もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2025年07月


乗ってはいけない航空会社

杉江弘 双葉社

乗ってはいけない航空会社
本書は世界の航空会社の安全性について、過去の事故やインシデントの事例をもとに安全性を評価した著作である。本書で取り上げらているのは世界各国のエアラインの中で特に危険性が高いと筆者が評価した会社で、その中には一般的に評価の高い会社が含まれているのが興味深い。もちろん日本のエアラインについても触れていて、日本のエアラインの安全性評価やその懸念点にも鋭い目を向けている。
筆者の杉江氏は、元JALのパイロットで、ボーイング747型機の飛行時間が14,000時間、これは同機の飛行時間としては世界で最も長いものとされている。また氏は御巣鷹山でのJAL123機墜落事故についても様々なメディアで意見を表明しており、特に近年言われている「自衛隊機が撃墜した」という「陰謀論」を厳しく批判している。航空安全について実務者としても造詣の深い著者であり、今後の活躍に期待したい。

お奨め度★★★


乗ってはいけない航空会社 スペースシャトルの落日 ニッポン全国空港放浪記 空港の解体新書

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「Miragess」(以下、本作)は、VUCA Simulationsが2024年に出版した北アフリカ戦線をテーマとする作戦級SLGだ。本作の概要及び基本システムは、 以前の記事 を参照されたい。
また、前回プレイした「ブレビティ作戦」については、 こちらの記事 を参照されたい。

今回プレイしたのは、シナリオ4「バトルアクス作戦」である。バトルアクス作戦(Operation Battleaxe)は、1941年6月15日にイギリス軍が北アフリカ戦線で実施した攻勢作戦だ。作戦の目的は、枢軸軍によって包囲されていたトブルクの解囲支援と、リビア東部での戦略的要地(ハルファヤ峠など)の確保である。前回のブレビティ作戦同様、ハルファヤ峠とフォートカプッツォ方面で攻勢に出たが、ハルファヤ峠で88mm砲の反撃で多数の戦車を失い攻勢が頓挫した。

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(ChartGPTが作った「バトルアクス作戦」のイメージ図、うーん、何か違う・・・)

今回はVASSALによるソロプレイとした。前回の「ブレビティ作戦」はゲームにならなかったが、今度のバトルアクス作戦はどうだろか。期待半分、不安半分でとにかくゲームを始めてみる。

写真01


1Turn

攻撃の主力はEscarpmentグループで、マチルダ戦車を主体する歩戦連合部隊である。ハルファヤ峠は守りが固そうなので、ハルファヤ峠南西に広がる206高地を攻撃し、これを占領する。さらに英軍部隊は北東方向に進み、ハルファヤ峠背後に前進し、ソルームに迫る。

別部隊がハルファヤ峠へ正面攻撃を行う。さすがにハルファヤ峠の防備は固く、簡単には落ちそうにない。しかし兵力に勝る英軍部隊が繰り返し攻撃を行うことでついにハルファヤ峠は陥落した。

この時点で英連邦は8VPを獲得。もう1ヶ所も失う訳にはいかないドイツ軍は、ソルームに第15機甲師団の諸兵科連合部隊を入れる。しかし英軍の攻撃は容赦なく、Coastグループがフォートカプッツォを攻撃してこれを陥落させる。さらに英第7機甲旅団が戦線右翼の208高地を攻撃し、これを占領した。

この時点で英軍は合計12VPを獲得した。この時点で英軍はサドンデス勝利が確定する。ちなみに第3Turnに強力なドイツ軍が登場するが、恐らくそれまでにソルームを含めて陥落しているはずなので、史実とかけ離れた展開になることは間違いないだろう。

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感想

正直な所、かなり残念な結果に終わった。
シナリオ2~3がバランスが悪かったので、せめてこのシナリオは、と思ってプレイしてみたが、やっぱりバランスが悪かった。ダイス目の影響などもあるだろうが、以下に筆者が考えるバランスの悪い原因を考えてみたい。

