もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2009年06月

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YSGAレポートの続きです。東部戦線を終えた私達は、次に「Zero!」(GMT)のキャンペーンシナリオに取り掛かりました。
「Zero」については既にこのブログでも何度か取り上げている空中戦のゲームです。
従来の空中戦ゲームがヘクスマップと詳細なルールによる「モンスターゲーム」化しているのに対し、このゲームは空中戦をカードプレイによって抽象的に解決することにより、プレイしやすい作品に仕上がっています。

南太平洋海戦

最初にプレイしたのは南太平洋海戦シナリオです。ダイス目で陣営を決定し、私が米軍、対戦相手のY内さんが日本軍を担当することになりました。

第1次攻撃隊

イメージ 2兵力に劣る我が軍は間合いを詰めて中規模攻撃隊を発進。対する日本軍は一旦間合いをとって全戦闘機で米攻撃隊を迎え撃つ体勢に入ります。
「まずい。逆マリアナ沖海戦か」
その状況を打破すべく、事前偵察を行って敵空母の位置を確定しようとしました。偵察に成功すれば攻撃隊を増強することができます。しかし・・・・、
「あぁー、後方にジークが・・・・」
叫ぶ間もなく後方に回り込んだ零戦の一撃によって偵察機は一蹴されてしまいました(涙)。

イメージ 8仕方なくオリジナルの編成で日本艦隊に挑む米攻撃隊。その編成はF4Fが1機とSBDが2機。対する敵は4機の零戦です。
「あっ、圧倒的じゃないか・・・・」
当然のことながら2機のドーントレスは墜落。それでも我がワイルドキャットくんが腕の冴えを見せて零戦2機を撃墜したのは少しだけ溜飲が下がりました。

第2次攻撃隊

イメージ 9今度は日本軍が大規模な攻撃隊を発進させてきました。零戦、99艦爆、97艦攻が各2機です。対する我が軍はこのターンは防衛に徹したのでF4Fが4機。よし、さっきの返り討ちだ。ついでに「目標誤認」のリソースを投入。空母を狙うはずの日本攻撃隊は、我が巡洋艦を攻撃することになってしまいました。しめしめ。
空戦と対空砲火は活躍し、敵の半数を撃墜。ワイルドキャットは今回も無傷です。しかし攻撃目標となった我が巡洋艦隊は日本機の猛爆を受けて海の藻屑となってしまいました。

第3次攻撃隊

イメージ 3前回の攻撃によって日本側が航空兵力に大きな損害を被りました。そのために今度は我々が攻撃側。日本軍が防御に回ります。我々の攻撃隊はワイルドキャットとドーントレスが各2機、アヴェンジャーが1機の計5機。対する日本軍は零戦が4機の他、なんと99艦爆2機までも防空に投入してきました。ワイルドキャットを操るのは、米海軍のエース、ヴェイタサ大尉です。
ヴェイタサ大尉が腕の冴えを見せ、瞬く間に2機の零戦を撃墜しました。しかしヴェイタサ大尉は思わぬ敵、99艦爆に追い回されることになります。99艦爆の射撃のよって穴だらけになったヴェイタサ大尉のワイルドキャットですが、辛くも帰還に成功しました。
攻撃隊の方は、魚雷を抱えたアヴェンジャーは対空砲火と敵戦闘機によって投弾を阻まれ墜落。2機のドーントレスは敵防衛線を辛くも突破し肉薄攻撃に成功したものの、こちらはカードの引きが悪く日本空母にかすり傷を与えたのみ。しかも離脱中に2機共撃墜されるという悲劇に見舞われました。

第4次攻撃隊

第4次攻撃隊は両軍とも守りに徹したので攻撃はなし。VPは日本軍12点に対して米軍が0点。南太平洋海戦は日本軍の勝利に終わりました。

感想

得点では負けましたが、空戦では撃墜7に対して被撃墜6。特にワイルドキャットは損失ゼロで撃墜6~7機。
「海戦では負けたが、空戦では勝った」
と強弁しておきます。


ソロモン航空戦

続いて別のシナリオを、ということで、ソロモン航空戦シナリオをプレイすることにしました。時期は1943年後半。陣営は先ほどと同様私が連合軍、Y内さんが日本軍を担当します。
「サンタクルーズの借りをブーゲンビルで」
という訳では決してありません。

