以前に紹介しましたが、「ソロモン夜襲戦」のシナリオを作りました。タイトルは「タスクフォース34-サンベルナルディノ海峡沖海戦」。です。1944年10月。レイテ湾を目指す栗田艦隊がサンベルナルディノ海峡突破直後にリー中将率いる第34任務部隊と交戦したという想定で描く架空シナリオです。
シナリオの背景
以下はシナリオシートからの抜粋です。「1944年10月下旬、連合軍は中部フィリピンのレイテ島に上陸した。「アイ、ハブ、リターンド」、マッカーサーの復讐戦、フィリピン奪回戦の開始である。一方、フィリピンを最後の決戦場と定める日本海軍は、レイテ沖の米輸送船団に痛打を与えるべく連合艦隊の殆ど全部を出撃させた。世に言うレイテ沖海戦の開幕である。
日本艦隊の主力は戦艦5隻を基幹とする栗田部隊である。栗田部隊は潜水艦と航空機による数次に渡る攻撃を受け、大きな損害を被っていた。しかし生き残った艦艇は連合軍の攻撃を排除し、10月25日未明にはサンベルナルディノ海峡を抜けサマール島東岸に達しようとしていた。
25日早朝、日本艦隊はサマール島近海で米護衛空母群と不意に遭遇した。この遭遇戦は日本艦隊にとって不本意なものであったが、連合軍にとっても衝撃的な出来事となった。
「栗田艦隊は前夜までの空襲で壊滅的打撃を被って退却中」
彼らはそう信じていた。だからレイテ湾口の封鎖線を解き、主力全艦艇を率いて北方に現れた新たな敵、オザワの機動部隊に襲いかかろうとしていたのである。米軍は日本軍の仕掛けたワナにはまったのだ。
このシナリオは、米軍が史実よりもやや慎重だった場合を想定した仮想シナリオである。すなわち米軍は水上部隊の大半と空母の一部を割いてサンベルナルディノ海峡沖で待機。オザワ部隊の追跡は空母群の主力と一部の巡洋艦のみで行ったという想定である。」
上の戦力は一部「ウソ」が入っています。まず「武蔵」はこの時点では既に沈没しています。でも折角の日米艦隊決戦。世界に誇る「大和」型戦艦はやっぱり揃い踏みして欲しいものです。そこで今回はシブヤン海で「武蔵」の代わりに「長門」に犠牲になってもらい(どこかで聞いたような設定です)、あと2隻ほど駆逐艦にもご退場願いました。
実際に編成されたTF34は、上記よりもさらに強力なものでした。戦艦数こそ同じ6隻ですが、巡洋艦はあと4隻加わって計7隻、駆逐艦は10隻加わって計18隻です。しかしこれだけの兵力を全部参戦させてしまうと、兵力の差が大きくなり過ぎてしまって日本側に勝ち目がなくなってしまいます。日本軍には「武蔵」を加えることによって少しだけ戦力底上げを図りましたが、より両者のバランスを確実にするため、米軍の戦力はTF34全戦力から史実のデュボース隊を引き抜いた戦力としました。やや苦しい設定ですが、これは「ハルゼーが麾下の兵力を2分し、オザワ追撃に向かうミッチャーにも少しばかりの水上打撃部隊を分けてあげた」結果であるとお考え下さい。
セットアップ
日本軍はマップの西端付近に4列縦陣で配置しました。左右両翼に水雷戦隊を配置し、中央左列に重巡戦隊、中央右列に戦艦戦隊という布陣です。対する米軍はフリーセットアップ。ただしマップDに配置が固定されているので日本艦隊との距離はまだまだ遠いです。指揮能力
日本軍はBランク、連合軍はAランクで心持ちBに近い所にしました。具体的な指揮値は日本軍が8、連合軍が12です。それからこのシナリオには両軍とも大規模な戦艦部隊が登場してくるので、戦艦同士のフォーメーションを部分的に認めることにします。勝利条件
今回は両者の戦術目的を勝利条件に反映することにしました。両軍とも敵に与えた損害でVPを確保する他、日本軍は生き残った味方艦のうち東端の盤上に達した艦について何らかの勝利得点を与えることにします。損傷艦については日本側に厳しいVP判定としました。何故なら制空権を完全に奪われている日本軍の場合、重大な損傷はそのまま死を意味するからです。余談
とまあ、こんな風な編成になりましたが、実は米艦隊の編成にはもう1つプランがありました。それは米軍の戦力をアイオワ級2隻を含む新鋭戦艦4隻とし、その代り巡洋艦群を充実させて日本艦隊と戦わせるというものです。この際に米軍側には是非「ボルチモア」級の重巡を参加させてみたいと思っています。個艦の水上戦闘能力においては日本の重巡に劣る所の多い米重巡ですが、この「ボルチモア」は違います。その重装甲と強力な主砲火力は、中遠距離の砲戦において日本の重巡を圧倒できるだけの能力を秘めています。レイテの戦場で「ボルチモア」と日本重巡戦隊の対決を是非再現したいと思うのは、私だけではありますまい(私だけかな?)。実際の所、「ボルチモア」級の重巡が栗田艦隊との直接対決の場に姿を現した可能性は非常に低いです。何故なら栗田と対決を企図していた米TF34の中に「ボルチモア」級の姿はなかったのですから。しかしそこは状況をデッチ上げて、「ボルチモア」「ボストン」「キャンベラ」の3兄弟に栗田艦隊と戦ってもらいたいものです。
余談の余談
米重巡といえば、主砲威力について迷っています。一部の艦が搭載した8インチSHSは、従来の砲弾よりも2割ほど重く、その分貫通力も大きかったそうです。今まで米重巡の主砲については、その長砲身を加味して日本艦よりもやや長めの射程距離を与えてきました。今回もしSHSを再現するとなると、その主砲威力を増す代わりに射程距離を日本艦並に戻すことになるでしょう。それでも威力の増した主砲は、近距離砲戦であれば「金剛」の舷側装甲を苦もなく撃ち抜く威力を秘めています。8インチSHSを搭載したのは、「ウィチタ」「タスカルーサ」そして「ボルチモア」以降の新鋭艦です。これらの艦は今までシナリオで登場する機会がなかったのでSHSについても考える必要があまりなかったのですが、もし「ボルチモア」を登場させるとなると、SHSもゲームに登場させて見たくなりますね。