もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2008年07月

イメージ 1

海軍参謀

吉田俊雄 文春文庫

旧帝国海軍参謀とはどのような存在だったのか。自身が旧海軍の参謀であった吉田氏が、自らの体験と文献情報に基づいてその功罪について記した著作です。
この本、まず読んでいて「面白い」。この種の戦争ものにありがちな「堅苦しい文体」があまり見られず、文章が軽妙で読みやすく、しかも飽きさせません。後半に入るとエピソードの使いまわし(「この話さっきも聞いたよ」的な)がいくつか見受けられますが、目くじら立てる程でもありません。
本書は旧海軍の参謀像に焦点を当てていますが、著者は旧海軍の参謀像についてかなり辛口の評価をしています。
 「自己中心的で客観性がない」
 「自信過剰で自己革新能力がない」
 「リスク・マネジメントゼロ」
等、とまあ散々です。そして本書を読み進めていくと「なるほど」と頷けます。
例えば本書に紹介されている参謀たちが書いた文書類を読むと「これでプロの仕事とかねえ???」と首をかしげることばかり。具体性がなく抽象論ばかり。仮に民間企業でこんな文書を書けば「内容がないねえ、書き直し」と上司に突き返されること必定です。これが「知的」で「聡明」と言われている旧帝国海軍の、しかも最高の頭脳が書いた「作文」の実態なのですから恐れ入ります。
旧海軍の参謀像について考察をする上で有益な著作だと思います。

お勧め度★★★★

P.S. 米海軍のブローニング大佐はミッドウェー海戦勝利の立役者ですが、一方で偏屈で自己中心的な所があり、空母「ホーネット2」艦長時代は部下から嫌われていたそうです。米海軍にも色々あるみたいですね。

イメージ 1

先日(といってもかなり以前のことですが)和歌山へ行ったときに食べたたこ焼です。

和歌山駅駅ビルの地下にその店はありました。
店の名前は「たこ一」。
「しょうゆ味のたこ焼」というのが目に入ったのでそれを5個注文。
期待と不安の入り混じる中、一口食べてみたのですが、これが・・・・、
「旨い」
駅ビルの地下というロケーションで、こんなサプライズに出会えるとは思ってもみませんでした。

和歌山駅ビル地下の「たこ一」。

機会があれば是非試してみて下さい。

この4月に人事異動があり、とうとう長がつく役職になりました。
もともと出世には殆ど興味がなかったので、人事異動を聞いた時には正直
「嫌だな」
と思ったのですが、だからといって拗ねて不貞寝する訳にもいかない。まあ、こうなった以上は腹をくくってやるしかないでしょう。
当然ながら残業代はゼロ。
帰宅時間は当然の如く遅くなっていく一方です。おかげで楽しみにしていたこの3連休も潰れてしまいました。
 「効率優先、効率優先」
と頭では思っていても、周囲の事情があるのでなかなか思い通りいかない。
上司の無茶な指示にも反抗する訳には行かない。
同僚も海千山千なのでなかなか一筋縄には行かない。
話好きの部下が相談してきたら相手しない訳にもいかない。
 「話、脱線するなよ、こっちは忙しいんだから」
と内心思っていても、ハッキリそう言う訳にも行かないので、脱線しそうになったらやんわりと軌道修正。

ただ(小さいながらも)組織の長になると今まで見えていなかったことが見えるようになったことは確かです。
特にリーダーシップの重要性やモチベーションの維持等、SLGのプレイにも相通ずるようなことを実世界で体験できることは楽しいですね。

その昔「パンツァークリーク」というゲームで「将軍1人で1個師団の戦力に相当」というルールがありました。当時大学生だった私はあまりに直截的なその表現法に「そんなアホな」と思ったものですが、今ではこのルールの意味がわかるように思います。

イメージ 1

「Back To Iraq」は、湾岸戦争後に予想された米軍を中心とする多国籍軍とイラク軍の激突、いわゆる「第2次湾岸戦争」を描いたシミュレーションゲームです。実際の「第2次湾岸戦争」は、2003年に勃発したイラク戦争によって過去のモノと化してしまいましたが、本作が描く「第2次湾岸戦争」と実際の「イラク戦争」を比較してみるのもまた一興です。

前回戦闘開始時から第6ターンまでの状況を追いました。イラク南部を制圧してバクダットに迫る多国籍軍。果たしてイラク軍は反撃の糸口を掴むことができるのか。

第7ターン

多国籍軍はバクダットを包囲した。しかしバクダットには共和国防衛隊を始めとするイラク軍の精鋭部隊が待機している。多国籍軍は慎重に攻撃の機会を伺った。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/c/d/cd06880e.jpg
バクダットを包囲する多国籍軍。赤の駒がイラク軍、その他が多国籍軍です。