第1次航空戦

イメージ 4任務は5番。ソロモン水道。B-25DとB-25Cが各2機からなる爆撃隊が、ソロモン水道を航行する日本小艦艇を攻撃する任務です。
「これは大物」
ということで、我々はボニントン少佐率いるコルセア2機を投入。対する日本軍は零戦32型2機を投入してきました。
ボニントン少佐とコルセアの組み合わせはさすがに強く、零戦1機を瞬殺。敵わないと見たのか、もう1機の零戦は戦場を離脱して行きました。B-25の編隊は日本艦隊からの対空砲火によって1機損失、1機大破の被害を被りましたが、それでも日本艦隊を壊滅させることには成功しました。

第2次航空戦

イメージ 10任務は17番。ソロモン水道。二式大艇による哨戒任務です。小物とみた我々は、比較的弱いキティーホーク2機を投入。日本軍は二式水戦2機と零式観測機2機です。
性能面で優位に立つキティーホークは、二式水戦1機を撃墜。二式大艇に対しても一撃を放ったが、辛くもかわされてしまいました。

第3次航空戦

イメージ 5任務は3番。B-24D 3機編隊によるカヒリ飛行場への攻撃です。これも大物。大攻撃の成功を確実にするべく新鋭コルセア2機を投入しました。日本軍は零戦32型2機。
今回も第1回戦同様コルセアが零戦に対する性能優位を見せ、2機共撃墜することに成功しました。一方B-24Dの編隊ですが、各機爆撃力5、さらにノルデン照準器まで備えるB-24Dの爆撃力は凄まじいものがあり、さしものカヒリの大航空基地群も一撃で壊滅してしまいました。VP大儲け。

第4次航空戦

イメージ 7任務は5番。ソロモン水道。第1次航空戦と同じくB-25爆撃隊が日本艦艇を攻撃する任務です。今回も強力な部隊を投入したかったが、コルセアのリソースを使い果たしたので、やや弱いP-38Gライトニングを投入することにしました。ライトニングの1機にはエース、サビン中尉が乗り込みます。相手は零戦21型が2機。
今回もサビン中尉の活躍により零戦1機を撃墜、もう1機を大破させました。B-25の1機が対空砲火その他により激しく被弾しましたが、辛くも離脱に成功しました。

第5次航空戦

イメージ 6任務は10番。レカタ水上機基地に対する攻撃です。この任務に我々は「キウィの連合軍」と呼ばれたニュージーランド空軍を投入。ハドソン2機、キティホーク2機という旧式機からなる編隊が攻撃に向かいました。
日本軍はそれに対して零戦4機という大編隊を投入。さすがに苦戦が予想されましたが、日本軍の多くは新米搭乗員で戦力としてあてにならず、その点連合軍は救われました。キティーホークは零戦3機の撃墜を報じ、味方の損失は皆無です。

第6次航空戦

任務は10番。先ほどと同じレカタ水上機基地に対する攻撃です。こちらはコルセア2機、P-40E 2機という攻撃隊の準備中に「時間切れ」が宣告されて終了しました。

感想

プレイ時間は2時間ぐらい。1回の任務は20~30分ぐらいで完了しました。キャンペーンとはいってもある程度同じような機種が繰り返し登場してくる傾向(例えば日本の零戦、アメリカのコルセア、ワイルドキャット等)がある点は否めません。またシナリオのバランスもミッションの種類によって大きく異なり、例えば「カヒリ飛行場攻撃」等は米軍にとってほぼ確実に高得点源となり、逆に「二式大艇による哨戒」等は日本軍にとって得点が期待できる任務です。従って任務の引き如何によって勝敗は大きく変動するので、勝利得点を云々することは余り意味がないようにも思います。

最後に

今回は丸1日に渡ってお相手頂きましたY内さんやYSGAの皆様には大変お世話になりました。
次回もまた宜しくお願いいたします。


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先日、YSGAさんに遊びに行った際、主題のゲームをプレイしました。
対戦相手はYSGA代表のY内さん。その節はどうもありがとうございました。

事前研究

今回の場合、シナリオと陣営は予め事前に決めてあったので、本番前に事前研究することができた。
私の担当は独軍。その編成は概ね以下の通りである。
 (1) 重戦車大隊(6号戦車x6)
 (2) 中戦車大隊(5号戦車x6)
 (3) 混成戦車大隊(4号戦車x3、3号突撃砲x3)
 (4) 歩兵大隊(歩兵x12、迫撃砲x3)
 (5) 偵察中隊(ルクスx2)
上記以外に増援部隊として自走対戦車砲中隊(ナスホルン他計3駒)、増強歩兵中隊(歩兵x4、3突x2)が登場する。

