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既に何度か紹介しているCompass Gamesの"Saipan"。今回は対人戦をプレイしてみた。プレイしたシナリオはシナリオ5「ヒストリカル・キャンペーン」。参加者は日米各2名の計4名である。下名は日本軍第43師団(北部戦線)を担当した。

Copmass Gamesの"Saipan"(以下、本作)は、1944年6月15日から始まる米軍によるサイパン攻略戦を中隊規模で描いたシミュレーションゲームだ。メインはサイパン島を巡る地上戦闘で、北はマッピ岬から南はナフタン岬まで、サイパン島全域が1ヘクス500メートルのスケールでフルマップ2枚で描かれている。

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米軍上陸す。第2海兵師団に対して防御射撃を実施。1スタックに2DG/Sの結果を適用した。しかし第2海兵師団主力はレッドビーチ、グリーンビーチにその先鋒部隊を上陸させた。

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彼らの上陸成功の裏にはハロルド・G・エバーソンの自己犠牲的な働きがあった。彼は死後名誉勲章を受章したという。


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米軍が命令割り込みを行う。海岸に釘付けになった第2海兵師団を回復させるためだ。そのため折角損耗させた第2海兵師団がすっかり回復してしまう。
日本軍第47旅団の砲撃で米海兵隊2個中隊を海岸線で撃破した。最初の戦果に留飲を下げる日本軍将兵。さらに防御射撃で1個中隊を撃破。戦果は3個中隊となった。

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両軍とも発令ポイント不足でやや動きが緩慢になる。我が第43師団戦区では米第2海兵師団による内陸への前進をしっかり阻んでいる。このTurn、海兵隊の1個中隊が新たに日本軍の防御砲火の犠牲となった。
チャランカノアの市街地に米軍の水陸両用戦車が突入した。チャランカノア市街地に布陣していた第43師団司令部は慌てて予備隊を投入して司令部の守りを固めると共に司令部は慌ただしく後退を開始した。

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両軍とも発令ポイントのダイスが悪い。日本軍は2以下(30%)、米軍は3以下(40%)の目を出せば発令ポイントを3ポイント蓄積できるが、両軍ともなかなかその目が出ない。このTurn、ようやく米第2海兵師団がチェックに成功し、発令ポイント3ポイントを得た。これで米軍は膠着した最前線の状況を打開できるか・・・?。
このTurn、日本軍は再び師団命令チットをカップに入れる。サイパン島の山が全部燃え上がったかのような猛砲撃が海兵隊に降り注ぐ。これまで損失ユニットがなかった第4海兵師団が集中攻撃の目標となり、一気に3個中隊を失った。第2海兵師団も迫撃砲2個中隊を含む4個中隊を失い、米軍の損害は合計11個中隊に達した。

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米軍はその損害のため、日本軍は発令ポイント不足のため、戦場はやや小康状態を迎える。海岸にへばりついたまま前進できていない米海兵隊。そんな彼らに心強い新装備が届いた。火炎放射器と重機関銃である。
一方の日本軍。第47旅団が発令ポイント獲得に成功したため、次のTurnは大激戦が予想される。

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米軍の戦車が揚陸を完了した。戦車支援を受けて海兵隊の猛烈な攻撃が始まる。海岸線に陣取る日本軍部隊は、これまでとは全く次元の違う海兵隊の攻撃を受けて混乱した。チャランカノア飛行場を守備する日本軍守備兵が空襲のため撃破され、防衛線に大穴が空いた。その他の地区でも米軍の攻撃は猛烈を極めた。日本陸軍第43師団の2個中隊が壊滅し、その他の部隊も損害を被った。戦車の有無がこれほど戦局に影響を与えるとは・・・。今や攻守は完全に逆転し、日本軍守備隊に壊滅の危機が迫る。

日没まであと・・・。

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感想

米軍プレイヤーからの申し入れがあり、ここでゲーム終了とした。米軍にとっては、特に第4海兵師団戦区では殆ど海岸堡から前進できなかったので、憤懣やるかたない所だったのだろう。もっとも、1700Turnにおける米第2海兵師団の突破状況を見ると、日本軍も決して楽な状況ではなかった。特に第2海兵師団方面の米軍は、戦車の揚陸により見違える程強化された。火力は倍加し、防御力も倍加した。日本軍の射撃は戦車に阻まれ、米軍の射撃は日本軍を次々と制圧している。この後の展開を考えると、史実並み、あるいは史実以上に米軍が前進できるかもしれない。

それでも中盤までは日本軍プレイヤーにとっては笑いの止まらない展開となった。米軍プレイヤー曰く、「塹壕の効果が大き過ぎる」とのこと。塹壕の効果は火力修正-2(20%)だが、元々の命中率は3とか4なので、-2というのは結構大きい。「火力半減」又はそれ以上の効果がある。キャンペーンシナリオでは塹壕15個を自由に配置できるので、当然の如く米軍の上陸正面に塹壕を集中配備したが、これはヒストリカルシナリオだからこそ出来るワザ。逆にフリーシナリオなら米軍がどこに来るか判らないので、このような極論的配置は採りにくい。このあたり、ヒストリカルシナリオの限界がある。

因みに塹壕の配置が許されているのはキャンペーンシナリオのみで、上陸直後の1日、あるいは上陸直後の1週間を扱ったショートシナリオでは初期配置に塹壕が含まれていない。このあたりのアンバランスさが米軍プレイヤーにとって不満の元なのかも知れない。

ここまでの米軍の損害は歩兵12中隊、迫撃砲2中隊の計14個中隊。史実に比べるとやや損害が多い。特に午後に入ってからの損害が10ユニットに及んだ。これは上陸日午後における突破の失敗が損害を倍化させている様子はうかがえる。前回のソロプレイに比べると米軍の損害が大きくなったが、日本側の防衛戦術の進歩や米海兵隊の発令ポイントのダイス目の悪さも要因としてあるだろう。逆に後半発令ポイントの出目が戻ってきた第2海兵師団戦区ではほぼ突破に成功しているのだから・・・。

ただし米軍プレイヤーの主張する通り塹壕の効果が影響しているのも事実。さらにキャンペーンでは北方で予備として控置されているはずの部隊も前線に投入できる。史実を考えればそのような手段はかなり違和感がある(長距離砲による支援はとにかく、海岸堡を守っている歩兵がすぐさま陣地を捨てて南下できるかどうか・・・)。このようにキャンペーンシナリオでは微妙なところで史実から外れる所があるので、競技用としてはショートシナリオの方が適していると思う。

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Tinian, The Forgotten Battle Guam, Return to Glory Carrier Battle - Philippine Sea  77-ガダルカナル
精強261空“虎部隊”サイパン戦記 サイパン戦車戦 戦車第九連隊の玉砕 機動部隊 New Guinea and the Marianas: March 1944-august 1944