もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2006年08月

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「翔ぶが如く」読み始めました

司馬遼太郎氏の長編小説「翔ぶが如く」を読み始めました。文庫本全10巻(約3000ページ)に及ぶ大作で、ようやく第2巻を終えた所です。
主人公は西郷隆盛。彼が征韓論に敗れ、故郷に帰って私学校を創設し、やがて西南戦争に及び、最後は鹿児島の城山でその最期を迎えるまでを描いた長編小説です。登場人物は西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文、江藤新平、板垣退助、大隈重信、桐野利秋、西郷従道、谷干城、乃木希典、等等という錚々たる顔ぶれで、彼らが明治初期の日本を舞台に一大活劇を演じる訳です。

司馬遼太郎氏の小説の中では「坂の上の雲」に似たタイプだと言えます。特定の主人公を設定しながらもその人物だけに囚われず、当時活躍していた歴史上の人々を小説の舞台に登場させて氏独自の歴史観で描いていくという手法です。また小説と言いながらもある程度歴史的事実を踏まえた構成になっている点も「坂の上の雲」に似ています。

実は私がこの小説を読むのは今回で2度目です。だから細部は忘れていても大筋はかなり覚えているものです。しかし本書はそんなことは関係なしに楽しめました。今の所は征韓論を巡る政治的な駆け引きが主なテーマなのですが、司馬氏は言葉では表現し難い政治的哲学を実に巧みに表現します。政治をテーマにした小説で、これほど面白いものを私は未だに読んだことがありません。

少し苦言を呈すると、似たような話が何度も何度も繰り返し出てくる場面があります(例えば「頭が痛い時は桐野の話を聞け」とか「西郷が渡海部隊指揮官として推挙するのは、まず板垣退助、次に桐野利秋」等)。雑誌連載という関係なのかも知れませんが、やや興ざめしますね。まあ本書の面白さから比べれば、この程度の瑕は殆ど問題にならないのですけど・・・。

私の西郷隆盛感

私個人的には西郷隆盛タイプの人物をあまり好きではありません。何か「精神論」的な臭いを感じ、軽快さに欠けるような気がするのです。そういった意味からは西郷の取り巻き連中(桐野利秋、江藤新平等)にもあまり魅力を感じません。私的にはどちらかといえば西郷よりも(技術屋的雰囲気の強い)大山巌、バストーニュに包囲された第101空挺師団を思わせる谷干城、公廨ながらキナ臭さ満点の岩倉具視あたりに思い入れを感じてしまいます。

西南戦争とウォーゲーム

本書の主要なテーマは言うまでもなく西南戦争ですが、ウォーゲームの世界で西南戦争をテーマにしたアイテムはあまり見かけませんね。かつて季刊時代のTacticsに「田原坂」という西南戦争をテーマにした戦術級?ゲームがついたことがありましたが、私の知る限りこれ以外に西南戦争をテーマにしたゲームを私は知りません。

西南戦争でゲームをデザインする場合、戦術級、作戦級、戦略級というのが考えられますが、戦術級の場合「キャラクター性」という点でやや弱いので魅力には乏しく、作戦級の場合も史実における薩軍の作戦行動があまりに稚拙であったために「まともな」作戦級をデザインしても史実との乖離が気になってしまう展開になりそうにも思います。となると残るは戦略級ですね。これも単純に「明治政府vs薩軍」という図式でデザインしてしまうと、物量差がものを言うだけの一方的な展開になりそうなのでパス。それよりも西南戦争を明治時代初期における旧士族と新政府との激突として捉え、プレイヤーを新政府軍と西郷に代表される反政府勢力に設定します。新政府軍の目的は「富国強兵」。対する反政府勢力の目的は「新政府の軍事的打倒」とします。そのために両者は政論を戦わせ、世論を誘導し、軍事力を強化し、反乱の実施/鎮圧に努めます。この方式であれば様々なキャラクターをゲームに登場させることができるので、キャラゲーとしての魅力も期待できます。誰か作ってみませんか?。

