もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2007年08月

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モグラ駅探訪(2)-筒石駅

「鉄子の旅」というアニメ作品に刺激されて、全国の「モグラ駅」を訪ねてみました。前回は土合駅を紹介しました。今回は北陸線の筒石駅を紹介します。

筒石駅

もう1つのモグラ駅は北陸本線の筒石駅です。この駅は直江津から4駅、糸魚川からx駅の場所にあり、概ね両者の中間地点にあります。「鉄子の旅」でも紹介された通り、この駅はJR西日本の管区に入るため「土日切符」や「三連休パス」といったJR東日本特有のフリー切符が使えません。しかし私の場合は青春18切符なので、その点は問題なしです。

この駅は先ほどの土合とは違って上下線両方がトンネル内にあります。また土合は無人駅でしたが、ここはちゃんと駅員さんがいます。珍しい駅なので純粋に観光目当てでこの駅を訪れる人も多いようです。駅員さんに「この駅は初めて来ました」と伝えると、以下のような紹介パンフレットを頂きました。「鉄子の旅」でも紹介されていましたが、ここの駅員さんは皆親切です。

この駅は標高差が先ほどの土合よりも小さく、階段が300段弱、高低差が40mです。それでもかなりの標高差があります。覚悟を決めて登ればそれほどキツイ高低差ではないのですが、鼻歌交じりに登れるというほど楽なものではありませんでした。

この駅では待ち時間が1時間以上ありました。駅の周りにはこれといって見所はなく(歩いて約1kmほどで日本海に出ますが、暑い中往復2km(しかも坂道)を歩く気力はありませんでした)、仕方がないので地下駅の中でウロウロしていました。ホームの近くにはちゃんとベンチがあるので本を読みながら待つことはできます。時々特急列車がトンネル内を高速で通過するのですが、その時にトンネル内の気圧変化によってものすごい風が吹きます。退屈な1時間かと思ったのですが、地下駅の見物は思いの他楽しく、1時間はあっという間でした。

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筒石駅の外観。地上側はちっぽけなプレハブ小屋が建っているだけです

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地上側から地下へ向かう長い階段。この階段が筒石駅最大の「難所」です

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筒石駅の「横穴」。途中で直江津方面と富山方面に分岐しています

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ホームへ降りて行く階段。ホームの手前にはドアがあり、ホームと通路を遮断しています。

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ホームの風景。対面ホームには直江津行きが入線しています。列車が近づくと物凄い風が吹き、ホームに警報が鳴り響きます。

その他

今回紹介した以外にもいくつかモグラ駅はあるようです。今回行かなかった湯檜曽駅や、野岩鉄道の湯西川温泉駅等もモグラ駅ですね。機会を見つけて尋ねてみたいと思います。

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モグラ駅探訪

今、CSで「鉄子の旅」というアニメを放送してます。同名原作マンガのアニメ化らしいのですが、原作マンガについては私は未読です。内容は主人公の鉄道マニア=ヨコミさんと原作者でもあるキクチさんが、日本各地を鉄道で旅行するというモノです。それも単なる旅行ではなく、鉄道マニア(いわゆる「鉄」)ならニヤリとするような面白いコースが紹介されているので、旅好きの人、特に鉄道旅行が好きな人であればそれなりに楽しめる作品ではないかと思います。

さて、この「鉄子の旅」の第何話かで「日本全国面白駅探訪」のような企画を紹介していました。これはその名の通り日本全国の面白い駅を訪ね歩くというコースです。そこで紹介されていたのは、上越線の土合駅と湯檜曽駅、信越線の青海川駅と鯨波駅、そして北陸本線の筒石駅の5駅です。

そこで今回私は、その旅を参考にして面白駅をいくつか訪ねてみることにしました。私の場合、青春18切符を使う関係上上記5駅全てを回るのはちょっと難しい所があります。また、例の中越沖地震の影響によって青海川、鯨波の2駅については、現時点では列車の運行がなされていません。そこで今回は土合と筒石という2つの「モグラ駅」を尋ねてみることにしました。いずれもトンネルの中に駅があるという日本では珍しい型の駅です(地下鉄ではない)。

