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「海空戦、南太平洋1942」の概要については-->こちらを参照して下さい。
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前号まで

真珠湾攻撃シナリオである。史実通りだと一方的すぎるので、史実をややアレンジし、仮想戦とした。すなわち米側の防御態勢を史実よりもやや強化し、さらに実際には真珠湾近海にいなかった「レキシントン」や「サラトガ」機動部隊も真珠湾近海にいたものとする。従って日本軍にとっては、史実よりもやや厳しい状況としている。

第1Turn。日本軍はほぼ史実通りの攻撃編成で真珠湾に襲い掛かった。しかし戦果は史実を遥かに下回るものとなり、戦艦5隻が中小破したに過ぎなかった。それに対して米艦隊もすかさず反撃を実施する。偶々ハワイ北方を遊弋中の米空母2隻から攻撃隊が発進する。米空母機の攻撃によって南雲機動部隊は空母「蒼龍」「飛龍」が中小破した。

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12月8日

0200

開戦2日目である。雨雲が南下し、ハワイ諸島一帯を覆った。日本軍の作戦も実施が難しくなった。このまま真珠湾が雨雲に覆われれば、同地への攻撃が不可能になる。日本空母艦上では攻撃隊の準備を行いながらも、天候の回復を待った。

0600

雨雲はさらに南下し、ハワイ諸島一帯から去った。これで真珠湾に対する航空攻撃が可能になる。しかし
その前に両軍とも索敵機が敵艦隊の姿を求めて飛び立つ。
先に敵を発見したのは日本側であった。

「敵空母ミユ。位置ハ我ノ東方180海里」

この報告を筆頭に敵艦発見報告が相次ぎ、米艦隊はハワイ北北西150～180海里に展開していることが明らかとなった。日本艦隊からの距離は180～240海里。頃合いの攻撃距離である。直ちに真珠湾に対する攻撃は中止。準備中の艦爆隊はただちに米艦隊向けて飛び立った。
一方の米軍、こちらも索敵機を放っていたが、未だ敵空母発見の報告がない。実は米索敵機の一部は日本機動部隊の至近距離を通過していたのだが、運が悪かったのか、または索敵機搭乗員の技量不足のためなのか、敵発見を報じるには至っていない。

そうこうしている間にも日本側の攻撃隊が米艦隊上空に迫ってきた。零戦22機、艦爆63機の計85機からなる攻撃隊だ。やむを得ず米艦隊は準備中の攻撃隊を艦内に収容し誘爆を回避する一方、手持ちの戦闘機全機(計68機)を発進させてこれを迎え撃つ。またハワイ方面から応援に駆け付けたP-40戦闘機16機も迎撃に加わる。4倍近い数の米軍機に囲まれて零戦隊は善戦し、3機の損害と引き換えに6機のP-40を撃墜したが、全ての米戦闘機を阻止することはできなかった。艦爆隊がF4F、F2A、そしてP-40らによる猛攻を受け、約半数が防衛網を突破できずに撃墜破された。
何とか防衛網を突破した36機の99艦爆は、眼下に見える敵空母めがけて急降下爆撃を敢行した。米艦隊は激しい対空砲火でこれを迎え撃つ。6機が撃墜され、3機が被弾したが、残りは「エンタープライズ」めがけて次々と爆弾を投下した。250kg8発以上が「エンタープライズ」に命中した。大損害を被った「エンタープライズ」は辛くも沈没を免れたが、もはや風前の灯である。
日本軍の損害は、戦闘機3機、艦爆21機が失われ、戦闘機2機、艦爆11機が被弾損傷した。空母に帰投した時に使用可能機は、出撃の約半数である戦闘機18機、艦爆31機の計49機に過ぎなかった。

続いて飛来したのは、「加賀」「瑞鶴」の混成編隊である零戦18機、艦攻36機からなる攻撃隊である。この攻撃隊は空母「サラトガ」を中心とする第3機動部隊を攻撃目標とした。F4F、F2A計28機がこれを迎え撃つ。ここでは零戦隊が善戦し、艦攻隊は1機も失わずに輪形陣上空に突入した。艦攻36機が「サラトガ」を包囲するように攻撃する。6機が対空砲火の犠牲になったが、残りは次々と魚雷を発射した。5本以上の魚雷が「サラトガ」に命中した。4万トン近い巨艦「サラトガ」もこれだけの魚雷の打撃には耐えられない。「サラトガ」沈没。「サラトガ」は洋上戦闘で初めて航空攻撃のみによって撃沈された大型艦となった。

