自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)。今回は、追加シナリオである真珠湾シナリオについて紹介する。
このシナリオは、2019年5月26日のゲームマーケット春で発売予定の「雑誌、海空戦No.2」に収録予定である。
このシナリオは、2019年5月26日のゲームマーケット春で発売予定の「雑誌、海空戦No.2」に収録予定である。
=====================================
「海空戦、南太平洋1942」の概要については-->こちらを参照して下さい。
=====================================
「海空戦、南太平洋1942」の概要については-->こちらを参照して下さい。
=====================================
シナリオのコンセプト
真珠湾攻撃をシナリオ化するにあたり、コンセプトを決める必要があった。すぐに思いつくのは史実シナリオである。すなわち淵田、嶋崎両隊による真珠湾への攻撃を再現するものである。このタイプはどちらかといえば一方的な展開になるので、練習用又はソロプレイ用のシナリオに向いている。ただ本作の戦術戦闘システムはやや複雑なため、真珠湾攻撃のような大規模シナリオをソロプレイすると、時間がかかる。そのためソロプレイ用としては兎に角、練習用としてはやや不向きである。そこで史実をややアレンジし、仮想戦とした。すなわち米側の防御態勢を史実よりもやや強化し、さらに実際には真珠湾近海にいなかった「レキシントン」や「サラトガ」機動部隊も真珠湾近海にいたものとする。従って日本軍にとっては、史実よりもやや厳しい状況としている。
懸念事項としては、真珠湾に対する一撃は通常通り実施することになるが、そこで時間がかかりすぎると連合軍プレイヤーが暇になること。また第1撃の結果によって勝敗が決まってしまう可能性があること、である。
懸念事項としては、真珠湾に対する一撃は通常通り実施することになるが、そこで時間がかかりすぎると連合軍プレイヤーが暇になること。また第1撃の結果によって勝敗が決まってしまう可能性があること、である。
(注1)実際に真珠湾に在泊していた駆逐艦は30隻を超えているが、出撃可能な隻数として17隻に制約した。 (注2)実際にオアフ島に展開していた航空機は300機を超えているが、出撃可能な航空機は25ユニット(約220機)としている。ただしゲーム開始時及びゲーム途中で航空補充ポイントが与えられるので、稼働機数が徐々に増えてくる仕組みになっている。
初期兵力
日本軍及び連合軍の初期兵力は史実通り。日本軍は6隻の空母に航空機43ユニットが搭載されている。連合軍は真珠湾に在泊中の戦艦8、巡洋艦7、駆逐艦17(注1)と、航空機25ユニット(注2)である。また増援で登場するのは、空母3、巡洋艦10、駆逐艦22からなる3群の機動部隊で、その艦載機は計24ユニット(水上機除く)になる。空母戦力や艦載機の戦力では日本機動部隊に敵わないが、水上戦力では優っている。あとは奇襲効果を上手に使って日本機動部隊を叩けるかどうかがポイントになる。ブレスト的に考えよう
まず勝利条件を見る。両軍とも250VPを獲得し、その時相手よりも20VP以上多く確保していればサドンデスで勝利する。また最終Turn終了時に相手よりも20VP以上多く確保してれば勝利する。また連合軍は最初から150VPのハンデを得ている。日本軍の立場から言えば、150VPのハンデをクリアすれば勝てる。史実を当てはめると、日本軍は戦艦4隻を撃沈、4隻を撃破しており、他に巡洋艦2隻が大破、1隻が小破、駆逐艦3隻大破している。さらに航空機の全損が188機(約44ステップ相当)になる。これをVP換算すると、実に186VPに相当する。さらに戦艦にダメージを与えたことによるボーナス50VPが入手できる。合計236VPはサドンデスラインには届かないが、勝ち逃げするには十分な値だ。日本機の損害は29機なので、6~7ステップ相当。それに特殊潜航艇1ユニット(2隻相当)を失っているので、8~9VPを米軍に献上することになるが、日本軍にとっては勝ち逃げ可能なラインにいることは変わりない。史実における南雲中将が一目散に撤退したのも理解できるというものだ。
