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Copmass Gamesの"Saipan"(以下、本作)は、1944年6月15日から始まる米軍によるサイパン攻略戦を中隊規模で描いたシミュレーションゲームだ。メインはサイパン島を巡る地上戦闘で、北はマッピ岬から南はナフタン岬まで、サイパン島全域が1ヘクス500メートルのスケールでフルマップ2枚で描かれている。

今回、本作のシナリオの1つであるシナリオ3"Dog Day"(犬の日)をソロプレイしてみた。このシナリオは米軍による上陸初日を扱い、米軍は海兵隊2個師団(第2、第4海兵師団)が登場し、日本軍はサイパン島南部を守っていた部隊が登場する。

ここまでの展開

1944年6月15日。太平洋戦争有数の激戦となるサイパン島攻防戦が始まった。サイパン島南西部チャランカノア海岸に殺到した米海兵隊2個師団は、日本軍の猛烈な抵抗を受けていた。特に苦戦を強いられたのは北部に上陸する第2海兵師団で、上陸戦の際に歩兵中隊4個が失われる等、多大な損害を被った。それでも彼らは水陸両用戦車を先頭に立てて内陸部への浸透を画策している。

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6月15日 13:00

イメージ 9午後に入った。サイパン島の激戦はなおも続いている。航空攻撃、艦砲射撃の合間に米第4海兵師団がチャランカノア南で日本軍陣地に対して突撃を敢行した。しかしながら支援射撃不足などで十分な戦果を挙げ得ず、海岸線から前進できずにいる。しかし島の南部で一部の日本兵が無謀なバンザイ突撃を実施したため、同方面の守備兵力がやや低下した。

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6月15日 15:00

イメージ 6日没まであと2Turnしかない。米軍もそろそろ勝利条件が気になる頃だ。現在日本軍の獲得している勝利ポイントは7ポイント(海兵隊ユニット除去及び死傷による)。対する米軍は6ポイントだ。米軍の6ポイントはチャランカノア飛行場の占領に基づくものである。米軍としてはこれ以上の損害を避けつつ、アフェトナ-岬(33,34)やチャランカノア市街の占領を目指す必要がある。
このTurn、米海兵隊の掃討戦が功を奏し、アフェトナ-岬の日本軍守備隊が壊滅した。チャランカノア北部、米第2海兵師団前面の守備を担当する独立第47旅団の守備隊も殆どが後退してしまった。

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6月15日 17:00

イメージ 7日没前の最終Turnである。ようやく橋頭堡を確保した米軍部隊には続々と後続部隊が上陸してきた。迫撃砲、重機関銃、火炎放射器、そして戦車。これらの支援火器を得た海兵隊は日本軍に倍する火力で猛威を振るうことになる。
チャランカノア南を制圧しつつある米第4海兵師団は、左翼に第23連隊戦闘団を配し、チャランカノアに向けて攻勢をしかけてきた。火炎放射器や戦車による支援の効果はめざましく。チャランカノア南の一角を守っていた日本軍2個歩兵中隊は瞬く間に壊滅してしまう。その後にアムトラックを伴った海兵隊がチャランカノアの一部を占領した。
その南では第25海兵連隊戦闘団の歩兵中隊がやはり火炎放射器を駆使して日本軍を掃討。南部海岸の日本軍はほぼ一掃されていた。

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一方、チャランカノアの北部では第2海兵師団が戦車や火炎放射器の支援を受けて日本軍を掃討しつつあった。もともと火力自体は海兵隊が日本軍に勝っている。その上、各種支援火器で倍化された海兵隊の猛攻に対し、日本軍に抵抗する術はなかった。

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このTurnで日本軍の抵抗はほぼ終了したと判断し、ゲーム終了とした。現時点で日本軍の獲得VPは9点、米軍は12点を獲得している。日本軍がチャランカノア飛行場を奪回すれば逆転勝利が可能だが、現時点で日本軍に兵力の余裕はなく、逆転は困難と考える。

感想

イメージ 8基本システムはそれほど難しくはない。典型的なチットドリブンである。ただし、直接指揮とか支援火器とかいったあたりがルールをややこしくしている。最初にプレイする場合は、経験者の手ほどきを受けてプレイするのが得策だろう。
面白いのは戦車の扱い。ヨーロッパ戦線とは違って太平洋の島嶼戦では戦車は数両単位の小グループで運用されるのが常であった。そこで本作では戦車は部隊としては登場せず、支援火器として登場する。つまり機関銃や火炎放射機と同じ扱いだ。戦車の支援がついていると火力、防御力がアップする。いわゆるパワーアップパーツとして機能している。しかし海岸堡を確保しなければ戦車は登場しない。従って海岸堡を確保するまでは海兵隊は日本軍の猛攻に苦しむことになるが、一度海岸堡を米軍が確保するとその火力が物を言う。そのあたりの場面の切り替えが面白い。

イメージ 10少し気になったのは部隊の消耗率が激しいこと。以前に対人戦でプレイした際には歩兵22個中隊が壊滅。事実上米海兵隊2個師団は上陸初日で壊滅してしまった。今回はいくつかのルール変更を適用した結果米軍が出血多量で死ぬことはなくなったが、逆に地上に上がった海兵隊の猛攻によって日本軍は初日で圧殺されてしまった。このあたり短期戦シナリオとしては面白いが、キャンペーンシナリオだと果たして巧く機能するのかどうか、やや疑問に感じる所である。

何はともあれ、サイパン戦をこれほど詳しく再現した作品は他にはなく、そういった点からは貴重な作品である。

おまけ(懺悔)

ルールミスの申告です。色々ありますけど、覚えている範囲おば。
 ・"R"の結果を受けて練度チェックに失敗した場合、展開状態の部隊は後退するのではなく釘付け(Pin)状態になる。これを正しく適用していると日本軍はもう少し頑張れた。
 ・続編"Guam"で変更になったルールで、海上からの準備射撃は着弾チェックで目標ヘクスに着弾した場合でも火力判定は別に行う(これはルール変更だから仕方なし)。

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Tinian, The Forgotten Battle Guam, Return to Glory Carrier Battle - Philippine Sea  77-ガダルカナル
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