2021年10月
書籍紹介「特攻とは何か」

特攻とは何か

森史郎 文藝春秋
以前に同じ著者による特攻を扱った 「敷島隊の五人」を紹介したが 本書はその続編にあたる著作である。前作では特攻を「命じられた側」から特攻について論じているが、本書は「特攻を命じた側」から見た特攻について論じている。本書の主役は「特攻の親」と言われる大西瀧治郎で、大西が第1航空艦隊司令長官に任じられてフィリピンに赴任する所から、玉音放送を聞いて割腹自決する所までを描いている。
本書の特徴としては大西の行動を弁護や批判することよりも彼の言動を忠実に追いかけてそこから彼の心情を推測している。しかし本書を読めば、大西をはじめとする特攻推進の当時の海軍高官たち(大西、玉井、猪口、中島ら)の行動に対して怒りを禁じ得ない。
米軍を初めとする諸外国から「愚劣」と評される特攻作戦。その実像について理解を深めるには良い著作と言える。
お奨め度★★★★








The Battle for Germany(Compass Gaames)のシナリオ4「The Battle for CENTAG」をソロプレイ【3】
The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。
今回は、その中からシナリオ4「The Battle for CENTAG」をソロプレイしてみた。このシナリオは北部戦域を除いたドイツ中南部での戦いを描いたシナリオである。キャンペーンシナリオほどではないが、それでもフルマップ2枚相当のかなり大規模なシナリオである。個人的には実質的にプレイなのはこの程度のシナリオまでかな、とも思っている。
前回までの展開は --> こちら
4Turn(1985/8/4)
戦略フェイズ

WPプレイヤーターン


ニュルンベルグからミュンヘンにかけての地域ではチェコ軍を中心とする部隊が攻撃を継続していたが、チェコ軍も度重なる戦闘で大きな損害を被っていたため、その攻撃にはやや鋭さが欠けていた。
NATOプレイヤーターン

北方ではドムトムント南東部をライン川に向かって急進するソ連軍第90戦車師団を最新鋭のレオパルド2主力戦車を装備した西ドイツ第5装甲師団が夜襲を仕掛けてこれを壊滅に追い込んだ。
反撃が西ドイツ軍戦線で集中的に行われたため、米軍戦線では反撃を実施せずに戦線の整理を行う。フルダ方面に残る米独部隊は見捨てる形で戦線を整理し、フランクフルトを起点としてそこから北方向と南東方向に戦線を敷く。そしてそのフランクフルトには米第3機甲師団を展開し、その北側には米第3歩兵師団、南東方向には米第8歩兵師団と同第1機甲師団等が展開する。
5Turn(1985/8/5)
戦略フェイズ
天候はなおも悪天候が続く。WP側の制空戦闘機はNATO戦闘機隊に対して果敢に挑んだが、数と性能に勝るNATO側戦闘機の攻撃を受けて一方的に撃墜されてしまった。NATOは航空優勢を確立した。
ただし本作はWP側の核戦力での優位を前提としてバランスを調整しているフシがある。だから対人戦でWP側を担当した際には、戦術核兵器を容赦なくNATO軍航空基地に叩き込むことになるだろう。

WPプレイヤーターン
遂にWP軍はNATOの戦線を突破した。ドムトムント南方で西ドイツ第2装甲擲弾兵師団を撃破したソ連軍の先鋒がライン川に到達したのである。NATOの戦線は南北分断の危機を迎える。しかしそれより南方ではWP軍の攻撃力が限界に近づいてきた。各地で行った攻撃でもNATO軍は豊富な航空戦力を継ぎこんでWP軍の攻撃を撃退していた。中でも戦線南翼を担うチェコ軍の損害は激しく、最早攻勢継続は困難な状況になりつつあった。
NATOプレイヤーターン

そして決戦場となる北方戦域。NATO軍は思い切ってドムトムントを放棄。戦線をライン川西岸まで後退させた。そして兵力不足を補うべく弱体化した西ドイツ第3軍団に増援部隊を送り込む。各種独立部隊及び米第5軍団の第3機甲師団をバックアップ用の兵力として送り込んだ。
つづく








自家製麺屋「登夢道」
書籍紹介「山と渓谷2021年9月号」

山と渓谷2021年9月号

特集は「事例に学ぶ山岳遭難の教訓」。山での遭難確率は年間で凡そ4,000人に1人ぐらいだという。これだけを見ればそれほどリスクが高くはないが、それでも20年続ければ200人に1人ぐらいは遭難することになり、その中から10人に1~2人ぐらいは死亡することになる。決して安全ではない。私自身、幸いにして遭難の経験はないものの、遭難の一歩手前なら何度も経験している。ハインリヒの法則に従えば、遭難の一歩手前を30回経験する間に1度ぐらいは本当に遭難することになる。
本書では、実際に起こった様々な遭難事例を紹介し、遭難を避けるにはどうするのか。あるいは万一遭難した時に生還するためにはどうするのかについて、紹介している。また第2特集では、八ヶ岳山域の様々な山小屋と八ヶ岳の登山コースを紹介している。こういう特集を読むと、また八ヶ岳に登ってみたくなる。
お奨め度★★★