土合駅

土合駅は上越線で水上駅から2つ先にあります。谷川岳の登山口としての駅でもあり、利用者は「鉄」か登山者が殆どです(と「鉄子の旅」では紹介されていました)。この駅は上りホームと下りホームが大きく離れています。上りホームは地上にあり、普通の駅と変わらない佇まいです。一方の下りホームはトンネルの奥深くにあり、ホームと改札の間には500段近い階段があります。500段といってもピンとこないのですが、標高差が70mもあるそうで、かなり大きなビルの高さに相当します。

今回は時間の関係上、水上駅からバスに乗り、土合駅まで下車しました。そして長い階段を下りて行き、下りホームから列車に乗りました。トンネルの中は涼しく(少し肌寒いぐらい)、またガスが立ち込めていました。今回は約500段の階段を上ることはありませんでしたが、正直言えば「折角来たのだから登っておきたかったな」というのが本音です。

(つづく)

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土合駅前の風景。駅前はかなり広い駐車スペースがありしかも無料なので、私は谷川岳に上るとき等はここに車を停めたりします。

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駅から離れた高台から土合駅を見下ろす。下に見える駅が上り線のホームです。

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上り線のホーム。このあたりの風景は普通の駅と変わりありません。

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下りホームへ続く長い階段。狭い所や暗い所が嫌いな私ですが、この階段はどこか「秘密基地」めいた雰囲気があり、わくわくしました。

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下りホーム。地下駅の中は思いの他涼しく、むしろ少し寒いぐらいでした。

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「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介

今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちら

登場艦列伝 - 日本軍重巡編 バックナンバー


「高雄」(a)

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概説

「高雄」型は、「妙高」型に引き続いて整備された条約型重巡洋艦の第2弾です。基本的な仕様は前型と同じです。主な改正点は、主砲が20cmから20.3cmに強化され(「妙高」型も後の改装で20.3cm砲に換装されている)、主砲の仰角が最大75度まで引き上げられました。また雷装や航空艤装が変更され、その結果艦上構造物が大型化されました。そのため本型の艦容は「妙高」型とかなり異なったものになっています。「高雄」(a)は、開戦前の改造によって雷撃能力が強化された状態を示しています。この型に相当するのは開戦時の「愛宕」「高雄」の2艦のみで、「鳥海」「摩耶」にはこの改装は施されていません。開戦後は「愛宕」は一貫して第2艦隊旗艦としての任務につき、また「高雄」も「愛宕」と行動を共にすることが多かったです。そのため前線に出る機会はあまり多くありませんでした。主な戦歴は1942年11月の第3次ソロモン海戦で2艦揃って参加した他、1943年11月のブーゲンビル攻防戦、1944年6月のマリアナ沖海戦、同年10月のレイテ沖海戦に参加しています。

ゲームでの性能

性能は「妙高」型と完全に同一です。

シナリオでの扱い

シナリオ3,7に「愛宕」「高雄」が揃って登場します。いずれの場合も相手は新鋭戦艦。砲力でこれを打ち破ることは難しいので、魚雷の使い方が鍵になりそうです。キャンペーンシナリオでも2艦揃って登場します。他に本型が登場するシナリオはありません。仮想設定で本型が活躍できる場を想定すると、例えば1943年11月のブーゲンビル攻防戦があります。史実では米機動部隊の奇襲攻撃によって敵艦と戦うことなく退却を余儀なくされた「愛宕」「高雄」以下の第2艦隊ですが、もしこれがなければ我が第2艦隊と米新鋭軽巡部隊との交戦があったかもしれません。

「高雄」(b)

