「東部戦線」は国際通信社から発売されている戦術級シミュレーションゲームです。
この度、「東部戦線」の中でも最大級のシナリオであるシナリオ9「東プロイセン防衛線」をプレイすることになりました。このシナリオは1945年1月の東プロイセンを巡るドイツ軍と赤軍(ソ連軍)の攻防戦を描いたシナリオで、末期戦シナリオらしく独ソ両軍とも最新型の戦車が登場してきます。
この度、「東部戦線」の中でも最大級のシナリオであるシナリオ9「東プロイセン防衛線」をプレイすることになりました。このシナリオは1945年1月の東プロイセンを巡るドイツ軍と赤軍(ソ連軍)の攻防戦を描いたシナリオで、末期戦シナリオらしく独ソ両軍とも最新型の戦車が登場してきます。
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第3ターン
これまで快調に進撃を続けてきた赤軍部隊であるが、このターンはやや慎重な動きを見せた。傍受した通信内容によると、これまでに受けた損害の回復が思うように行っていないらしい。赤軍は歩兵を中心とした部隊によりじっくりと前進してきた。対するドイツ軍は盤外砲撃によって赤軍歩兵を痛めつけつつ、機動打撃部隊を再配置して赤軍の突破に備えた。第4ターン
ドイツ軍に再び増援部隊が登場してきた。4号駆逐戦車2ユニット、「ヘッツァー」駆逐戦車1ユニットからなる増援部隊である。強力な部隊ではないものの、今の窮状を考えれば少しの兵力でも有難い。機動打撃部隊を再編成し、赤軍の突破に備えた。ちなみに左の絵は「ヘッツァー」駆逐戦車のユニットである。小型車両にも関らず防御力8は「パンター」並み。これが過剰評価なのか妥当な評価なのかは筆者にはわからない。
前進してきたドイツ軍機動打撃部隊に対し、距離1500m(6ヘクス)の遠距離から赤軍部隊が射撃を加えてきた。SU-100対戦車重自走砲。この東プロイセンの戦いが初陣となる最新鋭の対戦車自走砲である。一連の砲撃で3号突撃砲と4号戦車各1ユニットが失われ、3号突撃砲1ユニットがDD状態になった。兵力に劣るドイツ軍にとってこの損害は痛い。一方の赤軍はSU-100 2ユニットが弾切れになった。
左がSU-100対戦車重自走砲のユニットである。WW2中の対戦車火器としては最強級の100m砲を搭載し、ドイツの誇る重戦車「パンター」「ティーガー」を正面から撃破することが可能であった。
本ゲームでは、ユニットレーティングにおいては「ティーガー2」戦車に匹敵する火力と「パンター」戦車に匹敵する防御力、機動力を併せ持つ極めて優秀な対戦車車両として位置づけられている。しかし例の「赤軍特殊ルール」のため、必ずしもユニットレーティングに見合うだけの活躍ができない所が残念な所である。
本ゲームでは、ユニットレーティングにおいては「ティーガー2」戦車に匹敵する火力と「パンター」戦車に匹敵する防御力、機動力を併せ持つ極めて優秀な対戦車車両として位置づけられている。しかし例の「赤軍特殊ルール」のため、必ずしもユニットレーティングに見合うだけの活躍ができない所が残念な所である。
ちなみにSU-100は個人的に好きな車両です。以前にSU-152をネタにしたことがありましたが、ロシア製の自走対戦車砲はいずれも味があって良いですね。
第5ターン
赤軍に増援部隊が登場してきた。「スターリン2」重戦車6ユニット、SU-100重対戦車自走砲4ユニット、T34/85戦車8ユニットなどからなる強力な部隊である。ちなみに左の絵は「スターリン2」重戦車である。火力10、防御力11は、ドイツの「ティーガー」を越えるものがあり、ドイツ軍としては始末に困る重戦車である。足が遅いのが欠点なので、まともに相手をせずに逃げ回るのが得策かも。
先ほどのターンに思わぬ損害を被ったドイツ軍は、敵戦車部隊のスタックに対して砲撃を盤外射撃を集中した。T34/85 5ユニットのスタックを狙った砲撃は、出目にも助けられて4ユニット撃破、1ユニットDDの大戦果を収めた。
大損害を受けた赤軍部隊は後退。代わって増援部隊を加えた新たな部隊が前進してきた。
大損害を受けた赤軍部隊は後退。代わって増援部隊を加えた新たな部隊が前進してきた。
第6ターン
ドイツ軍に第3の増援部隊が登場してきた。「ティーガー1」「ティーガー2」各2ユニットからなる重戦車中隊である。火力と防御力に優れた重戦車部隊だが、この時点では足の遅い重戦車よりも足自慢の「パンター」や「ヤクトパンター」の方が有難い。左は「ティーガー2」重戦車。「キングタイガー」と呼称した方が良いかもしれない。ドイツ軍最強の戦車で、その攻防能力は化物と言って良い。ただし足が遅いのが難点で、本ゲームでは足の速い「パンター」の方が使い勝手の良い場合が多い。