対する赤軍部隊はSetup時に歩兵、砲兵、戦車からなる混成1個大隊(18ユニット)が盤上に展開。その後の増援として戦車x20、歩兵x12、騎兵x4が登場する。初期兵力では独軍有利だが、増援を加えるとユニット数では赤軍が優位に立つ。勝利条件は239高地とその後方の村落を両方とも独軍が制圧すること。ターン数は8ターン。

試しにプレイしてみてわかったことは、地形が厳しいこと。特にマップ中心を横切る高地帯の影響が厳しく、戦車でそこを横切ろうとした場合、数ターンを要すること。時間が独軍にとって最大の敵である。下の写真を見て頂きたい。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/3/7/373c80cf.jpg

赤丸の部分が勝利条件ヘクス。左下の黒い部分が独軍の登場ヘクスである。
独軍の進撃路はいくつか考えらるが、最も順当なコースは上の写真で青線で示した谷間を通過するコースである。しかしこのコースは進撃路が狭い上に敵にとっても予想しやすく、従って激しい抵抗が予想される。この谷間に赤軍が重厚な布陣を敷いた場合、時間切れにより敗北する可能性が高いといえる。さらには谷間の戦いでは独軍にとって苦手とする接近戦に巻き込まれ、多大な出血が予想される。

そこで独軍は攻撃側の利点である主導権を維持するため、以下の方針で挑むことにした。
 (1) 攻撃の主軸を下の写真の①付近に指向する。
 (2) 快速部隊であるパンター戦車大隊はできる限り温存し、②の経路で敵後方に回り込む。
 (3) ティーガー部隊は強力だが足が遅いので、初期攻撃の主力とし、その際の消耗や弾薬消費は厭わない。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/0/0/00992676.jpg

とまあこんな感じで計画してみたのが、はてさて

本番

当日会場についたのは午前9時半頃。対戦相手のY内さんは既に会場に到着し、セットアップをしておられた。
既に何度かお会いしたことがあったので挨拶もそこそこに早速ゲーム開始。下がセットアップ時の状況である。赤丸が勝利条件ヘクス。「赤軍は後方を重点的に固めてくる」と予想していた私にとって、前線の2ヶ所(ピンクの丸)はやや予想外であった。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/5/b/5b3870ad.jpg

第1ターン

盤の南端より侵入した独軍。侵入路に立ち塞がる赤軍部隊に対しては偵察車による偵察とティーガー大隊の直接射撃によって強引に突破。その際、ルクス偵察車1個小隊が敵の射撃により"D"状態になったが、大した問題ではない。

第2ターン

このターンは予想を裏切って赤軍が主導権を握った(確率20%)。しかし大勢には影響がない。パンター大隊は予定通り戦線右翼を大きく迂回中。ティーガー大隊はやや予定を変更し、兵力を二分して谷間を扼する位置に布陣する。戦線右翼の町に潜む赤軍部隊を燻り出そうと牽制行動を行っていた歩兵小隊が、敵T-34戦車の待ち伏せ攻撃によってDD状態になってしまったが、この町に深入りせず、遠巻きに包囲するに留める。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/c/d/cdd36bce.jpg

第3ターン

第3ターン。主導権は独軍。視認距離は4ヘクス(短い!!)。このシナリオでは視認距離を毎ターンダイスで決定する。ロシア平原の過酷な冬の景観が思い浮かぶ。
このターンは激しい盤外砲撃により幕を開けた。赤軍の盤外砲撃が3号突撃砲の中隊を直撃。中隊を構成する3個小隊のうち、1小隊が壊滅、別の小隊はD状態になってしまう。貴重な突撃砲中隊の損害に思わず涙。

イメージ 8このターンは激しい戦いが行われた。戦線中央の谷間の入り口を伺っていたティーガー戦車の中隊が、前進中谷間の入り口から突如集中砲火を浴びる。敵はT-34/76D戦車が2ユニットとSU-85自走対戦車砲2ユニットの混成部隊である。ティーガー1ユニットが撃破(DD)されたが、残ったティーガー中隊は次々と射撃を実施。装甲の弱いT-34/76Dはもとより、比較的強力な装甲をもつSU-85をも撃破した。混乱する敵部隊に対して独軍歩兵が突撃を敢行。残敵を完全に撃破した。