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概説

先にも記した通り、「高雄」型に属する4艦のうち、「愛宕」「高雄」の2艦は開戦前の改装によって雷撃能力が大幅に強化されました。しかし残った2艦「鳥海」「摩耶」にはそのような改装の機会がなく、比較的小規模な改装で開戦に臨みました。それが「高雄」(b)型です。「高雄」(a)との違いは雷撃装備で、発射管の数が片舷4門づつ。これは「高雄」(a)の半分です。開戦後「鳥海」「摩耶」は太平洋全域で活躍しました。「鳥海」は開戦後南遣艦隊旗艦としてマレー方面作戦を支援した後、第8艦隊旗艦として第1次ソロモン海戦に参加。その後もソロモン方面での中核艦として活躍しました。1944年10月のレイテ沖海戦では僚艦が次々と脱落していく中で奮戦し、最後はサマール島沖で米護衛空母群と激しい戦闘を繰り広げた後、力尽きて沈没しました。「摩耶」は南方作戦に参加、英駆逐艦を砲撃で撃沈。その後ソロモン方面で活躍した後、1943年にはアッツ島沖海戦にも参加しています。

ゲームでの性能

「高雄」(a)と同じですが、雷撃力が片舷4門づつになっています。

シナリオでの扱い

シナリオ2で「摩耶」が、シナリオ3,4,13,16で「鳥海」が登場します。特に第1次ソロモン海戦を扱ったシナリオ4では、「鳥海」は日本側最有力艦として登場し、その活躍が勝敗に大きく影響するのでしょう。

「高雄」(c)

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概説

1943年11月。ラバウル港に進出していた「摩耶」は、米空母機の攻撃で大きな損傷を被りました。その損傷復旧の際、高角砲、対空機関砲の増設、高射指揮装置の新設等が行われています。「高雄」(c)は本改装後の「摩耶」を示しています。主砲は20cm砲8門に減らされた他、雷撃兵装が「高雄」(a)と同レベルに変更されています。

ゲームでの性能

「高雄」(a)と同じですが、砲撃力は4-8-4になっています。世界有数であった主砲火力が、改造によって標準レベルになってしまいました。

シナリオでの扱い

シナリオでの登場機会はありません。史実でも活躍の機会が殆どなかったので、致し方ない所でしょう。

(つづく)

最悪の海軍記念日

takobaさんの自作空母戦ゲーム「帝海第3艦隊」のリプレイです。今回は標準シナリオ「最悪の海軍記念日」に挑戦します。選択ルールを除くすべてのルールを使用する本格的なゲームで、まさに「帝海第3艦隊」の真骨頂ともいうべきシナリオです。



第14ターン(10月27日午後)

北上を続ける米艦隊は、遂に日本空母をその砲戦距離内に捉えた。新鋭戦艦2隻を中心に、巡洋艦5、駆逐艦5からなる第64任務部隊は、距離30kmの彼方に軽空母「瑞鳳」を含む日本艦隊を捕捉したのだ。日本艦隊の兵力は、「瑞鳳」の他、重巡3、駆逐艦4で、戦艦を含む米艦隊の敵ではない。米艦隊はぐんぐん速度を上げて日本艦隊を追う。

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有力な米艦隊がガダルカナル北方160海里の地点で日本艦隊をつかまえた。新鋭戦艦の40cm砲が唸りを上げる

損傷した軽空母「瑞鳳」は10kt前後の速度しか発揮できなかったが、米軍が警戒してやや消極的な追撃戦を行ったため、敵に捕捉されることなく戦場を離脱することに成功した(まるでサマール沖海戦じゃ)。その後も米軍の追撃にはやや積極性に欠け(日本軍の魚雷を恐れた)、また砲撃精度も決して優れたものではなかった。巡洋艦以下の砲撃によって日本駆逐艦3隻を撃沈、戦艦の砲撃で重巡「熊野」「利根」を中小破させたが、圧倒的な兵力を持つ米艦隊としてはやや不満の残る結果となった。

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日本艦隊を追撃する米高速戦艦部隊。しかしこの海戦は米軍にとって甚だ不満足な結果に終わった。

