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久しぶりに自作空母戦ゲーム「海空戦!南太平洋1942」(以下、本作)の記事を紹介したい。
今回は練習シナリオのOp.2「空母対空母」をプレイしてみた。

「今さら練習シナリオ?」

と思われるかもしれないが、今回は生まれて初めてVASSALによる遠隔対戦に挑戦してみた。

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「海空戦!南太平洋1942」は自作の空母戦ゲームです。
作品についての詳しくは-->こちらを参照して下さい。
また入手方法は-->こちらを参照して下さい。
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作戦計画

JP_CV5このシナリオ日米の空母部隊同士が対決するという仮想戦シナリオである。時期的には南太平洋海戦頃を想定しており、日本側が「翔鶴」「瑞鶴」、米軍側には「エンタープライズ」「ホーネット」が登場する。

まず艦隊編成を考える。このシナリオでの日本軍戦力は、空母2隻、高速戦艦2隻、重巡4隻、軽巡1隻、駆逐艦12隻。駆逐艦のうちの1隻は新鋭の秋月型防空駆逐艦である。まず最初に麾下の艦艇をどのように配分するかを決定しなければならない。因みに全艦艇を1個のTFに組み込むという選択は勿論可能である。
今回は空母と戦艦を分離するプランで挑むことにした。すなわち空母2隻、重巡4、駆逐艦3隻でTF1を編制し、残りの戦艦2隻、軽巡1隻、駆逐艦9隻でTF2を編制する。TF2の任務は、空母部隊の前衛に展開して敵機の攻撃を吸引することと、機会を見つけて敵水上部隊に砲撃戦を仕掛けることにあった。この布陣の弱点としては、空母を守る高速戦艦が別行動となるため、対空防御がやや弱体化してしまうこと。ただし、この編制では空母部隊が速力4を発揮できるので、僅かながら敵機による被攻撃率を減らすことが期待できた。

写真00


JP_D3A空母艦載機の編制も悩ましい。零戦6ユニット、艦爆6ユニット、艦攻4ユニットの計16ユニットが空母艦載機の全戦力である(ちなみに1ユニット=約9機)。そのうち艦攻1ユニットは索敵に出し、零戦2~4ユニットが艦隊の上空援護に就くとして、残りの兵力で攻撃隊を編制する必要がある。仮に零戦3ユニットを上空援護に回すとすると、攻撃隊に回せるのは、零戦3ユニット、艦爆6ユニット、艦攻3ユニットとなる。それにしても零戦隊の戦力が足りない・・・。
一応攻撃隊の編制としては以下のように考えてみた(数値はユニット数)。

 ・第1波:零戦x2,艦爆x4,艦攻2
 ・第2波:零戦x1,艦爆x2,艦攻1

JP_CVL3a第2波攻撃隊の兵力不足が気になる所で、できれば第2波も零戦2ユニット、攻撃隊4ユニット程度で編制したかった。もし零戦x2、艦攻1を搭載した軽空母1隻が加わっていれば、攻撃隊の編制もCAP隊の編制も遥かに楽だったのに・・・。このゲームをプレイしていると、つづく「龍驤」や「瑞鳳」といった小型空母の有難さが分かってくる。

全般的な戦術については、日本側の強みは米側よりも比較的長い攻撃距離。特に零戦の戦闘行動半径の広さである。その強みを生かすため、序盤はあまり敵中深くに踏み込まず、やや距離を置いて布陣することにしたい。

1Turn

E13A当初の予定に従い、エリアEの外縁部付近に布陣した。そして索敵機を放つ。
最初に米軍の索敵機が飛来し、前衛艦隊が早くも発見された。ただしこちらの機動部隊本隊はまだ見つかっていない。
その後、こちらの索敵機からも続々と「敵艦隊発見」の報告が飛び込んできた。しかしその位置はサンタクルーズ諸島周辺海域で、こちらの空母からの距離は14~16Hex(420~480海里)である。これはいくらなんでも遠すぎた。このTurnは航空決戦を諦め、決戦は次Turn以降に持ち越された。

写真01


2Turn

予想よりも米艦隊が「引いて」きたので、こちらは間合い詰める。敵の動きによってはこのTurnに航空決戦となるが、果たして米艦隊にそれだけの戦意があるかどうか・・・。
はたせるかな、敵発見の位置は、前Turnから殆ど動いていなかった。こちらの空母と敵発見位置との距離は、11~12Hex(330~360海里)である。徐々にではあるが、両艦隊の距離は縮まりつつあった。

写真02


3Turn

A6M2_CV6このシナリオは僅か3Turnのショートシナリオなので、このTurnが早くも最終Turnになる。我が空母部隊はさらに南下し、サンタクルーズ諸島の北北東約200海里まで接近した。ここからなら敵艦隊がサンタクルーズ諸島付近に位置していても、艦隊機による攻撃は十分可能である。戦機は熟したのだ。

