Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。
やや大きめのシナリオということで、RS7:Aerial Blockadeに挑戦してみる。VASSALを使ったソロプレイである。
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35Turn
WP軍の攻撃隊が次々と前線を飛び越えた。先に超低空に逃げたTu-16Kの編隊も命かながらNATOの対空火網を突破。奇跡的に無傷で味方前線にたどり着いた。Badgerのクルー達にとっては正に生きた心地もなかっただろう。最後尾のMiG-27Kに対して数発のSAMが発射されたが、MiGは全弾回避した。最後まで味方編隊を守っていた2機のエスコートジャマー機Su-24MP "Fencer F"も機首を東に向けて離脱に入る。
36-43Turn
その後数発のSAMが発射されたが、命中はなかった。両軍とも損傷の激しい機体は近傍の飛行場に着陸。その他は戦場離脱を図る。最終的に全機が戦場から姿を消したのは第43Turnであった。結果
WP軍攻撃隊の損害
ファイタースイープ(合計12機)3 x {4} CAP MiG-23MLD(計12機) 損失4
北方攻撃部隊(合計48機)
3 x {1} Escort Jam Su-24MP(計3機) 大破1
3 x {1} Chaff Laying MiG-23M(計3機) 損失1、小破1
4 x {4} Close Escort Su-27S(計16機) 小破1
6 x {4} Bombing Su-24(計24機) 損失1
2 x {1} Recon Su-24MR(計2機)
南方攻撃部隊(合計48機)
3 x {1} Escort Jam Tu-22PD(計3機) 損失2
3 x {1} Chaff Laying MiG-21bis(計3機) 大破1
4 x {4} Close Escort MiG-23MLD(計16機) 損失1
6 x {4} Bombing MiG-27K(計24機) 損失3、大破1、小破2
2 x {1} Recon MiG-25RB(計2機) 損失1
防空制圧(合計8機)
2 x {4} SEAD Tu-16K(計8機) 損失1、小破1
合計:損失14、大破3、小破4(52VP)
パイロット:戦死11、捕虜13、脱出後生還2(26VP)
NATO戦闘機の損害
US F-15C 2機 大破1、小破1US F-16C 2機
CA CF-18 4機 損失1
WG F-4F 8機 損失6
UK F.2A 2機 損失2
合計:損失9、大破1、小破1(39VP)
パイロット:戦死5、脱出後生還12(5VP)
NATO地上施設の損害
Gutersjoh AFB(2903):6VP格納庫:重損傷
燃料庫:完全破壊
Siegerland AFB(2628):3VP
格納庫:重損傷
Mendig AFB(1437):6VP-->BDA失敗だから0VP?
格納庫:軽損傷
燃料庫:軽損傷
滑走路:重損傷
(BDA失敗:NATO 2VP)
Rhein-Main AFB(3444):2VP
格納庫:軽損傷
その他
Hawk:1重損傷:1VP
最終結果
WP:56~62VPNATO:80VP
WP軍の重大な敗北
感想
まず勝敗について。このゲーム、攻撃側が厳しい。攻撃側はSAMやAAAに晒されるため航空機の損害が大きくなりやすい。またパイロットが生還できないケースが多く、その分さらに損害が増える。しかもこのシナリオのように副目標が設定されている場合は、対地攻撃でVPが得にくくなる。個人的な感想としては、副目標が設定されている場合のVPは、目標数で割らずにそのまま加算した方が良いと思う。
と思って複数目標による割り算を適用せずにVPを計算した所、WP軍のVPが25~40VP増えた。それで計算するとVPは1~18VPになり、「WP軍の敗北」又は「WP軍の不完全な作戦(事実上の引分け)になった。
WP軍の失敗としては、搭乗員の多いTu-22PDを2機も失ったこと。攻撃力が不足しているのに攻撃目標を分散させて損害を増やしたことだろう。他に命中率の高い誘導爆弾を使わず、命中率の低いバカボムを使用したことも問題かとも思ったが、後で調べてみると、今回の環境下でEOGMを使用した場合の平均打撃値は5.0。Su-24による通常爆撃での平均打撃値は(2ヵ所に爆撃を仕掛けた場合で)3.4。ややEOGMの方が大きいが、EOGMの場合は小さな結果が沢山得られる傾向があるのが気になる所。地上目標に対する戦果は累積ではなく個別なので、小さい結果を多数得るよりも大きな結果を少数得た方が有利なのだ。
作品に対する感想に移る。
細かいルールが多いので全てを正確に理解してプレイするのは困難である。しかも重要度の高いルールでも忘れる場合があるので、満足にプレイするためにはかなりの熟練を要するだろう。またプレイ自体に手間がかかる。今回のソロプレイでは記録時間も含めて約40時間を要した。対人戦でも20~30時間は必要になるのではないかと思う。加えて事前準備が必須。それがないともっと時間がかかる。
ゲーム展開としては、とにかく飛行機が落ちない。ドッグファイトを戦っても「両軍とも戦果・損害なし」という結果がしばしば発生する。そのくせドッグファイトを1回戦うと士気が著しく低下し「もう疲れたので帰ります」といって簡単に離脱してしまう。
SAMやAAAの命中率も低い。少し気になったので、前々作の「Down Town」と比較してみたが、AAAの威力はDown Townの方が上、SAMはRed Stormの方が命中し易かった。Down TownのSAMってこんなに命中率が低かったかなぁ・・・?。
とまあ色々と書いたが、結論部分は前回と同じだ。
本作はゲームバランスやプレイアビリティ等ではいくつか問題を抱えており、そういった意味で万人受ける作品ではない。「プレイヤーを選ぶ作品」であることは確かだ。だから私は本作を決して万人には奨めない。
しかしながら本作は複雑な現代航空戦を余すことなく再現した作品である。特に現代航空戦の神髄、すなわち迎撃戦闘機と地対空ミサイルによって構成された統合防空システムと護衛戦闘機や電子戦機等を従えた大規模攻撃部隊との戦いを完全に再現したほぼ唯一の作品である。そういった点から本作は、真に現代航空戦の魅力を感じることができ、またそのための苦難を乗り越える根気を持ったプレイヤーのみお奨めしたい。そのようなプレイヤーのみが本作をプレイする資格があり、また本作の魅力を感じる能力を持った者なのだから。
Np pain, No gain.




