三瓶山は島根県中部にある標高1126mの活火山で、日本二百名山の1つに数えられている。三瓶山といっても複数の峰よりなり、最高峰が男三瓶の1126m。それ以外に女三瓶、子三瓶、孫三瓶等のピークが火口池を取り囲むように連なっている。
10月下旬の朝7時半。大田市内のホテルを出発した私は、レンタカーを飛ばして三瓶山に向かっていた。太田市内から三瓶山までの距離は約20km。車を飛ばせば20~30分ほどで登山口にたどり着ける。アクセスの便は悪くない。
登山口である三瓶温泉(標高480m)には0750頃到着した。トイレや登山口の確認等で時間を使い、登山開始は0800過ぎであった。最初は緩やかな登りである。時々急な登りもあるが、全般的には緩やかな登りと言って良い。そんな感じで400~500mの標高を稼いで、最初のピークである孫三瓶山頂(907m)に着いたのは午前9時頃だった。眼前にこれから向かう子三瓶、男三瓶の雄姿が見える。ここから見ても迫力満点。一瞬心が怯む。残念ながら空は曇天。晴れてくれれば良いのだが。
孫三瓶から100m程下がって再び登った所が子三瓶山頂(961m)だ。時計は0935。眼前にはこれから登る男三瓶の姿が見える。孫三瓶から見た時にはまだ距離があったのでそれほど感じなかったが、子三瓶から見る男三瓶の迫力はかなりすごい。男三瓶とは良く言ったものだ。息子が見た父親の勇姿、といった所か。
子三瓶から男三瓶までは厳しい登山になる。標高差が200~300ぐらいなのだが、斜度がきつい。また既に孫三瓶や子三瓶の山頂を制覇しているから、その先に「まだ登りがあるの?」という徒労感に襲われるからだ。しかし男三瓶に向かう途中に室の内池方面に見える紅葉は実に美しかった。丁度紅葉がベストの時期だと見え、時期的には丁度ベストのタイミングだったということになる。これで空が晴れてくれれば申し分ないのだが・・・。
男三瓶山頂に着いたのは1035だった。子三瓶からの所要時間は約1時間である。その時、空が急激に明るくなり始めた。速い速度で雲が流れて太陽が顔を出したのだ。まだまだ雲は多く、太陽が気まぐれに顔を出したり隠したりしているが、それでも少しでも雲が晴れてくれるのは嬉しい。ここからのコースは少し迷いがあったが、当初の予定通り女三瓶方面に向かうことにした。
男三瓶から女三瓶へ向かうルートは多分三瓶山の周回コースの中では一番の難所だろう。所々でロープが張ってあり、気を抜くと危ない個所がいくつもある。痩せた尾根か慎重に高度を下げていく。それでも時折の晴れ間とその時の紅葉景観は私の目を楽しませてくれる。
キツイ下りが終わるとススキの穂が綺麗な高原に出る。そこから女三瓶までは一息。テレビ・ラジオの中継アンテナがいくつも立ち並ぶ女三瓶山頂に着いたのは1145頃であった。
この女三瓶からすぐ下にはリフトがあり、リフトを使えば比較的容易に女三瓶山頂にたどり着くことができる。そのためか、女三瓶山頂からリフト乗り場までは一気に登山者の数が増えてくる。小学校の遠足と思われる団体と何度もすれ違う。登山路もこれまでの未整備の道から一気に整備状態が良くなる。これもリフト乗り場とその周辺までなのだが。
リフト乗り場を過ぎると再び登山路は静かになる。木々の間を緩やかな上り下りがあり、登山の中では一番楽しい登山路だ。女三瓶から孫三瓶まではそのような楽しい登山路が続いた後、最後に100m程の登りがあって孫三瓶山頂に到着する。時計は1230頃。今朝孫三瓶山頂に立ってから3時間半が経過していた。
孫三瓶に立って達成感に浸った後、三瓶温泉に降りていく。最後の下山路は所々で急な個所はあるが、その他は比較的緩やかな下り通。トレランの要領で駆け足で降りていき、所要時間20分強で三瓶温泉に降り立った。時計を見ると午後1時前。約5時間の山旅であった。
三瓶山の感想だが、予想したよりもキツイ山だった。登山口からピークまでの登りは大したことはないのだが、ピークとピークの間が結構標高差がある。また男三瓶と女三瓶の間のようにヤセ尾根で崩落しかかっている場所などもある。累積標高差は今回のコースで900~1000mぐらいはあったと思う。その分達成感も大きいが。
今回の山旅は個人的には大変満足できた旅だった。上記の通り決して楽な登山ではなかったが、美しい紅葉を楽しむことができ、また晴れ間にも恵まれた。今年は特にここまで綺麗な紅葉に恵まれていなかっただけに今回の山旅は満足度の高いものとなった。