もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2025年03月

CMJ181_CoverArt


コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 「北海道侵攻」は、2025年に発売されたコマンドマガジン181号の付録ゲームで、1990年代にソ連軍が北海道に侵攻したケースを扱った仮想戦ゲームだ。元々は1988年に翔企画からSSシリーズの1作品として発売された同名作品のリメイク版である。今回のコマンドマガジン版には、SSゲームに含まれていた北海道の地上戦ゲーム以外に、北海道周辺での海上戦闘を描いた「パシフィックヒート」も含まれている。
今回は、その中から地上戦ゲームをソロプレイしてみた。なお、「北海道侵攻」の地上戦ゲームを以後「本作」と呼称する。

前回までの展開は--> こちら

5Turn

RU_79_DTR_1085天候は荒天。航空支援がないのはどちらにとって益があったか・・・?
それはとにかくソ連軍3個師団が北海道中枢部に向けて突進していく。激しい戦いでソ連側機甲部隊もかなりの損害が出たが、SDFもソ連軍の圧力に耐えられず、防衛ラインを一歩後退せざるを得ない。もう石狩平野は目前だ

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6Turn

天候は晴天。SDFが制空権を握った。ソ連軍はなおも石狩平野に向けた猛攻を加える。一部では虎の子のスペツナズまで投入して突破を図った。SDFは現戦線から半歩後退し、ついに虎の子第7師団を前線に投入した。

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7Turn

JP_7_71CT_765天候は曇天。SDFが制空権を握った。地上戦は明らかに力押しの様相を見せている。兵力に勝るソ連軍であったが、異なる師団で共同攻撃できないルールのため、その兵力優位を生かし切れていない。それでもSDFの損害は徐々に嵩んでいく。今までは少しずつ下がりながら損害の回復を図っていたSDFであったが、戦場が石狩平野に入ってきて、最早下がる余地はない。ようやく増援で現れた米軍部隊と、本土から青函トンネル経由で北海道に上陸した第9師団の部隊と共に、最終防衛ラインを整える。

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8Turn

JP_3TFS_3AW_540標準ゲームの最終Turnである。もはやソ連側に勝機は乏しいが、それでも全力攻撃を加える。札幌前面では、ソ連軍第45親衛自動車化狙撃兵師団とSDF第7師団が激しい戦車戦を繰り広げる。双方とも2ステップずつを失ったが、ソ連側は唯一の戦車連隊が壊滅、第7師団は保有する3個連隊が全てステップロスするという大損害を被った。その他の戦線でもソ連軍は激しく攻撃をし続けるが、SDFの防衛線を破ることができなかった。そうこうしている間に日米の航空部隊が空を覆い、前線で戦うソ連軍部隊の上に爆弾の雨を降らせた。これらの航空攻撃で、ソ連軍第79自動車化狙撃兵師団、同第343師団、同194師団がいずれも大損害を被り、さらに先にSDFと激しい戦車戦を戦った第45親衛自動車化狙撃兵師団はさらなる損害を被って事実上攻撃能力を失った。

SDFは第9師団に続いて増援で到着した第10師団、さらに米第25師団等で戦線を立て直し、その間、損害を被った第7師団を札幌付近に後退させて兵力の回復を図った。

この時点で札幌、千歳、苫小牧に接敵できなかったソ連軍の敗北が確定した。

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9Turn

最後まで結果を見届けたいので、もう少しゲームを続けよう。
このTurn天候は晴れ。SDFは第11師団と第5師団が日高方面で反撃を行い、損害を被りつつも第11師団が日勝峠まで進出した。

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10Turn

JP_1Abn_122第1空挺団が旭川北方に降下した。ただちに深川~旭川間の国道40号線に布陣し、ソ連軍の連絡線を遮断する。そして岩見沢東方ではSDF乾坤一擲の大反撃が開始されていた。大規模な航空爆撃の後、SDF第7師団が突破展伸を測る。しかしソ連軍決死の防御によって突破はならず。岩見沢付近で攻勢を止められていた。

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11Turn

US_3MAF_1_10125旭川付近に降下したSDF第1空挺団は、ソ連戦車部隊の猛攻を受けて壊滅してしまう。しかし彼らの活躍によって前線のソ連軍の大半が補給切れとなってしまう。その隙をついてSDFが猛反撃を実施。岩見沢~深川間の国道12号沿いに前進を開始した第7師団は、砂川付近でソ連軍歩兵連隊を撃破し、一気に深川の南まで食い込んだ。
南では日勝峠を降りてきたSDFと米軍の合同部隊が帯広市を守るソ連軍2個連隊を包囲し、これを撃破して帯広市を解放した。
さらにその東では、米第3海兵師団が釧路市の東西に上陸し、釧路市を包囲。同地を守るソ連軍2個連隊に対して激しい攻撃を行っていた。

