もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2006年08月

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(写真1,2)荒川岳へ登る途中に見たお花畑
(写真3)荒川岳頂上付近の分岐路に立つ道標
(写真4)荒川前岳頂上から見た崩落部
(写真5)荒川岳から悪沢岳へ続く縦走路。ここまで来てまたもやアップダウン・・・。
(写真6)悪沢岳から千枚岳へ至る最後の難関。足を滑らせて落ちたら・・・。


2日目(つづき)

涼しい山の空気を感じて30分程ノンビリし、再び山道を歩き始めます。ここまでは赤石岳からずっと下りだったのですが、ここから荒川岳までは再び登る一方になります。稜線を歩いていると降りたり登ったりで「あーあ、折角これだけ高度を稼いだのに勿体無いなあ」と思うことがしばしばあります。まあ仕方がないことですけど・・・。
荒川岳までの登りは花畑の中を歩いていきます。名前はわかりませんが、黄色や白い高山植物が一面に咲いていて登山者の目を楽しませてくれます。登山路の斜度も丁度良い感じであり、それほど疲労を感じることなく標高を稼いで行きます。朝から晴れていた空模様は、この時間になると雲が覆われてきました。「青空と山」を撮る分には残念なことですが、山を歩く立場からすれば炎天下に照らされるよりも歩きやすくて良いです。ちなみにこの一帯では、晴天が期待のは午前10時までで、それ以降はどうしても暖かいガスの影響で雲に覆われてしまうそうです。これはこの一帯に限らず山の景観全般についての傾向なので、「山岳写真は朝が勝負」というのも頷けます。

お花畑の斜面を1時間半ほど登り、荒川岳(3083m)の頂上に辿り着いたのは1200頃でした。荒川前岳下の大崩落を見ます。横で写真を撮っていたオッサン曰く。「ここはもう来年はないでしょうね」だそうです。崩落してなくなっているということでしょう。荒川岳頂上付近に立つ中岳避難小屋に行きます。当初の予定では、今日は中岳避難小屋泊まりを考えていましたが、時刻はまだ12時。もう少し頑張って千枚小屋まで行っておけば、明日の行程が楽になります。問題は千枚小屋の「混み具合」ですが、途中ですれ違った登山者の話によると「今日は千枚小屋、空いているらしいよ」とのこと。これなら大丈夫かな、と思いました。
もう1つ気になるのはこれから向かう悪沢岳の天気。一番怖いのが雷で、3000m級の山で雷雲に巻かれると非常に危険です。すぐ目の前に見える悪沢岳の頂上はガスに覆われていて「好天」とは行きません。避難小屋の管理人に話を聞いてみたところ、「今日の天気は大丈夫」とのこと。これで千枚小屋まで頑張るコトに決めました。

避難小屋を出ると山道はまた下りになります。100m程標高を下げ、稜線上の狭い道を歩いていきます。足下は切り立った断崖。足を滑らせたらまず助からないな、という山道です。今回のコースで一番危険度の高い個所でしょう。
悪沢岳に取り付くと、急な斜面が待っています。途中何箇所かは岩登りのような場所もあります。「三点姿勢」を意識しつつ、一歩一歩確実に上っていきます。

悪沢岳山頂に辿り着いたのは1315頃でした。標高3141m。本邦第6位の高さを誇る山ですが、今日は周囲がガスに包まれていて視界は効きません。仕方なく水を飲み、少し休憩し、また再び歩き始めます。悪沢岳頂上から中岳までは歩き難いガレ場のような所を歩き、そして再び狭い山道に出ます。千枚岳(2879m)に至る道は殆どが下り道なのですが、千枚岳手前で再び急峻な岩登りがあります。ここを慎重にこなし、千枚岳の頂上に出たのが1450頃でした。相変わらず周囲はガスに覆われています。この千枚岳が今回の山旅で最後のピークになるのですが、今は全く視界がありません。折角ここまで来たのにこれではいかにも残念です。かくなる上は、明日の早朝に再びこの千枚岳頂上に登ることにしよう。そう決意しました。

