もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2017年05月

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ニッポン核武装再論

兵頭二十八 並木書房

北朝鮮情勢は依然として緊迫しており、一説によれば水爆を搭載した核ミサイルを同国が保有している可能性があるという。もしこれが事実で、それが日本に向けられた場合、その被害は想像を絶するものになるだろう。死者は数十万からひょっとしたら数百万から一千万に及ぶ規模になるかもしれない。そしてそれは決してフィクションの世界ではない。現在既に実在しているか、あるいは遅くとも数年以内には実現するであろう近い未来における脅威なのである。
戦略家として著名なエドワード・ルトワック氏は言う。「戦争が平和を生み、平和が戦争を生む」と。そして氏は言う。平時においては脅威が眼前にあっても「まあ大丈夫だろう」と考えてしまい、相手と交渉もせず、攻撃を防ぐ方策をも練ろうともしない。そして相手の攻撃を招いてしまう。まさに現在の日本を象徴するような言葉だ。
本書は日本における核武装について記した著作だが、筆者が念頭に置いているのは北朝鮮の核兵器だけではない。筆者はむしろ中国の核兵器を大きな脅威として捉えている。これは本書の書かれた時期(2003年)では、まだ北朝鮮は核実験を実施しておらず(核保有の噂はあった)、中国の核兵器が現実の脅威として捉えられていたこともあるが、一方で日本人は忘れがちな中国の核兵器について筆者はその脅威を主張したかったのかもしれない。
本書は自主核武装の必要性について書かれた著作だ。筆者は敵の核攻撃を防ぐ最も有効な手段として、核武装を説いている。筆者によれば、核を防ぐことができるのは核だけであり、ミサイル防衛システムや通常兵器による精密攻撃で敵の核攻撃を防ぐことはできないとしている。敵に核攻撃の意思を放棄させる最良の手段は、敵をして核を使用すれば即時に同一の反撃を受けるという脅威だけである。なるほど核兵器の存在は全ての戦争を防ぐことにはならなかった。しかし核兵器による抑止力は確かに機能した。あの冷戦時代、東西間で直接的な軍事衝突がなかったのは、決して「平和を愛する諸国民の公正と信義」によるものではない。東西両陣営の核戦力と通常戦力が一定のバランスを維持していたからである。これは極東地区でも同様であり、日本が西側諸国の一員として戦後発展を遂げてこられたのは、米国を初めとする同盟国の核戦力及び通常戦力が敵対国のそれと拮抗又は凌駕していたからである。繰り返すが、決して「平和を愛する諸国民の公正と信義」によるものではない。

本書は日本における核武装のあり方について1つの考え方を提供する著作である。日本の核武装に賛成する者も反対する者も、一度は読んでみて損のない著作と言えるのではないだろうか。

お奨め度★★★★

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北海道の函館といえば、五島軒のカレーとかラッキピエロのハンバガーとか函館ラーメンとか美味しいものが色々あって個人的には好きな町です。北海道の陸の玄関口という位置づけ上、北海道へ陸路で行く際の通過点とすることも多く、函館の街自体も個人的には結構馴染みの街だと思っています。

そんなこんなでやってきた函館。新幹線を使えば東京から半日とかからない近さ(勿論ヒコーキならもっと速い)。それでいて北国情緒漂うこの街に来たら、やはり欠かせないのが丼物。駅前朝市というどうみても観光客(特にアジア系)目当ての一角に「きくよ食堂」はありました。

2階に通されて早速注文したのが「三色丼」。具材は自分で選べるとのことだったので、ウニ、イクラ、サケを頼みました。ウニとイクラは甘くて美味しかったのですが、サケは失敗。ナマ鮭ではなく焼鮭で、それをほぐしたものが出てきます。これじゃサケの振り掛けだよ、と思ったのも後の祭り。素直にホタテにしておけばよかった・・・。
あと量が少なめなのが少し気になる所で、所謂コスパはあまり良くありません。
それでもウニとイクラが十分に美味しかったので、お奨めできる店だと思います。

お奨め度★★★

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「大戦略、白村江の戦い」は、Game Journal誌第15号の付録ゲームです。歴史の教科書には頻繁に登場する有名な戦いですが、詳しいことは知りません。唐・新羅の連合軍と百済・倭(日本)の連合軍が戦い、前者が勝利した、ぐらいは知っていますけど。時期は663年とあるので、日本では奈良時代に入る少し前ぐらいかな。結果として朝鮮半島における倭の権益は失われ、新羅による朝鮮半島支配が確立されたとか・・・。

システム紹介

私の知る限り、本作について紹介されたことは殆どなかったと思うので、簡単なシステム紹介おば。マップはポイント・トウ・ポイント。行動の基本はアクションチット性です。両軍共通のアクションチットを毎Turn6枚ずつランダムに取得し、そのうちの1枚を密かに選んで同時に公開します。アクション数の多い側が最初にアクション数だけ行動し、続いて少ない側が同様に行動します。このようなアクションを計6回(アクションチット数とイコール)繰り返し、1Turnが終了します。
ここでもし両軍の選んだアクションチットが同じものなら(基本的にアクションチットは同じ内容のものが2枚含まれています)、その瞬間にTurnが終了します。従って守りに立っている倭・百済側は同じアクションチットを狙ってTurn終了を狙う戦術も成り立ちます。
アクションチットの中には「疫病」「内乱」もあり、それぞれ相手に不利な影響を与えます。
戦闘はファイアパワー。防御側の射撃後に生き残った攻撃側が反撃するというシステムです。部隊(将軍)の中には、命中率が他よりも高いユニット、敵に先んじて射撃を実施できるユニット、その逆に敵側から先に射撃を受けるユニット等があります。
他には支配の概念が厳しく、敵国の支配を得るためには、そのスペースに自軍ユニットを配置しておく必要があります。支配下スペース以外は補給線を通さない上、補給切れでTurn終了を迎えると、厳しい消耗チェックが待っています。従って侵攻側である唐・新羅連合軍は、後方連絡線の確保に腐心することになります。

