平成関東大震災-いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった
福井晴敏 講談社文庫
福井晴敏氏といえば、「終戦のローレライ」とか「機動戦士ガンダムUC」とかいった作品で知られた小説家であり、少なくとも私の周囲では毀誉褒貶が激しい(どちらかと言えば毀貶の方が多いかな?)人物です。この作品は、その福井氏が書いた第2次関東大震災を描いた短編です。本書の主人公は東京都庁で地震に遭遇し、その後様々な困難を経て自宅のある墨田区まで帰宅するというストーリーです。この話は極端なパニック小説ではなく、どちらかといえば等身大の主人公が大地震という非常事態に対して等身大に対応する話です。もし本当に関東大震災が発生したら、我々自身が遭遇するであろう場面をリアルに再現しています。1~2時間程度で読み終わる短いストーリーですが、内容は面白く、また防災に関する知識もさり気なく書かれているので、万人にお奨めできます。
なお、本書の初版は2007年なので今から11年前。東日本大震災はまだ起こっていません。それでも本書の内容を古臭く感じないのは何故でしょう。
お奨め度★★★★