千枚岳からの下りは比較的歩きやすい道になります。歩き始めるとすぐに樹林帯の中に入って行き、後は千枚小屋まで樹林帯の中をひたすら歩きます。植生限界が高いのが南アルプスの特徴で、おかげで高い高度でも比較的歩きやすいのは助かります。その分山岳景観といった意味では植生限界の低い北アルプスの山々に比べると今ひとつ見劣りするというのが私の実感です。

千枚小屋に辿り着いたのは1520頃でした。「空いているよ」という情報に反して宿のオヤジの話によると「今日も満員」だそうです。しかも昨日よりもまだ宿泊者は多いとのこと。本館はもう満杯なので、別館の「月光荘」という所に案内されました。結局今日も「1人0.5畳」ということになりそうです。

今日の所要時間は10時間20分。途中で食事や休憩、あるいは写真撮影の時間を除いた実質的な歩行時間は多分9時間弱です。昭文社「山と高原地図」によると、今日のコースタイムは約12時間。「俺って結構すごいのかも」と少し自信を持ったりしましたが、実は昭文社の設定したコースタイムが、実は南アルプス深部では少し甘めに設定されているようです。そういえば昨日も低い所から上がってくる時にはほぼコースタイムに等しい時間を要しましたが、ある程度の標高を超えた後は拍子抜けするぐらいアッサリと目的地に着いたりしていました。

千枚小屋の夕食は1700から。私は到着が遅かったので1800からになりました。メニューは唐揚、サラダ、豆腐、味噌汁等。これも贅沢なものではありませんが、味は悪くなかったです。ここで感心したのは「ご飯が美味しいこと」。山小屋での食事は、副菜類はとにかく、ご飯はたいてい「べちゃべちゃ」状態のことが多いのですが、ここではちゃんとした「ふっくらご飯」でした。山でふっくらご飯が食べられるとは思っていなったので、ちょっと特をした気分です。

消灯は2000。気になる蒲団スペースは、運良くかなり広めに取る事ができました。「1人0.5畳」ではなく「1人1畳」状態です。これは全員がそういう訳ではなく(団体客は「1人0.5畳」でした)、部屋割りの関係でたまたまこのような状態になったそうです。とにかく予想外に快適な居住空間を確保できたので、その日はぐっすり眠ることができました。


今回のコース


荒川小屋->荒川岳->悪沢岳->千枚岳->千枚小屋(泊)

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つづく

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(写真1)富士見平から見た朝の赤石岳
(写真2)小赤石岳直下のお花畑
(写真3)赤石岳頂上にて記念撮影
(写真4)小赤石岳の肩から見た縦走路。中央付近に見えるのが荒川小屋
(写真5)同じく小赤石岳の肩から見た荒川岳から悪沢岳へ伸びる稜線


2日目

前夜は2000消灯だったのですが、狭い睡眠スペースその他でなかなか寝付けませんでした。それでも2度程目を覚ますことはありましたが、結局は朝になるまでそれなりの睡眠を取れたように思います。
朝0400頃起床。食事は0430から。トイレ等を済ませて0500に赤石小屋を出発します。まだ薄暗い登山道ですが、ヘッドライトを使うほどではありません。薄暗い山道を30分ほど登ると見晴らしの良い稜線に出ます。「富士見平」と呼ばれる場所で、赤石岳、荒川岳、悪沢岳といった今日向かう山々がハッキリと見えます。天候は晴れ。今日は気持ち良い登山ができそうです。

富士見平からの登山道は狭い稜線沿いの道になります。足を滑らせるとそのまま滑落というような狭い場所もあり、慎重を要する個所もあります。ただしアップダウンはそれほどありません。1時間ほど歩いて清流が流れる水場に出ます。周囲は黄色や白い高山植物が咲き乱れる桃源郷です。冷たい水で喉を潤し、青空をバックにした花畑の姿を写真に収めます。

ここからは花畑の中をひたすら登っていきます。つづら折の山道を少しづつ高度を稼いでいくと、眼下に見えている水場が次第に遠くなってきます。花畑を越えて視界の効く高さまで上がると、そこが赤石岳の分岐点です。左に向かうと赤石岳から聖岳方面へ向かう道が続き、右は荒川岳、悪沢岳へ続く道になります。右へ向かう道が本来のコースなのですが、その前に赤石岳のピークを取っておきたいので、少しコースを外れて行きます。

