Draco社「Normandy - The Beginning of the End」(以下、本作)は、同社のWar Storm Series(以下、WSS)と銘打ったシリーズの1作品である。WW2の陸上戦闘を戦術レベルで扱った作品で、1Hex=150~200m、1Turn=12~15分、1ユニットは1個小隊を表す。
今回、本作にチャレンジしてみた。前回は歩兵中心のシナリオと、戦車や砲兵が出てくるシナリオにそれぞれ1本ずつ挑戦してみた。
シナリオ11.Heading to Saint-Lo

米軍は機械化歩兵6個中隊、自走迫撃砲2個中隊、そしてシャーマン戦車2個中隊だ。さらに航空支援が登場する。
対する独軍は、歩兵4個中隊、迫撃砲1個中隊、対戦車砲1個中隊(75mmPak40装備)、駆逐戦車1個中隊(4号駆逐戦車ラング装備)だ。
筆者は独軍を担当する。


今回は守備側なので米軍の出方に対応することになる。米軍は我が左翼(写真の下側)を突く姿勢を見せたので、町を守る歩兵中隊から2個を左翼に向けた。また最前線に突出している駆逐戦車中隊は、3個小隊のうち2個小隊を後退させて守りを固める。


対戦車砲を集中配備したのが間違いだった、損害を避けるために分散配備しておけば、航空攻撃の一撃で壊滅することはなかっただろう。





その後米軍は歩戦連合による近接突撃を続ける。独軍は懸命に反撃を行うが、ここにきて戦闘や士気チェックの出目が悪い。独軍歩兵中隊1個が戦闘力を失って後退。これで独軍の右翼が破られた。そこから突破を図る米軍と、それを阻止せんとするドイツ軍。
という所で時間切れでお開きとなった。
という所で時間切れでお開きとなった。

全10Turn中6Turn途中で終了。
米軍有利の状況。
プレイ時間約4時間
米軍有利の状況。
プレイ時間約4時間
感想
正直な所、このまま続けても勝てないと思う。心残りは先にも書いた対戦車砲の配置の他、駆逐戦車の射撃時にベテランによる右シフトと対戦車車両による右シフトを完全に失念していたこと。これを適用していれば、米戦車の損害がもっと増加したと思うが、残念である。
全般の感想

やや近接突撃が有効過ぎるように思う。防御射撃がやりにくい(リアクションマーカーが置かれているユニットのみが防御射撃を実施でき、1度しか実施できない)ので、突撃部隊の接近が容易。突撃前に攻撃側はモラルチェックが必要だが、モラル値が8とか9とかあると、成功率が高い。歩兵の移動力も5と大きめなので、敵歩兵の射程距離外から一気に接近して突撃に持ちこむことも可能である。例えばCompass社のCSSのように一旦敵に隣接してから、次のTurnに突撃を実施できる、といったような制約を設けた方が良いようにも思える。(1Turn=12~15分なので、突撃前に一時停止があっても不自然はないだろう)
もう1点。小隊規模のゲームながらモラルチェックが中隊単位なので中隊規模のゲームのような感じのゲームをプレイしている感覚になる。確かにユニットは小隊規模なのだが、小隊が集まって行動するので中隊規模のゲームと同じようなプレイ感覚になる。
最大の問題点は完全版の和訳ルールが未だ未整備であることだろう。その点については個人的に本作の和訳ルールを作成したいと思うのだが、なかなか時間が取れないで・・・。
とまあ気になる点ばかり書き連ねたが、今まで戦車同士の撃ち合いばかりが着目されてきた小隊規模戦術級陸戦ゲームの世界で、歩兵戦闘の重要性を表現できている点は感心した。さらに歩兵を制圧するための砲兵の重要性も旨く表現されており、その点はリアルに感ずる。戦車戦自体はかなりアッサリとしているが、本作についてはそれで充分である。
シリーズとしても整備が進んでおり、戦場やシナリオも多彩である。今後の展開が楽しみなゲームシリーズの1つだ。

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