もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2023年06月

BC表紙

「Brazen Chariots」(以下、本作)は、2019年に米国MMP社から発売されたシミュレーション・ウォーゲームである。テーマはクルセーダー作戦。1941年11月、北アフリカ戦線における英連邦軍(連合軍)によるトブルク方面に向けた反撃作戦だ。作戦自体は連合軍の勝利に終わり、トブルクとキレナイカ一帯の支配を連合軍が奪回した。しかし戦いの途中ではドイツ軍優位に進んでいた場面もあり、連合軍としてもギリギリの勝利だったと言える。
本作は、クルセーダー作戦を、1ユニット=1個大隊、1Turn=1日、1Hex=1マイルの規模で描いている。なお、一部のシナリオはブレビティ作戦やバトルアクス作戦等を扱っている。マップはフルマップ3枚でトブルク周辺部のキレナイカ一帯を描いている。マップ東端部がハルファヤ峠、西端部がトブルク包囲網の西外周部分である。クルセーダー作戦はWW2期に実施された作戦の中ではそれほど大規模な戦いではないが、BCSのスケールで描くと結構ビッグゲームになる。なお、カウンターは1000個以上が同梱されている。
説明が前後するが、本作はBCS(Battalion Combar Series)の1作である。BCSについては 以前の記事 で紹介したので、参照されたい。一言で言えば、大隊規模ユニットによる陸上戦闘を詳細なルールで再現したシリーズと言える。
今回プレイしたシナリオは、シナリオ5.8「Operation Crusader(2MAP)」。クルセーダー作戦を再現するシナリオだが、東端のマップは使用しないシナリオである。その結果、マップ東部で繰り広げられておるハルファヤ峠の戦いや、バルディア要塞を巡る攻略戦等は省略されている。

今回、私は枢軸軍を担当した。

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状況分析

このシナリオは、トブルクに籠るイギリス軍を、ドイツ、イタリアの枢軸軍が包囲し、その包囲輪の外周から連合軍が攻撃を仕掛けてくるところから始まる。連合軍の勝利条件は、外部からトブルクへ通じる1級又は2級道路沿いの連絡線を確保すること。地図を見ればわかるが、トブルクへ通じる第1、2級道路は、地中海沿いに東西に走る海岸道路とトブルクの南に延びるEl Adem道路のみ。つまりトブルクの東、南、西の3方向に延びている。
そのうち海岸道路については、英軍の攻撃開始位置であるトブルク南東部からかなり遠く離れている上、同方面で最強のドイツ・アフリカ軍団(DAK)と対峙しなければならない。一方のEl Adem道路は、守備隊がイタリア軍のみで比較的弱体。無論DAKの機動反撃に晒されることにはなるが、連合軍側からの反撃も可能なので、一方的に叩かれるという展開にはなりにくい。従って連合軍側の主攻性はEl Adem道路に指向されるとみるのが妥当だろう。
従って枢軸軍としては、El Ademに向けて進撃してくるであろう英連邦軍諸隊をDAKの2個装甲師団で各個撃破する作戦を狙うこととした。

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1Turn(1941年11月19日)

このシナリオは連合軍の攻勢開始により始まる。最初に攻撃を受けたのは、Bir el Gubiを守るイタリア軍アリエテ戦車師団である。英第22戦車旅団がアリエテ師団に猛攻を仕掛けてきた。アリエテ師団はイタリア軍随一の装備を誇っており、特にその装備する90mm対戦車砲は、伝説のドイツ軍88mm砲に匹敵する威力を誇っている。
今回、このBir el Gubiの戦いでは、イタリア軍90mm法が猛威を振るい、英第22戦車旅団のマチルダやクルセーダー戦車を次々と撃破した。英軍の損害は戦車4Step、歩兵1Stepの計5Stepにも及び、アリエテ師団の損害は僅かに歩兵1Stepに過ぎなかったのである。

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2Turn(11月20日)

「なんなんだよ、これ。一体」

枢軸プレイヤー(つまり筆者)の悲鳴が響き渡る。先ほどの戦闘で大損害を受けたはずの英第22戦車旅団であったが、わずか1回の補充によってほぼその全部が回復してしまったのである。

「これじゃ、賽の河原だよ」

英軍の無尽蔵な補充能力。知識としては理解していても、いざその猛威に直面すると、やはり驚愕を禁じ得ない。

気を取り直して反撃開始。まずはDAK自慢の第21装甲師団が、El Adem南東へ伸びるトレイル上を走っている英Support旅団の後尾を捕捉して一撃を加えた。砲撃と戦車による攻撃でSupport旅団に計4Stepの損害を与えた第21装甲師団は、まずは幸先の良いスタートを切る。

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DAKもう1つの雄、第15装甲師団も活動を開始。こちらはEl Adem付近で攻勢態勢に入っている英第7戦車旅団を攻撃する。しかしこちらはダイス目に恵まれず英軍と相打ち状態。補充能力に劣るドイツ軍にとって相打ちは危険な兆候である。
さらにその第15装甲師団を後続してきた英1戦車旅団が攻撃。行軍隊形のまま接敵攻撃を行っていた第15装甲旅団の判断が災いし、計4Stepもの損害を被ってしまう。