20分程歩くとそこが赤石岳の頂上です。標高3120m。本邦第7位の高さです。ここからは南アルプス南部の山々が一望に出来ます。南に見える大きな山が聖岳(3013m)。本邦最南端の3000m峰です。その右手に兎岳(2818m)、大沢岳(2819m)等が見えます。北に目を向けると、すぐ近くに小赤石岳(3081m)、その向こうに荒川岳、悪沢岳といった3000m級の山々が見えます。赤石岳頂上に辿り着いたのが0745。ここで20分程時間を過ごし、山上からの景観を堪能します。

登ってきた道を逆行し、分岐点を過ぎて本来のコースに戻ります。30分程歩くとそこが小赤石岳の頂上です。振り返ると先ほど過ごした赤石岳の頂上が良く見えます。
小赤石岳頂上で少し時間を過ごし、さらに北に向かいます。小赤石の肩を越えると砂上の急斜面に出ます。ここを下ると大聖寺平に出ます。左手に広河原方面への道が続いていますが、そちらに向かう人の姿はありません。正面にはこれから向かう荒川岳の姿が次第に大きくなってきました。その右手の見えるはずの悪沢岳山頂付近には、早くもガスがかかっています。

谷間の緩やかな斜面を30分程降りると、荒川小屋につきます。標高は2650mぐらいで、赤石岳頂上からは400m近く降りたことになります(勿体無い)。時刻は1000。ここで少し時間を取り、昼食や水の補給を行います。昼食はカロリーメイトとビスケット。山の食事はとかく味気ないものになりがちですが、これは仕方のない所。山小屋ではもう少しマシなものを食べさせてくれるので、普段の食事は携行性重視で行きましょう。


今回のコース


赤石小屋(朝食)->富士見平->赤石岳->小赤石岳->荒川小屋(昼食)

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(写真1)椹島のキャンプ場。南アルプス南部の登山基地です。
(写真2)赤石小屋。今日は宿泊客で満杯状態でした。
(写真3)赤石小屋の夕食。これで\2000は高いですが、ここまで材料を持ち運ぶ手間を考えると仕方がありません。


1日目

とにかく出発。椹島ロッジを出るといきなり赤石岳へ向かう鉄製の階段があります。それを上りきると急な登山路。体がまだ馴染んでないから急な斜面はきついきつい。景観のない樹林帯の中を登っていくだけなので、写真もなければ書くこともありません。とにかくしんどいだけです。それでも最初の1000mぐらいはそれなりに順調で着実に標高が増えていくので充実感を持って登ることができました。2度ほど休憩し、食事をしたり、冷たい水を飲んだり・・・。

標高2000mを越えたあたりからかなり疲労が濃くなってきました。1歩1歩が足が重い。標高2400m付近に小ピークがあるのですが、そこに辿り着くまでが辛かった。小ピークに着いたのは1230過ぎで、椹島から歩き始めてから3時間以上経過していました。ここから赤石小屋まであと一息。かなり苦しい状態でしたが、なんとか歩き続けました。
目の前に人工物が見えてきたら、そこが目指す赤石小屋です。時刻は1320。椹島から歩き始めて4時間と少しが経過していました。コースタイムが小ピークを過ぎてからここまでは思ったよりも楽でした。コースタイムは5時間30分なので、それに比べると1時間以上短縮できたことになります。先週までの「訓練」の成果が出たのかな?。
(こう書くと、いかにもアッサリ登ったように感じるかも知れませんが、登っている途中は結構辛かったんですよ)

当初予定していた千枚小屋が「満員」ということでこの赤石小屋を初日の宿に選んだのですが、こちらもかなり混んでいました。20人ぐらいの団体が1~2組入っているらしかったです。その為でしょうか、1人当たりの睡眠スペースは1/2畳。これはかなり狭かったですね(横のオッサンが寝返りを打ってくるので肘で突き返しました)。夕食は魚のフライと酢の物とケンチン汁。贅沢なものではありませんが、決して不味いものではなかったです。山小屋での食事としては美味しい部類と考えて良いでしょう。ケンチン汁が美味しかったです。