イメージ 12しかし赤軍は別の正面でなおも攻撃を敢行。今度は弾切れになったティーガー1ユニットを含む2ユニットのスタックに対してオーバーランをしかけてきた。T-34/85とT-34/76Dの計5ユニットからなる増強中隊である。弾切れティーガーは苦戦を強いられるが、その時思わぬ所から援軍が現れた。ティーガー中隊の後方4ヘクスに待機していたナスホルンとマルダーからなる自走対戦車砲中隊である。自走対戦車砲が突撃しようとする赤軍戦車を側撃。赤軍戦車部隊は全く対応できず、次々と壊滅していった。
このターンに赤軍戦車部隊2スタックが壊滅したことは、後の戦局に大きな影響を与えた。

余談ですが、T-34/85はこのシナリオの扱っている時期(コルスン包囲戦)が丁度デビュー時期にあたるそうです。ゲームをプレイしている間は「その他大勢」の1人に過ぎないのですが、こういう背景を知っているとゲームがより興味深く思えてきます。

第4ターン

イメージ 10229高地の麓に取り付いた我が歩兵中隊に対して、丘の斜面に隠匿していた赤軍迫撃砲が火を噴いた。側面からの奇襲に驚くドイツ兵。3個小隊からなる歩兵中隊はこの一撃を受けて壊滅状態となってしまう。
しかしそれでも生き残った歩兵部隊は突撃を敢行。229高地奪取まであと一歩に迫った。
その頃戦線後方では麓を迂回してきたパンター戦車大隊が早くも町ヘクスに迫っていた。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/5/2/5235f449.jpg


第5ターン

イメージ 13このターン、一気に攻撃をかけておきたい所であるが、戦況を見ると全般に有利だと言える。であるならばここは性急な攻撃は避け、兵力を整頓した上で十分な兵力による攻撃をかけた方が得策である。そう考えた我々は町ヘクスに迫りつつあったパンター戦車大隊を一旦後退させ、町を見下ろす高台に布陣させた。
一方谷間を進むティーガー大隊は谷間の真ん中で敵KV-85重戦車に遭遇。さすがに重装甲を誇るKV-85は今までの敵のようには行かず、ティーガー3個小隊による集中射撃によりようやく葬り去ることができたが、その過程でティーガー2個小隊が「弾切れ」になってしまった。攻撃力を残しているティーガーは残り1ユニットのみ。ティーガー大隊の攻撃力は限界に達していた。
229高地付近では独軍歩兵が229高地を奪取した。制高点を押えた独軍はそこにナスホルン自走対戦車砲を配備。周囲に睨みを効かせた。射程7ヘクス。しかも弾切れなしというナスホルンの威力は目覚しく、盤の東端から番内に潜入してきたT-34/85戦車2ユニットを立て続けに撃破した。

第6~8ターン

イメージ 9終盤である。兵力を十分に整えた独軍は、勝利条件ヘクスに対する最後の突撃を敢行した。パンター、ティーガー、4号、3突、歩兵等計15ユニット。対する赤軍は歩兵部隊を中心に守りを固める。
まず勝利条件ヘクスを守る赤軍に対し、満を持して投入された盤外砲撃が降り注ぐ。そして近接射撃の嵐。さらにはハイオッズによる近接突撃。赤軍は最後の切り札としてスターリン重戦車2両を投入した。防御レベル11とティーガーを上回る装甲を誇るスターリンだったが、パンター4個小隊による集中射撃、ナスホルンの遠距離射撃、さらには自らの弾切れ等も手伝って、大きな戦果を上げることなく壊滅していった。
最終的に勝利条件ヘクスは独軍の支配する所となり、独軍の勝利が確定した。

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感想

プレイ時間は約4時間です。慣れればもう少し早くプレイすることが可能でしょう。

イメージ 14プレイの難易度については、赤軍プレイヤーにより熟練を要求するゲームのように思えます。独軍の場合、変な特別ルールがないので比較的素直にプレイができます。しかし赤軍の場合、赤軍特別ルールやその他のためにかなり「クセのある」プレイが求められます。例えば射程距離。射程距離のハンデはかなり厳しく、4ヘクス以上離れた距離の撃ち合いでは赤軍は相当不利になります。かといって近づくまで待ってばかりでは、アウトレンジ射撃によって一方的に撃破されるだけです。アウトレンジ射撃による損害を避けつつ、接近戦に持ち込む。このあたり難しい匙加減が赤軍プレイヤーの醍醐味でしょうか・・・。