一番の原因はCRTが攻撃側有利になっていること。特に影響の大きいのがPrepared Attack時のHQ Attack Support修正とSchwerpunkt bonus(主攻勢軸)で、例えばHQのAttack Support Point値が7でSchwerpunkt bonusを持っていたらDRM+9。地形が荒れ地が戦闘比1:1として出目が5の場合、DRMを適用して14となり、戦闘結果は1/2*となる。攻撃側は1ステップの損害に耐えれば良いだけだが、防御側はEC(効果チェック)を強いられる上、それに耐えても防御側は2ステップの損害を強いられる。ハルファヤ峠の戦闘がまさにこのパターンで、いくら守備隊が強力であっても英軍が断固たる攻撃を続ければかなりの高確率でハルファヤ峠は落ちてしまう。
他の拠点でも同じパターンで、しかも防御修正がハルファヤ峠よりも遥かに劣悪なので(装甲修正がプラスになるのでDRMがさらに増える)、英軍が断固たる攻撃を行えば拠点はやはり落ちてしまう。

第2は戦闘に勝利した際に得られるボーナスAPで、特にSchwerpunkt bonusマーカーを持っているフォーメーションが得られる2APが大きい。この影響でハルファヤ峠では英軍が立て続けに攻撃でき、ハルファヤ峠の早期陥落につながった。

という訳で、現時点では残念ながらこのシナリオもバランスがかなり悪いと判断せざるを得ない。残りはコンパス作戦のシナリオが未プレイだが、この分ではちょっと期待薄。ただ致命的な問題ではないので、何とか製作者サイドで自主的にバランスを調整してほしい所だ。



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250425_伊勢

今回は近鉄の観光特急「しまかぜ」に乗って、伊勢神宮へ向かう日帰り旅をお届けします。
ハイグレードなシート、カフェ車両、展望スペースなど、まさに“走るラウンジ”とも言える「しまかぜ」の魅力をたっぷり紹介。

終点・賢島からが一旦引き返し、宇治山田駅で下車。伊勢神宮の内宮・外宮をゆったりと巡る参拝ルートをご案内します。




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沈まぬ太陽4-会長室編(上)

山崎豊子 新潮文庫

沈まぬ太陽4
JALの御巣鷹山墜落事故をテーマとした小説で、この第4巻では事故発生後のNAL(JALの本小説での会社名)の立て直しを扱う。NALの経営立て直しと事故後の事態収拾にためにNAL会長に就任した国見正之は、分裂したNAL労組を1つにまとめるため、遺族係を担当していた主人公恩地元を会長室に迎え入れる。そして国見と恩地はNALの立て直しに奔走するが、旧勢力の抵抗により思うように改革が進まない。そんな中、御巣鷹山では事故から1周忌を迎え、遺族たちによる慰霊登山が行われようとしていた。 とまあこんな感じの第4巻だが、相変わらず極端な勧善懲悪が気になる所だ

お奨め度★★★


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「Miragess」(以下、本作)は、VUCA Simulationsが2024年に出版した北アフリカ戦線をテーマとする作戦級SLGだ。本作の概要及び基本システムは、 以前の記事 を参照されたい。

今回プレイしたのは、シナリオ2「ブレビティ作戦」である。ブレビティ作戦(Operation Brevity)は、1941年5月15日にイギリス軍が北アフリカ戦線で実施した短期的な攻勢作戦だ。作戦の目的は、枢軸軍によって包囲されていたトブルクの解囲支援と、リビア東部での戦略的要地(ハルファヤ峠など)の一時的確保である。作戦初日は一部成功し、ハルファヤ峠などを占領したが、ドイツ軍の反撃によりすぐに失地。作戦全体としては限定的な成功にとどまり、イギリス軍は最終的に撤退した。

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(ChartGPTが作った「ブレビティ作戦」のイメージ図、うーん、何か違う・・・)

今回はVASSALによるソロプレイとした。VASSALモジュールでは、オリジナルとはセットアップを少し変えてあり、Ridotta Capuzzo(カプッツォ砦 1609)のVPマーカーがなくなっている。これによって英軍が第1Turnにサドンデス勝利を得るのが少し困難になっている。前回のプレイでは、2回対戦して2回とも英軍のサドンデス勝利だっただけに、この修正で少しバランスが改善されることを期待したい。

