世界の傑作機No.182 ホーカーハリケーン
文林堂
ホーカーハリケーンは評価の難しい機体である。明らかに旧式な設計なので、零戦やメッサー、スピットファイアよりも劣る機体と見なされることは間違いないのだが、ではどの程度劣っているのか。P-40やP-39といった機体との比較ではどうなるのか。あるいはP-36、バッファローといった機体と比べた場合は・・・。
本書はそのハリケーンを扱った著作だ。本書を読んでも上記の問いに対する答えは出てこないが、考えるきっかけにはなるかもしれない。少なくとも頑丈で火力に優れたハリケーンは、「必要な時に必要な場所で必要な数が得られた」稀有な戦闘機であったことが本書を読めば理解できる。決してハリケーンは単なる駄作機ではなく、英国にとって「必要不可欠な」機体であったことは間違いない。
なお本書についてだが、機体解説や戦歴等、読む所は結構多く、さらに写真も豊富で見ているだけでも楽しくなるような作品であった。価格がやや高めなのが難点だが、これは同シリーズ全てに言えることで、本作だけの問題ではない。ハリケーンという戦闘機に興味があれば、一読してみる価値はあるだろう。
お奨め度★★★
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