イメージ 11今回新たな発見として「自走対戦車砲」があります。今まではナスホルンやSU-76も疑問なしに「戦車の一種」と考えていました。しかし本作でにおける彼らの扱いは「防御の弱い戦車」ではなく「足の速い対戦車砲」扱いなんですね。すっかり失念していました。
本作の場合、「防御の弱い戦車」と「足の速い対戦車砲」の違いは大きいです。まず最大の違いは
「弾切れがないこと」
でしょう。本作では何らかの射撃を行った場合、概ね10%程度の確率で弾切れを起こします。「たかが10%、されど10%」であって、射撃を続ける限りいつか必ず弾切れを起こすのが本作の特徴です。
ところが対戦車砲は弾切れを起こしません。ということは何度でも射撃ができます。しかもナスホルンは他のユニットに比べて射程距離が長いため、それこそ一方的なアウトレンジ射撃を行うことができます。ナスホルンにせよマルダーにせよ防御力は弱いのですが、この特徴により使い方次第では恐るべき存在となりえます。

最後に全般的な感想。両軍の特徴がかなり極端に表現されていると感じました。このあたりは「旧エポックの作品らしい」と評価することもできます。

わかりやすいベトナム戦争

三野正洋 光人社NF文庫

ベトナム戦争を扱ったノンフィクション。同戦争について地形的特徴から歴史的経緯、戦闘に参加した軍隊の特徴、主要な戦闘、北爆、終戦と戦後といった観点から記している。ベトナム戦争の全体的な流れを理解するには好適な著作。
筆者の三野氏は数多くの軍事関係の著作で知られているが、ともすればカタログスペックを絶対視する傾向があったことは否定できない。そういった意味でマニアの間でも評価が分かれるが、本書については過度にカタログスペック偏重に陥ることなく、戦争の実態をバランスの取れた視点で記していると言って良い。
2~3時間程度で読破できるので、ボリュームの点でやや不満があるが、値段を考えれば十分なものであり、ベトナム戦争の概要を知るには格好の書籍といえる。

お奨め度★★★★

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主題のゲームをソロプレイで試してみました。

注:「東部戦線」は国際通信社から発売されている戦術級シミュレーションゲームです。
詳しくは-->こちら

シナリオ2「バタイスク」

このシナリオは「東部戦線」の中では比較的小規模なものです。
使用するマップは1枚。登場するユニット数もソ連軍37ユニット、独軍39ユニットと少なめです。
(ちなみに大規模なシナリオではマップ2~4枚、ユニット数はそれぞれ50~100ユニット以上にも達する)

ゲームの流れは町ヘクスを守る独軍に対してソ連軍が町を奪取しようとすることになります。
兵力の少ないソ連軍が攻撃側なのは少し奇異な感じがしますが、AFVでは8ユニット対13ユニットでソ連軍が優越している上、ソ連軍歩兵はいずれも精鋭である親衛隊であることを考慮すれば攻撃は十分可能でしょう。

ゲームの流れ

セットアップ

最初に盤上に配置されるのはドイツ軍のみ。ドイツ軍の初期兵力は歩兵8、迫撃砲3、対戦車砲3の計14ユニット。他に指揮官3ユニットです。セットアップの制約上、全体の半数をマップ東側(ソ連軍の進撃してくる側)、残り半数をマップ西側に置く。
独軍は歩兵4、対戦車砲3をマップ東半分に配置。残りをマップ西半分に配置した。

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攻撃開始(第1~2ターン)

イメージ 13イメージ 15ソ連軍の第1波は、T34/76D戦車3ユニット、SU76自走対戦車砲2ユニット、親衛歩兵5ユニット、そして迫撃砲が3ユニットである。一気に突破したい所だが、独軍対戦車砲が脅威だ。下手に動いてサプライズアタックを食らうと、装甲の弱いSU76自走砲はもとより、比較的強力なT34/76Dですら無事では済まない。ここは歩兵を前に出して慎重に前進する。
第2ターン。親衛歩兵5ユニットが接近。林の中に潜む敵を探ったが、偵察の結果は歩兵1ユニットを発見したのみ。ソ連軍は林の中にいる対戦車砲を恐れたが、いつまでも前進を控える訳ににもいかず、炙り出しの意味も兼ねて戦車、自走砲計5ユニットを前進させた。荒地から出たところで今まで隠れていた独軍対戦車砲3ユニットが猛然と射撃を開始(サプライズアタック)。最大射程距離による射撃であったが(ダイス修正-1)、SU76自走砲2ユニットをDD、T34/76D戦車も1ユニットをD状態とした。
しかし姿を現した対戦車砲に対し、すぐ近くまでソ連軍親衛歩兵5ユニットが突撃を敢行。結果は"D5"で、林に潜んでいた対戦車砲3ユニットと歩兵1ユニットは瞬く間に壊滅した。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/b/7/b7d91308.jpg


