Iron Debris System(以下、本作)は、「宇宙戦艦ヤ○ト」シリーズをテーマとした同人シミュレーションゲームである。本作は「ヤ○ト」における宇宙艦隊戦闘をシミュレートし、1ユニットは1隻の宇宙艦又は1個中隊(9~20機)の宇宙艦載機を表す。
これまで3回の戦いはいずれも地球防衛軍の圧勝であった。それはそれで面白かったが、もう少し地球防衛軍が苦戦する場面も見てみたい。そこで選んだのがこのシナリオである。
ルールブックには書かれていなかったのだが、艦載機が無限に攻撃するのは違和感があるので、ミサイル攻撃も固定火器による攻撃もそれぞれ1回の出撃では1回までとした。また対空射撃でアボートした艦載機は、着艦するまで対艦攻撃は実施不可能とした。
ちなみにルールブックを読むと、特に艦載機の攻撃回数について制限はないように思える。しかしp14のプレイの例を見ると、ドメル艦隊の爆撃機がミサイル発射後に「裏返す」とある。プレイの時にはなぜ裏返すのかが不明だった。
1Turn
七色星団を進む「ヤマト」は突然敵機の奇襲を受けた。瞬間物質移送機が使われたのである。バーガー率いる急降下爆撃隊が「ヤマト」を強襲した。レーダーに命中弾を受けて「ヤマト」はレーダーの使用が一時的に不可能になる。さらに重爆撃機がドリルミサイルを搭載して「ヤマト」の艦首方向に現れた。ミサイルは「ヤマト」の波動砲発射口に命中。「ヤマト」の内部に向けて突き進んでいく。
3Turn
ドリルミサイルはアナライザーの活躍により意外とアッサリと反転に成功した。波動砲発射口から宇宙空間に飛び出したドリルミサイルは速度を上げながらドメル艦隊へ向かっていった。最前列を進む戦闘空母「ハイデルン」。その中央部にドリルミサイルが命中した。大爆発により大損害を被った「ハイデルン」。その他の空母群もミサイル爆発の被害を免れず大小の損害を被る。そこへ「ヤマト」を発進したブラックタイガー隊が襲いかかる。対空砲火を潜り抜けて空母「クライツ」を襲ったブラックタイガー隊は「クライツ」を大破させた。
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4Turn
完全に復旧した「ヤマト」は、暗黒星雲の中でドメル艦隊を照準に捉えた。ショックカノンが火を噴く。多数の命中弾を受けた戦闘空母「ハイデルン」が轟沈する。さらに明らかに体当たりを意図して突進してきた空母「バーガー」及び「ゲットー」に対し、至近距離からショックカノンの斉射を浴びせかけてこれを撃沈した。大破した「クライツ」は暗黒星雲に飲み込まれて行方不明となり、残りは旗艦「ドメラーズ」のみとなってしまう。その「ドメラーズ」も既に多数の命中弾を受けて沈没は時間の問題となった。感想
地球防衛軍が負けるのを期待してのプレイであったが、結局は「ヤマト」の強さを再確認しただけの結果に終わった。艦載機の攻撃力が決定的ではない上、ドリルミサイルも余程の事がない限り反転させられてしまう。頼みの砲戦部隊は、戦闘空母が唯一ある程度「ヤマト」に対抗できる(決して匹敵している訳ではない)砲火力を有しているのみで、それも防御力の違いを加味すれば互角の交戦は難しい。他の空母は砲戦ではほぼ役立たずだ。艦載機のルールを自己流に解釈して「攻撃は1回のみ」としたが、そのルールを排して複数回攻撃できるようにすれば、ガミラス軍にもチャンスがあるかもしれない。(ただし、攻撃回数制限なしとすると、今度は「ヤマト」側がガミラス艦載機の長距離ミサイル攻撃を阻止する手段がなくなる)
このプレイから数日後に"BonsaiGames"のHPの存在を知り、そこに「ミサイルを発射した艦載機は自動的に損耗します」というルールが追記されていたので、ようやく上記の疑問が氷解した。その他にもこのエラッタには戦闘機による制空戦闘等、重要なルールが追加されており、ゲーム展開にかなり影響を与えそうである。"BonsaiGames"のHP
これまで本作について色々なシナリオを試してみたが、全般的には地球側に有利なシナリオが多いようだ。無論、あくまで感想に過ぎないので、ちゃんと研究した訳ではない。バランスは兎に角、「ヤマト」らしさを味わうことができる作品であることは間違いない。本作をプレイする場合は、あまり勝敗には拘らず、昭和の雰囲気に浸りながらプレイするのが良いと思う。
短いシナリオなら30分、長いシナリオでも2時間とかからない(さすがに土星決戦はもう少しかかるかも)ゲームなので、手軽に楽しめる所も良い。