第8ターン

イメージ 3多国籍軍はバクダット西方を守るイラク軍特別共和国警固隊を攻撃した。しかしこの戦いでBC兵器を使用して抵抗するイラク軍を前に遂に多国籍軍はステップロスの被害を出してしまう。米第82自動車化空挺師団が1ステップを失った。

第9ターン

多国籍軍再編成を行う。

第10~11ターン

多国籍軍はバクダット北半分に対して総攻撃を開始した。参加兵力は機動兵力全7個師団。対するイラク軍は7戦力。イラク軍は例によってBC兵器を使用。多国籍軍による最初の一撃は凌いだ。しかしBC兵器が使えない第2次攻撃では、多国籍軍の攻撃を凌ぐことができなかった。バクダット北部を守るイラク軍3個師団は壊滅。多国籍軍は遂にバクダットの一角を占領した。

この時点でイラク軍は抵抗を諦めて多国籍軍に降伏。これまでにイラク軍が獲得したMIPPは16ポイントで、勝利条件たる31ポイントには届かなかった。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/e/c/ec35afb9.jpg
第11ターン終了時の状況。生き残ったイラク軍はバクダット南部の3個師団強と北部の町モスルに篭る3個師団のみ(図中の赤丸)。しかも両者をつなぐ街道はクルド人部隊が封鎖しており、両者の連絡は完全に断たれてしまった。

感想

かなり大味なゲームであるという印象を受けました。駒数は少なくルールも簡単なので慣れれば1~2時間ぐらいでプレイできるでしょう。ただ対人戦には向かないと思います。なんせバランスが悪いですから。

多国籍軍は駒数こそ少ないものの機動力や戦闘力でイラク軍を圧倒しているため、野外の戦闘ではイラク軍に勝目がありません。イラク軍としては都市の防御効果とBC兵器に期待して市街地で決戦するしか手はないでしょう。リプレイでも触れましたが、都市に篭るイラク軍とBC兵器の組み合わせは絶大な威力があり、多国籍軍プレイヤーのダイス目如何によっては進攻軍が全滅します。だからイラク軍にとって全く勝目がない訳ではないのですが、ダイス目頼みというのはちょっと悲しいです。
ひょっとしたら私が思いつかないようなイラク軍の防御線術があるのかもしれません。もしご存知の方がいれば、是非ご教示頂ければ、と思います。

実際の戦史と比べてみた場合、都市の防御効果がちょっと過大かな、という印象を受けました。実際のイラク戦争ではバクダット、バスラ、モスルといった都市は意外と簡単に米英軍によって制圧されています。これは米英軍の宣伝戦にしてやられたという説もある一方、市街地というものがハイテク化した最新部隊を前にしてかつてのような防御地形としての意味を失いつつあるという指摘もあります。少なくともかつてのスターリングラード戦やベルリン攻防戦の如く「大兵力を吸い続ける吸血鬼のような市街戦」というのは過去の事になりつつあるようです。

本作では絶大な威力を発揮するBC兵器ですが、実際のイラク戦争では使用されなかったようです。これは米英軍による報復攻撃を恐れたためか、あるいはイラク軍にBC戦能力がなかったためかはわかりません。いずれにしても本作のようにイラク軍がBC兵器をボコボコ使用することがなかったことは、現実世界に住む我々にとっては喜ばしいことだったと思います。

今回は実現しませんでしたが、ダイス目次第によってはイラン軍の介入もあります。毎ターンダイスを振り、1/12の確率でイラン軍が戦争に介入してきます。ただしイラクの主要都市(バクダット、バスラ、モスル)を全てをイラク軍が支配していることが前提なので、バスラを取られた時点でイラン軍介入の可能性はなくなります。
果たしてイラン軍が介入した場合、戦争の行方はどーうなるのでしょうか。イラン軍のユニット数は40個。かなりの大部隊ですが、その大半は鈍足の歩兵師団で快速の機動部隊は9個のみ。攻撃力はかなり限定されたものになります。しかしそのユニット数はかなりの脅威になりますし、なんといってもイラン軍には恐怖の「戦術核ミサイル」があります。戦術核の使用はイラン軍にとってもリスキーですが、その威力は絶大で多国籍軍の1個師団を1発で半身不随にすることができます。ゲームの世界でのみ許される愚行。現実の世界ではそのような事が行われることがないよう願いたいです。

おわり


イメージ 1

「Back To Iraq」は、湾岸戦争後に予想された米軍を中心とする多国籍軍とイラク軍の激突、いわゆる「第2次湾岸戦争」を描いたシミュレーションゲームです。実際の「第2次湾岸戦争」は、2003年に勃発したイラク戦争によって過去のモノと化してしまいましたが、本作が描く「第2次湾岸戦争」と実際の「イラク戦争」を比較してみるのもまた一興です。

