もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2022年04月

4
220309_JavaSea

Java Sea 1942: Japan's conquest of the Netherlands East Indies

Mark Stiile Osprey Publishing

サブタイトルが「日本軍によるオランダ領東インド征服」とあるが、実際には1942年に蘭印地区で発生した日本と連合国との水上戦闘を扱ったものである。バリクパパン沖海戦、バリ島沖海戦、スラバヤ沖海戦、バタビヤ沖海戦が主なテーマで、これらの戦いの戦術的、技術的な面での調査と考察を記している。Ospreyの他の作品と同じく簡潔で読み易く、非英語圏の人間でも苦も無く読める。細かいレベルでの記載は弱いが、ポイントは押さえてあり、例えばスラバヤ沖海戦で日本重巡の8インチ砲弾が何発命中したか、等の所説入り混じっている事項についてもしっかりと記載されている。
洋書なので値段がやや高いという難点はあるが、洋書としては廉価であり、しかも読みやすいので、コストパフォーマンスは十分に高い。

お奨め度★★★★

表紙

「長元記」(以下、本作)は、Game Journal#80の付録ゲームだ。テーマは日本の戦国時代で、四国での戦いを作戦レベルで描いている。
本作のシステムは所謂「戦国群雄伝シリーズ」で、1Turnは実際の1週間、1Hexは実際の約6kmに相当し、マップには四国全域と淡路島の南端、山陽地方の沿岸地帯の一部が描かれている。1ユニットは500~1000人程度の兵力を表している。

今回、本作に挑戦してみた。

前回までの展開 --> こちらく

シナリオ4.中冨川原

十河存保 前回のシナリオ3は仮想戦だったが、今度はヒストリカルシナリオである。本能寺で織田信長が討たれたことで小康を得た長宗我部勢は、この機会に一気に四国平定を図る。本シナリオは長宗我部元親の四国平定戦、その一部である讃岐・阿波方面での長宗我部元親と十河存保の戦いを描いたものである。私は劣勢の十河勢を担当した。

長元記06


長宗我部元親 兵力は、長宗我部元親率いる長宗我部勢は計46ユニット。対する十河存保勢は16~17ユニット。長宗我部勢が約3倍の優勢を得ている。まともに戦えば長宗我部勢の優位は動かない。が、今回は勝利条件にハンディキャップが付けられており、長宗我部勢は相手方よりも6点以上多いVPを獲得しなければ勝てない。

この状況で十河方の戦い方を考察すれば、自らの失点をできる限る押さえつつ、遅退戦術で時間稼ぎをする。まともに戦えば勝てないので、長宗我部勢の時間切れで勝機を見出す。

実際の展開を簡単に記す。
長宗我部勢は二手に分かれて阿波領内に攻め込んでくる。その主力は白地城から吉野川沿いに東へ向けて進んでくる。十河方の防衛ラインは吉野川中流域にある岩倉城。岩倉城前面に攻め込んできた長宗我部勢と十河勢が大規模な合戦を戦う。後の世に言う「岩倉の戦い」である。

この戦いでは兵力に勝る長宗我部勢が十河勢を圧倒。出目の悪さも手伝って十河勢は全軍崩壊して後退していく。不幸中の幸いは一方的な敗北にも拘らず十河勢の失ったユニット数は2ユニットのみ。何とか回復の可能性を残した敗走であった。

ここで十河側は馬鹿正直に合戦に応じたが、自城のヘクスに位置していた場合、合戦を拒否することができる。ただし通常の野戦は拒否できない。合戦ではなく野戦の場合、1部隊同士の戦いになるので、長宗我部勢の数的優勢をある程度緩和できる。また地形効果や指揮官の能力で十河側が勝っているので、今回のような惨めな大敗を喫することなく遅退戦術が可能であったと思われる。

新開実綱その後、十河勢は本城である勝端に後退。十河方の武将で牛尾城を守る新開実綱は、長宗我部勢の奸計により暗殺されてしまい、牛尾城は長宗我部の元へ。先に合戦が戦われた岩倉城も長宗我部勢が奪取した。さらに長宗我部勢は、主力の長宗我部元親と同信親の部隊が十河氏の本城である勝端城に迫る。勝端城危うし。

