「7th Fleet」は、米Victory Games社が1987年に発売を開始した現在海戦(あくまでも発売当時の"現在"ですが)を扱ったシミュレーションゲームです。
本作は「Fleetシリーズ」と名付けられた一連のシリーズ物の第3作目にあたります。昨年暮れに「5th Fleet」の紹介記事を本ブログで掲載しましたが、フリートシリーズの概要についてはそちらを参照して下さい。
本作は「Fleetシリーズ」と名付けられた一連のシリーズ物の第3作目にあたります。昨年暮れに「5th Fleet」の紹介記事を本ブログで掲載しましたが、フリートシリーズの概要についてはそちらを参照して下さい。
今回、「7th Fleet」のシナリオ12「日本侵攻」をプレイする機会を得ました。以下はそのレポートです。
前回までのあらすじ --> こちら
イベント
第4ターンである。開戦2日目である。このターンはランダムイベントチェックがある。イベントには色々ある。指揮混乱、増援遅延/加速、国連混乱/進展、北朝鮮進攻、停戦交渉進展等である。ソ連側にとって一番うれしく、連合軍側にとって一番悲しいのは、言わずもがな「北朝鮮進攻」であるが、これは発生確率9%と少々心許無い。今回発生したイベントは「停戦交渉進展」。これは停戦マーカーが1つ前進するイベントである。停戦マーカーは「開戦」「交渉開始」「交渉進展」「停戦」の4段階があり、最初が「開戦」、4番目の「停戦」に到達するとゲームが終了する。
また停戦マーカーが1段階進むごとに海域制覇や北海道上空制空権といった項目について勝利得点を得る。特に海域制覇はソ連軍にとって重要な得点源なので、ソ連軍にとって停戦交渉の進展は望ましい所だ。
ちなみに停戦ルールや後に述べる増援ルールは、次回作の「5th Fleet」では削除されてしまった。ゲームバランスを考慮したための処理かどうかはわからない。しかし増援や停戦交渉の進展といったチェックは盛り上がることは間違いない。「5th Fleet」が「7th Fleet」に比べてやや大味な展開になりがちなのは、この辺りに原因があるのかもしれない。
増援
またこのターン、両軍共増援が登場する。増援はスケジュールに沿って登場するが、スケジュールの進み具合をダイス判定によって決める所が「7th Fleet」の特徴である。大きいダイス目を出せば大量の増援部隊が登場するが、出目が渋いと増援部隊の数が減る。最悪の場合、全く増援が得られないことすらある。今回のダイス目は西側連合軍もソ連側も共に最低。ソ連側の増援部隊はなし。連合軍も新田原基地に空自のF-15、F-4の混成部隊が登場してきただけだった。連合軍にとって痛かったのは、このターン登場を予定していた「キティホーク」機動部隊が登場してこなかったことだ。普通の出目であれば「キティホーク」機動部隊を登場させることができただけに、出目の悪さが恨めしい。
戦略航空作戦
戦略航空作戦で久しぶりに凱歌が上がった。千歳基地を発進した航空自衛隊のF-15J「イーグル」の飛行隊が1-1の空中戦でソ連のMiG-31「フォックスハウンド」を叩き落としたのだ。制空権を握った西側連合軍は宗谷海峡を抜けんとするソ連輸送船団を発見した。攻撃空母「ミッドウェー」。今回のシナリオではソ連潜水艦による集中攻撃の目標となり、苦戦を強いられた。
カムランを片付けた「カールビンソン」機動部隊が北上を急ぐ。しかしその間にも日本近海の戦況は急を告げていた。
ソ連自慢の化学弾頭付き短距離地対地ミサイルSS-22がナホトカ近郊から発射された。千歳基地に着弾。有毒ガスの雲に覆われた千歳基地は瞬時にその機能を失った。
「ミッドウェー」機動部隊は激しく追いすがるソ連マイク型高速原潜「シドロフ提督」にようやく一矢を報いた。駆逐艦「オルデンドルフ」搭載の対潜ヘリが「シドロフ提督」に魚雷を命中させたのだ。「シドロフ提督」は重大な損傷を被ったが、それでも沈没はしなかった。
ソ連自慢の化学弾頭付き短距離地対地ミサイルSS-22がナホトカ近郊から発射された。千歳基地に着弾。有毒ガスの雲に覆われた千歳基地は瞬時にその機能を失った。
「ミッドウェー」機動部隊は激しく追いすがるソ連マイク型高速原潜「シドロフ提督」にようやく一矢を報いた。駆逐艦「オルデンドルフ」搭載の対潜ヘリが「シドロフ提督」に魚雷を命中させたのだ。「シドロフ提督」は重大な損傷を被ったが、それでも沈没はしなかった。
第5Turn(第2日目午後)
ソ連潜水艦に包囲されつつある「ミッドウェー」機動部隊は、それでもようやく日本近海に到達しつつあった。北方領土を航続距離圏内に収めた「ミッドウェー」からEA-6B「プラウラー」の1個編隊が発進する。グアム島より発進したB-52G「ストラトフォートレス」の編隊と合流。国後島のソ連軍航空基地を爆撃する。爆撃は功を奏し、国後島のソ連軍基地に1打撃を与えた。しかしこれは失敗だった。国後島の北方180海里地点に、カムチャッカ半島へ向かうソ連輸送船団が航行中であったのだ。これを攻撃しない手はない。日本本土から海上自衛隊と米海軍の合同攻撃隊(いずれもP-3C装備)がソ連船団を襲う。ハープーンミサイルが発射されて船団に迫ったが、対空防御に阻まれて戦果を挙げることはできなかった。
