コンポーネント
発売予告があった時から注目していたSix Anglesの「戦略級・日露戦争」ですが、先日東京方面へ出かける機会があったので、CMJやGJの最新号と一緒に購入しました。\7140。高いか安いか?。少なくともコンポーネント的にはそれだけの価値がありそうです。マップはA1サイズのフルマップ2枚。1枚はメインマップです。東はウラジオストックから西は旅順・錦州、北は吉林から南は仁川まで、要するに満州平原の大半、朝鮮半島中北部、そして極東ロシアの一部が含まれています。エポックの「日露戦争」が遼東半島を中心にマップ化したのに比べて、こちらはかなり広範囲を扱っていることがわかります。

もう1枚のマップは海戦ディスプレイを配置するものです。他にミニゲーム用のマップも含まれています。マップ2枚を広げておくスペースがない場合はミニゲームだけを楽しむことも可能みたいです。

ユニットシートは4枚。駒数は約400個です。陸軍は1ユニットが師団・旅団、艦艇は巡洋艦以上が1ユニット1隻、駆逐艦、水雷艇は1ユニット1隊です。私の大好きな吉野級防護巡洋艦もちゃんとユニット化されています。ただ能力はかなり低めです。
高砂3-1(攻撃-防御)、吉野2-1で、新型の千歳(3-2)や笠置(3-2)に負けているのは仕方ないとしても、旧式の浪速(4-1)や高千穂(4-1)に負けているのは許せん・・・・。あっ、また些細なことにこだわってしまった・・・・。我ながら情けない・・・・。他に興味を引くのは両軍の指揮官がユニット化されていることで、大山巌、東郷平八郎、乃木希典、マカロフといった有名どころはとにかく、何故か一介の師団長・旅団長に過ぎないコンドラチェンコやミシチェンコ、あるいは秋山好古がユニット化されています(選択ルールで使用するみたいです)。

ルール
ルールブックは実質16ページ強で、他にQ&Aが2ページ弱、日本語版改訂ルール等が5ページ、練習用ミニゲームが1ページです。全部合わせて24ページですから、量的には「中級ゲーム」といった所でしょうか。ルールは「海戦ルール」と「陸戦及び統合ルール」に大別されています。海戦ルールだけで5ページありますから、海戦ゲームだけを切り取って遊ぶこともできそうです。
陸戦ルールは活性化、移動、補給、戦闘、スタック、防御陣地、要塞等があります。興味を引いたのが活性化で、ユニットは活動する時には何らかの形でダイスチェックに成功する必要があるみたいです。先ほどの指揮官駒は、この際の活性化チェックに関係ありそうです。
その他、海上封鎖、機雷、バルチック艦隊、戦費調達、鉄道線、ロシア海軍歩兵、攻城砲等のルールがあります。興味を引いたのは「18.7 旅順要塞における愚行」で、旅順要塞には2つの司令部が並列していて(ステッセルとスミルノフ、能力的には後者の方が優越)、どちらが指揮を執るか毎ターンチェックするみたいです。ちょっと面倒かな。
選択ルールには、日本語版追加ルール、バルチック艦隊の早期回航、鉄道の建設、ロシア革命の早期勃発、仁川沖海戦、講和会議等があり、選択ルールを全部組み込んでプレイすれば、日露戦争のほぼ全戦局を網羅できそうです。
日本語版選択ルールの中に「鎮遠と扶桑の砲撃力」というルールがあり、両艦の戦闘能力をオリジナル版よりも劣化させるルールが提唱されています。ついでに高砂、吉野の両艦についても「ちょっとだけ」戦闘力アップを図るというのも、アリかな・・・・?
感想
日露戦争全域を扱ったゲームというのが今まで本邦で発表されなかったのが不思議な気がします。エポックの「日露戦争」が偉大過ぎたのでしょうか?。そういった意味では本作には期待してみたい所です。このような昔の海外ゲームを入手しやすい形で日本語版として再販してくれるのは嬉しいことですね。発表が1977年とかなり古いゲームなのですが、Six Angles誌がわざわざ再販する程の作品です。きっと良いゲームなんでしょう。きっと・・・・。
ところで私にとってSix Anglesのゲームを購入するのは実は今回が初めてです。Six Anglesの作品は、本作以外にも「Kursk」とか「Dark December」とか「スターリングラード攻略」とか「ゼーロフ&キュストリン1945」とか面白そうな作品が揃っているので「欲しいな」と前々から思っていたのですが、「槍隊ゲーム」バッファが詰まっているのでこれまで手を出しかねていました。本作の感想如何によっては別の作品にも手を出してみようかと思っています(上記のゲームの大半が「絶版」なのは悲しいところですが・・・・)。