評価★★★★

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のんびり山歩き 山小屋ガイド  中田真二 学習研究社

本屋に立ち寄った時、何気なく買ってしまいました。
山小屋を中心とした山ガイドです。扱っている領域は北アルプス、南アルプス、八ヶ岳、富士山、丹沢、尾瀬、秩父連山等で、首都圏からアクセスできる山がメインです。従って北海道、東北、関西、九州等の山は扱われていません。それぞれの山域に位置する主要な山小屋について、展望、設備、食事等の良否が5段階評価されていて、それぞれの山小屋についての特徴がわかりやすく把握できるようになっています。山域に含まれているすべての山小屋を紹介してる訳ではないので「辞書」的な使い方にはやや不便を感じますが、山小屋を利用する際の指針の1つとしてはそれなりに役に立つのではないでしょうか。

評価★★

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(写真)見張台から見た赤石岳


少し間が空きましたが、今回が南アルプスレポートの最終回です。

3日目(つづき)

椹島への下山路については樹林帯の中を歩くだけのある意味「つまらない」登山が続きます。歩き始めて1時間ほどで「見張台」と呼ばれる景観の良い場所に出ます。正面に赤石岳がどーんと見えます。さらに1時間ほど下ると「清水平」と呼ばれる水場に出ます。ここで乾いた喉を潤し、冷たい水で顔を洗います。

(写真)見張台の景観
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ここからは後は降りていく一方。所要時間は2時間ほどです。最初は順調に高度を下げていったのですが、椹島まであと1時間という所で正規コースから大きく外れた道を歩くことになりました。とはいってもコースミスをした訳ではなく、先日来の集中豪雨によって正規ルートの渓谷道が流されてしまったそうです。中部電力用の保安道沿いに臨時のコースが設定されていたのですが、これがまた歩き難いのなんの。「あと1歩でゴール」という場所で岩場登りや整備されていない悪路を歩くはさすがにきつかったです。誰もいない山の中でしきりに悪態をつきながら、ようやく山を越えて正規のルートに戻りましたが、その時は精神的にかなり参っていました。

(写真)正規ルートを外れた山道。ゴール目前でこんな岩場を登っていくのは結構辛い
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(写真)大井川に架かる吊橋。ここを越えればゴールは目前だ
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大井川沿いの渓谷を歩き、保安用道路に出て、炎天下の道をしばらく歩くと、ようやく眼前に椹島ロッジの看板が見えてきました。ロッジに降りる林道を歩き、売店の前に到着したのは1215です。千枚小屋からの所要時間は5時間弱。コースタイム5時間40分よりは短時間でしたが、最後に正規ルートを外れた時にはコースタイムを30分以上上回ってしまいました。

(写真)椹島ロッジ手前の看板。本当に「おつかれさま」だよー。
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帰宅

1300発のバスにはまだ少し時間があったので、ロッジの食堂で山菜うどんを食べました。味のほうはまあとにかく、ここへ来てようやく「人間の住んでいる世界」に帰ってきたという実感がわきました。

(写真)椹島で食べた山菜うどん
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(写真)椹島ロッジの風景
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1300発のバスに乗って1時間ほどで畑薙第1ダムに着きます。自家用車に乗り換えてます。途中の温泉に寄り道し3日間の汗を流しました。温泉を出たのは1500頃。途中寄り道をしたり渋滞に巻き込まれたりしながら、家に辿り着いたのが2030頃でした。

まとめ

2泊3日、歩行距離約40km、累積標高差+3000/-3000m。今回の山旅は昨年夏に南アルプス北部を歩いた時に匹敵する過酷なコースでした。危険個所はあまり多くありませんが、悪沢岳への登り下りは注意を要する場所です。中級以上なら問題ありませんが、完全な初心者は避けた方が無難でしょう。登山路は比較的良好に整備されています。コースを示す赤ペンキもハッキリと書かれているのでコースミスの危険性は小さいと思います。ただ正規コースの一部が水害によって使えなくなっているのは予想外でした。そのために千枚小屋コースの所要時間が長くなっています。

このコースは途中に山小屋や避難小屋が数多くあり、その点は安心できます。各小屋の正規収容人数はそれほど多くないのですが、各小屋とも別館のようなものがあり、それらを利用するとかなり多くの人数を収容できるみたいです。それでもシーズンになれば登山者が多く集り、稜線上の山小屋はいずれもかなり混雑します。

今回食料はカロリーメイトとビスケット類、そしてレトルト食品を持参しました。火器も携行しました。水は2.5リットル携行したのですが、これはやや多過ぎたみたいです。荷物の総重量は約12kg。容積的には中型ザックでほぼ満杯になる量でした。