この問題は後で考えるとして、その他に必勝法はないだろうか。
連合軍の立場で考えると、何もしなければ勝利が転がり込んでくる。しかしこれは現実的ではない。なぜなら日本側は攻撃を実施できる立場にあり、連合軍の反撃がなければ一方的にVPを蓄積することが可能だ。従って連合軍に必勝法は存在せず、日本軍の攻撃力を反撃のよって無力化し、その結果として勝利を得るしかない。
連合軍の立場で考えると、何もしなければ勝利が転がり込んでくる。しかしこれは現実的ではない。なぜなら日本側は攻撃を実施できる立場にあり、連合軍の反撃がなければ一方的にVPを蓄積することが可能だ。従って連合軍に必勝法は存在せず、日本軍の攻撃力を反撃のよって無力化し、その結果として勝利を得るしかない。
そんなこんなでとりあえず試しにプレイしてみよう。
1941年12月7日
0600
択捉島ヒトカップ湾を密かに出港した南雲中将麾下の第1航空艦隊は、現地時間12月7日未明、ハワイ真珠湾北方約200海里の地点に到達した。第1航空艦隊は6隻の航空母艦を主力とする世界初の空母打撃部隊である。護衛兵力は戦艦2隻、航空巡洋艦2隻、軽巡1隻、駆逐艦8隻を数えた。空母艦載機は零戦108機、九九艦爆135機、九七艦攻144機の計387機(他に予備機若干)、さらに水上偵察機13機を搭載しており、機動部隊全体としての航空兵力は400機を超える。12月7日未明、真珠湾北方海域に接近した南雲機動部隊は、攻撃態勢に入った。真珠湾を襲う攻撃隊は計350機の攻撃編隊で、それが2波に分かれて攻撃を実施する。
第1波攻撃隊は零戦36、九九艦爆54、九七艦攻90の計180機である。艦爆隊の目標はハワイ・オアフ島に散在する航空基地群。浅深度魚雷と徹甲爆弾を抱えた艦攻隊の主目標は湾内の艦船群である。
目標上空に到達した攻撃隊は、散発的な対空砲火を無視して攻撃を敢行した。しかし艦攻隊の戦果は旧式戦艦5隻を中小破させただけで撃沈は1隻もなし。地上でも約20機が撃破又は大中破しただけであった。
目標上空に到達した攻撃隊は、散発的な対空砲火を無視して攻撃を敢行した。しかし艦攻隊の戦果は旧式戦艦5隻を中小破させただけで撃沈は1隻もなし。地上でも約20機が撃破又は大中破しただけであった。
第2波攻撃隊は、零戦36、艦爆81、艦攻54の計171機である。混乱から立ち直ったオアフ島守備隊は、戦闘機を発進させてこれを迎え撃つ。36機の零戦と32機のP-40がオアフ島上空で激しい戦いを繰り広げる。しかし日本海軍の新鋭機「ゼロ戦」は強かった。3機の零戦が撃墜されたが、P-40は6機が撃墜され、しかも零戦隊は見事な阻止戦闘により艦爆・艦攻隊を敵戦闘機による攻撃から完全に守り切った。
艦爆隊は生き残った戦艦群を攻撃し、艦攻隊も水平爆撃で戦艦群を狙う。艦攻隊と艦爆隊のグループは2つに分かれて戦艦「ウェストバージニア」「アリゾナ」を狙った。「ウェストバージニア」には250kg爆弾6発と800kg爆弾2発を命中させたが、「ウェストバージニア」の損害は比較的軽微なものであった。「アリゾナ」には250kg爆弾4発が命中したが、800kg爆弾の命中はなし。こちらも中破止まりである。
残った27機の艦爆は軽巡「ヘレナ」を攻撃。5発の250kg爆弾を命中させてこれを大破せしめた。
一連の攻撃で真珠湾内の被害は、以下の通りである。
残った27機の艦爆は軽巡「ヘレナ」を攻撃。5発の250kg爆弾を命中させてこれを大破せしめた。
一連の攻撃で真珠湾内の被害は、以下の通りである。
沈没:なし
大破:軽巡1
中破:戦艦3
小破:戦艦2
大破:軽巡1
中破:戦艦3
小破:戦艦2
日本軍にとって戦果は些か期待外れに終わった。
その頃、真珠湾を発進していた定時哨戒機のPBYカタリナ1機が、真珠湾北方210海里(7ヘクス)の地点に国籍不明の艦隊を発見した。これこそ真珠湾を襲った南雲機動部隊の姿であった。