先ほど奮戦していたアリエテ師団に対しても新たな敵が迫ってきた。歩兵中心の南アフリカ第1旅団である。砲撃と歩兵による接近攻撃により、さしものアリエテ師団も歩兵4Stepを失う大損害を被った。

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3Turn(11月21日)

補充の出目が全く振るわず、こちらの補充ポイントはゼロ。それに対して英軍の補充ダイスは、またもや最高値の6で補充Max。補充能力に乏しい事は分かっていたが、こうもダイス目に見放されると嫌になる。
第21装甲師団は英Support旅団に対してなおも攻撃を継続する。ドイツ軍最強クラスの装甲師団の猛攻を受ければ、さしもの英軍歩兵旅団も対抗する術もなく、殆ど壊滅した。

第15装甲師団は英第7戦車旅団に対する攻撃を継続。相変わらずダイス目の悪さに悩まされるつつも、機動力の優位を生かして英軍を包囲する。

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アリエテ師団には先ほどの教訓を受けて歩兵部隊を広く散開させて砲撃の損害軽減を図る。その甲斐もあってか、砲撃による損害は1Stepに収まった。

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4Turn(11月22日)

またもや補充ダイスに泣かされる。こちらのダイスは最低の1で、補充ポイントはなし。連合軍はダイス5で、ベストではなかったにしてもかなり良い出目である。補充能力に差があることは最初から分かっていたが、悪いダイス目が続くとさすがに嫌になる。度重なる戦闘で、DAK誇る装甲部隊の残りステップ数も心細くなってきた矢先でもある。

DAKの反撃。第15装甲師団は、英軍の主力である第7機甲旅団を包囲することに成功。壊滅寸前に追い込んだ。
さらに第21装甲師団は、英第4機甲旅団を攻撃する。相変わらず出目の悪さに苦しむドイツ軍であったが、それでもなんとか第4機甲旅団を包囲することに成功する。

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このTurnの終盤に事件が起こった。次Turnの連合軍増援部隊のうち、ニュージーランド歩兵師団がマップ東端の海岸道路付近から登場してくることが判明したのだ。ちなみに同方面を守る枢軸軍の守備隊は皆無で、海岸道路付近にはDAKの兵站部隊が集まっている。ここを潰されたらDAKの壊滅は免れない。この時点で投了をも覚悟した枢軸軍であった。

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このまま終わりにするのもお互い悔いが残るので、両者協議の結果、ドイツ軍アフリカ歩兵師団の配置を見直すことに決定。同師団を東側から接近する連合軍に対する守りの配置につかせることで一件落着となった。

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本件、明らかに枢軸側のポカミスだが、いきなり自軍の側面から敵が増援で登場してくるのは正直かなり面食らう。他のBCS作品、例えばアラコートでも同様の事が起こるのだが、これはBCSのシナリオの書き方にも一因があると思っている。とにかくBCSのシナリオは、セットアップや増援部隊がわかりにくい。部隊名がテキストで(しかも改行もなしで)延々と並んでいるので、読み解いて、マップに配置するのは一苦労だ。今ならカラフルなセットアップシートや増援シートが当たり前になっているのに、未だに20世紀のような旧態依然としたシナリオ書式に固執するデザイナーの考えは全く理解できない。OCSもしかりだが、早く「21世紀に相応しい」ウォーゲームになって欲しいと思う今日この頃である。

つづく






一連の旅行の最後の夜。岡山駅近くで立ち寄ったお店です。
ビールと骨付き鶏、焼鳥が2本、そして焼きおにぎりというやや抑えた感じのメニュー構成にしました(この後、夜行バスで帰宅するという任務が残っていたので・・・)。

お奨めは骨付き鶏。 以前に紹介した「一鶴」 に似ていますが、ここではピリ辛のソースをつけて食べるのがミソ。麻婆豆腐から豆腐を抜いたようなソースと骨付き鶏の組み合わせが絶品。刺激はあってしかも辛過ぎず。鶏の旨味とソースの辛さが程よくマッチしていました。

焼鳥は2本。塩味で注文しましたが、これまたうまい。塩加減が絶妙でした。これほど旨いのなら、もう少し追加すればよかったと少し後悔しました。

焼きおにぎりもパリパリで美味しく、ビールとウーロン茶コミで3,000円弱という価格もまあ良心的。旅の最後を締めくくるに相応しい味でした。

お奨め度★★★★

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「No Retreat 2」は、2023年に国際通信社社から発売されたシミュレーション・ウォーゲームです。テーマは1940年12月から42年12月までの北アフリカ戦線におけるドイツ・イタリア枢軸軍と英連邦軍の戦いを描いています。1ユニットは旅団から師団(一部複数師団)、1Hex=10マイル(16km)、1Turn=1~2ヶ月に相当します。元々は米国のGMT Games社から2013年に発売された作品です。

今回、「No Retreat 2」の紹介動画を作成しました。ゲームプレイの参考いなれば幸いです。



NO RETREAT 2(ノー・リトリート 2)完全日本語版


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瀬戸内海沿岸を走るJR西日本の観光列車「etSETOra」。
これに再び乗りました。
今回は、霊夢、魔理沙抜きのシンプルな動画にしてみました。



