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何度か紹介しているので繰り返しになるが、自作空母戦ゲーム「海空戦!南太平洋1942」(以下、本作)は、太平洋戦争時における空母対空母の戦いを描いたシミュレーションゲームだ。1Turnは実際の4時間、1Hexは30海里(約55km)に相当し、1ユニットは1隻の艦艇、2~10機の航空機を表す。

今回、その中のシナリオの1本である「珊瑚海キャンペーン」をプレイすることになった。下名は連合軍を担当する。選択ルールは「生存者」を除いて全て採用した。

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前号まで

1942年5月4日から始まった珊瑚海海戦。ポートモレスピー攻略作戦を進める日本軍は、ポートモレスピーに対する航空撃滅戦を仕掛けるべく、ポートモレスピーに対する航空攻撃を開始していた。5月5日になると空母3隻(「翔鶴」「瑞鶴」「祥鳳」)からなる機動部隊もポートモレスピーに接近。ラバウル航空隊と共同でポートモレスピー基地を攻撃する。
海戦3日目の5月6日早朝。ポートモレスピー近海に到着した米空母機動部隊(空母「ヨークタウン」「レキシントン」基幹)は、日本機動部隊に対して航空攻撃を実施した。しかし航法ミス等があって戦果に徹底を欠き、空母「翔鶴」に2弾を命中させてこれを中破したに留まった。一方日本空母による反撃も精彩を欠き、「ヨークタウン」が1弾を食らって小破したにとどまった。
午後に入ると米機動部隊は目標をポートモレスピーに近づく日本軍輸送船団に変更した。3波63機が日本船団を襲ったが、ラエから発進した零戦隊の妨害等もあり、輸送船1隻を撃沈、2隻を撃破したに留まった。

詳しくは --> こちら

5月6日

1800

イメージ 1航空攻撃の戦果がやや不首尾に終わった米軍は、敵輸送船団を阻止するために別の手段を考えていた。すなわち水上部隊による迎撃である。米空母を護衛する巡洋艦8隻、駆逐艦11隻の中から半数程度、すなわち巡洋艦4隻、駆逐艦4~6隻程度を分派し、水上打撃部隊を編制。敵輸送船団を水上部隊の攻撃によって撃破しようという算段だ。これまでの航空攻撃で得た情報によれば、敵輸送船団の護衛は比較的手薄(旧式軽巡2隻、旧式駆逐艦3隻、哨戒艇数隻)であることが判明している。そこには新鋭駆逐艦や重巡の姿はない。これなら水上戦で撃滅するのも容易だろう。
と、そこまで考えた時、ふと別の想念が頭を過った。
そういえば敵の重巡はどうしたんだろう。事前の暗号解読(シナリオのオーダーオブバトル)に依れば、日本軍は本作戦に6隻の重巡を投入してきている。しかし先にも述べたように輸送船団の近くにはいない。また空母部隊を攻撃した際にも攻撃隊員は重巡の姿を見なかったとしている。それに昨日来続いている正体不明の敵大艦隊の発見報告。

強力な重巡・・・、敵大艦隊・・・、まさか・・・。

とそこまで考えた時、索敵機が驚くべき報告をもたらした。

「敵大艦隊発見、位置、我が空母部隊の南方30海里」

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イメージ 3そうか、そういうことか。敵は重巡と新鋭駆逐艦で一群を編制し、我が空母部隊に対して水上打撃戦を企図していたのだ。これまでの報告と今もたらされた索敵報告から全てが明らかになった。敵は水上打撃戦を企図している。そしてその脅威はすぐ間近に迫っている。
今や太陽は西の空に沈もうとしている。夜になれば空母は無力だ。急がねばならない。幸い敵の位置は近い。今すぐ攻撃隊を発進させても敵を見逃すことはないだろう。

2隻の米空母艦内では、攻撃隊の準備が大急ぎで進められていた。先の攻撃から帰還してきた攻撃隊を再編成して至近距離に迫った日本水上部隊を叩く。殆どの搭乗員にとってこの出撃は今日3度目の出撃となる。皆、疲労困憊の状態であったが、ここで敵を叩かなければ夜になって日本重巡部隊が殺到することになる。急がねばならない。