快進撃(第3ターン)

イメージ 7イメージ 14第3ターンにはソ連軍の増援部隊が到着する。KV-1戦車2ユニット、T34/76D戦車6ユニット、親衛歩兵10ユニットという堂々たる部隊だ。先ほどの戦闘で早くもドイツ軍対戦車砲の脅威が消滅したので、ソ連軍戦車は大胆に行動する。
中央の町に陣取るドイツ軍歩兵3ユニットに対してKV-1戦車、T34/76D戦車、そして親衛歩兵からなるソ連軍が襲いかかる。町に篭る独軍歩兵を偵察で見つけ出すことはできなかったが、ソ連軍は圧倒的兵力を背景に強引に突撃を敢行。ダイス目も冴え、町を守る独軍3ユニットは瞬く間に壊滅した。

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救援部隊到着(第4~5ターン)

第4ターン。このまま一気に勝負をつけたいソ連軍だったが、そうは問屋が卸さなかった。このターン、初めてドイツ軍がイニシタチブを取ったのである。

このゲームは「イニシアチブ」がルール化されており、その有無がゲームの流れに大きく影響する。極端な話、イニシアチブがなければ「やりたいことが何もできない」ともいえる。イニシアチブの有無はダイス目次第なので、如何に巧妙な作戦を案出しようと、イニシアチブのダイスに見放されれば「何もできない」ということにもなりかねない

イメージ 11イメージ 16このターン、ドイツ軍に待望の増援部隊が到着する。第11装甲師団。3号J型戦車3ユニット、4号F2型戦車3ユニット、3号突撃砲2ユニット、歩兵12ユニットからなる精鋭である。ドイツ軍戦車は河の対岸に展開し、接近してくるソ連軍戦車に対して得意のアウトレンジ射撃を開始した。T34/76D戦車1ユニットが忽ち撃破され、さらに数ユニットがD状態になっていく。ソ連軍の反撃で4号戦車1ユニットが撃破され、他2ユニットが弾切れを起こしたが、戦車戦では独軍の優秀性を発揮した形となった。
勢いを得たドイツ軍は接近するソ連親衛歩兵に対しても迫撃砲の猛射を浴びせかけた。親衛歩兵1ユニットが間接射撃を浴びて壊滅、さらに数ユニットがD状態となる。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/9/2/922d5ff7.jpg


突撃(第6ターン)

イメージ 12イメージ 8第6ターン、ソ連軍が再びイニシアチブを取り返した。ソ連軍は残存部隊を再集結して町に篭るドイツ軍に対して果敢な白兵戦を展開した。射撃戦はドイツ軍に一日の長があるものの、白兵戦では兵力に優るソ連軍に分がある。この時もダイス目の冴えもあってソ連軍が勝利。ドイツ軍は歩兵4ユニットを失うという大損害を被り、さらに町ヘクス1つがソ連軍の手中に落ちた。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/b/f/bfae4ff9.jpg


終盤戦(第7~8ターン)

第7ターン、イニシアチブを取り返したドイツ軍は、親衛歩兵5ユニットが篭る町ヘクスに対して反撃を開始した。迫撃砲の間接射撃が降り注ぎ、親衛歩兵2ユニットが混乱する。そして直接射撃。それでも親衛歩兵は下がらない。最後は歩兵が中心になって突撃を敢行したが、それがまさかの"A3"。ドイツ軍歩兵3ユニットが壊滅し、突撃は完全な失敗に終わった。

この攻撃が本シナリオ最後の戦いとなった。第8ターンもイニシアチブはドイツ軍が握った。ドイツ側の歩兵部隊は殆ど壊滅状態なので、イニシアチブさえソ連側にあればソ連軍は地歩を拡大するのは容易であった。しかしここでは天がドイツ軍に味方した。

結果

町ヘクスは双方とも2ヘクスずつ支配。引き分け

感想

プレイ時間は約2時間でした。ゲームシステムはシンプルです。ルールブックの書き方に一部曖昧な所がありましたが、根本的な問題ではありません。ゲームとしての完成度は高いと感じました。