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12Turn

US_25TFS_51TFW_050ここで天候が荒天となってしまった。航空戦力で一気に大勢を決したかったSDFだが、その意気は殺がれた。それでも包囲下の釧路はこのTurnに解放。第7機甲師団は深川~旭川間の国道40号線のラインにまで進出していた。

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ちなみにこのTurnに勝利判定がある。ソ連が釧路、富良野、深川、留萌の全部を保持していればソ連側の勝利。2~3か所なら引き分け、0~1ヶ所ならSDFの勝利となっている。今回は富良野、釧路をSDFが奪回していたので、引き分けということになった。

13-15Turn

一応最後までプレイしたので結果を記す。
SDFは旭川と紋別を奪回した。ソ連軍の大半は撃破され、残余の部隊が包囲されて残っているだけの状況。ソ連軍による日本侵攻は失敗に終わったことになる。

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感想

RU_45G_176_885少なくとも序盤は面白かった。通常ゲームの第8Turnまでは緊迫した展開を楽しむことができた。プレイした感じではSDF側が計算しながら後退するとギリギリで勝利できるのではないかと思う。そういった意味ではSDF側が有利なゲームかもしれない。とはいっても天候や空戦といった不確定要素があるので、必ずしもSDF側が必勝ではないとは思うが・・・。

JP_FTB_565第9Turn以降はややダレた展開になった。特にソ連側への補給制限が厳しいので、効果的な防衛ラインを引くことが困難になる。帯広平野ではソ連軍が補給ルール上側面展開できないので、SDF側の側面迂回に対応するのが困難になる。旭川方面でもSDF側の突破を一旦許せば、ソ連全軍はまとめて補給切れになる危険があり、一気に対応できなくなる。このあたりは守り方に工夫が必要かもしれない。まあ長期戦では勝利条件的にソ連軍がSDF側に勝利できる可能性があるかもしれないが、日米の爆撃隊によってボロボロにされ、側面に回り込むSDF地上部隊に翻弄されている状況では、ゲーム上での勝敗などどうでもよくなるかもしれない。そういった意味で対戦ゲームとして意味があるのは第8Turnまでの通常ゲームで、延長ゲームはあくまでもオマケ程度に考えておいたほうが良い。

いくつか気になる点もあったが、少なくとも悪名高き「SDFシリーズ」に比べれば、まだちゃんとしたゲームになっている分、良いゲームだと思う。航空戦ルールを導入しても半日あれば十分にプレイできる作品なので、機会をみつけて再戦したいと思う。

89式歩兵戦闘車




コマンドマガジン Vol.181『北海道侵攻』 コマンドマガジン Vol.177『ヴュルツブルク』
幻の東部戦線 ソ連・ロシア軍 装甲戦闘車両クロニクル 提督が解説する海上自衛隊艦隊と軍艦のすべて 2024年 09 月号 [雑誌]: 軍事研究 別冊 海上自衛隊 護衛艦メカニズム図鑑 イカロスMOOK

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20250119_Polikarpov

Polikarpov I-15,I-16 and I-153 Aces

Mikhail Maslov Osprey

Polikarpov I-15,I-16 and I-153 Aces
ポリカルポフ戦闘機、特にI-15、I-16といえば、日中戦争で零戦に完敗したとか、大祖国戦争初期にドイツ空軍に一方的に叩き落されたとか、いわゆる「やられメカ」的なイメージが強い。これは何も我が国だけではなく、西側諸国でもポリカルポフ戦闘機の評判はあまり高くないようだ。
本書はそんなポリカルポフ戦闘機に焦点を当てて、I-15、I-16、I-153でのエース達とその戦いぶりを紹介している。本書が取り上げるのは、スペイン内戦、日中戦争、ノモンハン事件、冬戦争、そして大祖国戦争だ。特に日中戦争やノモンハン事件では、日本側で語られているものとは異なる視点での空戦史が紹介されている。特にソ連人の義勇兵たちが戦ったとされる日中戦争の空中戦シーンは、我々の想像とはかなり異なったものだ。
大祖国戦争時には明らかに旧式化していたこれらの戦闘機であったが、そんななかにもずば抜けた戦績を残したエース達はいた。彼らの中にはBf-109のみならずFw-190すらも撃墜したエース達もいたのだ。特にポリカルポフ戦闘機独特の武装といって良い82mm空対空ロケットは、しばしば大きな戦果を挙げたという。
我々が普段あまり詳しく知らない戦史について、理解を深めることができる1冊である。

