしまう。足の長い基地航空兵力を瞬時に失った米軍プレイヤーは、ただ唖然とするしかなかった。

この日米軍は、前方展開していた「ジョージ・ワシントン」と後方から前進してきた空母打撃部隊、水上打撃部隊、そして揚陸部隊が合流した。損傷艦を後方に下げた米機動部隊は、空母2、戦艦1、イージス巡洋艦3、巡洋艦/駆逐艦6という圧倒的な兵力となってカムチャッカ半島に迫ってくる。

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10~12Turn

米揚陸艦隊はコマンドルスキー諸島に近づいてくる。米シーウフル級原潜「シードラゴン」(架空艦)と改ロス級原潜「サンタフェ」(USS Santa Fe, SSN-763)がソ連機動部隊を攻撃するものの、強力な対潜防御に阻まれて戦果を挙げることはできない。
空母「アメリカ」(USS America, CV-66)を発進した攻撃隊がソ連機動部隊を襲ったが、CAPのSu-27に阻まれて攻撃は失敗に終わった。

その頃、ソ連軍輸送船が次々と目的地に到達していた。カムチャッカ近海を航行するソ連輸送船は、結局1隻も損なわれることなく全船が目的地に無事到着した。

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13~14Turn

最終日である。イベントで「コマンド部隊の襲撃」を得た米軍は、ソ連軍航空基地アナディリに対してコマンド襲撃を仕掛けた。さらに爆撃も加えて念願であったアナディリ壊滅を遂に果たした。

しかしアリューシャン近海では異変が起こっていた。コマンドルスキー諸島まであと4ヘクスの所に迫っていた米揚陸船団が突然のスコールに包まれたのである。スコールの中では1ヘクスを移動するのに2移動力がかかってしまう。移動力3の揚陸艦は、事実上1ヘクスしか動けないことになる。予定通りなら最終Turnにコマンドルスキー諸島に到着する予定であった米揚陸船団は、突然の悪天候によって遂に目的を達することはなかった。

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最終Turnに米ソの機動部隊同士が激しいミサイル戦を繰り広げたソ連軍が240火力以上を集中して発射した対艦ミサイル攻撃は、なんと目標決定で"0"の目を出してしまい、大外れ(SSM攻撃の際、目標決定で"0"か"9"の目を出すと大外れになる)。対する米軍は約160火力を集中し、集中攻撃を受けた軽空母「キエフ」が一撃で轟沈してしまう。
その後復仇の念に燃えるソ連原潜群が次々と米機動部隊を攻撃し、米空母撃破を狙ったが、出目に恵まれずに成果を上げられない。

というわけで最終Turnが終わった

結果

戦果と損害は下表を参照のこと。結果としてはソ連側の圧勝に終わった。

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感想

プレイ時間はセットアップ含めて約9時間。選択ルールは全採用した。フリートシリーズの他の作品では、キャンペーンシナリオがマップ2~3枚を使う本格的なものばかりだが、3rd Fleetでは全てのシナリオが1マップシナリオで、ユニット数も他の作品に比べて少なめなのでプレイ上の負荷感は比較的小さい。

本シナリオについて言えば、本文中にも触れたがイベントと天候の影響が大きい。特にWilliwawの影響が大きい。Williwawの発生確率は1/10なので、ベーリング海では10日に1度の割合でどこかの基地が被害を受ける計算になるが、ちょっと極端な気がしないでもない。

ちなみに今回のシナリオ、もし私が米軍を担当した場合、序盤から巡航ミサイルによる基地の無力化を目指すことになるだろう。盤上にあるソ連軍航空基地は3箇所であるが、1日1箇所のペースで3日目終了までには全ての盤上基地の無力化を狙う。空中からの援護を失ったソ連軍は、米軍による空からの攻撃を阻む手段はない。かくしてソ連艦隊は壊滅する(だろう)。

あくまでも「取らぬ狸の皮算用」ではあるが・・・。