その時、十河氏は奇策を取った。勝端城をワザと解放状態にして長宗我部勢を誘い出す。そして折からの大雨で吉野川の水嵩が増したことを見計らって十河勢主力を長宗我部勢の背後に集結させる。先の「岩倉の戦い」で敗北した十河勢であったが、合戦から約1ヶ月経過した後ということもあり、十河方の兵力は決戦が可能なレベルまで回復していた。
士気-1大雨による増水で連絡線を断たれた長宗我部勢は浮足立つ(士気-1)。そこへ立ち直った十河勢が猛攻撃を加えた。後に言う「中富川の合戦」である。今回も兵力では長宗我部勢が優位にたっていたが、前回とは違って兵力の半数が城攻めに回っていた長宗我部勢に対し、十河勢は稼働兵力のほぼ全部をこの合戦につぎ込んだ。その結果兵力比は前回の「岩倉の戦い」よりも十河勢に有利になっていた。

指揮能力の違い(十河存保は長宗我部元親よりも野戦能力が1つ高い)と連絡線切れによる混乱により長宗我部勢は十河勢の猛攻を阻止できなかった。さらに戦場が敵地であり背後を押さえられていることから、長宗我部勢はこの戦いで大敗北を喫した。これにより継戦能力を失った長宗我部勢は阿波の国内から下がるしかなかった。

長元記07


感想だが、小粒ながらも色々と考える所の多いシナリオである。兵力的には長宗我部勢が圧倒的に優勢だが、吉野川沿いの急峻な地形、十河勢の指揮能力の高さなどを加味すると、十河勢にも付け入る隙はありそうだ。実際、今回のシナリオで十河勢が勝利を収めたように・・・。

全体の感想

小粒ながらも良くまとまった作品である。練習用のシナリオである1,2はとにかく、その他のシナリオはいずれも遊べそうな内容だと思う。兵力差が結構ハッキリしている上、質的な優劣が少ないため、兵力の大きい側が一方的に押す展開になりがちだ。しかし内線と外線の使い分け、シナリオでのハンディキャップの設定等もあって劣勢側でもある程度は戦えるようになっている点は評価したい。さらに言えば、各シナリオの長さが最大でも20Turnと短く、登場するユニット数も手頃なので、1日あれば十分にフルターンをプレイできる。
四国の戦役自体はややマイナーだが、登場する武将たちは、長宗我部元親、羽柴秀吉、丹波長秀といったメジャー所なので、そういった意味からでも楽しめる作品だ。

2022年1月9日(日)。僕は人生初の「骨折」を体験した。米子駅の跨線橋からホームに降りていく途中、階段の踊り場から足を踏み外し、ホーム上へ転落。その際に転倒したのだ。
診断の結果は「右膝粉砕骨折」。3ヶ月程度の入院が必要という。入院先は米子医療センター。そこから僕の入院&リハビリ生活が始まる。

前回までの展開 --> こちら

入院58日目(3/7月)

2日ぶりにリハビリがあった。直立姿勢にチャレンジする。なかなか左右均等に荷重配分できない。逆に言えば、少し右にかけ気味で、ようやく均等配分ということだろう。これも練習で慣れていくしかない。いずれにしてもゴールが見えてくると、そろそろ残り時間のなさが気になってくる。

今日、歩行距離が6000歩を超えた。これまでで最高記録である。

入院59日目(3/8火)

向かいの爺さんがまたギャーギャー言っている。退屈だとか、看護師の対応が悪いとか。それだけでなくリハビリにも全然積極的ではなく、リハビリ担当の理学療法士も手を焼いていた。この爺さん、恐らく家ではワガママ放題で、奥さんがハイハイと言うことを聴いているのだろう。病院では愚痴を聞く相手もいないので、鬱憤が溜っているようだ。
いずれにしてもそう遠くない未来に自身がこのような爺さんの年齢になる。今は仕事や趣味で世間と接しているからある程度情報感度が高いと思っているが、仕事をリタイアし、趣味が減ってくると、だんだん世間との接点を失っていく。そうならないように、世間との設定を持ち、さらに広げていく努力が必要と感じたい次第。