「『瑞鳳』攻撃さる』

この報に接した日本艦隊は、付近を航行中であった前進部隊(近藤中将)に対し、米戦艦迎撃を命じた。高速戦艦4隻を中核とする日本軍水上打撃部隊は、夕闇が迫る洋上に米艦隊を捕捉した。「見敵必殺」の執念に燃える日本艦隊であったが、実は迎え撃つ米艦隊も戦意十分で待ち構えていた。ここに太平洋戦争初の戦艦同士の砲撃戦が幕を開けた。
日本軍16隻対米軍12隻。隻数では優位に立っている日本軍であったが、実質的な優劣はそれほど単純な話ではなかった。日本艦隊の主力である4隻の高速戦艦のうち、ほぼ無傷で戦闘可能なのは「霧島」「榛名」の2艦のみ。「金剛」「比叡」については午前中の航空攻撃によって少なからぬ損害を被っていたのだ。

最初はお互いに警戒して一定の距離を維持していた両軍艦隊であったが、第2ラウンドに米軍が一気に距離を詰めたことによって本格的な砲撃戦の幕が上がった。先手を取ったのは米艦隊。2隻の戦艦が「榛名」を狙って射撃開始。4発の命中弾が「榛名」を捉えた。「榛名」は構造物、船体に各1ヒットを被ったが、未だ戦闘力を保持していた。巡洋艦部隊は駆逐艦を狙い、駆逐艦2隻を撃沈、1隻を中破させた。日本軍の反撃。重巡5隻が米駆逐艦を狙って射撃開始。彼らは射撃戦技量の冴えを見せて米駆逐艦3隻を撃沈、1隻を中破させた。しかし唯一無傷で残った戦艦「霧島」は、米重巡を狙って射撃を開始したものの、1発の命中弾を得ることもできなかった。

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敵味方入り乱れて戦う両艦隊。

中途半端な状況に業を煮やした日本艦隊は、一気に勝敗を決するべく全艦に突撃を命じた。しかしこの行動はあまりに無謀だった。待ち構えていた米艦隊は、その全砲門を日本艦隊に向ける。「ワシントン」の砲撃で「榛名」轟沈。「サウスダコタ」は「比叡」を一撃で仕留めた。巡洋艦以下の砲撃で「妙高」「摩耶」が中小破し「長良」と2隻の駆逐艦が轟沈した。そのころからようやく日本軍の反撃も効果を発揮し始めた。日本重巡群の砲撃によって米重巡「ポートランド」「ペンサコラ」撃沈、重巡「サンフランシスコ」大破、戦艦「ワシントン」も小破し、駆逐艦数隻が撃沈されたのである。その後、米艦隊の攻撃によって戦艦「霧島」が撃沈され、重巡群にもさらなる損害が出たため、日本軍は戦闘を終了して戦場離脱していった。米艦隊はそれを追ったが、日本艦隊の逃げ足は速く、米艦隊の戦果は逃げ遅れた重巡「妙高」を始末しただけであった。

突然の幕切れ

とまあ、ここまで進んだ所で今回のリプレイは終了としました。日米両軍とも水上部隊の砲弾を撃ち尽くした上、航空兵力にも甚大な被害が出ていたためにこれ以上の交戦が不可能だと判断したためです。ここまでの両軍の損害を以下の通りまとめてみました。

日本軍

沈没:空母「隼鷹」、戦艦「榛名」「比叡」「霧島」、重巡2、軽巡1、駆逐艦8
大破:空母「瑞鶴」
中破:空母「翔鶴」、軽空母「瑞鳳」、戦艦「金剛」、重巡4、軽巡2、駆逐艦1
小破:重巡1
航空機:35ユニット

米軍

沈没:空母「ホーネット」、重巡2、駆逐艦6
大破:重巡1
中破:戦艦「ワシントン」、駆逐艦2
航空機:28ユニット

損害だけを見ると随分日本軍が「負けている」ように見えますが、これは最後の水上戦での損害が大きかったためです。最後の海戦は明らかに日本側の不手際による結果なので、もし日本軍プレイヤーが賢明であれば、あのような酷い結果にはならないと思います。