最後の攻撃隊は、「赤城」「翔鶴」の混成編隊で、零戦13機、艦攻36機よりなっていた。米軍は12機のF4Fでこれを迎え撃ったが、零戦の防衛ラインを突破できなかった。攻撃目標となったのは、またもや空母「エンタープライズ」を中心とする機動部隊である。日本軍は目標を2手に分け、半数の18機が「エンタープライズ」を狙い、残り18機が重巡「チェスター」を狙った。行動能力を失っていた「エンタープライズ」は魚雷回避の術がなく、数本の魚雷を食らってハワイ近海にその姿を没した。また重巡「チェスター」は2本の魚雷を受けただけであったが、そのうちの1本が「チェスター」の機関部を破壊した。動力を失った「チェスター」は復旧の見込みがなくなり、被雷から約1時間後に「エンタープライズ」の後を追った。

米軍の索敵機がようやく日本空母の姿を捉えたのは、「サラトガ」が致命傷を受けて沈没に瀕していた正にその時であった。真珠湾の西北西240海里の地点である。オアフ島各地に展開していた米陸軍及び海兵隊の攻撃隊が日本空母を目指して飛び立っていく。海兵隊のSBD/SB2U艦爆36機、米陸軍航空隊のB-17、A-20が計27機である。
最初に飛来したのは米陸軍航空隊である。零戦の迎撃を受けてA-20の半数が爆弾を投棄したが、残り半数のA-20とB-17が「翔鶴」を狙って爆弾を投下した。A-20の投じた600ポンド爆弾1発が「翔鶴」に命中した。「翔鶴」の被害は比較的軽微であったが、それでも艦の戦闘力は着実に弱められていった。

続いて飛来したのが海兵隊のSBD/SB2U計36機である。零戦18機がこれを迎え撃ったが、全てを阻止することはできなかった。対空砲火も艦爆3機を撃墜し、低空から迫ったSB2U 9機を撃退するのが精一杯であった。1000ポンド爆弾4発が「翔鶴」を直撃した。「翔鶴」は大破したものの、辛くも沈没を免れた。

1000

西へ向けて退避を図る日本機動部隊を唯一生き残った米空母「レキシントン」が追う。
第1波攻撃隊はF2A-3バッファロー戦闘機8機に護衛されたSBDドーントレス艦爆18機である。この攻撃隊は「レキシントン」の西方240海里に日本機動部隊を発見。攻撃を開始した。零戦の迎撃を受けて護衛のバッファローは全滅に近い損害を被ったが、ドーントレス隊は零戦隊の迎撃を突破して空母「加賀」に対して急降下爆撃を敢行する。激しい爆撃。しかしドーントレス隊は「加賀」の巧みな回避運動に阻まれて命中弾を得られなかった。そして対空砲火でドーントレス隊は3機を失った。

第2波攻撃隊は、第1波と同じくバッファロー8機、ドーントレス18機の計26機である。彼らの狙いは空母「赤城」であった。首尾よく迎撃網を突破したドーントレス隊は「赤城」を狙って急降下爆撃を行う。9機が「赤城」を狙って爆弾を投下。1弾が「赤城」に命中した。飛行甲板に発進準備中であった零戦18機と97艦攻9機が誘爆炎上する。「赤城」の損害は致命傷ではなかったが、戦闘能力は大きく減少した。

別のドーントレス9機は「赤城」に寄り添って対空砲火を打上げている新鋭空母「瑞鶴」を狙う。2弾が「瑞鶴」に命中した。「瑞鶴」の艦上で待機中の零戦18機、97艦攻18機が誘爆炎上する。「瑞鶴」の被害は深刻で、航空機発着能力は完全に失われ、最大速度も18ノットまで低下した。

最後にオアフ島を発進したA-20攻撃機18機とB-17爆撃機9機が日本艦隊を襲う。上空に零戦の姿はない。A-20は唯一無傷で残った大型空母「加賀」を狙って低空から爆撃を敢行。B-17は速度の低下した空母「翔鶴」にトドメを刺すべく侵入する。「加賀」を狙ったA-20は、対空砲火によって3機が撃墜された。600ポンド爆弾1発が「加賀」に命中したが、幸い攻撃直前に「加賀」は艦載機を緊急発進させた後であったため、「加賀」の被害は比較的軽微であった。B-17は「翔鶴」を狙ったが、命中弾を得られなかった。

「加賀」を緊急発進した攻撃隊は零戦18機、艦爆18機からなる攻撃隊である。彼らは米艦隊を発見したが、それは彼らが求めていた空母機動部隊ではなく、戦艦2隻を中心とした水上打撃部隊であった。戦闘機24機の迎撃を受けて零戦6機、艦爆3機が撃墜された。また艦爆6機が爆装を投棄して退避。残った艦爆9機が軽巡「セントルイス」めがけて爆弾を叩き込む。しかし惜しいかな爆弾は外れ。

(つづく)