自身のことについては、この日から立った姿勢で歯磨きができるようになった。

入院60日目(3/9水)

今日、同室の方が1名退院された。80代の方で上村さん(仮名)としておこう。これまで色々と困った人を紹介してきたが、この方は非常に理性的な方で, 我々同室の患者とも丁寧に対応されていた。
サンプルが少ないのであくまで感想だが、困った高齢者とそうでない高齢者の差は、やりたい事があるかどうかの差が大きいと思う。上村さんは新聞に投稿するのが趣味で、さらに地元の小中学生に対する交通安全指導をされているとのことであった。このように自身がやりたいことを持ち、かつ社会と接点を持ち続けている人は概して「困った爺さん」にはなっていない。
その逆が昨日紹介した我儘爺さん。新聞や雑誌を読むぐらいしか暇つぶしができないので、新聞・雑誌が自由に読めないとすぐに不機嫌になって回りに当たり散らす。自身の今後を考える際に考えさせられることしきりである。
新聞と言えば、今回の入院で感じたことは、新聞を読めないと不機嫌になる高齢者が実に多いことか。新聞あるいは地上波TVといった旧来のメディアが、特に地方高齢者に多くを依存していることが痛感できた。デジタルデバイドの成せる業かもしれないが、近い将来にデジタルデバイドが解消ないしは縮小していくと、これら旧来のメディアも命脈を失うかもしれない。

個人的には今日はリハビリが中止になったので、自主トレの回数を増やす。また鋭意作成中であったYouTube動画2本が完成したので、自身のチャンネルで予約設定しておく。



入院62日目(3/11金)

煩い爺さんが転院のため出て行った。良かった、これで少しは室内の雰囲気が良くなる。
新しく来た人は、打って変わって社交的な人。人当たりは良いのだが、話好きで困ってしまう。30分ほど昔話に付き合った後、「仕事があるので」と早々に退散した。その後はできるだけ話のきっかけを作らないように注意する。

今日から2/3荷重の許可が出た。歩き方がかなり楽になり、普通に歩くスタイルに近い状態になった。歩くスピードは今までが普通の人の1/3ぐらいだったのが、今日からは1/2ぐらいになったと思う。

入院63日目(3/12土)

今日、シャワーに松葉杖で行ってみた。できなくはないが、ちょっとおっかないので、やはり車椅子にした方にしようと思う。

今日は1日の歩行距離が遂に7000歩を超えた。ただし、2度目のスリップ事故が発生。幸い、荷重制限が前回よりも緩和されていたので、足を付いても慌てることはなかった。しかし荷重できない状態でスリップしていたら、と思うと、ゾッとする。また原因も掃除婦の過失以外に何かあるのでは、と、思ってしまう。

写真25


入院64日目(3/13日)

眼下に見える畑では、耕作準備が始まっている。つい先日まで雪景色だったのが、今や春の風景だ。この米子で一冬越したことを嫌でも実感させられる。

写真26


今日は日曜日でリハビリは休み。その分自主トレの回数を増やす。

入院65日目(3/14月)

2日ぶりにリハビリがあった。今日から片松葉になる。松葉杖が2本から1本に減る訳だ。その分、怪我をした右足に負荷がかかる。かなり勇気がいるが、何とか片松葉で歩けるようになった。それでも歩き始めは結構おっかなびっくり。足が痛いのであまり無理はできない。他に階段の上り下りや、寝ている状態からの起き上がり練習をする。

入院66日目(3/15火)

片松葉での歩行は、今までの2本松葉に比べるとやはり右足に負荷がかかる。重心の取り方も難しく、ややもすれば右足に過負荷がかかったかと思ってヒヤッとすることもある。歩行距離も今までよりは少し抑え気味にする。それでも1000~2000歩ぐらい歩いても特に右足の痛みが増えることはないので、まあ問題ないのだろう

