秋のゲームマーケットで発売予定の「海空戦!南太平洋1942」のフルセット版が準備完了しました。
これは2017年秋に発表した「海空戦!南太平洋1942」のカウンターを打抜きカウンター化した作品です。
これは2017年秋に発表した「海空戦!南太平洋1942」のカウンターを打抜きカウンター化した作品です。
そこで今回、「海空戦!南太平洋1942」(以下、本作)について、作品の紹介を行います。
作品紹介
「海空戦!南太平洋1942」は、第2次世界大戦期における空母機動部隊の戦いを描いたシミュレーションゲームです。タイトルが示す通り、本作のメインテーマは南太平洋での戦いであり、珊瑚海海戦、第2次ソロモン海戦、南太平洋海戦など、空母機動部隊の戦いを描いた作戦シナリオが7本用意されています。他に局所的な空対艦戦闘や水上戦闘を扱った戦術シナリオが8本用意されています。戦術シナリオの場合、プレイ時間は15分~2時間程度。作戦シナリオの場合、プレイ時間は2~20時間(最大)です。空母戦なので早期に決着がつく場合も多く、その場合は半日程度のプレイ時間になります。本作のメインテーマは作戦シナリオ(戦術シナリオはどちらかと言えば練習用)なので、作戦シナリオについて説明します。
作戦シナリオは1Turn=4時間、1Hex=30海里のスケールです。艦船は基本1隻1ユニット(駆逐艦以上)、さらに巡洋艦以上の大型艦は全て個艦名が入っています。ただし潜水艦や小型の哨戒艦艇などは複数艦で1ユニットとなっています。
航空機は1ユニット=6~10機程度。基本は8~9機です。機種別にユニット化されており、A6M2(零戦21型)やF4F等が登場します。
作戦シナリオは1Turn=4時間、1Hex=30海里のスケールです。艦船は基本1隻1ユニット(駆逐艦以上)、さらに巡洋艦以上の大型艦は全て個艦名が入っています。ただし潜水艦や小型の哨戒艦艇などは複数艦で1ユニットとなっています。
航空機は1ユニット=6~10機程度。基本は8~9機です。機種別にユニット化されており、A6M2(零戦21型)やF4F等が登場します。
索敵システム
空母戦の肝となるのは索敵システムですが、本作の索敵システムはリアリティとプレイアビリティを両立させた独特のシステムになっています。まず本作における艦隊は、マップ上に配置されず、専用の記録シート上で管理されます。これだけならFLAT TOPと同じなのですが、索敵の方法がFLAT TOPとは大きく異なっています。まずメインマップはいくつかのエリアに区分されています。エリアにはアルファベットの符号が付けられています。索敵はこのエリアを単位として行われることになります。
索敵を実施する場合、索敵専用の索敵マップを利用します。索敵マップはメインマップを縮小したA4版の厚紙で、索敵を実施する側は索敵マップ上に索敵マーカーを配置します。索敵マーカーには索敵力が記載されており、索敵を受けた側は索敵力に従って索敵を解決します。
その時、ミソとなるのは索敵マーカーが裏返しにして配置されることと、索敵マーカーにダミーを含ませることができることです。索敵を受けた側は実際に艦隊が存在するエリアの索敵マーカー以外は内容を知ることはできません。従ってダミーを混ぜることで所謂「逆探知」がほぼ不可能になっています。
索敵の解決方法も独特で、艦隊の存在するヘクス毎に索敵カードをランダムに1枚引き、その結果に合わせて索敵情報をメインマップに配置します。索敵情報は索敵マーカーによって表現されますが、索敵の結果、艦隊がマップ上に現れることは決してありません。
さらに索敵結果には誤認の可能性があります。本作で強調されているのは、「艦種誤認」よりも「位置誤認」です(艦種誤認の可能性もあります)。従って「敵空母ミユ」と思って勇んで出撃したら、目標海域には何もいなかった、ということもあります。
最後に付け加えると、索敵自体は極めてシンプルに解決でき、索敵の解決に要する時間は10分以下です。本作の索敵システムはユニークかつリアリティの高いものですが、プレイしていて面倒ということは決してありません。「ダミーの大群の進撃」のようなシステムではないのでご安心下さい。
航空作戦
説明の順番が逆になりましたが、作戦シナリオのシーケンスについて説明します。シーケンスの肝になるのは航空アクションフェイズで、両軍とも1Turnに5回ずつ、両軍合わせて10回の航空アクションを実施できます(昼間のみ、薄暮Turnは6アクション、夜間Turnは航空アクションなし)。航空アクションは航空索敵アクションと航空攻撃アクションの2種類があり、前者が1Turnに2回、後者が1Turnに3回実施可能です。
