Winged Victory - The Army Air Force in World War 2
Geoffrey Perret
Random House
タイトル通り第2次大戦期における米陸軍航空軍の戦いを描いた著作です。先駆者としてWilliam Mitchellやその後を継いだHenry.H.Arnold、そしてCarl A Spaatz、George C Kenney、James H Doolittleといった人々の奮闘ぶりが描かれています。と書きたい所ですが、私の拙い英語力では組織論やリーダシップといった微妙な部分を読み取ることはできませんでした。ですから私にとって本書は専ら「WW2米陸軍航空隊戦史」として読ませて頂きました。米陸軍航空隊といえば「知られているようで意外に知られていない」部分が多く、例えば米海軍航空隊や空母部隊の活躍ならば洋書を探せばいくらでもヒットするのですが、米陸軍航空隊関係の資料は驚くほど少ない。特にニューギニア戦線で戦った彼らの活躍を調べようと思っても、なかなか良書を見つけることができないのです。
本書はWW2における米陸軍航空軍の闘いを概論的に捉えているので、ディテール面では十分とはいえませんが、それでも今まで殆ど紹介されることのなかったガダルカナルやニューギニアでの米陸軍航空軍の活躍について、その一端を知ることができます。特に1942年における米双発爆撃機によるラバウル攻撃(坂井三郎氏の「大空のサムライ」にも紹介されています)や1943年中期における彼らと我が第4航空師団との戦いは興味を引く点が多いでしょう。
本書のメインテーマは勿論第8空軍によるドイツ本土爆撃です。「マイティーエイティ」と呼ばれた彼らが、如何に戦ったか。ドイツ空軍防空戦闘機との熾烈な航空戦はまさに本書のメインテーマです。そして(我々にとっては残念なことなのですが)ドイツ空軍の苛烈な抵抗に比べると、日本本土上空で遭遇した我が戦闘機隊の抵抗等は殆ど取るに足らないものであったことが本書には記されています。
英文400ページ以上という大作で、読み通すのはかなり根性が要りますが、米陸軍航空軍の活躍を知る上で有益な著作であることは間違いないので、その筋に興味のある方は一読をお勧めしたい作品です。
お奨め度(評価不能)