入院68日目(3/17木)

1日の歩行距離が9000歩を突破した。入院以来最高記録である。片松葉での歩き方もかなり安定してきており、片松葉での自由度も増えてきた。病棟で一番狭い普通サイズのトイレにも入れるようになった。

写真27


入院69日目(3/18金)

今日も歩行距離が9000歩を超えた。奇しくも昨日と同じ歩数である。ただ、さすがに歩き過ぎなのか、夜寝る時に右膝に痛みを覚えたので、看護師さんに頼んで氷を用意してもらった。

入院70日目(3/19土)

気のせいかも知れないが、歩くのがどんどん楽になっている。もちろん未だに右膝に違和感はあるし、荷重制限もあるのだが・・・。

入院73日目(3/22火)

3連休中にはかなり歩いたが、やはり右足の痛みが出てきた。夜寝るのが少し辛くなる。まだまだ無理は効かないと納得。

午前中に主治医の大林先生(仮名)と話をし、その時初めて退院の話が出た。こちらの希望として月末頃を希望しておいた。その後、自分の中で具体的なスケジューリングをし、29日頃退院しようと思った。そうなると、帰りの切符や予定の作成、さらには帰宅後のケアなど、色々と気になる事が出てくる。退院自体は嬉しいが、片松葉の状態で果たして通常に生活できるのか。外出は可能なのか。仕事はできるのか等、気になることが山積。まさに「夜も眠れない」状態になる。

入院74日目(3/23水)

ここ数日体温が37度前後まで上がっていたが、今日36.6度の平熱に戻った。取り合えず良かった良かった。
退院日が正式に3月29日に決定した。29日は米子のワシントンプラザホテルに1泊し、翌日にJRで帰路につくことにした。切符の手配は完了。JR介助サービスの申し込みも完了した。これで自宅までの移動は一安心だ。

入院75日目(3/24木)

退院が近づいて来たので手続きを進める。昨日は診断書を病院の文書課に申し込む。診断書の作成に約2週間かかるというのが田舎の病院と言った所か。しかし診断書の費用が安価だったのは助かった。
今日は今日で自宅へ戻った後の転院手続きを行う。退院後は入院は不要になるが、通院は継続する必要があるということ。まあずっと片松葉のままという訳にもいかないし、リハビリも続ける必要がある。大病院は避けて、駅近くのクリニックにした。これなら仕事帰りに立ち寄ることもできそう。これ以上休暇を使う訳にはいかない。

少しずつ退院後に向けた生活基盤が整いつつある。まだまだ気になることはいくつもあるが、中でもやはり松葉杖歩行の安全性が一番気になる。病院で自主トレ中にも時々杖が引っ掛かって「おっと」という場面が何度もある。転倒しそうになる所までは行かないが、ハインリッヒの法則というものもあるので、気になる所だ。明日、リハビリ担当に聞いてみようと思う。

つづく

4

220307_英文マニュアル

ネイティブの心をつかむ英文マニュアル作成メソッド

上田秀樹 電気書院

英文マニュアルを作成する際の注意事項をまとめた著作である。主に製品やソフトウェアのマニュアルを対象としているが、ゲームのルールブック作成等にも応用できそうだ。また巻末には、マニュアルでよく使う名詞、動詞、形容詞、助詞等が一覧表記されており、単語力に乏しい私にとっても有難い内容であった。

お奨め度★★★★

220325_海空戦作戦シナリオ1

タイトル通りですが、YouTubeチャンネル「もりつちのウォーゲーム情報」 で自作ゲーム 「海空戦!南太平洋1942」 の紹介動画を作成しました。

こんな感じです。



今回は、作戦シナリオOp2「空母同士の対決」のプレイ例を紹介し、「海空戦!南太平洋海戦1942」の作戦ゲームの進め方を説明しています。
今回は長編になっているので、3部作とし、今回は第1部です。
次回第2部は、来週水曜日20時に公開を予定しています。
今後ともよろしくお願いいたします。

つづく




↑このページのトップヘ