Wing Leaderシリーズは、GMT社が2015年より発売を開始した横スクロール方式の空戦ゲームである。最初の"Wing Leader: Victories 1940-1942"に続いて、2016年には戦争後半を扱った"Wing Leader :Supremacy 1943-1945"。そして2018年には戦争序盤を扱った"Wing Leader: Blitz 1939-1942"が発売された。
今回紹介するのは、"Wing Leader :Supremacy 1943-1945"に収録されているシナリオの1つで、1945年2月9日における米第8航空軍によるドイツ本土爆撃を再現するシナリオである。連合軍はP-51D 64機に護衛されたB-17G 96機が登場する。それに対するドイツ軍はJG7及KG(J)54に所属するMe262A-1 21機と、Bf109K-4、Fw190D-9、Fw190A-8 54機の計75機で迎え撃つ。

1-3Turn


その後方でP-51Dとドイツ軍ピストンエンジン戦闘機との交戦が始まる。性能・技量の両方に勝る連合軍のマスタングだが、ヘッドオンで交戦するも撃墜戦果なし。
一方、先行していたMe262A-1は急降下してB-17G「空の要塞」に対してヘッドオンで攻撃実施。ドイツ側の射撃の腕が冴えまくり、B-17G 1機と護衛のマスタング1機を撃墜。最初の戦果を飾った。

4-5Turn
ジェット戦闘機と重爆撃機隊の交戦の背後で在来型戦闘機同士の格闘戦も激しさを増していた。速度性能ではマスタングと互角の性能を誇るBf109K-4、Fw190D-9だが、格闘戦性能や高高度性能ではマスタングに一日の長があった。さらにパイロットの練度が段違いだった。ラフベリーサークル等で対抗する独軍だが、4機のBf109K-4と3機のFw190D-9が撃墜されたが、マスタングの損失は4機であった。そしてFw190D-9とBf109K-4は、重爆撃隊に一指も触れることなく戦意を失って戦場を離脱していく。

爆撃隊を襲うMe262A-1に対してはマスタング2個中隊が急遽援護のために舞い戻る。合計20機で数で勝るマスタング隊は僅か8機のMe262A-1に翻弄されるも、Me262A-1もマスタング隊の隙を突けずに苦戦する。

6-7Turn
なおも激しく戦うMe262A-1とマスタングの死闘。しかし「戦いは数だよ、アニキ」の言葉通り、数に勝るマスタング隊が次第に優勢に戦いを進めてきた。2機のジェット戦闘機が撃墜され、残りは弾切れで後退していく。ドイツ軍ピストンエンジン戦闘機唯一の生き残りがFw190A-4の1個中隊であった。この時期、既に旧式化していたFw190A-4ではマスタングの敵ではなく、瞬く間に2機が撃墜された。なおも執拗に爆撃隊を狙うFw190A-4であったが、他の編隊との交戦を終えて編隊に戻ったマスタング隊の袋だたき逢い、損失5機という各中隊の中で最大の損失を被って敗退した。


後方から増援として登場したMe262A-1、2個小隊8機はマスタング隊と交戦しつつ爆撃隊に迫る。唸る30mmキャノン砲。瞬く間に1機の「空の要塞」が粉々になり、別のマスタングが粉砕された。しかし数と練度に劣るドイツジェット機は、やはりマスタング隊の袋だたきにあい、4機を失って敗退した。
感想
撃墜戦果だけを見れば連合軍の圧勝である。まあ戦争末期のシナリオなのでこんなモノかも知れない。勝利条件的には差額を70以下に抑えれば独軍の勝ちなので、VPの安い戦闘機には目もくれず、一気呵成に重爆撃機を狙うのが良いようだ。防御力の大きいB-17Gは簡単には落ちないが、火力4のMe262A-1なら確率2/3でキルできる。逆にMe262A-1の大火力はP-51D相手にはやや過剰なので、そういった意味からもB-17Gを集中攻撃するのが良い。例えばB-17Gの撃墜数が2機ではなく5機であり、爆撃編隊の1個が脱落していたら、今回の勝利は独軍であった。味方戦闘機18機も失っての勝利は些か寂しいが、それでも勝利は勝利である。

最後にWing Leader自体の感想である。
本作はプレイヤーにとって選択の余地がやや乏しい。要するに「叩き合い」なのである。無論細かいテクニックは存在するが、陸戦ゲームほどはプレイヤーの技量の介在する余地が多くない(熟練度の差が激しいプレイヤー同士で陸戦ゲームをプレイする場合を想像してみて欲しい)。これは海戦や空戦ゲーム全般に見られる傾向で本作だけの問題ではないのだが、残念ながら本作でも上記の弊から免れなかった。
そういった意味で本作は、対戦よりも今回のようにソロプレイでの研究に向いているように思える。
本作はプレイヤーにとって選択の余地がやや乏しい。要するに「叩き合い」なのである。無論細かいテクニックは存在するが、陸戦ゲームほどはプレイヤーの技量の介在する余地が多くない(熟練度の差が激しいプレイヤー同士で陸戦ゲームをプレイする場合を想像してみて欲しい)。これは海戦や空戦ゲーム全般に見られる傾向で本作だけの問題ではないのだが、残念ながら本作でも上記の弊から免れなかった。
そういった意味で本作は、対戦よりも今回のようにソロプレイでの研究に向いているように思える。
無論、対戦ゲームとして全く詰まらないというわけではない。テクニカルな勝敗ではなく、当時の雰囲気に浸って空戦を楽しみたいという向きにはうってつけの作品だろう。なんといってもこのゲーム、高度を扱うゲームでありながら3次元移動の概念が全く不要だから、プレイのし易さでは他の空戦ゲームの比ではない(ただしDiFシリーズは除く)。






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