増援を得た赤軍はドイツ軍防御陣地に突進してきた。まず戦車を中心とする部隊が前進してくる。それに対して距離1500mmの遠距離から4号駆逐戦車「ラング」の射撃によってSU-100重自走対戦車砲を撃破。さらに前進してくる赤軍部隊に対し、「ティーガー1」「ヘッツァー」等も射撃に加わる。次々と撃破されるT34/85やSU-100。
戦車による突進を頓挫させたのも束の間、続いて赤軍の歩兵、騎兵が次々と突撃をかけてきた。明らかに弾切れを狙ったその波状攻撃に対し、「ティーガー」「ヘッツァー」が射弾を注ぎ込む。4号駆逐戦車は対戦車戦用に温存する。次々と打ち倒されていく赤軍歩兵や騎兵。一連の攻撃が終わった時、独軍戦車の前面には撃破された赤軍戦車の残骸と将兵の死体が取り残されていった。
戦車による突進を頓挫させたのも束の間、続いて赤軍の歩兵、騎兵が次々と突撃をかけてきた。明らかに弾切れを狙ったその波状攻撃に対し、「ティーガー」「ヘッツァー」が射弾を注ぎ込む。4号駆逐戦車は対戦車戦用に温存する。次々と打ち倒されていく赤軍歩兵や騎兵。一連の攻撃が終わった時、独軍戦車の前面には撃破された赤軍戦車の残骸と将兵の死体が取り残されていった。
第7~8ターン
第7ターン以降は大きな戦いはなかった。赤軍は正面突破を諦め、側面に攻撃軸を移してきた。独軍も逃げる赤軍の背後から散発的な射撃を行うに留まった。局地的には、例えば「『ティーガー2』重戦車小隊が距離1750mの遠距離射撃によってT34/85 2個小隊を瞬時に撃破した」
等というエピソードも残っているが、大局に影響を与えるものではなかった。
結果
最終的な勝利得点は独軍246点、赤軍203点で、独軍の勝利に終わった。赤軍にとっては戦車、特にSU-100重自走砲の損害(3ユニット)が痛かった。ちなみに本シナリオで失った独ソ両軍のユニット数を以下に示す(カッコ内はVP)。AFVの損害比でいえば、ドイツ軍3ユニットに対して赤軍が18ユニット。対戦車砲を加えても7:18で赤軍戦車の苦闘が偲ばれる。赤軍の損害
13x歩兵(6.5)
10x親衛歩兵(10)
3x騎兵(1.5)
4xT34/76D(20)
9xT34/85(63)
3xSU-100(48)
2xSU-76(6)
1xリーダーD(1)
10x親衛歩兵(10)
3x騎兵(1.5)
4xT34/76D(20)
9xT34/85(63)
3xSU-100(48)
2xSU-76(6)
1xリーダーD(1)
独軍の損害
12x歩兵(24)
2xPAK75(6)
2xFLAK88(8)
2x120Motor(4)
2x81Motor(2)
2xNebelwerfer(6)
2x3号突撃砲(14)
1x4号H戦車(7)
プレイ時間はセットアップも含めて約6時間である。2xPAK75(6)
2xFLAK88(8)
2x120Motor(4)
2x81Motor(2)
2xNebelwerfer(6)
2x3号突撃砲(14)
1x4号H戦車(7)
今回プレイしたシナリオ9については、使用するマップの広さやユニット数から見て本ゲーム最大級のシナリオですが、両軍共に楽しむことができる好シナリオだと思います。プレイ時間も約6時間も比較的手頃であり、丸1日あれば十分に終えることができます。バランスも良好。今回の結果を見れば独軍がやや有利とも思えますが、赤軍の増援部隊がもう1ターン早く登場していれば結果は違っていたものになっていた可能性は十分にあります。ただクセの強い赤軍部隊はどちらかといえば「ベテランプレイヤー向け」であり、何でもできる独軍を初心者が担当するのが良いと思います。
戦術級ゲームの大型シナリオについては、しばしば「これホントにテストプレイしているの?」と思わせるような内容のものを見かけることがありますが、本シナリオについていえば十分テストされていることを感じることができました。個人的には「装甲擲弾兵」「東部戦線」を通して最高のシナリオが、今回プレイしたシナリオ9であると感じています。
本ゲームで気になる点は(何度か書きましたが)赤軍に対する過剰なまでの過小評価です。1941年や42年ならとにかく、43年や44年、ましてや45年の段階で独ソ間でこれほどまでに戦術能力に差があるのか首を傾げてしまいます。本シナリオについても独軍長射程対戦車火器の前に屍の山を築く赤軍戦車といった図式が果たして独ソ戦の一般的な図式なのかな?、と疑問に思ってしまいました。
とはいってもエレファントが損害約40両で敵戦車500両以上を撃破した、なんて話もあるしねえ・・・・
結論としては、戦術級ゲームとしては佳作といって良いゲームです。ただし独ソ両軍の評価についてやや疑問に感じる所があり、傑作と評価するにはもう少し時間が必要です。