Game Journal#69「南方作戦1941」(以下、本作)は、2018年に発売された1941~42年前半における日本軍の南方侵攻作戦を扱ったシミュレーションゲームである。システムは、同紙39号「真珠湾強襲」や60号「本土決戦1945」等でお馴染みの強襲システムで、陸海空の統合作戦を簡単なルールで再現できるのが特徴である。早速実プレイを試してみた。ソロプレイである。
前回まで
前回は1941年12月から42年2月前半(紀元節)までをプレイした。日本軍は香港を攻略した後、史実通り紀元節にシンガポールを占領した。その頃、ボルネオ島バリクパパンでは重要な油田が発見され(何故か戦争中に油田が見つかったりする)、その破壊を目指す連合軍と奪取を図る日本軍が激しい攻防戦を繰り広げていた。
5Turn(42Feb)

香港の第23軍はルソン島に渡航。バターン半島攻略に備えてルソン島に上陸した。さらにタイから第15軍がビルマ領内に進入。英印軍と激闘を交える。しかしその隙をついて中部ビルマからタイに向けて英軍1個連隊が南下。守備隊のいないタイを占領した。
このTurn、連合軍は1VPを獲得した(要塞確保1VP)。累積10.5VP

6Turn(42Mar)

さらに日本軍はジャワ島西部へ侵攻する。「電撃戦」によって一気に西部ジャワ島の占領を目指したが、ここに至って日本軍のダイスが滑ってしまい、攻撃失敗。陸軍記念日のジャワ島制圧はならなかった。
このTurn、連合軍は1。5VPを獲得した(ユニット除去0.5VP、要塞確保1VP)。累積12VP

7Turn(42Mar)

ジャワ攻略を完了した日本軍は、広島第5師団を主力とする部隊をマレー半島に戻した。クラ地峡に上陸した第5師団はそのまま北上し、バンコクに侵攻してきたインド軍1個連隊を文字通り粉砕した。
しかし日本軍がカードを使い切った所を見計らって連合軍が反撃を仕掛けてきた。「電撃戦」カード2枚を使って戦車を含む4個連隊がクラ地峡に上陸した。「補給」カードで復活した英軍は日本軍の守備隊を撃破し、クラ地峡を支配した。
このTurn、連合軍は1VPを獲得した(要塞確保1VP)。累積13VP

8Turn(42Apr)

他にボルネオ西部、ミンダナオ島での連合軍の抵抗が集結し、フィリピン一帯、ボルネオ全域が日本軍の支配下となった。しかしセルベス島、スマトラ島西部での連合軍による抵抗は続いている。日本軍によるラングーン攻略も失敗し、クラ地峡に上陸した英軍の排除も失敗に終わった。

結果

クラ地峡に対する連合軍の奇襲攻撃が失敗し、スラバヤ又はセレベス島を日本軍が占領していれば、日本軍の勝利であった。そういった意味では、ラングーン攻略よりもフィリピン攻略を優先すべきであった。少なくともクラ地峡だけでも保持していれば、引き分けに持ち込めた。
感想

日本軍については航空兵力を集中運用すべきであった。このゲーム、航空機の攻撃力が極めて強力であり、平均的な打撃値では地上部隊を凌駕する。しかもヒット数を攻撃側が自由に割り付けられるのも大きい。地上攻撃では敵ユニットを裏返しても「補給」カードで元に戻されて黙阿弥になってしまう危険性が高いが、航空攻撃の場合はヒット数を攻撃側が自由に割り当てられるので、ユニットの除去に集中できる。さらに艦船に対して脅威となる敵航空兵力を潰せるのは航空兵力のみである。自軍の「補給」カードを有効活用するためにも航空兵力は集中活用したい。他にも勝利条件を見極めた攻略目標の設定なども必要であろう。
連合軍についていえば、もっと積極防御を試みるべきであった。特にジャワ島などの島嶼防衛戦には優秀な部隊を積極的に利用し、「待ち伏せ」カード、「電撃戦」カード等で日本軍に対して出血を強いるべきであろう。今回第7Turnに実施したクラ地峡に対する逆侵攻は、連合軍の反撃事例としては良い方法だったと思う。
ゲーム全体の感想としては、簡単なルールで複雑な立体作戦を良くもここまでまとめ上げたと思う。細部の再現はスポイルしながらも全体の流れは史実の流れを上手く捉えている。テーマ的には連合軍が一方的に潰されるような展開を予想するが、本作は連合軍も色々と嫌がらせができるので結構楽しい。
プレイ時間は1Turn15~20分として2~3時間といったところか。ただ両軍ともカードの組み方を考え始めるともう少し時間がかかるかも知れない。
注意点としては、カードの組み合わせに癖があるので、デッキの組み方にコツがあることだろう。例えば電撃戦、共同攻撃などの活動系のカードばかりだと動かす部隊が先になくなってしまう。逆に補給カードばかりだと行動ができなくなる。このカードデッキの組み方に悩む所が「シミュレーションとしてどうなの?」と思ってしまう所だが、そこはゲームとして割り切った方が良いのだろう。
プレイ時間は1Turn15~20分として2~3時間といったところか。ただ両軍ともカードの組み方を考え始めるともう少し時間がかかるかも知れない。
注意点としては、カードの組み合わせに癖があるので、デッキの組み方にコツがあることだろう。例えば電撃戦、共同攻撃などの活動系のカードばかりだと動かす部隊が先になくなってしまう。逆に補給カードばかりだと行動ができなくなる。このカードデッキの組み方に悩む所が「シミュレーションとしてどうなの?」と思ってしまう所だが、そこはゲームとして割り切った方が良いのだろう。
何はともあれ難しいテーマを上手く纏めた佳作以上の作品と言えよう。