イメージ 7イメージ 8他の戦術級ゲームに比べると、このゲームは歩兵が「使え」ます。まず移動力。一般的な戦術級ゲームの場合、歩兵と戦車の移動力は「桁が1つ違うぐらい」になることも珍しくはありません。しかしこのゲームはそれほど極端な違いはありませn。歩兵の一般的な移動力が5~6、戦車の場合が6~13で、せいぜい1対2です。しかも地形コストは歩兵の方が小さいので、歩兵が戦車に随伴するのは左程困難ではありません。結果、このゲームでは歩兵が攻勢作戦の一翼を担うことになります。
戦闘力から見た歩兵も興味深いです。歩兵は一般に射撃力が小さく、射程も短いので射撃戦では「使えません」。しかし近接戦闘力は比較的大きく、従って近接戦闘に持ち込めば戦車に痛打を与えることも可能です。しかも近接戦闘は射撃とは違って事前の偵察を必要としません。本作における偵察の重要性とその困難さを考慮した時、そして先に示した歩兵移動力の大きさも併せて考えると、歩兵による近接戦闘は本作における重要な攻撃手段であると位置づけられています。

イメージ 9イメージ 10このように歩兵の重要性が増すことにより、歩兵を阻止するための歩兵や迫撃砲、機関銃といった対歩兵支援火器の重要性が強調されることになります。特に迫撃砲はスタックしている敵歩兵をまとめて射撃できるので、非常に強力です。戦車中心のゲームでは往々にして迫撃砲は「役立たず」なのですが、本作では迫撃砲が重要な対歩兵兵器として位置づけられています。

このように本作は戦車、歩兵、砲といった各兵科がそれぞれ得手不得手が明確に表現されています。プレイに際しても諸兵科連合が求められ、その点はリアルに感じます。このあたりカタログスペックだけに固執せず、ゲーム全体の中で柔軟にレーティングを決めていったデザイン思想の勝利といえるでしょう。

少し気になった点はイニシアチブダイスの影響が大きいこと。本文中にも触れましたが、イニシアチブダイスが勝敗を左右する決定的な要因になりかねません。その点やや運の影響が大きすぎるような気がしました。
あとソ連軍特別ルールで特に「18-2 ソ連軍指揮官の負傷」はどうかな。幸い今回のシナリオでは出なかったのですが、下手な場所で「ソ連軍指揮官負傷」が出てしまうと、ソ連軍は致命的な結果になりかねません。これも出る出ないはダイス次第なのでどうかなあ・・・・。

いずれにしても戦術級ゲームとしては完成度が高く、またプレイしていても楽しい秀作であると感じました。
次回はもう少し大規模なシナリオを試してみたく思います。

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最近はすっかり私にとっての定番ゲームと化しつつある「コンフリ」。
今回は大阪ミドルアースにて対人戦に挑戦することとなりました。
お相手頂いたのはKARZさん。今回が初のお手合わせです。

シナリオ4

最初にプレイしたのはシナリオ4。このシナリオについては、かつて紹介したことがありますが、要するに独軍による機動攻略作戦です。兵力は独軍が戦車4、歩兵4、トラック2の計10ユニット。赤軍が歩兵4、機関砲1、戦車2、対戦車砲1の計8ユニットです。ダイスの結果、私が独軍を、KARZさんが赤軍を担当することになりました。

赤軍兵力のうち半数4ユニットはシナリオの指定により初期隠匿配置が可能です。KARZさんは当然のように歩兵4ユニットを除いた兵力を隠匿させました。KARZさんは歩兵4ユニットを手前の村落に配置。この配置は「主力は後方地帯に下がって守るもの」と予想していた独軍プレイヤー(私)を少し慌てさせました。

序盤、独軍は戦車と歩兵の共同で前線に展開する赤軍歩兵部隊を攻撃。独軍プレイヤー(私)はダイス目の悪さ(2D6で3と2を続けて出してしまい、連続射撃が悉くスカに終わる等)等もあって苦戦を強いられますが、やがては兵力差がものを言って赤軍歩兵部隊を撃破することに成功しました。

その後独軍は戦線左翼を突破。T26戦車の待ち伏せ攻撃によって2号戦車1両が撃破されてしまいますが、それを3号戦車が返り討ち。そして前回同様戦線左翼を突破。後方のVP源に回り込んで最後はVPヘクス2箇所を制圧することに成功しました。

VPを比較すると3点差で独軍の勝利です。

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序盤の状況。村落を守る赤軍歩兵(赤丸)に対してドイツ軍が攻撃をかけている。

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中盤の状況。村落の制圧を完了したドイツ軍は、青線の経路で敵拠点(青丸)を目指す。

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終盤の状況。敵戦線背後に回りこんだドイツ軍戦車部隊(青丸)が赤軍最後の拠点(赤丸)を背後から伺う。