山小屋から少し登った場所に見晴らしの良い景勝地があります。天気が良ければ荒川三山を一望にできるはずですが、残念ながら周囲の山々にはガスがかかっていてその姿を見ることはできませんでした。


今回のコース


椹島->赤石小屋(泊)

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(写真1)南アルプス縦走路から見た荒川岳(手前)と悪沢岳(右奥)
(写真2)畑薙第1ダムの臨時駐車場
(写真3)椹島ロッジ
(写真4)東海フォレスト自慢の「リムジンバス」。これがリムジンバスねえ・・・。

先日、夏休みを利用して南アルプス方面へ縦走登山に行ってきました。これまで高尾山両神山、そして前回の日光男体山と体力強化に努めてきた私にとって、今シーズン一番の大勝負といって良い本格的な登山です。そこで今回から数回に分けて南アルプス縦走登山についてレポートします。

行き先

今回登ったのは南アルプス南部の山々です。俗に「荒川三山」と呼ばれる山々で、悪沢岳(3141m)、荒川岳(3083m)、千枚岳(2890m)、そして赤石岳(3120m)といった3000m級の山々が聳える日本有数の山岳地帯です。南アルプスの山々は北アルプスに比べると登山口までのアプローチが長く、それなりの日数を必要とします。今回チャレンジした南アルプス南部も、登山口となる椹島(さわらしま)までは、JR静岡駅からバス2本乗り継いで5時間近くを要するという不便さです。極端な話、登山口までのアプローチや登山口からの帰宅だけで丸1日を要するということになります。
今回予定していたコースは、以前に紹介した「悪沢岳、赤石岳縦走ルート」です。行程は前夜車中泊+山中2泊3日です。

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登山口まで

夜21時頃出発。途中コンビニで行動食を買い込み、東名高速に乗ります。東名富士川SAに到着したのが22時30分頃。今晩はここで仮眠します。翌日は4時に起床。簡単な準備を済ませてすぐに出発します。清水ICで高速を降り、安倍川沿いに北上し、途中から山道に入って行きます。富士見峠を越え、井川ダムの上を越えて大井川上流域を北上していきます。睡眠不足の朝にこの山道は結構厳しい。時折睡魔に襲われながらも、缶コーヒーを無理やり飲み込んだりしてゆっくりゆっくりと北を目指します。
バスの乗換え口となる畑薙第1ダムに到着したのは0650頃でした。自家用車が入れるのはここまで。ここからは東海フォレスト自慢の「リムジンバス」に乗り換えて椹島を目指すことになります。バスの発射時刻まで時間があったので、朝食をここで食べ、さらにトイレも済ませておきます。
リムジンバスの発車は0800。バスは畑薙第1ダムを後にし、大井川上流沿いの急峻な渓谷を抜けて椹島を目指します。途中何箇所かに吊橋や地下式発電所があり、「山に着たんだな」という気持ちを盛り上げてくれます。さらに奥地に入っていくと、車窓からは聖岳や赤石岳といった南アルプス南部を代表する3000m級の山々も見えてきます。天気は快晴。気持ち良い登山が期待できそうです。

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急遽予定変更

椹島に到着したのは0900頃。ここからいよいよ登山が始まります。当初は以下の予定を考えていました。

椹島->千枚小屋(泊)->悪沢岳->赤石岳->赤石避難小屋(泊)->椹島

しかし東海フォレストのバス運転手が、さかんに「千枚小屋は一杯だよ、寝られないよ」と脅かすものだから、小心者の私はすっかりビビッてしまいました。そこで急遽コース変更。今日は赤石小屋まで登り、翌日は赤石岳と荒川三山を縦走して中岳避難小屋あたりで宿泊、3日目は椹島まで降りてきて午後のバスで帰路につくというようにしました。このコースの難点は3日目の行程が長いこと。特に中岳避難小屋から下山を開始した場合、椹島までコースタイム通りだと10時間もかかってしまうということです。椹島からの最終バスが1400発なので、もしそれに乗り遅れたら椹島ロッジで1泊しなければなりません。それはそれで構わないのですが、時間とお金が勿体無かったので、できれば最終バスで帰りたい所です。

行き先は一応南アルプス。
今晩から3泊3日の予定です。
帰ってきたらまた報告します。
それではごきげんよう。

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