索敵戦で先手を取った日本軍は、機動部隊本隊から見て南南西7~8Hex(210~240海里)の位置に敵艦隊発見を報じた。敵艦隊の位置は十分に攻撃圏内であった。ただ戦爆連合での大規模攻撃を仕掛けるにはやや距離が遠かった。そこで第1次攻撃隊として、零戦2ユニット、艦爆4ユニットからなる攻撃隊が発進。敵空母の推定位置に向かった。

写真03


続いて零戦1ユニット、艦爆2ユニット、艦攻3ユニットからなる第2次攻撃隊が各空母の艦上で進められた。しかし第2次攻撃隊が発進する前にレーダーが南方から接近する敵機らしき編隊を捉えた。

「危ない!!」

SBD_CV6各空母艦上には爆弾や魚雷を満載した攻撃隊が所狭しと並んでいる。ここで1発でも被弾したらミッドウェー海戦の二の舞だ。各空母では攻撃隊の発進準備が急ピッチで進められたが、早くも敵機の一部は機動部隊上空に姿を現した。

写真04


最初に飛来してきたのはSBDドーントレス4ユニット(36機)である。護衛の戦闘機は見えない。上空援護の零戦3ユニット(27機)がドーントレスに襲いかかる。零戦隊は奮戦しドーントレスの約半数を阻止したが、残り半数は零戦の阻止線を突破して日本機動部隊上空に迫る。
激しい対空砲火がこれを迎え撃つ。数機のドーントレスが炎に包まれて落ちていく。猛烈な対空砲火に嫌ったドーントレスの約半数が、目標を外周駆逐艦に変更して攻撃を行う。駆逐艦を狙った爆撃は外れた。
最後まで空母を狙ったドーントレスは当初の約1/4に相当する約9機であった。狙ったのは空母「翔鶴」。1000ポンド大型爆弾数発は、「翔鶴」の至近距離に落下したが、奇跡的に命中弾はなかった。まさに「翔鶴」は危機一髪であった。

SBD_CV8別の攻撃編隊が南方から近づいて来た。各空母では、漸く準備の完了した攻撃隊が、ブリーフィングする時間ももどかしく慌ただしく発進していく(「緊急発進」に成功した)。本来なら空中で合同して敵艦隊に向かう所だが、時間を惜しんで空母毎にバラバラの編隊で目標へ向けて飛行していく。

その直後、米軍の第2波攻撃隊が日本機動部隊上空に姿を現した。空母「ホーネット」を発進したSBDドーントレス36機よりなる攻撃隊である。上空援護の零戦18機がドーントレスに襲いかかる。またもや零戦隊が奮戦し、ドーントレスの約半数を上空で阻止した。護衛のない爆撃機ほど脆いものはない。
それでも残りのドーントレスは空母「瑞鶴」に目掛けて急降下爆撃を敢行した。しかしドーントレス艦爆隊は零戦の迎撃によって照準を狂わされて「瑞鶴」に対する爆撃は数メートルの至近弾を与えたにとどまり、秋月型駆逐艦「照月」に爆弾1発を命中させてこれを中破せしめたに留まった。

写真05


B5N_CV6一方、日本軍の第1次攻撃隊は米機動部隊の予想海域に到着した。しかし敵空母は見つからない。実は日本側攻撃隊は攻撃針路に数度のズレがあり、そのために敵空母を発見できなかったのである。この攻撃隊は航法能力に優れた三座艦攻の随伴していなかったことが仇となってしまう。

さらに第2次攻撃隊も緊急発進で十分なブリーフィング時間が確保できなかったことが仇となり、「瑞鶴」隊は接敵に失敗。「翔鶴」を発進した艦爆、艦攻各1ユニットが辛うじて米機動部隊上空にたどり着いた。しかし彼らはグラマン戦闘機の猛烈な迎撃を受けて艦攻隊は全滅。艦爆隊は半数が機動部隊に投弾したものの爆弾は全部外れ。そして生き残った艦爆の大半が対空砲火の餌食となってしまった。

写真06


結果

JP_DD7a日本軍は駆逐艦1隻が中破、航空機5ステップを失う。米軍は艦船の損害はなし。航空機は4ステップを失う。得点差は僅差であったが、シナリオの勝利者は米軍であった。
日本軍の敗因としては、主力攻撃隊が相次いで目標捕捉に失敗したのが痛かった。攻撃隊の規模を重視して艦爆のみの編隊で攻撃を仕掛けたのが最大の敗因で、攻撃隊の規模が小さくなっても雷爆連合編隊で攻撃を仕掛けるべきだった。



感想

プレイ時間はセットアップを含めて約3時間であった。空母戦ゲームはVASSAL向きだと改めて感じた次第である。VASSALモジュールについていくつか改善すべき点が見つかったが、それは次回にまとめて報告する予定である。いずれにしてもVASSALによるプレイが比較的うまく出来たことが収穫であった。

零戦


つづく

空母瑞鶴戦史:ソロモン攻防戦 空母瑞鶴戦史:南太平洋海戦 日本空母戦史 機動部隊 空母エンタープライズ上巻 Pacific Carrier War Midway Inquest How Carrier Fought

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