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日本観光列車ガイド2023
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「関ヶ原1600」(以下、本作)は、2021年に国際通信社から「コマンドマガジン159号」の付録ゲームとして発売された作品である。本作のテーマは、1600年の関ヶ原の戦い。日本人なら誰でも知っている有名な戦いだ。
本作のゲームシステムは、 以前に紹介「山崎の戦い」 と同じなので、そちらを参照されたい。
では早速プレイしてみよう。今回はVASSALを使った通信対戦で、私は西軍を担当する。

前回までの展開は --> こちら

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4Turn

南部では、福島隊と宇喜多隊の激しい戦いが続いている。宇喜多隊の重囲下に陥った福島正則本隊を救援すべく、井伊直政隊、松平忠吉隊らがはせ参じるが、寺谷川の線で戦線を敷く宇喜多隊の布陣も固い。

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戦線中央部、北天満山付近では、不気味な沈黙を保っている島津隊の周囲で東西両軍が激しく戦っている。北天満山に布陣した小西行長隊は東軍田中吉政隊と激しい戦いを交え、その1ユニットを撃破した。

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5Turn

南方戦線では、福島正則本隊が宇喜多隊の包囲攻撃を受けて壊滅した。福島正則自身も討ち取られた。東軍プレイヤーは大いに落胆した。福島隊の生き残りは撤退を開始。宇喜多隊の一部はそれに対する追撃しかけたが、主将宇喜多秀家の命令により追撃を中止した。

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6Turn

「おい、山が動いているぞ。あれは何だ」
「御屋形様、あれは小早川隊です。金吾中納言の隊が、山を下りてこちらに向かってきます」


大谷吉継陣営でそのような会話が交わされていたかは定かではないが、遂に小早川秀秋隊が寝返った。松尾山から真っすぐと大谷隊の側面に向けて突進してきたのである。

ここで本作の「裏切り」ルールについて説明しよう。西軍は「忠誠」、東軍は「裏切り」チットを中立勢力毎に1枚ずつ保有している(島津も中立勢力扱いである)。両軍は各Turn開始時の外交フェイズに一定数のチットをカップに入れる。カップからは決められた枚数のチットがランダムに引かれ、引かれたチットに応じて「忠誠」又は「裏切り」マーカーが1マスずつ進む。「忠誠」又は「裏切り」マーカーが4マス進んだ時点で、その陣営の去就が決まり、「忠誠」が先に4マス進めば西軍、「裏切り」が先に4マス進めば東軍につく。

「ん?。金吾の軍が遅くないか?。あの分では麓に着くまではまだ数Turnの余裕がありそうだぞ」
「そうですね。松尾山の険しい地形に阻まれて、1歩しか前進できていませんね」
「よし、この隙に正面の東軍を叩いてやれ」


そう思ったのか、西軍は弱体化しつつある東軍正面部隊に対してなおも激しい攻撃を加えた。 井伊直政討死。
藤堂高虎討死。
名のある東軍武将が次々と討ち取られていく。

北部戦線でも石田隊の生き残りと島左近が東軍黒田長政隊に猛攻を加え、これを大いに撃破していった。



この段階で時間切れのため今回のプレイは終了としたプレイ時間は約6.5時間である。

結果

西軍の戦果。撃破ユニット数9、討ち取った武将数2(福島正則、井伊直政)、サムライユニット2個討死。VP合計16点
東軍の戦果。撃破ユニット数5、討ち取った武将数1(石田三成)。VP合計7

差が5以上なので西軍の勝利

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感想

勝った、勝った、ばんざーい。

と、言いたい所だが、今回はまあ半分練習みたいなものなので、勝敗は二の次としたい。また、この後、徳川本隊や小早川隊が全力戦闘を仕掛けてきた場合、西軍が勝利を収められるかは甚だ怪しい所だし・・・。

ゲームとしては、前回プレイした「山崎の戦い」と基本的には同じなのでわかりやすい。注意すべき点としては、複数の軍勢からなる大軍勢(例えば宇喜多隊は宇喜多秀家隊と明石全登隊の2つの軍勢よりなる)の場合、活性化は別々だが、攻撃時には共同攻撃が可能とか。あるいは石田隊は1CPで全チットをカップに投入できるとかいったルールがある点である。
また全体で計16Turnという長丁場なので、完遂するには相応の時間を覚悟する必要があるだろう。今回は第6Turnまで進んだが、まだ半分も終わっていなかった。

全体の感想としては、比較的プレイし易い作品と言える。戦闘結果表の使い方がやや特殊なので計算が面倒な部分は確かにある。ただ、戦闘結果表を使いこなせるようになると、地形や馬防柵等を使った防御戦術も考えられそう。現段階では、攻撃側が有利なので、とにかく機会を見つけて突撃命令を繰り返す、という展開になりがちだ。それはそれで面白いのだが、もう少し防御戦術を生かす余地がないものか、もう少し研究してみたい。

次回は是非フルターン完遂したいと思っている。






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