前回はゲームの基本的な説明と、戦闘開始時までの状況説明を行いました。今回はいよいよ戦闘開始です。

第1ターン

多国籍軍のセットアップを見たイラク軍。しかし大したことはできない。スタック制限が厳しい(移動中にも適用される)、移動力が小さい(航空攻撃効果で移動力が減らされる)、そして町から出たらタコ殴りにされる(BC兵器に対する報復で)という訳だ。取りあえず機動力のある3個師団を街道沿いに南下させ、サマーワ(ヘクス2726)に集結させる。ここはイラク南部とバクダットを結ぶ主要幹線道路上に位置するだけでなく、サウジアラビアから北上してくる道路の交差点上に位置している。イラク中南部における交通の要域と言える。

多国籍軍は機動戦闘可能な7個師団中6個師団でバスラを包囲する。しかしこのターンの攻撃は差し控えた。攻撃力では相手を圧倒している多国籍軍であったが、もしイラク軍がBC(生物・化学)兵器の使用を宣言すると、その攻撃は破滅的な結果を引き起こす可能性があったのだ。

このゲームで守勢に立たされているイラク軍にとって、BC兵器の存在は唯一の希望といえる。BC兵器が使用された戦闘では多国籍軍の戦闘力が半減されるが、これは高オッズ戦闘では決定的な意味を有する。BC兵器に対する報復として多国籍軍はBC兵器の使用又は戦術核による反撃が認められているが、いずれの兵器も都市や町に篭るイラク軍に対しては使用できない。多国籍軍の人道主義が災いした感がある。

第2ターン

満を持して多国籍軍はバスラ攻撃を開始する。多国籍軍の攻撃力56に対し、バスラを守備するイラク軍は防御力11。オッズは5-1だが、ここでイラク軍はBC兵器の使用を宣言した。多国籍軍の攻撃力は28に減じ、オッズは2-1になる。これに都市の防御効果による左3シフトと包囲攻撃による右1シフトが加わり、オッズは1-2になる。オッズ1-2の場合、攻撃成功率は1/6で、逆に1/6の確率で恐怖のAE(攻撃側全滅)がある。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/4/7/477e7a1f.jpg
Back to Iraqの戦闘結果表。1-2の比率で「6」の目を出すとAE(攻撃側全滅)となる。

ダイス目は「3」。多国籍軍は全滅こそ免れたものの攻撃は失敗に終わった。

しかしこの攻撃でバスラ市の命運は決した。多国籍軍は1ターンに2回攻撃できる。そしてイラク軍は1ターンに1度しかBC兵器を使用できないのだ。多国籍軍は改めて3-1(5-1の2シフト)のオッズでバスラを攻撃する。今度は失敗する訳がなかった。多国籍軍7個師団はバスラを守るイラク軍3個師団その他を文字通り壊滅させた。

なお、この一連の戦闘でイラク軍MIPPは6ポイントであった。

MIPP(好戦的なイスラムの威信ポイント)は本ゲームにおける勝利を決定する上で重要な役割を果たす。イラク軍はゲーム終了までに30点を越えるMIPPを獲得すると勝利する。イラク軍は自身による攻撃実施や多国籍軍の攻撃失敗等によってMIPPを獲得することができる。

第3ターン

イメージ 3このターン、多国籍軍は再編成行う。イラク軍はチャンスとみた。機甲兵力2個師団を南下させ多国籍軍左翼を守るNATO混成旅団に対して接敵させた。次のターンに攻撃を行う構えである。

再編成。それはこのゲームの特徴をなすルールの一つで、戦術的小休止を再現するものである。多国籍軍は3ターンに1度の割合で再編成のために停止しなければならない。多国籍軍プレイヤーは再編成を無視して行動し続けることもできるが、この場合ダイスチェックに失敗すると「強制的な再編成」を強いられることになる。この場合ZOCも失うことになり、多国籍軍にとっては危険な状態を招く恐れがある。

第4ターン

NATO混成師団に接敵していたイラク軍2個師団が攻撃を敢行した。オッズは1-1。攻撃は失敗したが、攻撃を行ったという行為が評価されてMIPPが上昇した。
一方再編成から回復した多国籍軍は行動を開始した。空中機動力を誇る米第101空中機動師団がイラク戦線背後に回りこみ、チグリス・ユーフラテス沿いに陣取るイラク軍の補給線を遮断する。残った多国籍軍は二手に分かれて進撃。米海兵師団と英第1機甲師団はイラン・イラク国境付近の街道を北上、残った4個師団はチグリス・ユーフラテス川の湿地帯に進撃した。
多国籍軍は街道沿いのイラク軍を次々と撃破。その先鋒は早くもバクダットから南東へ85マイルの地点に到達していた。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/7/d/7d59bd83.jpg
第4ターン終了時の状況

第5~6ターン

多国籍軍はバクダット南方に迫る。バクダット南方部に陣取るイラク軍は多国籍軍によって次々と掃討されていった。そして遂に多国籍軍の先鋒がバクダット郊外に到達した。



↑このページのトップヘ