勝利条件については、唐・新羅連合軍は朝鮮半島全域の支配、対する倭、新羅、高句麗連合はその阻止です。ゲーム開始時、唐・新羅連合は、朝鮮半島の約1/3を支配しています。残り2/3は北半分を高句麗が支配し、南半分を百済が支配しています。今の地理で言えば、新羅は韓国の東半分(日本海側)+ソウル周辺、百済はソウルを含まない韓国西半分、高句麗は北朝鮮です。百済と高句麗が連合していますが、その間を新羅によって分断されているため、唐・新羅連合は高句麗、百済の各個撃破を狙うことになります。

ゲーム展開

最初のプレイでは私は倭、百済、高句麗連合(以下、日本軍)を担当しました。最初に唐・新羅連合(以下、中国軍)は高句麗の平定を目指します。中国軍、中でも唐の軍事力が圧倒的で、高句麗の日本軍は対抗できません。日本軍は交戦を避けて首都平壌に向けて撤退していくのみ。中国軍はそれを追って朝鮮半島奥深くに侵攻していきますが、補給ルールが厳しいので各スペースに守備隊を残す必要があり、徐々に先細りになっていきます。
結局中国軍は補給問題解決の糸口がつかめずに投了。
「このゲーム、どうしたらええねん」
と言う意味の呟きを残していました。

第2回戦。今度は本作の経験者が中国軍を担当。私は前回同様日本軍を担当します。
中国軍は唐軍主力が前回同様鴨緑江から朝鮮半島に進入。しかし補給問題があるので、大きくは前進せず機会を伺います。また新羅軍を使って百済領内にゲリラ的な侵攻を仕掛けます。対する日本軍は、北部戦線(高句麗)では、唐軍に対して高句麗軍を朝鮮半島核心部に待機させてこれに対峙。また南部戦線(百済)では、先撃ち可能な指揮官(日本の阿倍比羅夫、百済の道探、鬼室福信)を使って先制攻撃により新羅のゲリラ侵攻部隊を各個撃破します。
第4Turnに強力なチットを得た中国軍は大攻勢を開始。一気に高句麗領内に侵攻します。後方連絡線は顧みない全力攻撃。このままではTurn終了時に大消耗する筈でしたが、第6ラウンドまで戦って遂に高句麗全土を制圧。高句麗群を撃破しました。その結果、新羅領内経由での補給線が確保できたため、唐の大軍は辛くも補給切れによる大損耗は免れました。
しかし高句麗攻略戦は唐の侵攻軍に対してもかなりの出血を強いました。そのため唐の軍勢は一旦本土に撤退。再編成に努めます。唐の軍隊は、唐の本国で完全戦力に復帰できるのです。しかし唐の主力が不在の状況で、日本軍は新羅領内に侵攻を実施。新羅の軍勢が残り3ユニットになったので、中国側が敗北を認めて終了となりました。

感想

システムはシンプルで解りやすく、ルールを理解している人がいれば、その場でインストしてプレイできます。勝利条件的には中国軍が難しいように思います。兵力面での優位を利用して一気に高句麗を攻め落とし、そのまま倭・百済の連合軍を撃破するのが良いかと思います。

残念な点としては、(このゲーム自体の問題ではないのですが)白村江の戦い自体が余り歴史的な興味を惹くテーマではないこと。まあマイナーテーマであっても料理の仕方如何では傑作と化ける事例もなきにしも非ず(例えばHere I Stand等)ですが、そういった「隠れた魅力」を発掘するには至っていない作品と言えます。

いずれにしてもマイナーテーマを積極的にゲーム化する制作姿勢には敬意を表したいと思います。

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山と渓谷 2016年11月号

この種の雑誌を買うのは久しぶりだ。以前、毎週のように山に行っていた時には、それこそ毎号ぐらい買っていたのだが・・・。
今回は特殊記事に惹かれて購入した。それは「登山力養成講座」。最近加齢のためもあって「登山力」の低下を自覚している自分だが、この特集記事では「登山力」の測り方、「登山力」の高めるトレーニング、「登山力」を高める/維持する食事についても紹介されている。実用的で役に立つ内容だった。
他に興味を惹いた点としては、トレラン(トレイルランニング)が今まで以上に強く紹介されていること。数年前は登山雑誌の中でもトレランの扱いは小さかったが、今では通常の登山と並ぶぐらいの勢いでトレランが扱われている。これも時代の流れか・・・。

お奨め度★★★

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五稜郭の桜を前回見たのは今から9年前でした。その時もGWだったのですが、桜の花が半分以上散っており、「こりゃダメだね」といった感じでした。あれから9年後の2017年。GWの長期休暇を利用して函館で桜を見ることにしました。

到着初日は天候があまり良くなく、小雨も降るという状況。無論雨でも綺麗に見える桜はあるのですが、ここの桜はどうやらそういった類のものではなかったらしいです。

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2日目、今度こそはと快晴を利用して早朝の五稜郭へ出かけてみました。狙い通り観光客も疎らで綺麗な桜をバッチリ撮れました。桜の花も丁度見頃といった感じで、9年前の借りを返すことができました。

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余談ですが、五稜郭は江戸末期に築かれた近代城郭で、主に砲の射程を考慮して築かれたとのこと。素人目には砲兵射撃を避けるには地積が小さすぎ、また戦国型の城郭と比べても石垣が低い分防御効果が低いように思えるのですが、素人考えかな・・・。

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