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1Turn

CW_7thHQ_BR_766このシナリオでは、最初の主導権が英軍と決まっている。そこで英軍は第7機甲旅団を活性化させ、枢軸軍唯一の機動兵力であるカンフグルッペ「ヘルフ」(KG Herff)に対して攻撃を仕掛けた。KG Herffを撃破・無力化すればドイツ軍の反撃能力がほぼ失われ、第3Turnに増援としてKG Esebeckが登場するまで英軍の機動を阻むものがいなくなる。
接敵してきた英軍機甲部隊に対してKG Herffはすかさずリアクションを宣言する。このゲーム、攻撃側の方が防御側よりも遥かに有利なのだ。特に周到攻撃(Prepared Attack)に対しては。

GE_Her_Hinqst_655リアクションチェックに成功したドイツ軍は、まず司令部を後方に下がらせて、続いて諸兵科連合部隊で英軍部隊の出鼻を挫くべく周到攻撃を宣言する。このゲーム、戦闘時に両軍共戦闘チットを引いて戦力の倍加修正を行う。この際の修正値が毎回変わるので、戦闘比を予め予想することが難しい

「人知を尽くして天命を待つ」

そんな感じのシステムだ。

Z_Schwerpunktチットの結果はやや独軍に有利で、攻撃力24、防御力13で戦闘比は3:2となった。そこにDRMが加わり、ドイツ軍はHQ支援による+7、しかし英軍が攻撃重点(Schwerpunkt)マーカーを持っているので-2の修正が適用される。この攻撃重点マーカーが結構効く。最終的なDRMは+5となった。

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ダイス目は2で修正後は7。戦闘結果は1*/2となった。

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ドイツ軍は1Hit、英軍は2Hitを適用される。英軍は2Hitを全てステップロスに適用させて2ステップ損失。ドイツ軍は1ステップの強制損失を戦車部隊に適用させる。攻撃側の戦闘結果が赤文字なので、ドイツ軍はECチェック(士気チェックのようなもの)が必要になる。ECチェックの結果、戦車大隊が混乱状態となって後退。ドイツ軍が残ったAPで戦車大隊の回復を試みるも、失敗に終わる。

ドイツ軍のリアクションが終了した後で英軍が残ったAPでアクションを継続する。

英軍の活性化が終了すると、ここで主導権判定を行う。主導権判定はお互いにダイスを振り、修正を適用した後に大きい目を出した方が主導権を握る。ここではドイツ軍が主導権を握った。ドイツ軍は先に損害を受けたKG Herffのユニットの回復を試みるも、失敗する。

英軍は第7機甲旅団を再度活性化させてKG Herffに対する攻撃を継続。その戦力を徐々に削っていく。そして頃合いを見計らって第22機甲旅団を活性化させ、ハルファヤ峠のドイツ軍守備隊を攻撃する。

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兵力に勝る英軍はハルファヤ峠のドイツ軍守備隊を撃破し、ハルファヤ峠を占領した。

その後も戦いは続いたが、兵力に勝り、さらに攻撃重点マーカーをも持つ英軍に対し、ドイツ軍は成す術もなく敗退を続ける。ソルームは陥落し、ハルファヤ峠~ソルームを守っていたドイツ軍守備隊は壊滅。機動反撃戦力たるKG Herffも半身不随となり、最早反撃能力を失っている。

第1Turn終了時点での状況が以下の通りだ。英軍はハルファヤ峠一帯を掃討した後でバルディア前面にまで進出し、バルディアも風前の灯火。ドイツ側の反撃兵力たるKG Herffも戦力の過半を失っている。

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この時点で英軍はサドンデス勝利を達成していなかったが、次のTurnにサドンデス勝利を得ることはほぼ確実となったので、この時点でゲーム終了とした。

感想

前回本シナリオをプレイした際には英軍が2回連続で第1Turnサドンデス勝利という結果になっていたが、やり方を変えればドイツ側にも勝機があるのかと期待してプレイしてみたが、やはりダメだった。やり方が拙いのかもしれないが、ここまでのプレイの感想としては、本シナリオで英軍のサドンデス勝利を阻むのは困難だと思う。

残るシナリオは、シナリオ1「コンパス作戦」とシナリオ4「バトルアクス作戦」だ。なんとかこれらのシナリオの出来が良ければよいのだが・・・。

Crusader




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