シナリオ5

続いてプレイしたのがシナリオ5です。このシナリオについてもかつて紹介しましたが、今まで数回のプレイでは悉く赤軍の勝利に終わっているシナリオです。このシナリオは最初高地帯に陣取る赤軍部隊に対する独軍の攻撃という形で開始されます。その後第3ターン、赤軍側に強力なT34戦車が4両登場。ここで立場は逆転し、赤軍が攻撃側になります。最終的な勝敗は撃破した敵ユニットの数、占領した拠点の数によって決まります。今回もダイスによって陣営を決定し、私がドイツ軍を担当することになりました。

今までの経験から、このシナリオのドイツ軍は高地帯に対してまともにぶつかってはダメだと考えました。その代案として高地帯を迂回して敵後方に流れ込む戦術を採用しました。具体的には、まず発煙弾を搭載した4号戦車が一連の砲撃により赤軍を無力化します。また麓に展開するT26戦車については、兵力の優位を頼んで一気に撃破します。
続いて第2ターン、敵後方に一気になだれ込み、後方の制高点を占領、VPを確保する一方、中央高地に陣取る赤軍部隊も撃破し、一帯を制圧します。
第3ターンからT34が現れますが、それについては防戦一方。まともに戦っても勝ち目はないので、相手に撃たせて足を止める(赤軍戦車は射撃時に消費するAPが大きい)ことを心がけます。
こうして最終ターンまでに中央高地帯を守り抜き、VPで逃げ切りを図るのが今回の骨子です。

それでは実際のプレイを振り返ってみます。
当初の展開は概ね当方の期待したとおりに進みました。正面では4号戦車が発煙弾を発射しつつ、戦線左翼を2号戦車、3号戦車、38t戦車が走り抜ける。BT-7戦車の待ち伏せ攻撃とT26戦車の高地からの奇襲により2号戦車が1両が撃破されてしまいましたが、反撃に3号戦車と38t戦車がBT-7とT26を始末しました。
第2ターンの展開も概ね期待通り。敵戦線左翼の綻びを狙って戦車やハーフトラックが後方の制高点を押さえる。このターン、後方2箇所の制高点のうち、1箇所については完全支配。もう1箇所も支配目前という状況です。
第3ターン。いよいよT34が登場。制高点を制圧任務中の2号戦車は、突然T34による砲撃を右後方から受けたため、反撃する間もなく撃破されてしまいました。付近で行動中の3号戦車は急いで木立の向こう側に退避していきました。しかし高速を誇るT34は構わず突進。木立の背後に隠れている3号戦車を零距離射撃で撃破しました。
その間独軍の残存部隊は中央高地に残る赤軍残存兵力を攻撃し、残存兵力をほぼ排除することに成功しました。
第4~5ターンは両軍のにらみ合い。前線から後退中の独軍ハーフトラックがT34の砲撃を受けて撃破されたとか、対戦車砲がやはりT34の射撃を受けて撃破される等の報告が入ります。しかしそういった小競り合いを除けば両軍とも大きな動きはなく、赤軍もT34をあえて前進させようとはしません。こうしてゲーム終了を迎えることになります。

VPを計算すると、得点差が2点差で赤軍の勝利。ドイツ軍としての反省は、最初の第1,第2ターンでVP源となる制高点を制圧し切れなかったこと。それから中央高地の攻略に手間取り、VPの流出を止められなかったことでしょう。

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セットアップ時の状況。ドイツ軍は、中央高地(赤丸)を包囲しつつ、後方の制高点(黄丸)を狙う。青線はドイツ軍の予定針路。青点線はドイツ軍の煙幕地帯(予定)

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第1ターン終了時の状況。ドイツ軍の先鋒(青丸)は早くも制高点に近づきつつある。この時は順調だったのですが・・・・

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終盤の状況。折角奪取した制高点はT34によって奪い返されてしまいました。

その他

ミドルアース大阪の会場が前回より「ボークスホビースクエア大阪」に変更になりました。
今回、この新しい会場へ初めて行ってみましたが、予想以上に綺麗な場所なので驚きました。テーブルは広いし、椅子が綺麗。一歩外に出たら飲食店やコンビニがすぐ近くにある。
面白かったのは部屋の中に新旧の軍事雑誌や模型雑誌(1980年代の「ホビージャパン誌」等)が取り揃えてあったこと。時間があればそういった雑誌類を読んでいて時間つぶしができそうです。また部屋の各所にスケールモデルがディスプレイされてあったのも興味深く、見ているだけでも楽しくなってきました。

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懐かしのホビージャパンです

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ディスプレイされていたスケールモデルのほんの一部です。

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