戦意を回復した米空軍のF-16C 2機編隊が、離脱を図るMiG-27の正面からAIM-9M Sidewinderによる攻撃を加えた。1機のMiG-27が至近弾を受けて損傷したものの、F-16Cも空対空ミサイルを撃ち尽くす。護衛のMiG-23MLDが報復を期してF-16を取り囲む。
離脱中のWP機は、NATO側SAM部隊の反撃のよって苦しめられていた。Su-27S Flanker 1機がPatriotミサイルの至近弾を受けて損傷した。別のMiG-21はPatriotによるレーダー追跡を受けたが、所謂「対レーダー戦術」によって追跡を振り切った。
写真撮影のために低空に降りて行ったMiG-25RBは、いきなりレーダー警戒装置による警告信号を受けた。地上の地対空ミサイルの追尾レーダーにロックオンされたことを示すシグナルである。MiG-25はチャフを巻きつつミサイル回避につとめる。来た。左の低空から低層雲を突き抜けてミサイルが飛び出してくる。そのHawkミサイルはMiG-25の至近距離で爆発。致命傷を受けたMiG-25は、コントロールを失って落ちていく。WPの14機目の損失である。

MiG-23MLD "Flogger K"の2個小隊(計8機)が弾切れになった米空軍F-16C "Falcon" 2機を追う。R-24(AA-7 Apex)ミサイルによるBVR攻撃を仕掛けたが、こちらは1発の命中を得ることもなく外れ。それならば、と、ドッグファイトを挑んだが、今度はエンゲージに失敗。出目の悪さに切歯扼腕するWP軍。F-16Cはアフターバーナーに点火して一気に加速。超低空へ向けて飛び去って行く。
Patriotに狙われたMiG-27Kが対レーダー戦術でロックオンを躱す。別のMiG-23MLDはHawkに狙われた。こちらは対レーダー戦術でもロックオンを外せず、至近距離でHawkミサイルが炸裂。しかし対レーダー戦術のおかげでロックオンを粗くすることには成功していたので、それが奏功して危うく損傷を免れた。
てなことをミグのパイロットが叫んだかどうかはこの際どうでもよい。
チャフ回廊による妨害が効かないと悟ったTu-16Kの編隊は超低空へ向けて降下を開始する。そこへPatriotミサイルが飛来。しかし今回も幸運がBadgerを救った。ギリギリでミサイルは目標を逸れた。そしてTu-16Kの編隊は危機を脱した。低空から打上げてくるNATOの携行SAMやレーダー照準対空火器の脅威がまだ残ってはいたけれども・・・。

























WP軍の攻撃編隊はそれぞれの目標に向かって散開。ファイナルアプローチに入る。突入を援護すべくSEAD任務のTu-16Kが大型のARM"kh-28M"をPatriotの陣地に向けて発射。慌ててPatriot部隊はレーダーをシャットダウンする。その他のNATO側SAM部隊から数発のSAMが発射されたが、遥か彼方に飛び去って行った。
NATOのSAM部隊が次々と目を覚ましていく。WP軍SEAD機も何とかNATOのSAMを制圧しようとするが、何ぜ相手は数が多い。僅か数機のSEAD機で全てを制圧できるものではない。そしてSAMによる損害も出始めていた。

WP軍攻撃編隊の一部が攻撃目標に突入した。MiG-27K 4機編隊がラインマイン飛行場(Rhein-Main 3444)に突入してきたのである。基地を守る20mmヴァルカン砲が火を噴く。対空砲火を掻い潜ったMiG-27Kは、超低空からラインマイン飛行場の格納庫に爆弾を投下する。

WP軍のSEAD機も対空制圧任務を継続している。1機のKh-28M ARMがHawkミサイル部隊に命中。この部隊に損害を与えて使用不能にした。別のHawk部隊はARMの接近を見て慌ててレーダーをシャットダウンする。しかしその一方でWP側SEAD機に残されたARMもだんだん少なくなってきている。


ジーガーラント上空のWP軍の攻撃隊が突入してきた。Su-24 "Fencer"4機の編隊だ。飛行場の手前約4kmまで接近した時、飛行場の北東に配置されていたRoland 2地対空ミサイルが発射された。LOAL(Lock-on After Launch)=発射後ロックオンという戦術だ。ギリギリまで敵を引き付けておき、敵が射程距離に入った瞬間にミサイルが斉射されたのだ。突然のミサイル攻撃に慌ててSu-24は急旋回。辛くもミサイルを回避する。




ジーガーラント基地では指揮官たちの怒号が飛ぶ。1機のF-15がタクシーウェイから滑走路に侵入。そのまま緊急発進していく。WP機による攻撃の一瞬の間隙をついてだ。周囲の対空陣地はなおも火を放ち続けている。対空砲火のただ中での危険な緊急発進だ。
WP機による攻撃は終わった。戦いは終盤戦。今後の焦点は離脱を図るWP機とNATO防空網の最後の対決。そして戦果を見届けるWP偵察機とNATO軍の対決に焦点が移る。

低空を離脱中のWP攻撃機がNATOの対空火器による射撃を受けた。危うく回避するWP機。