今回の成果は南アルプス南部の3000m級峰3座(悪沢岳、荒川岳、赤石岳)の制覇です。目的は達成し、その結果私は日本百高山の2~13位を制覇しました。そうなってくると日本第1位の高峰=富士山未踏破なのが気になる所です。富士山は決して「登りたい山」ではないのですが、それでも1つだけ残しているのは精神衛生上よろしくありません。次の山登りは一つ富士山でも狙ってみましょうか。

満足度90%

今年の夏は高校野球を見たり聴いたりする機会が多かったのですが、その時感じたのは、

点の入る試合が多いこと
大逆転が多いこと

例えば今日のこの試合

4-8で負けていて、9回表に一挙に8点とる帝京もさることながら、
今度は8-12から9回裏に5点とってサヨナラにする智弁和歌山もなんだかなー。

一昨日に駒大苫小牧vs青森の試合で6点差をひっくり返した駒大苫小牧がすごかったのですが、
今日の試合を見ていると、そんなの可愛いものですね。

プロの世界でもこんな大逆転を演じて欲しい今日この頃なのですが・・・。

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(写真1)千枚岳頂上から撮った朝日。うーん、もう少し光って欲しいなあ
(写真2)同じく赤石岳を撮ります。こうして見るとさすがは南アルプスの盟主ですね
(写真3)悪沢岳
(写真4)千枚小屋へ降りていく途中に見る原生林の風景です


3日目

山小屋の朝は早いです。午前3時頃になると周囲がガサガサといいはじめます。私も0330頃に起床。準備を整え、0400過ぎには小屋を後にしました。まだ外は暗いのでヘッドライトを頭につけて道を照らしながら歩き始めます。目指すは千枚岳頂上。千枚小屋からはコースタイム45分の場所にあります。日出は0500頃なので、それまでに千枚岳山頂に到着し、山から登る朝日を撮りたいと思っています。
朝からいきなりの運動は結構キツいものがあります。普段だったらアホらしいので絶対そんなことはしないのですが、山に来たら普段の常識とは違った行動原理が自分を支配するようです。

「太陽を撮りたいから朝飯を取らずに薄暗い山道を45分間歩く」

こんな馬鹿げたことができるのも、山に来たからこそです。
喘ぎ喘ぎ登り、千枚岳頂上に辿り着いたのは0445頃でした。辺りはかなり明るくなっています。幸い天候は良いようです。三脚を立てて東の空を狙い、やがて登ってくるであろう朝日を待ちます。
日出は0457。残念ながら空はややガスがかかっているらしく、光るような朝日にはなりません。それでも朝日を狙って数枚写真を撮りました。昨日午後の悪天候とは打って変わり、周囲の山々も綺麗に見えています。正面には昨日歩いてきた赤石岳が南アルプスの盟主として相応しい貫禄ある姿を見せています。その右手には荒川岳、さらにその右手前には悪沢岳の姿が見えます。悪沢岳へ向かう登山路には、早くも多くの登山者が頂上目指して歩いています。北に目を向けると、すぐ近くには塩見岳(3047m)が見えます。私にとっては未だ踏破していない3000m級峰の1つである塩見岳は、いつか制覇したい山の1つなのですが、山麓までのコース設定が悩ましい山です。塩見岳の右手には、日本第2位の高峰である北岳(3193m)を初め、間ノ岳(3189m)、農鳥岳(3026m)といった南アルプス北部を代表する山々が見えます。これらの山々は昨年夏に制覇し、そのことはかつてここでも紹介しました。
「富士山は?」
という声が聞こえてきそうですが、富士山は雲に隠れて見えませんでした。頭の部分だけちょっこと見えてますが。

山頂でお湯を沸かし、レトルト食品とコーヒーの朝食を取ります。山頂部で2時間ほど時間をすごしました。周囲の景観を見ながらノンビリと時間を過ごすのは、最高の贅沢です。今回は下山までの時間に余裕があるので、先を急ぐ登山者達の背中を見ながら優雅な時間を過ごすことができました。

千枚岳頂上を後にしたのは0700頃。20分程時間をかけて千枚小屋に戻ってきます。ここでトイレを済ませて少し休憩。0730頃から椹島へ向けて長い下山を開始しました。


今回のコース


千枚小屋-->千枚岳(朝食)->千枚小屋

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