
Task Forceという名前のゲームは多い。日本では有名な日本機動部隊の英語名はTask Forceだし、同じ空母戦を扱ったツクダホビーのゲーム群はTask Force シリーズと呼ばれている。
今回紹介するSPI社のTask Force(以下、本作)は、1981年に発表された現代海戦ゲームだ。デザイナーは、Joseph M.Balkoski。日本でもよく知られているフリートシリーズのデザイナーでもある。本作はフリートシリーズと同じく現代海戦を扱ったゲームである。本作とフリートシリーズの違いを比べてみると、Balkoski氏の現在海戦に対する考え方の変化を感じることができて興味深い。
本作の基本システムはブラインドサーチである。有名なAH社のMidwayと同じようなシステムだ。Midwayと違って現在海戦を扱った本作の場合、潜水艦によるパッシブ索敵やヘリにより遠隔索敵に重点が置かれている。またMidway海戦で主役を務めた空母及び空母艦載機については、本作ではあくまでも脇役的な扱いになっている。ハッキリ言って本作での空母は「弱い」。ミサイルに狙われたらただの的に過ぎない「木偶の坊」である。フリートシリーズにおける無敵ぶりは、本作では全く異なる。
今回、YSGAの例会で本作を対戦プレイしてみた。以下はその概要である。
フェロー諸島沖海戦
NATOとソヴィエト連邦の水上艦艇同士が北海で激突する。NATO側は英海軍のカウンティ級やブリストル級といったミサイル巡洋艦を中心に英海軍5隻(2CG、3DD)、西ドイツ駆逐艦2隻、デンマーク、オランダ各1隻の計9隻である。後で気づいたのだが、この中でハープーン対艦ミサイルを8発搭載した西ドイツ駆逐艦「ロンメル」、オランダ駆逐艦「トロンプ」、そしてデンマークのフリゲート艦「ペダー・スクラム」が最も強力で、最も脅威度の高い目標だと気が付いたのは、ゲームが終わった後であった。ソヴィエト海軍は、モスクワ級ヘリ空母を基幹とし、ミサイル巡洋艦3隻、駆逐艦3隻、フリゲート艦3隻の計10隻である。隻数ではソヴィエト側が勝っているが、ご存じの通りスラヴァ、キーロフ、ソブレメンヌイ級が登場する以前のソ連艦はミサイル装備で西側に劣っており、対艦火力の面でハープーン8発を備えた西側の新鋭汎用駆逐艦には抗しえなかった。
筆者はソヴィエト側を担当。結果は惨憺たるもので、ピケット艦として艦隊前面に展開していたヘリ空母「モスクワ」がNATO水上部隊のミサイル攻撃を受けて轟沈。その後もNATOペースで戦闘は進み、わが方は敵を発見できないまま対艦ミサイルにたたかれっ放しであった。敗北

ノルウェー海海戦
中級シナリオである。両軍とも輸送船を伴った水上部隊が登場し、NATO軍はノルウェーを、ソヴィエト軍はフェロー諸島を目指す。ソヴィエト軍は水上艦6隻と輸送船5隻、潜水艦3隻が登場。NATOは水上艦9隻と輸送船5隻が登場する。筆者はNATOを担当する。このシナリオでは潜水艦の強力さが際立った。最初に別行動していたノルウェー海軍のオスロ級フリゲート3隻が潜水艦の攻撃を受けて全滅。その後は両軍とも敵の哨戒線を突破して目的地へ到着。両軍の水上部隊の間で小競り合いがあり、英海軍の駆逐艦が損傷したが沈没は免れた。一方潜水艦を持たないNATO軍は有効な索敵手段を持たないのでソヴィエト艦隊を発見できない。
結局両軍とも輸送船団は無傷で目的地にたどり着いたが、艦艇の損害の差がものを言ってソヴィエト側の勝利に終わった。
ハッキリいってこのシナリオはバランスが悪いと思う。敵潜水艦に対抗する手段がほとんどないのだから。

グアンタナモ撤退
ここまで来たら最後は上級シナリオを、という訳で選んだのはこのシナリオ。超大型空母「サラトガ」を主力とする米艦隊が、グアンタナモ港から米本土に向けて撤退しようとするのをキューバに布陣するソヴィエト・キューバ連合軍が追撃する。米軍の兵力は空母「サラトガ」と護衛艦艇6隻(4DD、2FF)。連合軍はソ連の水上艦3隻とキューバのミサイル艇10隻、そしてソ連の潜水艦3隻だ。筆者はソ連・キューバ連合軍を担当する。
このシナリオは今までになく楽しいシナリオであった。グアンタナモから出航して米本土を目指す「サラトガ」機動部隊をあの手この手で虐める。「サラトガ」からは艦載機が発進してソ連・キューバ連合軍の水上部隊を攻撃するが、空母1隻の全攻撃兵力を投入してオーサ級ミサイル艇1隻に手こずるというは一体どういうこと・・・?。その間、ソヴィエトの潜水艦が米艦隊を痛めつけて弱らせる。十分に弱体化したところで連合軍の水上部隊が米機動部隊をミサイルの射程距離に捉えた。計40発の対艦ミサイルが米機動部隊に襲いかかる。
最初にフリゲート艦「ポール」に対艦ミサイル3発が命中。「ポール」は轟沈する。駆逐艦「ルース」にも5発が命中して「ルース」は沈没。駆逐艦「パターソン」には2発が命中して中破。最後にSS-N-14魚雷ミサイルが空母「サラトガ」に殺到。2発が「サラトガ」の船体水線下に命中して「サラトガ」は右傾斜。「サラトガ」の航空機運用能力が失われる。

とまあこんな感じでお開きにした。
まとめ
今から40年近く前のゲームなので、現在の視点から見ると色々とアラが見えるのは事実だ。例えば重量500kg強のハープーンと重量6,000kgのSS-N-12(P-500バザーリト)が1発あたりの威力が全く同じだとか、射程500km以上のSS-N-12がハープーンよりも射程距離が短いとか、原潜とディーゼル潜水艦の違いが殆ど無視されているとか、空母艦載機が弱すぎるとか・・・。そういった意味で現時点でプレイしてみる価値があるゲームがどうかは微妙である。現在ならより優れたゲームシステムである「フリートシリーズ」が容易にプレイ可能なのだから。ただし本作には見るべき点もある。例えば対艦ミサイルシステム。作戦級ゲームでありながら1発単位で命中判定を行う対艦ミサイルシステムは貴重である。例えばフォークランド紛争時のミサイル戦を再現するのであれば、本作のシステムの方がフリートシリーズよりも納得感を持ってプレイできるかもしれない。またルールを単純化するために無理やり単純化した部分についても、例えばCRTを作るとか、D10を採用するなどといった改造を施すことで現在に耐えうるシステムに生まれ変わるかもしれない。
そういった意味では、ルール改造の手間を惜しまないプレイヤーならば一見の価値がある作品であると思う。
そういった意味では、ルール改造の手間を惜しまないプレイヤーならば一見の価値がある作品であると思う。


コメント