ムカつく相手にガツンと言ってやるオトナの批判術

バルバラ・ベルクハン 小川捷子訳 CCメディアハウス

タイトルは過激だが内容は至って平凡な交渉術のノウハウ本だ。平凡だが学ぶべき点は多い。とはいえ、ある程度社会生活を真っ当に営んできた人たちにとっては当たり前の内容ばかりなのだが。
本書は大きく分けて2つのパートに分かれている。自分が他人を批判する場合と他人が自分を批判する場合とだ。前者はいわゆる交渉術に関する部分であり、多くの読者が注目する個所であろう。かくいう筆者もここを読みたかった。
書かれている内容のうち気になった点を列挙しよう。

 ・不満を溜め込んではいけない
 ・自分には変えられないことがあることを認める(相手は貴方の力を必要としていない)
 ・自分の影響が及ぼないものへの意見を差し控える。
 ・客観的で建設的な批判は人の助けになる。
 ・人に責任(罪)を問うてはいけない。
 ・自分を基準にして相手を評価してはいけない。
 ・「壊し屋」(人の成果物にケチをつける人物)を相手にしてはいけない。近くに「壊し屋」がいたら自分とは距離を取るようにする。
 ・「壊し屋」は子供でもできるが、オトナの「壊し屋」も多いので要注意
 ・全ての人が満足する解決方法はない。

とまあこんな感じだ。列挙してみると結構仰々しいが、常識人であれば普段の生活で自然に気をつけていることだろう。
後者はいわゆる自己確立の内容で自身が相手に批判された時、どのようにしてそれに耐えるかだ。これも自己が確立した人物であれば日ごろから自然と行っていることであり、敢えて列挙することはないだろう。
総じていえば交渉術についてコンパクトに纏めた良作といえよう。万人にお奨めしたい著作であり、無駄な争いを避けるための必読書ともいえる。

お奨め度★★★★★