(タイトルは出来の悪い火葬戦記風にしてみましたが、なんか訳のわからないタイトルになってしまいました)
エチオピアの内戦に端を発したエチオピアとジブチの対立は、遂に米ソ仏の大国を巻き込んだ大規模な海上戦に発展した。狭い紅海で激突する米ソ仏の艦隊。米艦隊の放つ巡航ミサイル「トマホーク」と空母「レンジャー」の艦載機はソマリア島のソ連軍航空基地を壊滅に追い込んだ。さらにソマリアを目指す空母「キエフ」の艦隊に対しても米艦載機による攻撃が反復され、巡洋艦2隻を撃破する等の戦果を収めていた。明けて今日は戦闘開始から2日目の朝を迎えようとしている。果たして紅海やアデン湾の制海権を得るのはソ連軍なのか、あるいは米仏合同軍なのか?。
第4ターン:戦略航空作戦
両軍の水上艦がアデン湾ゾーンに集中したため、この空域が戦略航空任務の焦点となった。米仏軍はここにMirageF1と偵察機2枚を投入。ソ連軍は最早戦闘機が残り少ないために偵察機のみの単独強行偵察を試みた。このソ連軍の「カミカゼ」偵察が思わぬ成功を収め、米空母部隊に「戦略索敵」マーカーを乗せることに成功した。米仏軍の索敵は予定通り行われ、2個のソ連水上艦隊にそれぞれ「戦略索敵マーカー」を乗せた。第4ターン
ミサイル艇が戦果を上げた。フランス機動部隊に密かに接近していたエチオピア海軍のミサイル艇が、約50海里の距離からP-15 Termit(SS-N-2 Styx)対艦ミサイルを一斉に発射した。フランス艦隊の防空網を突破したミサイル群は、その数発が駆逐艦「ジャンパール」に命中した。大爆発を起こした同艦は暖かい紅海に沈没した。米仏合同軍の報復は空から行われた。空母「レンジャー」を発進した攻撃隊が軽空母「キエフ」を中心とする機動部隊に襲い掛かった。爆弾を抱えたA-6とF-18の編隊は激しい対空砲火を掻い潜って目標に突進。巡洋艦「アドミラル・イサチェンコフ」(クレスタ2型)に数発の爆弾を命中させてこれを撃沈し、他に輸送船にもステップロスの損害を与えた。
その後も紅海での攻防戦は続き、仏潜「カサビアンカ」がエチオピアのミサイル艇隊を撃滅して「ジャンパール」の仇を撃ち、米仏水上艦隊の対艦ミサイルがソ連の駆逐艦とフリゲート艦を各1隻撃破していた。ソ連軍もアデン基地から爆装したSu-24を発進させ仏機動部隊を攻撃。対空砲火によって1ステップを失ったが、フランス駆逐艦1隻を撃破した。大きな損害を被ったフランス艦隊は米艦隊と合流し戦力の立て直しを図った。
第5ターン 「キエフ」撃沈
ソ連のソコトラへの輸送船団は約半数を失ったが残りがソコトラ島に辿り着いた。船団護衛の任務から解き放たれた空母「キエフ」と随伴する2隻のスラバ級巡洋艦は、アデン湾へ戻りつつ長距離対艦ミサイルを発射した。その1発が米駆逐艦「ヘイラー」(スプルーアンス級)に命中し、これを撃沈した。またアデン基地を発進したSu-24とエチオピア空軍のMig-23からなる混成編隊が通常爆弾でフランス機動部隊を急襲。先ほどの攻撃で傷ついたフランス駆逐艦「デュケーヌ」を撃沈した。米仏軍の方は原潜「マイアミ」の雷撃で巡洋艦「マーシャル・ウスチノフ」(スラバ級)を撃沈、仏原潜「カサビアンカ」はイエメン海軍のミサイル艇を始末した。また「カールビンソン」の艦載機が「キエフ」艦隊にトドメをさした。第1波(F-14,F-18,A-6,EA-6)攻撃隊は迎撃に舞い上がってきたイエメン空軍のMig-21を撃破し、第2次大戦型のやり方で「キエフ」艦隊を攻撃した。巡洋艦「チェルボナ・ウクライナ」(スラバ級)は爆撃を受けて轟沈。「キエフ」も甚大な被害を被った。第2波はステップロスしたF-18わずか1枚という編成であったが、最早単艦となった「キエフ」の対空砲火は悲しいほど弱かった。F-18の編隊は微弱な対空砲火を突破して次々と爆弾を「キエフ」に命中させた。多数の爆弾を浴びた「キエフ」は、間もなく横倒しになり沈没していった。
第6ターン(最終ターン)
米軍の輸送船団は全く無傷で目的地に到着した。揚陸部隊も全く無傷のままジブチに対する揚陸作戦を成功させた。船団護衛任務を解放された米空母機動部隊は、アデン付近を遊弋するソ連駆逐艦隊に対して攻撃隊を放った。しかしその攻撃隊はアデンを基地とするSu-27の防衛線を突破できず、爆弾を投棄して帰路についた。一方ソ連軍は傷ついたフランス艦隊に最後の爆撃を敢行。フランス海軍に残った唯一の駆逐艦「デュゲイ・トルーアン」に多数の爆弾を命中させてこれを撃沈した。両軍の損害
ソ連軍
完全損失 :軽空母×1、巡洋艦×3、駆逐艦×1、PCS×2、輸送船×1、Mig-21×1、Mig-23×1、Yak-36×1ステップロス:フリゲート艦×1、輸送船×4、Mig-23×1、Su-24×1、Tu-16D×1、Il-38×1
米仏軍
完全損失 :駆逐艦×4ステップロス:原潜×1、A-6×1、F-18C×1
勝利条件