お奨め度★★★


Polikarpov I-15,I-16 and I-153 Aces ノモンハン責任なき戦い 北欧空戦史 ―なぜフィンランド空軍は大国ソ連空軍に勝てたのか Brewster F2A Buffalo Aces of World War 2 (Aircraft of the Aces Book 91)
史料が語るノモンハン敗戦の真実 ノモンハン1939 ノモンハン秘史 F4F Wildcat vs A6M Zero-sen Pacific Theater 1942

250117_福島から長岡へ

今回は「大人の休日倶楽部パス」を活用し、冬の絶景が広がる豪雪地帯を乗り鉄旅行しました
さらに、道中では温泉宿に宿泊し、雪景色を眺めながら贅沢な時間を堪能。鉄道旅の魅力を余すことなくお届けします。

今回の見どころ

 ・冬ならではの美しい雪景色と列車旅の醍醐味
 ・豪雪地帯の絶景ポイント
 ・豪雪の中で入る小さな温泉の魅力
 ・思わぬトラブルでの予定変更

最後までお楽しみいただける内容となっています!
チャンネル登録&コメントもぜひお待ちしています!




日本観光列車ガイド2025 新幹線・特急乗り放題パスで楽しむ50歳からの鉄道旅行 50歳になったので大人の休日倶楽部 わたせせいぞう

250126_TFotTR

名ウォーゲームデザイナー Ted S. Raicer による「The Fall of the Third Reich」── 第二次世界大戦ヨーロッパ戦線の最後の2年間を再現する本格戦略級SLGです。

舞台は1943年7月、クルスクの死闘とシシリー島侵攻から戦いは始まります。連合軍は、ノルマンディー、イタリア、ギリシャと様々な侵攻ルートを選択できます。またソ連軍は独ソ戦の激戦を勝ち抜く必要があります。

戦略の鍵となる要素
・ダイナミックな前線戦術:反応移動と浸透攻撃の組み合わせが勝敗を左右!
・戦略爆撃の影響:航空戦が戦局に大きく影響!
・補給線の重要性:特に西部戦線では港の確保が勝利のカギに!
・多方面作戦のジレンマ:防衛に徹するドイツ軍は敗北必至、反撃を駆使して連合軍を叩け
・選択肢の広がる連合軍の侵攻ルート:イタリア降伏を狙うか、早期に第二戦線を開くか?

スムーズなプレイアビリティと、歴史の再現性を兼ね備えたこのゲーム。
果たしてドイツ軍は連合軍の猛攻を食い止められるのか? それともベルリン陥落が早まるのか?

このプレイ動画でその全てを確かめてみて下さい。




Fortress Europa Game Journal 70-第三帝国の盛衰
図解 第二次世界大戦1939.9~1943.9 独ソ戦全史: 「史上最大の地上戦」の実像 戦略・戦術分析 Sicily 1943 遠すぎた橋

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20250116_丸24年11月

丸2024年11月号

光人新社

丸2024年11月号-ソ連/ロシア海軍
第1特集は「ソ連海軍」、第2特集は「ロシア海軍」と、まさに冷戦時代及びそれ以降のソ連/ロシア海軍を総括した内容になっている。1980年代のソ連海軍といえば、まさに現実世界の「悪役」そのもので、空母「ミンスク」が日本近海に姿を現した時などは、まさに「本物のガミラス艦隊が出現した」かような盛り上がりだった。
本書はソ連海軍、ロシア海軍について、空母、巡洋艦、潜水艦といった艦船の種類別に区切って分析した内容になっている。また興味深いのは発掘手記で、冷戦期の各時代に日本人がソ連海軍をどのように見ていたのか。60年代~80年代の各時代でソ連海軍に対する日本人の評価や恐れなどを読み取ることができる。
ソ連/ロシア海軍のこれまでの歩みと実態を知ることができる内容だ。

お奨め度★★★★


丸2024年11月号-ソ連/ロシア海軍 丸2024年10月号-零戦52型 丸2024年5月号-瑞鳳 丸2023年10月別冊-日本海軍航空母艦「翔鶴」&「瑞鶴」

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