航空アクションフェイズに両プレイヤーはダイス(D10)を振り合い、大きい目を出した方が航空アクションを1回実施できます。従って一方が大きい目を出し続ければ、その陣営が一方的に航空アクションを実施し続けます。とはいえ、それぞれの陣営は1Turnに5回しか航空アクションを行えないので、5回の航空アクションを実施し終えた後は、相手側が自由に航空アクションを実施することになります。またダイス目の差が3以内の場合、一方が航空アクションを実施した後、もう一方が航空アクションを実施できるようになっているので、ダイス目の不利をある程度までは緩和しています。
この不確実性の高いシーケンスと索敵の不確実性によってプレイヤーに決断を強いることになります。すなわち先制攻撃を狙って不確実な情報のまま攻撃隊の発進を優先するか、あるいはより確実な情報取得を求めて索敵を重視するか、です。攻撃隊発進を優先すれば敵に先んじる可能性が高まりますが、不確実な情報に基づく攻撃になり、空振りに終わる危険性が高いです。一方で索敵を重視すれば、敵の先制攻撃受ける危険性が高まります。先制攻撃の利と空振りのリスク回避のため、例えば攻撃隊の一部を温存するとか、あるいは2つの目標に対して攻撃隊をそれぞれ差し向けるといった戦術が本作では自然と行われることになります。これらは、他の空母戦ゲームでは殆ど無視されていることです。
戦術戦闘
航空戦闘や水上戦闘は専用の戦術マップを使用します。戦術戦闘だけでシナリオが組めるほど本作の戦術戦闘は完成度の高い内容になっています。とはいっても決して「頭を抱えるほど面倒」ではありません。航空戦闘の手順は、CAPによる迎撃、対空戦闘、対艦戦闘という一般の空母戦ゲームと同様の手順になっています。戦術戦闘で特徴的なのが、護衛戦闘機の扱いと対空射撃などによる「投弾後撃墜」の概念です。
護衛戦闘機についていえば、護衛戦闘機が随伴している場合、攻撃隊が敵のCAPを突破できる可能性が飛躍的に高まるようになっています。逆に護衛を伴わない編隊の場合、CAPと遭遇した場合甚大な損害を被る可能性があります。このことは特に日本軍の場合顕著で、零戦の護衛を随伴している場合、ワイルドキャットの迎撃から味方艦爆・艦攻を守る可能性が高くなります。一方で裸の艦爆・艦攻はその空戦力の低さ故、ワイルドキャットの好餌になってしまいます。
「投弾後撃墜」とは、対空砲火によって損害を強いたものの、爆撃自体を阻止できなかったことを示す戦闘結果です。これは特に日本機が撃たれた場合に出やすい損害で、日本機は対空砲火によって甚大な被害を被る可能性が高くなっていますが、敵に対して有効な攻撃を実施しやすくもなっています。その逆が米陸軍機で、対空砲火による戦闘結果はアボートが出やすく、簡単に攻撃を諦めますが、損害自体は出にくくなっています。
水上戦闘は専用マップを使って解決する「ビスマルク」方式です。1度水上戦闘が始まると、1時間程度はかかる可能性があります。とはいえ、水上戦闘が発生する可能性は極めて小さく(一部シナリオは別)、それほど恐れる必要はありません。
シナリオ
先にも述べた通り、本作には7本の作戦シナリオが含まれています。最初のシナリオ1,2は練習用なので、本格的なシナリオはシナリオ3~7になります。これらは史実における著名な海戦を描いており、実際の3~6日間に及ぶ作戦を描きます。つまり本作の作戦シナリオは、単に空母対空母の対決を描いただけではなく、大きな戦い(例えばポートモレスピ-攻略戦)の中での空母と空母の役割を描いています。従って作戦シナリオには空母以外の兵力も登場し、特に基地航空部隊は極めて重要な役割を果たすことになります。空母はその機動力によって容易に敵基地の威力圏外に移動できますが、それでも敵基地に不用意に接近した空母は、手痛い反撃を食らうことになるでしょう。さらにいえば基地航空部隊の索敵力は空母艦載機のそれを遙かに凌駕します。選択ルール
天候、艦隊任務、対地艦砲射撃、潜水艦などの選択ルールがあります。対地艦砲射撃が選択ルール扱いなので、選択ルールを採用しなければヘンダーソン飛行場に対する「金剛」「榛名」による艦砲射撃は不可能です。ただし一部のシナリオでは、特定の選択ルール使用を義務化しています。続編について
既に秋のゲームマーケットに備えて、本作専用のサポート誌である「海空戦」Vol.1が用意されています。これは本作では触れなかったプレイヤーズノートやプレイの例、史実の紹介、リプレイ記事などからなっています。さらに来年春のゲームマーケットに向けては「海空戦」Vol.2の準備も進められています。こちらは本作で納められなかったミッドウェー海戦や真珠湾攻撃などのシナリオが含まれています。本作では省略された「赤城」や「飛龍」といった第1、第2航空戦隊の精鋭たちが、専用の艦載機ユニットと共に登場します。
「海空戦」シリーズの今後にご期待下さい。