感想

標準シナリオをやり遂げました。なかなか面白かったです。最初に「ホーネット」が沈んだ時には、「これで決着がついたかな?」と思ったのですが、米艦隊がまさかの逆転劇を演じたことには私自身驚きました。
デザイナーズノートによると、このゲームの基本コンセプトは「3時間で完了する平易なルールのゲーム」とのことです。今回のリプレイは3時間どころか10時間近くかかってしまいましたが、これは記録を取ったり、ルールを確認したり、画像データを加工したり、を同時に作業していたためです。実際のプレイ時間がどのくらいになるのかは、地図の上に駒を並べて評価しなければわからないでしょう。従ってプレイ時間に関する評価については、今回は割愛させていただきます。
「平易なルール」については、個人差があるのでなんとも言えないのですが、このゲームのルールが「極端に難易度の高いものではない」ということは間違いないと思います。ただ3次元的な戦闘を再現する空母戦ゲームの常としてルールの量はそれなりに多くはなっています。もし今よりもルールを減らすことを目指すとするのであれば、例えば「爆装機に対して攻撃する時は空戦力+1」とか「敵駆逐艦を爆撃する時は爆撃力-2」といったルールを消去する、というのも1つの手かもしれません(その分の補正は爆撃機や駆逐艦の防御力に反映する訳です)。
このゲームで一番楽しい所は空対艦戦闘です。専用の戦術マップを使用し、攻撃側、防御側の航空機が入り乱れて戦う様は、実際の空母戦のイメージを見事に再現しています。デザイナーズノートによれば「平易なシステムで戦闘の雰囲気を再現したい」とのことでしたが、今回のテストを見る限り、その意図は十二分に達成されている、と考えて良いでしょう。
また「ランダムシーケンス」も評価したい所です。デザイナーズノートによれば「比較的大きな時間スケールの中で空母戦のスリリングな面を再現したい」ために採用した「ランダム-シーケンス」ですが、今回のリプレイではその「良い面」が出たように思います。1ターン約4時間という比較的大きなタイムスケールを扱いながらも、ランダムシーケンスのおかげで空母戦のスリリングな一面が無理なく再現できていると言う点は十分に評価したい所です。

(おわり)

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スミソニアン-現代の航空戦

ロン・ノルディーン 繁沢敦子訳 原書房

 ベトナム戦争から現代までの主な航空戦を解説、分析した著作です。本書で扱っているのはベトナム戦争(前期、後期)、第1次、第2次印パ戦争、イスラエルとアラブの戦い、アフガニスタンの戦い、米国とリビアの戦い、フォークランド紛争、イラン・イラク戦争イ、湾岸戦争、バルカン戦争あたりです。ベトナム、フォークランド、湾岸戦争といったあたりまでは日本でも結構メジャーなテーマなので情報もそれなりに豊富なのですが、イラン・イラク戦争や印パ戦争、あるいは意外と知られていないバルカン戦争等は情報が少なく、そういった意味で本書の記述は新鮮です。それぞれの戦いについて本書は、それぞれの戦いの概要を示すと同時に「分析」という項目を設けて参加当事者それぞれの空軍力の運用について解説を試みています。これらの記述に目を通すことで読者はそれぞれの戦いの概要を知ると同時に、それぞれの戦いの勝因や敗因等について考察を深めることができるようになっています。
 巻末には「1965年当時の航空機と兵器」「2000年当時の航空機と兵器」という項目を設けてあり、それぞれの時代における典型的な航空機搭載攻撃システムや防御システム、あるいは搭載兵器について解説を加えています。これらは専門的な内容について正確かつ簡潔に記されているので、現用航空機の武器システムについて理解を深めるには格好の文章です。
 総じて本書は現在航空戦の歴史や実態について解りやすく記載した好著であり、空軍力や軍用航空機に興味のある向きには一読して損はないと思います。

お奨め度★★★★

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