準備を終えた攻撃隊は「ヨークタウン」からSBD艦爆18機とTBD艦攻9機、「レキシントン」からはSBD艦爆27機である。護衛戦闘機はつかない。

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イメージ 2後に「夕闇の出撃」と呼ばれるこの攻撃により、米攻撃隊は顕著な戦果を上げた。
まず「ヨークタウン」隊だが、重巡「羽黒」を狙った艦爆9機は1000ポンド爆弾3発を「羽黒」に命中させた。その1発が「羽黒」の弾薬庫を直撃。真っ二つに折れた「羽黒」は珊瑚海にその姿を没した。「羽黒」は開戦以来日本海軍が失った最初の大型戦闘艦という不名誉なレッテルを貼られたことになる。
また同じく「ヨークタウン」の艦爆隊は重巡「妙高」にも命中弾を与え、これを小破していた。

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「レキシントン」から発進した攻撃隊も重巡部隊を猛攻。重巡「衣笠」に2発を命中させてこれを中破。また重巡「青葉」にも1発の命中弾を与えてこれを小破した。

一連の攻撃で重巡1隻を撃沈、3隻を中小破させた米攻撃隊は、その代償として艦攻3機、艦爆3機を失った。

2200

日本水上部隊の脅威は杞憂に終わった。索敵機の報じた日本水上部隊の位置は、実は北に30海里ほど偏しており、米機動部隊の位置は日本水上部隊からは60海里離れていたのである。また仮にその距離が30海里であったとしても、急速に暗さを増す海上で米空母を追いかけることはほぼ不可能であっただろう。
夜の帳が戦場を覆ったため、米空母部隊は闇の中に姿を消した。その間、今まで2個群に分離していた米機動部隊が1グループに合流した。その結果、空母2、巡洋艦8、駆逐艦11の計21隻からなる大艦隊となった。これだけの兵力が集まれば、日本の水上部隊が夜襲を仕掛けてきても、これを撃退することは十分に可能と思われた。

1942年5月7日

0200

史実の珊瑚海海戦が始まった日である。史実ではこの日の攻防戦で空母「祥鳳」と輸送船「ネオショー」が沈んだ。

決戦4日目を迎えた。各空母や航空基地では、早朝の出撃に備えて航空兵力の整備が進められている。この日、各空母、航空基地で出撃可能な機数は以下の通りであった。

「ヨークタウン」 F4F 24機、SBD 27機、TBD 5機:計56機
「レキシントン」 F4F 24機、SBD 27機:計51機
ポートモレスピー P-39 48機、B-26 27機:計75機

他にオーストラリア本土には多数の航空機が配備されていたが(ゲーム上は反映されていない機体が殆ど)、直接任務に使用可能なものは、27機のB-17、27機のB-25、9機のハドソン哨戒機ぐらいであった。

作戦開始段階と比較すると、空母艦載機は約30機の損害。基地航空隊は損害を出していたものの、逐次補充されているので額面上の兵力には作戦開始時と大きな違いはなかった。


おまけ:日米重巡比較

イメージ 4イメージ 5本シナリオに登場する日本の重巡は、妙高クラスが2隻と青葉/古鷹クラスが4隻である。前者は1万トン強の大型艦で、米国の重巡に比べても決して遜色はない。砲戦力は米重巡と互角、雷撃力では米重巡を完全に圧倒している。後者は7千トン級の中型艦で、砲力や防御力では米重巡にやや劣る。ただし雷撃力がある分、米重巡よりも有利である。
日本重巡にとって有利な点はもう1つある。夜戦における練度だ。夜戦の場合、主導権値決定に際して日本軍が+2有利である。これはかなり大きい。そんなこんなで夜間の水上戦に関して言えば、日本側の重巡が米側のそれよりかなり強い。
一方で米重巡の優位は何だろうか。それは対空戦闘能力である。対空火力自体が日本重巡に比べて強力な事に加え、陣形ルールでも有利である。さらに日本機の脆弱さがさらに加わる。日本機の特徴として「落ちやすいが、引揚げにくい」というのがある。これは対空砲火によって撃墜されることがあっても攻撃自体は最後まで諦めないということだ。これは空母対空母のような一発勝負では有利に働く可能性もあるが、水上艦攻撃では逆に裏目に出やすい。というのも本命ではない水上艦攻撃で母艦航空兵力を消耗させることは、日本軍にとっては耐え難いことなのだ。かくして日本の重巡は米空母艦載機が強敵なのに対し、米重巡は日本空母機を左程恐れる必要はなく自由に行動できることになる。

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