第6Turn(第2日目夜間)
東京湾に向う「ミッドウェー」機動部隊に対して2隻のオスカー型大型攻撃原潜「エニセイ」「ボルシャネヴァ」が追う。「エニセイ」は65式長距離魚雷を発射。「ボルシャネヴァ」はP-700「グラニード」対艦ミサイルで攻撃を仕掛けた。いずれも空母「ミッドウェー」に止めを刺すべく行われた攻撃だったが、米海軍フリゲート艦「サムエルBロバーツ」とカナダ海軍フリゲート艦「クーテナイ」を撃沈したのみで、「ミッドウェー」を仕留めることはできなかった。一方「ミッドウェー」から発進したA-6「イントルーダー」とグアム島を発進したB-52の編隊は、再びオホーツク海を航行するソ連船団を襲う。今回の攻撃は成功し、コルベット艦2隻を撃沈した他、輸送船の約半数を対艦ミサイルにより撃沈することに成功した。
この時点で時間切れでゲーム終了となった。
結果
ソ連軍の戦果
39VP:艦船撃沈(6xDD(日)、3xFF(米2,カナダ1)、2xCO(日)、1xSS(米)、1xAA(米))15VP:航空機撃破(2xF15(米1、日1)、2xF16(米)、1xF4(米))
88VP:海域支配拒否による
15VP:北海道上空の制空権
25VP:シナリオボーナス
合計182VP
連合軍の戦果
29VP:艦船撃沈(6xDD、1xSN、1xSS)36VP:航空機撃破(1xY36、1xM31、1xM25、2xT16G/C、2xM19(北鮮)、3xM21(北鮮1、ベトナム2)、1xM23(北鮮)、1xS7(北鮮))
22VP:揚陸ポイント
合計87VP
感想
Must Attackでは「大敗」と書いたが、勝利条件に当てはめれば(ギリギリで)"Soviet Marginal Victory"、つまりソ連側辛勝である。とはいえ、盤面の状況からいえば大敗には違いない。今回の敗因は、戦略的な失敗が2つ、戦術的な失敗が2つある。
まず戦略面では「決戦上への兵力集中を怠ったこと」「主導権の欠如」があげられる。最初の点については、今回のシナリオで決戦上はどこか?。北海道と朝鮮半島であった。兵力集中の原則から言えば、可能な限り決戦上へ戦闘力を集中すべきであった。「ミッドウェー」「カールビンソン」の2大空母もまたしかり。
「主導権の欠如」については、巡航ミサイルによる先制攻撃を怠ったことがあげられる。当方の作戦方針としては、3隻目の空母「キティホーク」が戦場に姿を現わしてから反撃に転じ、そこで巡航ミサイルを「解禁」するつもりであった。しかしこの方針では北海道、朝鮮半島で戦っている基地航空部隊を見捨てることになる。それよりも基地航空隊が健在な間に主導権を握り、敵基地航空兵力を叩くべきであった。そのためには「ミッドウェー」をも基地攻撃に投じるべきであった。結局今回のシナリオでは、カムラン湾方面を除いて1発の巡航ミサイルを撃つこともできなかったことは、返す返すも残念であった。
「主導権の欠如」については、巡航ミサイルによる先制攻撃を怠ったことがあげられる。当方の作戦方針としては、3隻目の空母「キティホーク」が戦場に姿を現わしてから反撃に転じ、そこで巡航ミサイルを「解禁」するつもりであった。しかしこの方針では北海道、朝鮮半島で戦っている基地航空部隊を見捨てることになる。それよりも基地航空隊が健在な間に主導権を握り、敵基地航空兵力を叩くべきであった。そのためには「ミッドウェー」をも基地攻撃に投じるべきであった。結局今回のシナリオでは、カムラン湾方面を除いて1発の巡航ミサイルを撃つこともできなかったことは、返す返すも残念であった。
戦術面での失敗は「地形利用の欠落」と「兵力運用の失敗」があげられる。「地形利用の欠落」については、浅海域ヘクスや防御拠点ヘクスをもっと積極的に利用すべきであった。特に津軽海峡の阻止線は有効活用することにより敵潜水艦の行動を大幅に封じることができる。今回のシナリオではソ連原潜の65式魚雷に大いに悩まされたために、それを封じる戦術的手段についてもっと積極的に利用すべきであった。
「兵力運用の失敗」はそれぞれの艦、航空機の特性に応じた運用をすべきであった。例えば日本の護衛艦は本質的に対潜艦である。対空、対艦能力も皆無ではないが、本質的には自衛のための対艦、対空能力と割り切った方が良い。それよりも対潜能力を生かして対潜掃討任務につぎ込むべきであった。逆に日本の潜水艦は本質的に対艦攻撃艦である。対潜戦では攻撃力と探知力不足でほぼ役立たずの存在であった。彼らこそオホーツク海に投入し、積極的にソ連水上艦を追うべきであった。
「兵力運用の失敗」はそれぞれの艦、航空機の特性に応じた運用をすべきであった。例えば日本の護衛艦は本質的に対潜艦である。対空、対艦能力も皆無ではないが、本質的には自衛のための対艦、対空能力と割り切った方が良い。それよりも対潜能力を生かして対潜掃討任務につぎ込むべきであった。逆に日本の潜水艦は本質的に対艦攻撃艦である。対潜戦では攻撃力と探知力不足でほぼ役立たずの存在であった。彼らこそオホーツク海に投入し、積極的にソ連水上艦を追うべきであった。
何はともあれフリートシリーズは面白い。7th Fleetは面白い。そう感じることができただけでも有意義な対戦でした。
Photo by NavSource Naval History