前回紹介したVASSAL版Air Forceを使って自作シナリオを試してみました。
タイトルは「B-29を撃墜せよ」
日本海軍の「雷電」21型を駆ってB-29の大群に挑むというシチュエーションです。
登場戦力は日本海軍が「雷電」2機、米陸軍航空隊がB-29 6機です。B-29の侵入高度は32,000~33,000ftとしました。
タイトルは「B-29を撃墜せよ」
日本海軍の「雷電」21型を駆ってB-29の大群に挑むというシチュエーションです。
登場戦力は日本海軍が「雷電」2機、米陸軍航空隊がB-29 6機です。B-29の侵入高度は32,000~33,000ftとしました。
基本戦術
B-29は火力が大きく、さらに防弾性能にも優れています。まともに戦えば「雷電」に勝ち目はありません。そこで正面からの射撃で立ち向かうことにしました。正面からの打ち合いでは、B-29の防御火器はk角速度の関係上「雷電」に有効打を与えることが難しくなります。「雷電」から見た場合、B-29は図体がデカイので、正面攻撃でもそこそこ命中率を期待できます。「雷電」21型

今回登場する「雷電」21型は、ズングリした胴体が特徴的な海軍局地戦闘機です。強みは高高度における速度性能と大火力。ライバル機と比較した場合、陸軍の2式単戦「鍾馗」と比べると火力で勝り、機動性でも若干上回っています。海軍の「紫電改」(*1)と比べた場合、火力は概ね互角ながら高高度における速度性能で本機が勝っています。一番の強敵は陸軍の4式戦「疾風」で、火力はバリエーションによって異なりますが、機動性はほぼ互角です。なお旧式の零戦や「隼」の場合、30,000ftを超える高高度では飛んでいるだけでやっとという状態です。
(*1)ゲーム中の表記ではN1K1"Geroge"となっているので「紫電」のことを指しているのですが、シルエットや機体性能を見る限り「紫電改」(N1K2-J)のことを指していると思われます。
第3ターン
2機の「雷電」はB-29編隊の後方で左旋回を実施してB-29を追う。旋回中の「雷電」に対し、B-29の防御砲火が火を噴いた。左側を飛行していた「雷電」2番機は数発の命中弾を被った。燃料タンクを打ち抜かれた「雷電」は黒煙を噴きながら落下していった。
第4~5ターン
残った「雷電」隊長機はさらに左旋回を行って猛然とB-29を追う。B-29 5番機の後方3ヘクスに占位した「雷電」は4門の20mm機関砲をB-29に叩き込んだ。数発の命中弾を受けたB-29。しかしB-29は全く落ちる気配がない。そして「雷電」を3機以上のB-29が狙っていた。各機20火力、3機で60火力という鉄と火の洗礼が「雷電」を包む。重爆撃機の集中砲火を浴びた「雷電」は空しく爆発、四散していった。
感想
まず対戦そのものについて。結果的に日本軍の惨敗に終わりましたが、これはある程度仕方がない部分もあります。そもそも1:3という比率で重爆撃機を攻撃するというのが無謀でした。せめて1:2以上、できれば1:1以上の機数比が欲しかった所です。戦闘機の数を揃えられない史実の日本軍が無謀な空対空体当たりに走ったのも、無理もないことだったのかもしれません。
30,000ftを超える高度での交戦だったのですが、機動性の悪さには参りました。水平飛行から左へバンクを取るだけで6ヘクス直進。バンクしてから旋回を開始するまでにさらに6ヘクス直進が必要です。ヘッドオンでの攻撃を終えて再攻撃態勢に入ろうとしても、B-29は速い速い。爆装状態でも速度6で、「雷電」でようやく水平速度で1上回る程度。旧式の零戦や「隼」ならば高度の優位がない限り一撃かけた後にB-29に追いつくのは不可能です。
もっとも私自身の戦術にも拙い面がありました。例えば「雷電」2機を別々に配置したこと。細かいことかもしれませんが、対重爆撃機戦闘の場合、僅かな高度差をつけて複数の戦闘機をスタックさせて火力の集中を図るべきでした。
他にも「雷電」の初期配置や追撃方法。細かい点になりますが、B-29の進路が予想できる以上、B-29に対する第一撃をかける場所を見極め、そこに向けて事前配置を検討すべきでした。また一撃かけた後の二撃目以降も安易な後方追撃戦ではなく、可能な限り横方向からの襲撃を試みるべきでした。
次にVASSALについて。
Air Forceはボード時代に散々プレイしたゲームでしたが、今回VASSALのモジュールを使ってみると、ボードとは違った感想を持ちました。
まず一番助かったのは複数機を同時に移動できること。例えば今回のような重爆撃機編隊の場合、ボードの場合は1駒1駒移動力を数えながら移動させる必要があります。しかしVASSALの場合、編隊を全部まとめて6ヘクス前進、なんてことが簡単にできます。
また移動力の残量や速度の変化を自動的に計算してくれる機能には感心しました。さらに直進ヘクス数を自動的にカウントしてくれる機能も嬉しいです。これらの自動化により、多数機を使う場合の負荷もボードの場合に比べて遥かに軽減されています。例えば今回のシナリオについて言えばプレイ時間だけでいえば30分とかかりませんでした。
これだけ自動化が進むと、Air Force特有の「プロット方式」が面倒に思えてきました。ボード版の場合は速度/高度の計算や記録、最小直進距離の記録等が必要になるので、プロット方式も必要な面がありました。しかしVASSAL版の場合、これらは全てVASSALが肩代わりしてくれます。残るは同時移動方式の再現性ですが、プロット方式が必ずしも同時移動の再現に相応しい方式ではないことは周知の事実です。後発のAir War(SPI)やAir Superiority(GDW)にようなイニシアチブ方式を取り入れてみるのも面白いかもしれません。
Air Forceはボード時代に散々プレイしたゲームでしたが、今回VASSALのモジュールを使ってみると、ボードとは違った感想を持ちました。
まず一番助かったのは複数機を同時に移動できること。例えば今回のような重爆撃機編隊の場合、ボードの場合は1駒1駒移動力を数えながら移動させる必要があります。しかしVASSALの場合、編隊を全部まとめて6ヘクス前進、なんてことが簡単にできます。
また移動力の残量や速度の変化を自動的に計算してくれる機能には感心しました。さらに直進ヘクス数を自動的にカウントしてくれる機能も嬉しいです。これらの自動化により、多数機を使う場合の負荷もボードの場合に比べて遥かに軽減されています。例えば今回のシナリオについて言えばプレイ時間だけでいえば30分とかかりませんでした。
これだけ自動化が進むと、Air Force特有の「プロット方式」が面倒に思えてきました。ボード版の場合は速度/高度の計算や記録、最小直進距離の記録等が必要になるので、プロット方式も必要な面がありました。しかしVASSAL版の場合、これらは全てVASSALが肩代わりしてくれます。残るは同時移動方式の再現性ですが、プロット方式が必ずしも同時移動の再現に相応しい方式ではないことは周知の事実です。後発のAir War(SPI)やAir Superiority(GDW)にようなイニシアチブ方式を取り入れてみるのも面白いかもしれません。