ソ連軍は輸送船実質3ユニットと補給艦船3ユニットが輸送に成功し48VP、敵に与えた損害20VP。合計で68VP。米仏軍はソコトラ島航空基地破壊で8VP、輸送船3ユニット到着で30VP、ジブチ揚陸作戦成功で39VP、敵に与えた損害で24VP、バベルマンデブ海峡への潜水艦によるプレゼンスで4VP。合計で105VP。
米仏軍のVPからソ連軍のそれを引くと37VP。勝利条件表に当てはめると、米仏軍の「辛勝」という結果に終わった。
感想
米仏軍辛勝という結果になったが、このシナリオはソ連側の方が難しいように思う。主力となる水上部隊が紅海とアデン湾で2分され、強力な「キエフ」機動部隊も護衛兵力が弱体なために耐久力に乏しい。西側の航空機、潜水艦、水上艦の三位一体の攻撃を受ければ、「キエフ」艦隊が生き残るのは極めて難しい。今回のシナリオでソ連側のミスは、まず第1にソコトラを目指す輸送船団がソコトラへ直行しなかったこと。米空母機の攻撃を恐れて一旦アデンのCAP圏内に逃れたというのが真相だが、遅かれ早かれ米空母機の攻撃は避けられない。それならば下手な迂回行動などは行わず、可能な限り早くソコトラへ向かう。ソコトラ輸送が終了すれば「キエフ」艦隊も護衛任務から解放されて行動の自由を得る。そうすれば少しは生き残るチャンスが出てくるかも知れない。
もう1点ミスを挙げるとすれば、ジブチのフランス軍航空基地を最初に叩いておかなかったこと。確かにジブチを叩いてもVPにはならない。しかしここを根城とするフランス空軍のMirageF-1とAtlantic哨戒機を地上に釘付けにすることができれば、2日目の戦略航空作戦が極めて有利になる。攻撃機の損害を恐れて好機を逸したのが原因だが、2波、あるいは3波程度の攻撃で敵基地を無力化することができるので、ここはやっておきたい所であった。
このシナリオは、紅海、アデン湾という狭い海域に両軍の強力な艦隊同士が激突するという極めてブラッディなものである。その分展開が派手で面白い。フリートシリーズで空母撃沈はなかなか発生しないイベントだが、今回は久々にその劇的な場面を見ることができた。ソロプレイやっていても「面白い」と感じることができる好シナリオだと思う。
「第5艦隊」というゲームについての感想については、今までのフリートシリーズ同様に「プレイアブルに現在海戦を楽しめる好ゲーム」ということになる。また本ゲームはシナリオの充実さも特筆すべきであり、これらの中級シナリオが単なる「キャンペーンをプレイするための練習台」ではなく、単体のゲームとしても十分に楽しめるものである点は評価したい。
細かい点だが、第5艦隊では前作第7艦隊からCRTが微妙に違っている。全般的に「弾が当たりやすくなっている」。例えば90火力のコラムではダイス目で2つ攻撃側が有利になっている。それ以下のコラムでもしかりで、例えば第5艦隊の14-18火力は、第7艦隊の21-28火力の同等である。その分各ユニットの火力も小さくなっているのだが、例えば対艦ミサイル力や爆撃力、あるいは雷撃力はほぼ従来通りなので、これらの兵器による攻撃は今までよりも派手な結果を生みやすくなっている。
対艦ミサイルといえば、このゲームから「大外れ」ルールが導入された。これは目標判定のダイスが0又は9の場合、「大外れ」とみなして対艦ミサイルによる攻撃が著しく不利になるというルールである。このルールのお陰でCRTが有利になった分の増分がかなり緩和されたとみなすこともできる。ただ、このような「屋上の上に家を建てる」ようなルールが果たして適切なものなのか否かについては、疑問なしとはしない。
「第5艦隊」というゲームについての感想については、今までのフリートシリーズ同様に「プレイアブルに現在海戦を楽しめる好ゲーム」ということになる。また本ゲームはシナリオの充実さも特筆すべきであり、これらの中級シナリオが単なる「キャンペーンをプレイするための練習台」ではなく、単体のゲームとしても十分に楽しめるものである点は評価したい。
細かい点だが、第5艦隊では前作第7艦隊からCRTが微妙に違っている。全般的に「弾が当たりやすくなっている」。例えば90火力のコラムではダイス目で2つ攻撃側が有利になっている。それ以下のコラムでもしかりで、例えば第5艦隊の14-18火力は、第7艦隊の21-28火力の同等である。その分各ユニットの火力も小さくなっているのだが、例えば対艦ミサイル力や爆撃力、あるいは雷撃力はほぼ従来通りなので、これらの兵器による攻撃は今までよりも派手な結果を生みやすくなっている。
対艦ミサイルといえば、このゲームから「大外れ」ルールが導入された。これは目標判定のダイスが0又は9の場合、「大外れ」とみなして対艦ミサイルによる攻撃が著しく不利になるというルールである。このルールのお陰でCRTが有利になった分の増分がかなり緩和されたとみなすこともできる。ただ、このような「屋上の上に家を建てる」ようなルールが果たして適切なものなのか否かについては、疑問なしとはしない。
さて、次回は久々に対人戦レポートです。