海軍水雷史

海軍水雷史刊行会

大東亜戦争時(太平洋戦争)における日本海軍の水雷について扱った著作である。1000ページ以上にも及ぶ大作で、大きく分けると「兵器」に関する部分と「制度、組織、用兵及び戦史」に関する部分に分けられる。扱う分野は「兵器」は魚雷、機雷、爆雷、「制度、組織、用兵及び戦史」については水上艦艇、航空雷撃、潜水艦、対潜戦、機雷戦、特攻作戦等に触れている。旧海軍の水雷戦についてはバイブル的な著作で資料的価値は大きい。また実際に水雷戦に関わった人たちの赤裸々な思いが綴られている著作でもある。旧海軍軍人の著作なので旧海軍に対する評価が甘く、特に戦果判定についてはかなり甘目の判定であることは否めない。
個人的に興味を惹いたのは、米海軍の魚雷に対抗する魚雷妨害装置に関する記述と、対潜戦に関する記述である。特に後者は「米潜水艦にやられっ放し」という評価が一般に定着しているため、筆者たちの「憤懣やるかたない」思いが伝わって興味深い。

お奨め度★★★★